会計ソフトの種類と選び方をご紹介!比較ポイントもわかりやすく解説
これまで、会計管理を紙やエクセルで行ってきたという企業も多いでしょう。しかし、手作業による管理では多くの手間と時間がかかる上、専門的な知識も必要です。会計ソフトを利用すれば、これらの処理をすべてシステムが行ってくれます。会計処理にかかる負担を大幅に減らせるだけでなく、決算書や試算表なども自動で集計することが可能。財務状況を把握しやすくなる点も大きなメリットです。
一方で、技術の進化と普及によってさまざまな種類の会計ソフトが開発されており、どう選べばいいかわからないと感じている方も多いのではないでしょうか?本記事では、会計ソフトの種類や選び方、比較ポイントなどをご紹介していきます。
- 会計ソフトとは
- 会計ソフトの種類
- パッケージ型、オンプレミス型、クラウド型の主な違い
- パッケージ型会計ソフトのメリット・デメリット
- オンプレミス型会計ソフトのメリット・デメリット
- クラウド型会計ソフトのメリット・デメリット
- 会計ソフトの比較ポイント
- 失敗しないためのコツとは?会計ソフトの選び方3つ
- まとめ
会計ソフトとは
会計ソフトとは、簿記(企業の資金の動きを数字として記録・計算・整理することで財政状況を明確化する技能)をパソコンでより簡単、かつ効率的に管理するためのソフトです。
人の手で行われる簿記では、仕訳帳や総勘定元帳など、さまざまな種類の帳票を作成する必要があり、またこれらを別の帳票に転記しなければいけません。時間や手間がかかる上、転記漏れなどの人的ミスも発生しやすいのが問題です。
一方で、会計ソフトを利用すれば、1度システムに入力するだけで自動的に転記や集計が可能。ミスを防げるだけでなく、作業時間の削減による業務効率の向上も図れます。比較的簡単に扱えることもあり、現在では広く普及しているソフトだと言えるでしょう。
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会計ソフトの種類
会計ソフトは、大きく分けるとパッケージ型、クラウド型、オンプレミス型の3種類があり、そのほか無料で利用できるフリーソフトも存在します。以下でそれぞれの特徴を確認しながら、自社へ導入するケースを想定してみましょう。
パッケージ型
パッケージ型は、メーカーが販売しているソフトをパソコンにインストールして使うタイプの会計ソフトです。Microsoft Officeなどと同じように、1度購入すればパソコンに取り込むだけですぐに利用できます。機能はシンプルなものが多く、製品によって差はあるものの、ほかの2種類に比べると低価格で導入しやすいでしょう。月々のランニングコストもかかりません。弥生会計やソリマチなどが有名です。
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オンプレミス型
オンプレミス型はパッケージ型と同じ括りとして扱われることもありますが、パッケージソフトよりも大規模なサーバーやシステムを使って会計処理を行うことに特徴があります。自社独自のシステムとして構築するケースが多く、比較的高額になるタイプです。社内のみで接続されているネットワーク上にあるシステムを呼び出し、会計処理を行います。大規模な運用に適した方法で、導入に手間はかかるものの、うまく活用できれば大きな効果を得られるできるでしょう。
クラウド型
クラウド型は、インターネットを経由してシステムを利用することに特徴があります。サーバーなどは運営会社が管理しているため、インターネット環境があり、端末がサービスの利用要件を満たしていればどこからでもアクセスできます。インストールを行う必要がないため、初期費用や手間などの負担を軽減することが可能。パソコンの容量を圧迫せずに導入できますが、月々のランニングコストが必要です。
フリーソフト
会計ソフトの中には、費用が一切かからないフリーソフトもあります。また、近年では有料で高機能なソフトでもフリープランが提供されている場合が多いです。しかし一方で、フリーソフトやフリープランは制限がかけられていることも多く、開発元からのサポートに期待できない点も多いことから、基本的には企業での利用はおすすめできません。
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パッケージ型、オンプレミス型、クラウド型の主な違い
パッケージ型は、機能がシンプルなかわりに価格が安く、気軽に導入できます。クラウド型はパッケージ型のようにインストールする必要がないため、パッケージ型以上に気軽に導入できるでしょう。機能もパッケージ型より豊富ですが、月々のランニングコストがかかります。
