経費精算システムの導入事例を紹介!実際に工数削減できた企業は?
経費精算システムの検討にあたり、「実際にどれだけ工数削減できるのか?」「具体的な効果を知りたい」と考えいてる方は多いのではないでしょうか。
経費精算システムには、業務を自動化するためのさまざまな機能が搭載されています。しかし、はじめて利用する立場から見れば機能説明だけではわかりづらいもの。実際の導入イメージを知るには、導入事例を参考にするのがおすすめです。
そこで本記事では、経費精算システムを検討している企業に向け、3つの観点から具体的な導入事例を紹介します。経費精算システム導入によるメリットやデメリット、失敗しない選び方を解説しているので、経費精算の工数削減を考える中小企業の経理担当者はぜひ参考にしてください。
SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼
株式会社TECO Designにて800社へのツール導入支援を行い、中小企業のDX化をサポートしている。以前は大手の社会保険労務士事務所にて、給与 …続きを見る
株式会社TECO Designにて800社へのツール導入支援を行い、中小企業のDX化をサポートしている。以前は大手の社会保険労務士事務所にて、給与計算業務などに従事し、顧問先担当企業のIPO、M&Aも経験。同時にIT推進室室長として、社内のマニュアル整備、IT推進などに注力した。 株式会社TECO Design 代表取締役社長
※監修者はSaaSの「選び方」についてのみ監修をおこなっており、掲載している企業・サービスは監修者が選定したものではありません。掲載企業・サービスの調査・情報収集・選定はPRONIアイミツ編集部が独自に行っております。
- 経費精算システムの導入事例
- 経費精算システム導入のメリット
- 経費精算システム導入のデメリット
- 経費精算システムの失敗しない選び方
- まとめ:導入事例を参考に、自社の課題を解決できる経費精算システムを選ぼう
経費精算システムの導入事例
経費精算システムは、経費精算における一連の流れを効率化できるツールです。これまでの紙やExcelによる運用が電子化され、申請・承認・会計処理までをシステム上で行えます。スマホアプリによる領収書の自動読み取りや各種カード明細の連携、会計ソフト連携といったあらゆる処理を自動化できる機能が具わっており、経費精算にかかる負担を大幅に削減できます。
実際に経費精算システムを導入した会社でどのような変化があったのか、以下、具体的な導入事例を3つ紹介します。
経費精算システム導入で工数削減した事例
総合不動産管理・運営を営むこの企業では、経費精算の業務自体はシステム化されていましたが、領収書などの添付では紙が用いられていました。加えて、経費精算にかかわるルールが細かく、ルールチェックを行う経理担当者の負担が課題になっていたそうです。
その状況の中で、運用を見直すきっかけとなったのが現場サイドからの発言。「スマホアプリが使えて乗換案内機能が便利」という声もあり、経費精算システムの導入に踏み切りました。
導入後は、規定違反チェック機能によって経費精算のチェック時間を大幅に削減。40件ほどの社内ルールを設定し、申請ブロックによる精査で経理担当者の負担がかなり軽減できたということです。
また、営業からも経費精算にスマホアプリが使えることで「経費精算の効率が上がった」と好評の声が。以前は交通費の額を一から自分で調べて入力していたのが、自動で料金が反映されるようになったのも喜ばれているとのことです。
さらに、領収書のデータ確認が可能になったことで、原本の回付ルールを撤廃。原本がすぐに経理に届くようになり、経理担当者の残業時間も削減されました。
運用を変えずにシステム化できた事例
卸売業を営むこの企業では、2つのツールで作成した申請書を基幹システムへ連携し、印刷した紙の申請書を回付するといった精算業務を行っていました。申請内容によって入力方法・フローが煩雑で、進捗状況が分かりづらく処理期日を過ぎることも多かったそうです。
その状況の中で、ツールのサポート切れがきっかけとなり経費精算システムの導入を検討することに。選定のポイントは、設定の自由度が高く、現状の運用を大きく変更することなく移行できることでした。
導入後は、1つのシステムで全ての申請ができるようになり、課題であった入力方法・フローの煩雑さを解消。入力フォーマットの作成機能や自動チェック機能を活用し、今までの運用を変えずに効率化が実現できたということです。また、外出先でも領収書をスマホで撮影するだけで申請できるようになり、上長の手元に原本がなくても承認が可能になりました。
さらに、申請の通知がメールによって届くようになり、経理担当者も漏れなく精算処理が可能に。その結果、申請から振込処理の完了までの時間が大幅に短縮され、削減された時間で本来の業務に集中できるようになったそうです。
電子帳簿保存法対応でペーパーレス化に成功した事例
