勤怠管理システム導入の失敗例から学ぶ!選び方のコツを解説
勤怠管理は直接企業の収益には関係しないバックオフィス業務ですが、環境改善を行わなければ、コア業務の効率低下につながったり、従業員の定着率に悪影響を及ぼしたりすることもあります。場合によっては法令違反に問われ、行政から指導が入ってしまうこともあるでしょう。そのため、勤怠管理の業務改善は重要視すべき取り組みですが、とにかくテコ入れをすれば状況が好転するというわけではない点にも注意が必要です。
自社の課題にあったシステム導入ができなければ、かえって既存の業務に悪影響を与えたり、コストに見合った結果を得られなかったりという場合もあるでしょう。今回は勤怠管理システムの導入時に見られる失敗パターンから、最適なシステムの選び方について、ご紹介していきます。
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムは、その名の通り、勤怠管理業務を効率化するためのサービスを指します。勤怠管理の方法は近年多様化しており、従来のようにタイムカードを使って打刻を行うサービスや、ICカードや生体認証を使って打刻できるものもあります。また、オフィスでの打刻に最適化されたオンプレミス型、ネット経由でどこからでも打刻ができるクラウド型といった違いも登場し、管理方法も場合に応じた採用ができるようになりました。
そもそも勤怠とは?
勤怠業務とは、会社が従業員の就業状況を適切に把握するために行う業務です。月の稼働日数や始業・就業時間等を把握して、日々の働きぶりを管理したり、給与計算の際の参考にしたりします。有給の取得状況、あるいは残業時間、休日出勤の回数なども併せて記録することで、法令に基づいた就業ができているかどうかを知ることも可能です。法令の範囲内で働いてもらうことにより、健全な組織作りを実現します。
勤怠管理システムは必要?
勤怠管理は、従業員が数人という小規模な組織の場合、紙の出勤簿などでチェックしているということも珍しくありません。オーナーが従業員のあらゆる活動に目を配れるのであれば問題はありませんが、従業員の数が増えてくると、こういった管理も難しくなります。また、近年は働き方改革が行政主導で進められていることもあり、法令の範囲内で就業することの強制力が強まっています。システムを使って客観的な就業記録をおこなう体制を整備することで、時代に合った働き方を実践することができます。
勤怠管理の主な種類
つづいて、勤怠管理の主な方法についてご紹介します。勤怠管理は、主にタイムレコーダー型、オンプレミス型、クラウド型の三種類に分かれます。それぞれのシステムによってできること、得意なことは変わってくるため、自社の課題に合わせて最適なモデルの導入が必要です。これまでいずれかの勤怠管理システムを実装してきた場合、別の種類のメリットに注目することで、新しい解決策が見つかるかもしれません。
タイムレコーダー型
タイムレコーダー型は、タイムレコーダーを使って従業員の始業・就業時間を管理できる一般的な勤怠管理システムです。店舗やオフィスに設置し、タイムカードを通したり、ICカードをかざすことで打刻が行えるため、シンプルで使いやすいのが特徴です。すでに導入している企業も多いタイムレコーダーですが、タイムレコーダーが設置されている場所にいかなければ打刻ができないという課題もあります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、会社のコンピュータやサーバーにソフトをインストールし、PC上から利用ができるタイプの勤怠管理システムです。サーバーの運用費用やソフトを購入する費用が初期費用として発生しますが、社員の勤怠データをまとめて自社サーバーに保管し、自動で記録してもらうことができるため、非常に便利なサービスです。集計作業もデータベースを参考に実施するだけで良いため、運用難易度は低く、誰でも利用しやすいのが強みです。
クラウド型
クラウド型は、近年多くの企業が採用している勤怠管理システムの一種です。基本的なサービスはオンプレミス型に近いですが、最大の特徴はインターネット経由で利用ができる点です。会社のサーバーやPCに依存することがないので、オフィスからの利用はもちろん、外出先や自宅からでも利用ができる強みを持っています。そのため、多様な働き方を推進したい、直行直帰のワークスタイルに適したサービスを探している、という方には最適な選択肢と言えるでしょう。
勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムは上記の3つに分けられるだけでなく、そこからさらに多様なサービスがラインナップとして登場しています。ここでは、どんな勤怠管理システムを、どのように選べば良いのかについてご紹介します。重要なのは、どれくらいの期間システムを利用するのか、最新の法制度にキャッチアップできているか、どんな形式で導入を進めるのか、サポート体制は必要なのかという4つのポイントです。
長く安心して利用できる
1つ目のポイントは、できるだけ長く安心して利用ができるサービスを選ぶことです。勤怠管理システムを使うことで、ユーザーは単に業務効率化を進められるだけでなく、勤怠情報を長期にわたって蓄積し、データ活用を進められる機会を得られます。長く安心して利用できるサービスであれば、その点も安心と言えるでしょう。
法令遵守に対応しているか
2つ目のポイントは、法令遵守に対応しているかどうかです。勤怠管理システムを導入する場合、見逃せないのが法制度のアップデート機能が備わっているかどうかです。自動で最新の法令へとアップデートしてくれる機能が搭載されていれば、担当者が自ら毎年の制度を確認し、設定を変更する必要もなくなります。担当者の負担軽減を推進したい場合、こういった微妙な変化にも対応できるサービスを選ぶことが重要です。
クラウド型かパッケージ型か自社開発型か
3つ目は、クラウド型・パッケージ型・自社開発型のどの導入形態を採用するかという点です。クラウド型の場合、初期費用を安く抑えられるだけでなく、サービスの頻繁なアップデートもあり安心でしょう。しかし月々のライセンス料金が発生します。パッケージ型の場合は、ソフトをインストールするだけで使えるようになるものの、ソフトを人数分用意する必要があるので、初期費用がかかります。自社開発となると、オーダーメイドで自社に最適化されたシステムを利用できますが、初期費用やサーバーの維持管理費用が大きくなります。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、自社にとって最善の導入形態を選択する必要があります。
サポート体制がしっかりしているか
4つ目のポイントは、サポート体制です。初めての勤怠管理システム導入という場合、そのシステムをどのように使えばいいのかわからないという事態に陥り、業務遂行がままならなくなってしまうケースもあります。そんな時に活躍するのがサポートセンターで、わからないことやトラブル発生の際、迅速に対処してもらえます。企業によっては、導入初期の段階で運用に向けた研修を実施したりしてもらうことも可能です。
勤怠管理システム導入の失敗例
勤怠管理システムの活用ポイントは複数あるだけに、実際に運用してみるとうまく自社にフィットしないと感じることもあるかと思います。ここでは勤怠管理システム導入の失敗例をご紹介し、どのようなシチュエーションで失敗に陥ってしまったのか、見ておきましょう。主な要因としては、やはり社内の状況を正しく掴めていなかったことに起因するトラブルが多く見受けられます。
自社の従業員数や必要な機能が揃っていなかった
勤怠管理システムの規模が自社に合わなかったというケースです。いくら利便性の高いシステムを導入したとしても、従業員数が数人の会社に数百人の会社向けのシステムを実装すると、持て余してしまって導入コストを回収できるほどのパフォーマンスが期待できません。逆にコスト削減を意識しすぎて、必要だったはずの機能やユーザー数の要件を満たせず、業務効率が低下してしまうのも問題です。
本番を見据えてトライアルを利用しなかった
トライアルを利用しなかったことで、勤怠管理システムと自社の相性の悪さが露呈してしまったという失敗例もあります。多くの勤怠管理システムは、導入前に自社にフィットするかどうかを確認するため、トライアル期間を設けています。実装の際にはこの期間を利用して相性を見極めるべきですが、せっかくの機会を有効活用しないと後で意図しないトラブルに巻き込まれることもあります。
