電子帳簿保存法対応の会計ソフトおすすめ7選【2024年最新比較】
電子帳簿保存法とは、請求書や領収書などの取引書類、帳簿や決算書などの資料を紙ではなく電子データとして保存できるようにする法律。これにより税務手続きのペーパーレス化が促進されます。
2024年1月には電子取引データ(データで受け取った請求書や領収書)をそのまま電子データとして保存することが義務化されますが、保存要件が複雑な点に不安を感じる経理担当者も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、電子帳簿保存法に対応した会計ソフト・経費精算ソフトの導入です。本記事では電子帳簿保存法とは何か、法律改正に対応した会計ソフトのメリットや選び方について解説します。
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- 電子帳簿保存法とは
- 電子帳簿保存法対応の会計ソフトを使うメリット
- 会計ソフトの選び方・比較方法
- 【2024年最新】電子帳簿保存法に対応したおすすめ会計ソフト7選
- まとめ:業務効率化にも役立つ電帳法対応ソフトの導入がおすすめ
- よくある質問
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、これまで紙での保存を求められていた帳簿・書類を電子データでも保存可能とする法律です。会計ソフトを用いて帳簿を作成する会社や、請求書をPDFで作成する会社が増えたことで、行政手続きにおいてもペーパーレス化が求められるようになりました。
電子帳簿保存法によって民間企業のペーパーレス化が促進される側面もあり、国内全体で経費精算・会計業務の効率化が期待できます。
取引データ保存は3種類に区分される
取引データの保存形式は、次の3種類に区分されます。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引
①電子帳簿等保存
会計ソフトなどを用いて最初から電子データで作成された帳簿・書類については、電子データのままで保存できます。具体的には、経理担当者が作成した仕訳帳・総勘定元帳、貸借対照表・損益計算書などを紙に出力せずにデータ保存することが可能です。
②スキャナ保存
取引先から紙で受領した請求書や領収書については、スキャナで読み取った画像データで保存できます。その際、文書データの改ざんなどの不正を防ぐため、訂正削除の履歴を確認できること/文書データにタイムスタンプを付与することなどの要件を満たす必要があります。
③電子取引
取引先から電子データで請求書や領収書を受領した場合は、データで保存できます。Amazonや楽天市場などECサイトで発行される領収書も対象で、わざわざ紙に印刷して保管する必要はありません。
2024年1月の電子帳簿保存法の改正点
電子帳簿保存法は2024年1月に一部改正されます。主な改正点は「③電子取引」の保存ルールで、受領した電子データをデータのままで保存することが義務化されます(電子データを紙に印刷して保存することは不可)。
ECサイトで発行される領収書などを紙で保管する必要がないことは多くの企業にとってメリットですが、これまで電子データを紙に印刷してきた企業は、運用方法の見直しが求められます。
「①電子帳簿等保存」「②スキャナ保存」については電子データでの保存は強制されていませんが、会計ソフトなどで一貫して電子化することで紙帳簿の7年間の保存が不要になります。社内のペーパーレス化・業務効率化を促進するためにも帳簿や書類の電子化がおすすめです。
参考文献:電子帳簿等保存制度特設サイト
電子帳簿保存法対応の会計ソフトを使うメリット
電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを使うメリットは下記の3つです。
- 電子帳簿保存法の要件に沿って電子データを保管できる
- 紙の書類保管が不要となる
- 経費精算・会計業務を効率化できる
電子帳簿保存法の要件に沿って電子データを保管できる
電子帳簿保存法によって求められるデータの保存要件は複雑で、自社で対応するのは大変です。電子帳簿保存法に対応した会計ソフトや経費精算ソフトを使うことで、取引先から受領した請求書や領収書を要件に沿った形で保管できます。
なお、電子取引データの保存要件は下記の3点です。
- 訂正削除の履歴を残すなど、改ざん防止の措置をとる
- 日付・金額・取引先名で検索可能な状態とする(※1)
- 税務調査の際に使用できるディスプレイ、プリンターを備え付ける
