【電子帳簿保存法対応】紙・PDFの請求書の保管におすすめのシステム6選
2024年1月の電子帳簿保存法の改正では、PDFなど電子データで受け取った請求書を法的要件を満たした形で保存することが求められます。もちろん社内運用規定を見直したり、自社システムを改修したりといった対応も可能ですが、1つひとつの要件を確認した上で対応する必要があり、手間がかかる点が課題です。
そこで、おすすめなのが電子帳簿保存法に対応したシステムの導入です。本記事では、紙・PDFの請求書の保管方法について解説した上で、簡単に法対応できるおすすめシステム6選を解説します。本記事を読めば、経理担当者が今すべき対応が分かります。
- 電子帳簿保存法とは
- 電子帳簿保存法に則った請求書保管方法
- 電帳法に対応した請求書保管システムの選び方
- 【2024年最新】請求書保存機能もある経費精算システムおすすめ6選
- まとめ:電子帳簿保存法に対応した経費精算システムで業務効率化!
- よくある質問
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、これまで紙での保存を求められていた請求書や帳簿を電子データでも保存可能とする法律です。請求書をPDFで作成する会社や、会計ソフトを用いて帳簿を作成する会社が増えたことで、行政手続きにおいてもペーパーレス化が求められるようになりました。
電子帳簿保存法によって民間企業・行政手続きのペーパーレス化が促進され、国内全体での業務改善効果が期待できます。
取引データ保存は3種類に区分される
取引データの保存形式は、次の3種類に区分されます。なかでも請求書の保管に関係するのは「2.スキャナ保存」と「3.電子取引」です。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引
①電子帳簿等保存
会計ソフトなどを用いて最初から電子データで作成された帳簿・書類については、電子データのままで保存できます。具体的には、経理担当者が作成した仕訳帳・総勘定元帳、貸借対照表・損益計算書などを紙に出力せずに、会計ソフトなどでデータ保存することが可能です。→電子帳簿保存法対応の会計ソフトについてはこちらで解説
②スキャナ保存
紙で受領した請求書や領収書については、スキャナで読み取った画像データとして保存できます。その際、文書データの改ざんなどの不正を防ぐため、訂正削除の履歴を確認できること/文書データにタイムスタンプを付与することなどの要件を満たす必要があります。
③電子取引
PDFなどの電子データで請求書や領収書を受領した場合は、電子データとして保存できます。Amazonや楽天市場などECサイトで発行される領収書も対象で、わざわざ紙に印刷して保管する必要はありません。
2024年1月の電子帳簿保存法の改正点
電子帳簿保存法は2024年1月に一部改正されます。主な改正点は「3.電子取引」の保存ルールで、PDFなど電子データで受領した請求書をデータのままで保存することが義務化されます(電子データを紙に印刷して保存することは不可)。
ECサイトで発行される領収書などを紙で保管する必要がないことは多くの企業にとってメリットですが、これまで電子データを紙に印刷してきた企業は、運用方法の見直しが求められます。
電子帳簿保存法に則った請求書保管方法
では、実際にどのような方法で請求書を保管したらよいのでしょうか。「紙の請求書」「PDFの請求書」の2つのパターンで、電子帳簿保存法に則った保管方法を解説します。
紙でもらった請求書の保管方法
紙でもらった請求書は紙のままで保管することも可能ですし、スキャナで読み取った画像データで保存することも可能です。請求書をスキャナで読み取って電子化することで、原本の7年間の保管が不要になるというメリットがあり、原本保管の手間をなくしたい場合にはOCR機能(領収書の読み取り機能)があるシステム導入がおすすめです。
PDFなどの電子データでもらった請求書の保管方法
PDFなどの電子データ形式で請求書をもらった場合、電子データのままで保存することが義務化されます(電子データを紙に印刷して保存することは不可)。その際、ただそのまま保存すればよいわけではなく、電子帳簿保存法に則った方法での保存が必要です。
電子請求書の保存要件は下記の3点です。
- 改ざん防止措置として、タイムスタンプなどで訂正削除の履歴を残す
- 日付・金額・取引先名で検索可能な状態とする(※1)
- 税務調査の際に使用できるディスプレイ、プリンターを備え付ける
※1 特例として、売上高が5,000万円以下の個人事業主・法人の場合は検索機能が不要。また売上高5,000万円以上の場合でも、取引日・取引先名ごとに整理された出力書面があれば検索機能は不要です。