オンプレミス型は導入に時間と費用がかかるため、ほかの2タイプのようには気軽に導入できません。しかし、カスタマイズ性が高く独自のシステムを構築することが可能で、高い効果に期待できます。また、クラウド型ほどランニングコストがかからないのもメリット。オンプレミス型は、パッケージ型を社内全体で使用・共有できるようグレードアップされたものだと考えればよいでしょう。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社での運用方法に沿ったものを選ぶことが大事です。
パッケージ型会計ソフトのメリット・デメリット
ここからは、パッケージ型、オンプレミス型、クラウド型それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。まずはパッケージ型について確認していきましょう。
パッケージ型のメリット
まず、メリットとして挙げられるのは、買い切り型であるためランニングコストがかからない点でしょう。もちろん、オプションを利用する場合や、法改正などによるアップデートが必要な際は別途料金がかかることもありますが、基本的には購入すればそれ以上料金は発生しません。
また、パソコン1台でも利用できるため気軽に導入しやすいのもメリット。インターネット通信を行わずに利用できるため、情報漏洩やウイルス感染の心配もありません。システム障害に影響されることもなく、スムーズに利用できるでしょう。
パッケージ型のデメリット
デメリットとしては、やはりバージョンアップの手間です。クラウド型であれば運営会社が自動的にアップデートを行うため、自分で対応する必要はありません。オンプレミス型の場合もサポートを受けられます。
しかし、パッケージ型ではインストールしたパソコンから手動でバージョンアップを行わなければいけません。導入した台数が多ければ、その分の手間も増えます。パソコンが故障すれば、ソフト自体使えなくなるリスクも免れません。
また、インストール時にハードディスク容量が消費されることから、パソコン内の容量が少ないとそもそもインストールが難しいケースもあるため、注意が必要です。
オンプレミス型会計ソフトのメリット・デメリット
次に、自社内でサーバーやシステムを構築して使用するオンプレミス型のメリットとデメリットについて解説します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
オンプレミス型のメリット
最大のメリットは、カスタマイズ性の高さです。機能の追加はもちろん、既存システムとの連携なども行えるため、自社に適した使い方ができます。
高い効果に期待できるだけでなく、サポートも手厚く導入初期の立ち上がりもスムーズ。導入後の動作不良などのトラブルにもすぐに対応してもらえます。回線はつないでいるものの、社内のみで構築されているため、セキュリティ面でも安心です。
オンプレミス型のデメリット
オンプレミス型のデメリットは、初期費用の高さと手間の多さでしょう。サーバーなどのハードウェアを購入する必要があるため、初期費用が高額になりやすく、システムの設定やネットワークの整備にも時間がかかります。
また、導入後もサーバーの運用にかかる人件費やサポート費用、バージョンアップ費用などの保守費用が必要です。社内のネットワークで構築されていることから、社外からアクセスしにくいという不便さもあります。
クラウド型会計ソフトのメリット・デメリット
最後にクラウド型のメリットとデメリットについて解説します。前述した2タイプとの違いに注目しながら確認していきましょう。
クラウド型のメリット
クラウド型のメリットは、なんと言っても導入のしやすさでしょう。インターネット環境さえあれば端末を問わずに利用できるため、情報共有も簡単。業務効率の改善にも効果的です。
また、インターネット上で利用するため、パソコンの容量を圧迫しません。初期費用が基本的にほとんどかからないのもメリットでしょう。さらに、サーバーは運営会社が管理するため、バージョンアップも自動で行われます。
クラウド型のデメリット
クラウド型のデメリットとしては、ランニングコストの高さが挙げられるでしょう。運営会社が負担しているサーバーやシステムの管理に必要な料金として毎月支払いが必要なため、ユーザー数や利用年数によっては、パッケージ型よりも総合的に費用が高くなる可能性があります。
また、ネット回線を利用しているため、通信環境によっては動作が遅くなり、ストレスを感じてしまうかもしれません。不正アクセスなど、セキュリティ面でも警戒が必要です。
会計ソフトの比較ポイント
ここからは、数ある会計ソフトから自社に合ったソフトを選ぶ際、どのようなポイントを比較するべきなのかを解説していきます。
