【令和6年版】業務改善助成金とは?対象者や助成額をわかりやすく解説
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者を対象とし、生産性向上と持続可能な成長を目指すための経済支援制度です。設備投資や賃金の引き上げによって、事業の競争力を強化し、経済的な安定を図ることを支援します。
本記事では、業務改善助成金とは何か、概要から助成額、申請方法まで詳しく解説します。賃金引き上げなどによって労働環境の改善を図りたいとお考えの企業担当者は、ぜひご覧ください。
- 業務改善助成金とは
- 業務改善助成金の対象者
- 業務改善助成金の助成率・上限額
- 業務改善助成金の対象経費
- 令和6年度の変更点
- 申請の流れ
- 業務改善助成金を申請する際の注意点
- まとめ:助成金を活用し、効率的な賃上げを目指そう
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、生産性向上に寄与する設備投資、および賃金引き上げを行った中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資費用を助成する制度です。この助成金は、設備投資と賃金上昇を通じて、中小企業・小規模事業の生産性を向上させることを目的としています。
この制度を利用することで、事業者は経済的課題を克服し、競争力を高めることができ、持続可能な成長を図ることが可能です。では、業務改善助成金の対象者・要件について解説します。
業務改善助成金の対象者
業務改善助成金を利用できる対象者は、中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)です。具体的には、下記の表の「資本金または出資額」「常時使用する労働者」のいずれかに該当する事業者が対象となります。
業種 | 資本金または出資額 | 常時使用する労働者 |
---|---|---|
小売業(小売業、飲食店など) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業(物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス業など) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運送業、金融業など) | 3億円以下 | 300人以下 |
上記に該当する中小企業・小規模企業のうち、さらに次の要件を満たした事業者が業務改善助成金を利用できます。
- 事業場内最低賃金(事業場で最も低い時間給)と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
特例事業者と認められれば、助成金額が拡大する
物価高騰のあおりを受けて利益率が低下している事業者(前年同期と比較して3%ポイント以上低下)や、事業場内最低賃金が950円未満の事業者などは、特例事業者となります。特例事業者は、業務改善助成金の上限額拡大や、助成対象経費の拡大を受けられる可能性があります。
業務改善助成金の助成率・上限額
業務改善助成金は設備投資費用の一部を助成するもので、「設備投資費用×助成率」で助成金を算出します。助成率は、事業場内最低賃金によって次のように決まっています。
事業場内最低賃金 (賃金引き上げ前) |
助成率 |
---|---|
900円未満 | 9/10(設備投資額の90%) |
900円以上、950円未満 | 4/5(設備投資額の80%) |
950円以上 | 3/4(設備投資額の75%) |
賃金が低い事業所ほど助成率が高く設定されており、企業のコスト負担を軽減しながら、賃金引き上げ・設備投資を促します。
助成金の上限額
なお、業務改善助成金には上限額があり、その上限額は賃金引き上げ額や事業規模によって細かく決まっています。
※出典:厚生労働省「業務改善助成金」
業務改善助成金の対象経費
業務改善助成金は設備投資費用を助成するものですが、具体的にどのような経費が対象となるのでしょうか。厚生労働省ホームページによると、次のようなケースが対象になります。
対象経費 | 具体的なケース(事例) |
---|---|
設備投資 | ・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮 ・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮 |
経営コンサルティング | ・専門家による業務フロー見直しで、顧客回転率の向上 |
人材育成 | ・人材育成にかかる研修 |
その他 | ・店舗改装による配膳時間の短縮 |
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なお、「人材育成にかかる研修」も業務改善助成金の対象経費となります。研修もシステム活用によって手間をかけずに効率的に実施することが可能で、多くの企業で利用されているのがeラーニングシステムです。おすすめeラーニングシステムはこちら(別記事)で紹介していますので、人材育成を強化したい方はぜひご覧ください。
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令和6年度の変更点