※1 特例として、売上高が5,000万円以下の個人事業主・法人の場合は検索機能が不要。また売上高5,000万円以上の場合でも、取引日・取引先名ごとに整理された出力書面があれば検索機能は不要です。
参考文献:国税庁『令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要』
紙の書類保管が不要となる
電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを利用することで、7年間にわたる紙の書類保管が不要となる点もメリットです。長年にわたり国税関係書類(仕訳帳、総勘定元帳など)や決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など)を保存すると膨大な量となります。これら文書データを電子化するだけで書類保管に必要なスペースを削減できるでしょう。
経費精算・会計業務を効率化できる
日々の経費精算・会計業務が効率化する点も会計ソフトを利用するメリットです。これまで、日々の入出金データはすべて仕訳帳に記入が必要で、その後、総勘定元帳に勘定科目ごとの取引をまとめる必要がありました。また、決算の時期にはさまざまな決算書類を作成する必要がありました。
銀行口座やクレジットカードと連携して入出金データを自動仕訳できる会計ソフトや、必要な書類を自動出力する会計ソフトを利用することで、経理担当者の業務負荷を軽減することが可能です。
会計ソフトの選び方・比較方法
企業の経理担当者が会計ソフトを選ぶ際に、比較すべきポイントを解説します。
- 銀行口座やクレジットカード明細のデータ連携が可能か
- 決算書や確定申告(e-Tax用)など必要書類の作成が可能か
- JIIMA認証を取得している会計ソフトか
銀行口座やクレジットカード明細のデータ連携が可能か
企業で使っている銀行口座・クレジットカードから自動でデータ連携できる会計ソフトは、企業の経理担当者におすすめ。日々の仕訳がラクになるだけでなく、取引明細を転記する際の入力ミスなどのヒューマンエラーが軽減されます。
決算書や確定申告(e-Tax用)など必要書類の作成が可能か
日々の仕訳データから決算書や確定申告の書類などを自動作成できる会計ソフトは、毎年の書類作成に苦労している経理担当者におすすめ。必要書類を作成する手間・時間が省けるうえ、経営陣もすぐに決算書(損益計算書や貸借対照表)から自社の財務状況を確認できます。
なお、e-Taxで確定申告を行うことで最大65万円の控除・赤字の繰り越しなどの特典を受けられるため、確定申告(e-Tax用)に対応した会計ソフトか、という観点での比較もおすすめです。
JIIMA認証を取得している会計ソフトか
JIIMA認証とは、電子帳簿保存法の法的要件を満たしているソフトウェアに与えられる認証のこと。ソフトウェアを導入する企業が、個別に電子帳簿保存法およびその他の税法に対応しているかチェックする必要なく、優良なソフトウェアを安心して導入できるよう設けられた認証制度です。
電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを選ぶ際には、JIIMA認証の有無を比較することもポイントです。2024年現在の電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧はJIIMA公式サイトで確認ください。
【2024年最新】電子帳簿保存法に対応したおすすめ会計ソフト7選
2024年現在、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを比較し、機能や実績も豊富なおすすめ会計ソフト7選を紹介します。
- マネーフォワードクラウド会計
- freee会計
- 弥生会計オンライン
- 勘定奉行クラウド
- FXクラウドシリーズ
- クラウド会計ソフトMA1
- ジョブカン会計
マネーフォワード クラウド会計
マネーフォワードは経理・会計、勤怠管理、経費精算などのクラウドツールを多数提供しており、バックオフィス全体を業務効率化することが可能。MFクラウド会計は電子帳簿保存法に対応(JIIMA認証取得)し、行政手続きのペーパーレス化・経理作業の省人化に役立ちます。
取引先から受領した電子データ(PDFなど)は、改正電帳法に対応した「マネーフォワード クラウドBox」に自動保存されるため、簡単に法対応できます。また、マネーフォワードが提唱する他のクラウドツールとMFクラウド会計を連携することで、資金を一元管理することも可能です。
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 勘定科目のCSVインポート機能