参考文献:国税庁『令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要』
電帳法に対応した請求書保管システムの選び方
電帳法に対応した請求書保管システムは、法的要件を満たした運用を行えるだけでなく、ワークフロー・経費精算・会計などの社内業務システムと連携することで全社の業務効率化を図れる点でもおすすめです。
実際にシステムを選ぶ際には、下記のポイントを確認しましょう。
- 請求書保管だけでなく経費精算まで対応したシステムを選ぶ
- 会計ソフトへの仕訳データ連携ができるシステムを選ぶ
- インボイス制度にも対応したシステムを選ぶ
①請求書保管だけでなく経費精算まで対応したシステムを選ぶ
取引先から請求書を受領した後には、社内の経費精算・支払い対応が必要です。また、社員が会食代などを立替払いした場合は、領収書・レシートをもとに経費精算を行う必要があります。請求書保管機能だけでなく経費精算まで対応したシステムがあれば、社内の経費精算をスムーズに行うことができます。
請求書保管から経費精算まで一括で行える「経費精算システム」は多数あり、比較して自社に最適な1社を選ぶのがおすすめです。
②会計ソフトへの仕訳データ連携ができるシステムを選ぶ
経理担当者は、承認された経費1件1件を会計ソフトに仕訳する作業を行う必要があり、転記作業に膨大な手間がかかっています。そこで、おすすめなのが会計ソフトへの仕訳データ連携ができる経費精算システム。
経費精算システムと会計ソフトをAPI連携し、仕訳データを自動作成することが可能です。もしくは、会計ソフトの様式に合わせてCSVデータを作成してインポートすることにより、仕訳データの自動入力を実現することもできます。
③インボイス制度にも対応したシステムを選ぶ
請求書のやりとりを行う際は、電子帳簿保存法だけでなくインボイス制度への対応も必要となります。インボイス制度とは2023年10月からスタートした、消費税の納税額を正しく計算するための新制度です。インボイス制度開始後は、企業が仕入税額控除をする条件として「適格請求書発行事業者が発行する適格請求書を受領すること」が求められ、適格請求書を貰えないと仕入税額控除が受けられない(余分な消費税を納める)状態となってしまいます。
インボイス制度対応の経費精算システムなら、下記のような対応が可能です。
- 取引先の適格請求書の内容が正しいかを、適格証明書に記載されている登録番号を国税庁のサイトと自動照合して判定
- 取引ごとの仕入税額控除を自動計算し、会計帳簿に反映
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで、個別の対応不要で、簡単に法対応が完了するためおすすめです。インボイス制度対応については別記事「インボイス制度で経費精算はどう変わった?」で詳しく解説しています。
【2024年最新】請求書保存機能もある経費精算システムおすすめ6選
「電子帳簿保存法に則った方法で請求書を保存したい」という経理担当者に向けて、請求書保存機能も搭載したおすすめの経費精算システムを紹介します。2024年最新比較でおすすめの経費精算システム6選は下記の通りです。
- 楽楽精算
- マネーフォワードクラウド経費
- ジョブカン経費精算
- ジンジャー経費
- HRMOS経費
- freee支出管理_経費精算Plus
楽楽精算は株式会社ラクスが提供する、国内累計導入社数No.1(※)の経費精算システム。大手税理士法人監修のもと、法的要件の更新にあわせてシステムアップデートが行われるため、「電子帳簿保存法・インボイス制度の要件を満たして請求書を保管したい」という企業におすすめです。
楽楽精算では、経費申請の項目・レイアウト・承認フローを自由にカスタマイズでき、自社の運用フローをそのまま再現することもできます。経理担当者や従業員の負担を最小限に抑えてシステム導入できるためおすすめです。
また、国内の32以上の会計ソフトとの連携実績があり、「弥生会計」や「勘定奉行クラウド」など主要な会計ソフトについてはCSVテンプレートも用意されているので設定の手間が不要です。
(※:
デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より)
- 電子帳簿保存法への対応
- FBデータ自動作成・出力機能
- 請求書・領収書・レシートのOCR機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 外貨入力の対応
- キャッシュレス立替・送金機能
- 定期区間自動控除機能