令和6年度の業務改善助成金では、特例事業者の要件に重要な調整が加えられ、一部の特例措置が終了しました。ここでは令和5年度からの変更点を解説します。
特例事業者要件の変更
令和6年度を迎え、新型コロナウイルスの影響を受けた特定の生産量要件が廃止されました。この変更により、以前の生産量に基づいた特例措置が終了し、現在は賃金要件と物価高騰等の要件のみが助成の基準として残されています。
経費の特例の変更
業務改善助成金の枠組み内で、特例事業者に対して提供されていた一部経費の特例措置が令和6年度に終了しました。しかし、車両やパソコンといった特定の設備投資に対する特例は継続されます。
申請の流れ
業務改善助成金の申請プロセスは、まず公式ウェブサイトから専用の申請書をダウンロードすることから始まります。ダウンロードした申請書に必要な情報を記入し、事業計画書や財務計画書などの必要書類を添付して、指定された方法で労働局に提出するまでが一連の流れです。
提出後、書類の審査が行われ、審査結果に基づき交付決定が下されます。ここでは業務改善助成金申請の流れを紹介します。
交付申請
業務改善助成金の交付申請は、公式ウェブサイトからダウンロードできる専用の申請書を使用して行います。申請プロセスでは、詳細な事業計画、設備投資計画、事業の目的と目標を明確に記した文書が求められます。具体的には、事業計画書では事業の目的、実施予定の活動、期待される成果とそれを達成するための手順が必要です。
また、財務計画書では予定される設備投資の費用の詳細と資金調達の計画を提出します。さらに、賃金構造の説明書を通じて、事業場内最低賃金の引き上げ計画とその影響について詳しく説明し、従業員の福利厚生の向上策の説明も必須です。
過去に同じ助成金を受けた経験がある事業者は、前年度の事業実績報告書を提出して、前回の助成金がどのように使用されたかの成果を示す必要があります。これらの文書を揃えた後、指定された形式で地方労働局に提出し、オンライン、直接、または郵送での提出が可能です。
審査・交付決定
業務改善助成金の申請書類は、提出後地方労働局によって厳密な審査プロセスを受けます。申請書および添付された文書のすべてが確認されますが、特に事業計画の現実性と助成金の利用目的が適切かが重要な点です。また、計画の実行可能性を評価するために追加情報を求める場合もあり、事業者は迅速にこれに応じる必要があります。
審査では、申請されたプロジェクトが助成金の目的に合致しているか、予算配分が適切か、さらには事業が持続可能であるかどうかが評価されます。適正と判断されると交付決定が、基準を見たいしていない場合は不交付決定の通知を受けます。
事業の実施
交付決定を受けた事業者は、承認された事業実施計画に基づき、具体的な施策を開始します。新しい機械の導入、施設のアップグレード、従業員のスキル向上のための研修などが行われます。
実施される各活動は、事業計画に沿って厳密に進められ、計画の各段階での成果が監視されます。必要に応じて、労働局との間でさらなる協議を行いながら計画の微調整がされることがあります。最終的に、これらの措置によって事業者の競争力が強化され、より良い労働環境が整備されることが求められます。
事業実績報告の提出
事業完了後、事業者は規定のフォーマットで事業実績報告書を作成し、それを地方労働局に提出します。この報告書には、行われた活動の詳細な概要と実際に発生した経費の明細の記載が必須です。
報告書の提出は、助成金が計画に沿って適切に使用されたことを証明するため不可欠であり、具体的な支出を示すレシートや請求書の提出が求められることが一般的です。事業者は事業終了後、通常1ヶ月以内にこれらの文書を提出する必要があり、期限を守ることが重要です。
交付額の決定
労働局では、提出された事業実績報告書を詳細に検討し、そのデータに基づいて助成金の交付額を最終的に決定します。助成金の適切な額が計算された後、通常交付決定を受けてから20日以内に決定された金額の通知を受けることが可能です。
助成金の入金
助成金の最終交付額が決定された後、指定された金額は事業者があらかじめ指定しておいた銀行口座に直接入金されます。労働局からの通知後、数日間かかることが一般的です。入金が完了すると、事業者は通知を受け、これらの資金を人件費、設備投資、事業運営に関連するコストに充てることができます。
業務改善助成金を申請する際の注意点
業務改善助成金の申請にあたっては、いくつか注意点があります。
交付決定後にしか事業を進められない
業務改善助成金の制度においては、交付決定前に行われた設備投資やその他の事業活動は助成の対象外とされます。事業者は、提出された事業計画書に記載された内容に基づいて、正式な交付決定を受けた後にのみプロジェクトの開始が可能です。
賃金引き上げのタイミングに注意
賃金引き上げを行う場合、地域別最低賃金の法定発効日の前日までに賃金引き上げを実施する必要があります。前日ではなく、当日に賃金引き上げを実施した場合、業務改善助成金の対象外となるため注意が必要です。
年度中一度しか申請できない
業務改善助成金は、年度中に一度しか申請できないため注意が必要です。
まとめ:助成金を活用し、効率的な賃上げを目指そう
業務改善助成金は、企業にとって負担となる設備投資や最低賃金引き上げにおいて、大変頼りになる制度です。ぜひ助成金を積極的に活用して、効率的な賃金引き上げを目指しましょう。
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