- AIによる勘定科目の提案機能
- 取引先のCSVインポート機能
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
- 現預金出納帳の作成機能
freee会計
freee会計(フリー)は中小企業やスタートアップ、個人事業主を中心に人気の高い会計ソフト。初心者にもわかりやすいインターフェースが評判で、経理部に配属されたばかりの新人もキャッチアップしやすい点がおすすめです。
freee会計は全プランで電子帳簿保存法に対応。請求書などの取引書類の管理から、帳簿の作成まで会計ソフト上で一貫して管理ができるため、抜け漏れなく電帳法に対応できます。
また、freee会計は「優良な電子帳簿」であり、税務署への申告漏れがあった場合でも過少申告加算税が5%軽減される点でもおすすめです。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 勘定科目のCSVインポート機能
- AIによる勘定科目の提案機能
- 取引先のCSVインポート機能
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
弥生会計オンライン
弥生会計はさまざまな業種や事業形態に合わせて会計ソフト製品を開発しており、登録ユーザー数が280万人を突破した実績のあるサービスです。
2023年現在、弥生会計オンライン(クラウド型)は改正電帳法に対応していませんが、弥生会計(インストール型)・やよいの青色申告(インストール型)はJIIMA認証取得・電子帳簿保存法に対応しています。
なお、いずれの会計ソフト製品もインボイス制度(適格請求書の発行と保存)には順次対応予定です。弥生会計は多種多様な会計ソフトを取り揃えているため、見積もり時に要件に合った会計ソフトを比較検討して選べます。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 勘定科目のCSVインポート機能
- AIによる勘定科目の提案機能
- 取引先のCSVインポート機能
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
勘定奉行クラウドは、株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供する、クラウド型の会計ソフトです。中堅・中小企業を中心に累計56万社の導入実績があります。
勘定奉行クラウドは電子帳簿保存法に対応(JIIMA認証取得)している会計ソフト。PDFなどの電子データにタイムスタンプを付与する機能や、PDFの内容をAIに読み取らせてテキスト化するAI-OCR機能があり、改正電帳法の要件を満たすことができます。
財務諸表やキャッシュフロー表を自動作成して経営状況を可視化できる点も、他社の会計ソフトと比較したおすすめポイント。財務管理を見直したい企業にも勘定奉行クラウドがおすすめです。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- AIによる勘定科目の提案機能
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
- 月次推移表の作成機能
- 決算書の作成機能
- 勘定科目の設定
- 取引先など補助科目の登録機能
FXクラウドシリーズは、株式会社TKCが提供するクラウド型の会計ソフト。これまで中小企業を中心に30万社以上に導入実績があります。
同社が提供する「TKC財務会計システム」は国内で初めてJIIMA認証を取得した会計ソフトで、続いてFXクラウドシリーズの会計ソフトもJIIMA認証を取得しました。優良な電子帳簿として認められているFXクラウドシリーズを利用することで、紙での帳簿保存が不要になるうえ、経理・会計業務の効率もあがります。
またFXクラウドシリーズの会計ソフトは企業全体の業績を可視化する機能もあり、中小企業の業績管理体制の強化に役立ちます。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
- 現預金出納帳の作成機能
- 総勘定元帳の作成機能
- 前期比較表の作成機能
- 月次推移表の作成機能
クラウド会計ソフトMA1
クラウド会計ソフトMA1は、ソリマチ株式会社が提供する会計ソフト。同社のベストセラー商品「会計王」をベースとしたクラウド型の会計ソフトとなっています。