- 出張費用精算をする際、交通機関も調べることができて、楽々精算のみで完結可能。色々と調べる必要がない点が魅力的なところだと思います。
- Suicaなどと連携できて出張精算なども簡単に操作できるので使いやすい。カード会社とも連携できて、領収書さえあれば簡単に精算できるところです。
マネーフォワードクラウド経費(MFクラウド経費)は、株式会社マネーフォワードクラウドが提供する経費精算システムです。電子帳簿保存法に対応(JIIMA認証取得)しており、請求書にタイムスタンプを付与して安全に保管できます。
経費精算はスマホ上からでも申請でき、上長や経理担当者の承認までクラウド上で完結。また、会計ソフトとの連携・振込APIによる従業員への支払いなど、便利な機能が搭載されています。経費精算のペーパーレス化が実現したいなら、MFクラウド経費がおすすめです。
- 電子帳簿保存法への対応
- FBデータ自動作成・出力機能
- 請求書・領収書・レシートのOCR機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 外貨入力の対応
- キャッシュレス立替・送金機能
- 領収書・レシートのオペレーター代理入力機能
- 詳細な説明書などを参照しなくても十分使いこなせます。一般的にとても使いやすいと評価できるソフトだといえます。
- 使い方がシンプルで分かりやすいので、利用者を選ばないことです。手軽に利用できるので、使い勝手が良いです。
ジョブカン経費精算は、株式会社DONUTSが提供する経費精算システム。電子帳簿保存法に対応しており、クラウド上で安全に請求書を保存できます。検索機能により過去の申請の確認もスムーズです。
ジョブカンでは、経費精算以外にも会計ソフト・給与計算ソフト・勤怠管理ソフトなどを提供しており、シリーズ累計の導入実績は20万社以上。それぞれのクラウドソフトを連携して利用することで、バックオフィス全体の業務効率化を実現できます。
また、ジョブカン経費精算はインボイス制度にも対応しており、取引ごとの仕入税額控除額の計算や、取引先の適格請求書の内容が正しいかの確認も自動化できます。経理現場の生産性向上を目指す企業には、ジョブカン経費精算がおすすめです。
- 電子帳簿保存法への対応
- FBデータ自動作成・出力機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 定期区間自動控除機能
- 申請へのファイル添付機能
- 経費の入力・申請機能
- 代理申請機能
- 以前までは手書きで入力していたので、システムを使うことでミスが減り、時間も短縮されかなり助かっています。
- マニュアルが無くても視覚的に使えるUIで、ほぼ全員が簡単に使いこなせています。経路検索や領収書の無い切符の金額なども簡単に調べることができます。
ジンジャー経費
ジンジャー経費はjinjer株式会社が提供する経費精算システムです。電子帳簿保存法に対応しており、これまで保存が必要だった領収書やレシートの原本保存が不要。さらに、領収書の自動読み取り機能(OCR機能)があり、経費精算時の入力作業を大幅に削減できる点もおすすめです。
ジンジャー経費は会計ソフトとの連携機能も充実。「MFクラウド会計・freee会計・弥生会計・勘定奉行i・PCA会計については、出力フォーマットを使って簡単に仕訳データを作成できます。そのほかの会計ソフトに関しても、出力フォーマットをカスタマイズすることで連携可能です。
- 電子帳簿保存法への対応
- FBデータ自動作成・出力機能
- 請求書・領収書・レシートのOCR機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 外貨入力の対応
- 定期区間自動控除機能
- 日当・宿泊手当の自動計算機能
HRMOS経費(ハーモス経費)は、イージーソフト株式会社が提供する経費精算システム。経理業務に20年以上向き合い続けてきた同社の専任担当が、システム導入から運用まで手厚くサポートしてくれるため、初めて経費精算システムを導入する企業も安心です。
HRMOS経費は電子帳簿保存法・インボイス制度の両方に対応。将来の法改正も見据え、柔軟性の高い経費精算システムとなっています。また、60種類以上の会計ソフトとのデータ連携実績があり、細かな仕訳ルール設定が可能。経費の仕訳まで自動化したい企業にもHRMOS経費はおすすすめの経費精算システムです。
- 電子帳簿保存法への対応
- FBデータ自動作成・出力機能
- 請求書・領収書・レシートのOCR機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 外貨入力の対応