老人ホームを複数経営するこの企業では、当初、紙を用いた経費精算が行われていました。経費の発生と処理の場所が離れていることで、書類を紛失するなどの問題が生じていたそうです。同時に、経費精算を効率化するために紙を電子化に置き換えたいという思いがありました。
その状況の中で、経費精算システムを導入するきっかけとなったのがイベントでのデモ見学。申請する社員にとってわかりやすいことが決め手となり、導入に踏み切ったということです。
導入後は、紙書類を紛失してもスピーディな対処が可能になりました。万が一伝票及び納品書等が紛失しても、申請の履歴によって状況を把握し、すぐに提出の有無を確認できるようになったそうです。加えて、振込用データ(全銀データ)の自動作成もできるようになり、経理の手打ちによるケアレスミス防止に大きな効果がありました。
さらに、数か月後には、理事長自らの推進により電子帳簿保存法への対応を開始。経費申請の電子化が社内に定着していたこともあり、スムーズにペーパーレス化に移行できました。履歴が明確化されることで監査法人から指摘を受けることもなくなり、社内でも大変好評とのことです。
以上、経費精算システムの導入事例を紹介しました。PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、経費精算システム選びの相談を承っています。いくつかの質問に答えるだけで自社におすすめのツールがわかる診断(無料)も用意していますのでぜひご活用ください。
経費精算システム導入のメリット
現在、紙やエクセルで経費精算業務を行っている企業が経費精算システムを導入すると、業務効率化をはじめとした数多くのメリットがあります。以下、具体的なメリットを確認しましょう。
- 経費の申請・承認業務を効率化できる
- 振込データを自動作成できる
- 複数拠点のデータも統合できる
経費の申請・承認業務を効率化できる
経費精算システムを導入する最大のメリットは、申請・承認業務の効率化です。スマホアプリを使うことで、場所を問わず簡単に精算業務を行えます。たとえば、経費の申請では、OCR機能によってカメラ撮影した領収書の自動読み取りが可能。文字情報として読み取られた日付や取引先、金額が画面に反映され、そのまま申請書として利用できます。加えて、交通系ICカード連携やクレジットカード連携なども活用すれば、ほとんど手入力することなく申請が可能です。
また、承認側でも、スマホアプリに通知が届き即座に処理が行えます。紙を用いた申請ではハンコを押す手間が必要ですが、スマホアプリを使えばボタン一つで承認、否認、差し戻しの選択が可能。処理状況も一覧で把握できるため、全ての経費精算を漏れなくスピーディに行えます。
SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼のコメント
しかしシステムを連携することで、経費精算システム上のデータを会計ソフトに反映できるので、入力時間やミスの削減が叶います。
なお、以下の記事では領収書管理・電子保存に便利な経費精算アプリをご紹介しています。経費精算アプリの導入を検討されている方はぜひご覧ください。
振込データを自動作成できる
経費精算システムでは、振込データ(FBデータ)の自動作成によって経理業務の効率化が可能です。経費精算の振込では、経理担当者が銀行に行って処理をするか、Excelで振込データを作成するのが一般的な方法です。どちらも振込先や金額の確認に時間がかかりミスも発生しやすくなります。
しかし、経費精算システムを使えば、承認された情報を元にFBデータの自動作成が可能です。振込件数が多い場合でも、ボタン一つで正しい振込データが作成されるため、スピーディに支払い業務が完了できます。
また、経費精算システムでは、会計ソフトへのデータ連携も可能です。あらかじめ申請の種類毎に勘定科目や税区分を紐づけすれば、ルールに沿った自動仕訳が行えます。手作業による仕訳はミスが発生しやすくなりますが、データ連携を使えばいつでも正しい仕訳作成ができて、経理担当者の負担を大幅に削減できます。
複数拠点のデータも統合できる
紙やExcelを用いた経費精算の場合、複数拠点を持つ企業では問題が生じやすくなります。たとえば、申請書を本部へ提出する際の郵送コストや日数、差し戻しによる再提出などもあり、支払いまでに時間がかかるケースも少なくありません。
しかし、経費精算システムでは、支店・支社のデータの一括管理が可能です。これまでのような申請書の印刷や領収書の貼付け、郵送、電話による連絡などは一切不要となり、システム上ですべての申請処理が完結できます。本部には申請が行われたと同時に通知が届き、即座に画面上から申請と領収書の内容を確認できます。承認状況はリアルタイムで一覧表示できるため、スピーディな経費精算が可能です。
SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼のコメント
また、経費の分析機能を搭載している経費精算システムも登場しています。この機能を使えば、どこでいくらの出費があるかを把握できるようになり、経費の見直しにつながるでしょう。
経費精算システム導入のデメリット