ターゲットユーザーはどの層か
会計ソフトは、それぞれでターゲットユーザーが異なります。個人事業主や副業の人をターゲットとしたもの、中小企業をターゲットとしたもの、大企業をターゲットとしたものなど、対象としている企業・事業者の規模感はさまざまであるほか、飲食店向けなど業界を絞って提供されているものも。自社がターゲットに当てはまっているサービスはどれか前もって比較し、もっとも自社にマッチしていると思われるものを選びましょう。
どんな利用プランがあるか
会計ソフトは、それぞれのソフトによって利用できるプランが異なります。1つのプランしか用意されていない会計ソフトもあれば、複数プランから選んで導入できる会計ソフトもあるでしょう。
それぞれの会計ソフトやプランによって搭載されている機能は異なるだけでなく、サポート体制が異なる場合も少なくありません。自社がどのような機能・サポートを求めているのか整理した上で、各会計ソフトのプランを比較しましょう。
操作性に優れているか
会計ソフトは、日々の会計業務に用いる非常に大切なツール。そのため、操作性に優れているのかどうかは非常に重要なポイントです。
会計ソフトの多くは無料デモや無料トライアルなどで実際に使ってみることができるので、使いやすいかどうかを前もって確認しておくと安心でしょう。
担当者が変更になっても問題ないように、誰にとっても使いやすいようなUIの会計ソフトを選ぶのがおすすめです。
動作環境は何か
会計ソフトを選ぶ際、動作環境は何なのかも前もって確認しておく必要があります。インストール型の会計ソフトを使用したい場合は、Windowsにしか対応しておらずMacでは利用できないということも。「これにしよう!」と決めても動作環境が対応していなかったなんてこともあるかもしれません。
また、クラウド版の会計ソフトを導入する場合でも、利用を検討しているデバイスにどこまで対応しているのかを確認しておくと安心でしょう。
無理なく利用できる料金か
最近ではクラウド版の会計ソフトを導入する企業が増えていますが、その場合は毎月、あるいは毎年利用料金を支払う必要があります。基本的にはユーザー数や機能数が増えれば増えるほど料金も上がっていくため、規模の大きな企業の場合には利用料金が予想以上に高くつくこともあるかもしれません。無理なく利用できる料金のソフトはどれなのか、いくつかの会計ソフトを前もって比較しておきましょう。
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失敗しないためのコツとは?会計ソフトの選び方3つ
最後に、会計ソフトの導入で失敗しないためにおさえておきたい選び方のコツを紹介していきます。
担当者のスキルレベルにマッチしたものを選ぶ
会計ソフトを選ぶ際には、担当者のスキルレベルにマッチしているものを選びましょう。
簿記の資格をもっているなど知識が十分にある場合には問題ありませんが、もしも経理初心者が担当となっている場合、簿記について詳しく知らなくても使いこなせるようなソフトを選ぶ必要があります。無料トライアルなどを活用して、実際に使いこなせるのかどうかを確認してから、本格的な導入へと移りましょう。
サポート面が充実しているか確認する
会計ソフトを選ぶ際には、サポート面が充実しているのかどうか確認し、自分たちが求めているサポートが提供されているものを選びましょう。
メールサポートのみ、電話・メールサポート両方利用可能、遠隔操作によるサポートも可能、操作方法のみならず経理に関する相談にも対応可能など、会計ソフトによって対応しているサポートは大きく異なります。まずはどの程度のサポートを求めているのか整理し、ニーズにマッチした会計ソフトを導入しましょう。
顧問税理士に相談してみるのもおすすめ
顧問契約を行なっている税理士事務所があるという場合には、その税理士事務所で利用されている会計ソフトを導入した方が何かとスムーズという場合も少なくありません。操作方法についてわからない面があれば相談できだけでなく、データ連携もスムーズでしょう。複数を比較してみたのち、どの会計ソフトにするべきか悩んでしまった場合には、顧問税理士に相談してみるのもおすすめです。
まとめ
本記事では、会計ソフトの種類を紹介するとともに、実際に導入する際に比較するポイントや選び方についてもご紹介しました。会計ソフトにはパッケージ型、オンプレミス型、クラウド型があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。特徴を整理した上で、自社に適した形態を見つけましょう。
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