- キャッシュレス立替・送金機能
- 定期区間自動控除機能
- 長くこのシステムを使用しています。他のシステムを利用したことが無いので比較はできませんが、ekeihiは簡単に入力が出来る点で使い易いです。
- 良い点は直感的に触ることができて、特に説明マニュアルを見なくても操作可能な点。 悪い点は一項目ごと入力しなくてはいけないので手間がかかる。
「freee支出管理_経費精算Plus」は、会計ソフトで有名なfreee株式会社が提供する経費精算システム。分かりやすいユーザーインターフェース(UI)で、経費精算の知識が少ない担当者も簡単に対応できる点がおすすめです。部門別に経費データを確認するためのタグ機能もあり、部門別管理にも向いています。
改正電帳法に対応し、領収書・請求書などの書類の管理をラクにしてくれる点もメリット。経費申請を行う従業員も、経費処理を行う担当者も使いやすいシステムをお探しなら、「freee支出管理_経費精算Plus」がおすすめです。
会計ソフト連携については、自社のfreee会計にデータ連携できることはもちろん、CSV連携機能によって他社の会計ソフトにも連携できます。
- FBデータ自動作成・出力機能
- 請求書・領収書・レシートのOCR機能
- 仕訳データ自動作成・出力機能
- 承認ルートの分岐機能
- ICカード利用履歴の取込み
- 経路検索・交通費計算機能
- 外貨入力の対応
- キャッシュレス立替・送金機能
- 領収書・レシートのオペレーター代理入力機能
- 定期区間自動控除機能
- 初心者にも使いやすく、画面も見やすいので仕事が凄く捗りました。コストパフォーマンスが最高に良いです。
- 利用手順が初めてでもスムーズに使えることです。入力項目や編集操作が簡便なことも気にいった点です。昔は経費精算に手間、時間がかかりましたが今はストレスフリーです。
まとめ:電子帳簿保存法に対応した経費精算システムで業務効率化!
2024年1月に改正される電子帳簿保存法、および2023年10月に開始したインボイス制度に対応するため、社内の整備を進めている企業は増えています。法改正が直前に迫った今、個別にシステム対応や社内運用フロー変更などを行うのは大変です。
そこで、最新の法令に対応し、今後の法改正にも順次対応できる経費精算システムの導入がおすすめ。必要な機能や予算にあわせて、複数社の見積りを行い、最適な1社を選定しましょう。
PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツールの受発注支援のプロとして、経費精算システム選びについて相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで、希望要件に合った経費精算システムが分かる診断も用意していますので、ぜひ一度お試しください。
よくある質問
電子帳簿保存法に関して、よくある質問に答えます。
電子帳簿保存法は2024年1月にどう変わる?
2024年1月の電子帳簿保存法改正では、PDFなど電子データで受領した請求書をデータのままで保存することが義務化されます(電子データを紙に印刷して保存することは不可)。また、保存の際にはタイムスタンプ付与などよって改ざん防止措置を取ること・過去の請求書を検索できる機能を付けることなどが求められます。そのため、要件を満たして電子請求書を保管できるシステム導入がおすすめです。
領収書やレシートを含めた請求書はどのように保管したらいい?
紙の領収書やレシートは、紙のままで保管することも可能ですし、スキャナで読み取った画像データで保存することも可能です。請求書をスキャナで読み取って電子化することで、原本の7年間の保管が不要になるというメリットがあり、原本保管の手間をなくしたい場合には電子データ保存がおすすめです。一方、ECサイトで発行された電子請求書・領収書については、電子データのままで保管する必要があり、紙での保管は不可となります。
領収書・レシートをスマホ撮影で簡単に取り込めるアプリがあれば、手間なく電子保存が叶います。下記の記事では領収書管理・電子保存におすすめのアプリを紹介していますので併せてご覧ください。
請求書保管におすすめのシステムはどれ?
電子帳簿保存法に対応し、タイムスタンプを付与して書類保管できるシステムは多数ありますが、おすすめなのは経費精算まで対応したシステムです。「楽楽明細」や「マネーフォワードクラウド経費」をはじめとする経費精算システムには、請求書保管機能はもちろんのこと、経費申請・承認機能や、仕訳データの会計ソフト連携機能などもあります。一連の経費処理を1つのシステムで完結したいなら、経費精算システムの導入がおすすめです。
プロが代わりに探して紹介します!