他のシステムと連携ができなかった
もう一つ見逃せないのが、他のシステムとの連携がうまくいかず、データ活用ができないという問題です。勤怠管理システムは単体での運用だけでなく、給与計算システムや人事向けシステムとの連携によって、より効果的に運用ができるサービスです。既存システムとの互換性を確認しておかなければ、思っていたようなデータ連携ができず、非効率な運用にとどまってしまう場合もあるでしょう。
勤怠管理システム導入で失敗しないためのポイント
上記のような勤怠管理システム導入に伴う失敗をおかさないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。勤怠管理システムは大は小を兼ねる、小は大を兼ねるということはないため、ジャストフィットのサービスを選ぶことが重要と言えます。
事前に無料トライアルを活用する
無料トライアルは積極的に活用するようにしましょう。期間は数週間から数ヵ月とサービスによって幅はありますが、いずれのシステムにも無料トライアルの期間が設けられています。この期間を利用して実際にサービスを利用し、どれくらいのパフォーマンスを発揮してくれるのかを見極めましょう。無料トライアル期間中であれば、余計な費用が発生することはなく、ベンダーから使い方の講習を受けたりすることも可能です。
自社の就業形態・規模感に合っているものを選ぶ
自社の規模に合ったサービスの導入も重要な要素です。勤怠管理システムには個人事業主や中小規模に適したスモールビジネス向けのサービス、そして大企業向けの大規模なサービスの二種類に分けることができます。小規模なシステムの場合、必要最低限の機能を最適な価格で提供してもらえる一方、大規模システムは細かいカスタマイズや多機能性に優れる代わりに、導入費用が高い傾向にあります。自社の規模を把握して、最適なシステムを導入しましょう。
連携したいシステムを確認する
勤怠管理システムを導入する場合、自社の基幹システムや関連システムにも目を通しておきましょう。あらかじめ互換性のあるシステムを把握しておかないと、導入後に連携ができないことに気づき、仕様変更を求められる場合もあります。連携したいシステムがある場合には、勤怠管理システムと合わせてシステムのリニューアルを行うか、既存システムに合わせる形で勤怠管理ソフトを選ぶようにしましょう。打ち合わせの際、自社のシステム部門担当者に同席してもらうのも良い方法です。
従業員が使いやすい打刻方法・システムを選ぶ
勤怠管理システムを実際に運用するのは、現場の勤怠管理担当者です。そのため、導入の際にはまず担当者との打ち合わせも行い、どんな課題があるか、現在の勤怠管理プロセスはどんな手順かなどを聞きながら選定を進めましょう。従来の方法からあまりにも業務プロセスが変わってしまうと、導入後の業務効率に支障をきたす恐れもあります。余計なトラブルの回避に努めましょう。
コストに見合っているものを選ぶ
勤怠管理システムを実際に選ぶとなると、豊富なラインナップから1つのサービスを選ばなければなりません。その際、重要な指標となるのが価格で、どれくらいの予算を勤怠管理業務に割くことができるのかという点も考慮したいところです。最近では、無料で利用できるサービスやクラウド型のサービスが初期費用を抑えられるということで人気を博しています。予算を抑えての運用を検討している場合、これらのサービスを選びましょう。
まとめ
今回は、勤怠管理システムの導入時に発生しやすい失敗例や、それらを回避するための導入ポイントについてご紹介しました。勤怠管理業務は重要性の高い業務であり、担当者の負担も大きくなりがちです。近年は多様なニーズに即したさまざまなサービスが登場しているため、自社に最適なソリューションを導入し、問題解決とトラブルの回避に努めましょう。特にクラウド型のサービスはコストパフォーマンスと機能性に優れ、多くの企業から好評を得ています。
2024年最新のおすすめソフトウェアについては、「勤怠管理システムを徹底比較」の記事で解説しています。勤怠管理システムの導入を検討中の方は、ぜひ合わせてご覧ください。
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