クラウド会計ソフトMA1は電子帳簿保存法に対応済み(JIIMA認証取得)。「会計王」で培ったノウハウとインターフェースはそのままに、さまざまなクラウドツールと連携することで経理業務が効率化します。
財務分析レポートの出力機能もあり、これまでのように専門家に記帳代行を依頼することなく、自社の経営状況を可視化できる点もおすすめです。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- AIによる勘定科目の提案機能
- 取引明細の自動取込機能
- 仕訳帳の作成機能
- 現預金出納帳の作成機能
- 総勘定元帳の作成機能
- 補助元帳の作成機能
ジョブカン会計
ジョブカン会計はインストール型の会計ソフトで、多機能で使いやすい操作が魅力。ほかのジョブカンシリーズ(勤怠管理、ワークフローシステム、経費精算など)と連携が可能なため、バックオフィス業務を効率化したい企業におすすめです。
「ジョブカンDesktop 青色申告」「ジョブカンDesktop 会計」は電子帳簿保存法に対応した会計ソフト。また、「ジョブカンDesktop 経理」などのクラウドツールを合わせて導入すると、インボイス(適格請求書)の作成も可能です。
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 仕訳帳の作成機能
- 現預金出納帳の作成機能
- 補助元帳の作成機能
- 残高試算表の作成機能
- 前期比較表の作成機能
まとめ:業務効率化にも役立つ電帳法対応ソフトの導入がおすすめ
電子帳簿保存法(とくに2024年1月に改正のある電子取引)は個人事業主・法人どちらにも影響があるため、今からしっかり準備を進めおく必要があります。電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの導入することで、法対応できるだけでなく、社内の経理業務効率化・財務状況の可視化に役立つというメリットもありますので、ぜひ検討してみてください。
PRONIアイミツ(当サイト)では、BtoB受発注支援のプロとして、会計ソフト選びの相談を受け付けています。希望要件に合った会計ソフトがわかる診断もありますので、電帳法対応の会計ソフトをお探しの経理担当者や経営者はぜひ一度お試しください。
よくある質問
電子帳簿保存法対応ソフトについて、よくある質問に答えます。
電子帳簿保存法対応ソフトとは?
電子帳簿保存法対応ソフトとは、「電子帳簿保存法」の要件を満たすソフトウェアのこと。そもそも電子帳簿保存法は、請求書や領収書などの取引書類、帳簿や決算書などの資料を紙ではなく電子データとして保存できるようにする法律です。
2024年1月の改正では、取引先から受領した電子データ(PDF版の請求書など)を改ざんできない形・検索できる形で保存することが義務化されるため、改正電帳法に対応したソフトの導入を検討する企業が増えています。
個人事業主・フリーランスにも電子帳簿保存法対応ソフトは必要?
電子帳簿保存法の対象は「すべての法人と個人事業主」とされています。そのため、個人事業主・フリーランスで事業を営む人も電子帳簿保存法の定める要件に従い、データを保存する必要があります。
クラウド会計ソフトなど電子帳簿保存法対応ソフトがあれば、自身で対応するより簡単に法対応が可能なため、個人事業主にも電子帳簿保存法対応ソフトの導入がおすすめです。
会計ソフトの料金相場は?
freeeやMFクラウド会計などクラウド型の会計ソフトは月額課金制(サブスクリプションモデル)が多く、月額料金の相場は1,000円~6,000円。必要最低限の機能を使えるシンプルなプランは安い一方で、財務分析など高度な機能を持つ会計ソフトの月額料金は高い傾向にあります。
ジョブカン会計や弥生会計のインストール型会計ソフトについては、価格の相場が3万円~7万円です。こちらも機能が多いかどうかにより価格が大きく変わります。電子帳簿保存法対応など必要な要件で絞って、会計ソフトを比較するのがおすすめです。
紙のレシート・領収書はどのように処理する?
紙のレシート・領収書は紙のまま保管する方法も、スキャンしてデータ保管する方法も認められています。データ保管する場合は原本であるレシート・領収書を処分して問題ありません。
ただし、データ保管する場合は電子帳簿保存法に定めるスキャナ保存要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法対応の会計ソフトを導入すれば簡単に法的要件を満たしてレシートなど紙の書類を保存できるためおすすめです。
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