経費精算システムはメリットが多い反面、注意すべきデメリットもあります。経費精算システムを導入する際は、以下の2点に注意が必要です。
- システムの導入に費用がかかる
- システムに慣れるまで時間がかかる
システムの導入に費用がかかる
経費精算システムを利用するには費用や運用コストが発生します。導入費用として初期費用・月額料金がかかるほか、準備や業務フローの見直しも必要です。Excelや紙の運用をシステムに置き換える以上、一時的なコストは見込まなければいけません。
しかし、いちど経費精算システムを導入してしまえば、初期投資以上のコスト削減が期待できます。申請書に使われる紙や印刷、ファイリング用品などが一切不要となり、資材費の大幅なコストカットが可能です。経費精算にかかわる業務もほとんど自動化されるため、従業員や経理担当者の作業工数を大幅に削減できます。長期的なコストを考えるなら、経費精算システムの導入がおすすめです。
なお、経費精算システムの料金相場については、「経費精算システムの費用相場」で解説しています。興味のある方は、こちらもご覧ください。
システムに慣れるまで時間がかかる
慣れるまでに時間がかかるという点は、経費精算システムのデメリットと言えます。これまで使い慣れた紙・Excelの申請書類をシステムに置き換えるとなると、一部の従業員は戸惑いを感じるかもしれません。とくにPCやスマホを使う機会が少ない職種では、申請ミスが漏れが発生する可能性もあります。
スムーズな運用を実現するには、事前の説明会やマニュアル整備が重要です。講習会で実際にスマホを使った申請を見てもらうことで経費精算システムに対するハードルが下がり、より理解しやすくなります。操作方法を質問できる窓口を設けたり個別レクチャーを実施したりなど、すべての従業員が利用しやすい環境整備が必要です。
SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼のコメント
従業員へ説明する際は経費精算システムを導入する事実だけを伝えるのではなく、システム導入の背景も伝え、納得してもらうことが大切です。その際、使い方を覚えれば経費精算がラクになることも伝えましょう。また、経費精算が遅れると月次決算の締めも遅くなり、正しい意思決定がしづらくなり、事業への影響も大きくなる可能性があります。そのため、遅れるデメリットを伝え、遅れない意識を持たせましょう。
経費精算システムの失敗しない選び方
ここでは、経費精算システムの失敗しない選び方について解説します。主に、以下の3つに注意すれば、スムーズな導入・運用が実現できます。
- サポート体制は整っているか
- 内部統制を強化できるか
- これまでの導入実績は豊富か
サポート体制は整っているか
経費精算システムの導入を成功させるには、導入前と運用時のサポート体制が重要です。必要に応じて適切なサポートがあれば、スムーズな運用が実現できます。
たとえば、導入時の設定はどこまで対応できるかがポイントです。ユーザー登録や承認フロー、会計ソフトへの連携設定などは、はじめて利用する人にとっては難しく感じられます。そのような場合でも専任スタッフによるサポートがあれば、安心して導入準備が進められます。
また、導入後の問い合わせ方法も確認が必要です。操作方法がわからない場合や、万一のトラブルが生じた場合、すぐに相談できるオペレーターが居なければ業務に支障が出てしまいます。メールや電話、チャットなどの複数窓口が使えることはもちろん、従業員が個々に直接問い合わせできるようなサポート体制なら、システム管理者や経理担当者に負担をかけることなく円滑な経費精算が可能です。
内部統制を強化できるか
内部統制の強化を考えるなら、ワークフローや規定違反チェックが使える経費精算システムがおすすめです。ワークフロー機能では、申請内容による分岐や、所属・役職などの条件で承認ルートの設定が行えます。申請や承認、差し戻しなどの各工程はメールが通知されるため、ルールを知らない従業員でも規定通りの運用が可能です。承認状況もリアルタイムで一覧表示され、業務のブラックボックス化を防げます。
また、規定違反チェック機能では、事前に社内ルールを設定すれば申請時の警告表示や申請ブロックが可能です。とくに交際費の5,000円基準や交通費の定期区間控除は新入社員にとってわかりにくいもの。規定違反の申請には自動で警告表示されるので、差し戻しとなる申請を未然に防げます。内部統制が強化されるとともに、承認者の負担軽減につながります。
これまでの導入実績は豊富か
選定に失敗しないためには、導入実績が豊富な経費精算システムがおすすめです。導入実績が多いということは、それだけ支持・信頼を得ている証。一見、高性能な機能が揃っているように思えても、使い勝手や運用面において効果が得られない可能性があります。導入した後でまた別のシステムに置き換える、といった手間を避けるためにも実績豊富な経費精算システムがおすすめです。
また、具体的な導入事例を確認する際は、同じ業種や事業規模の実績が参考になります。経費精算の申請・承認に課題があるのか、経理担当者の効率化を図りたいのか、複数拠点を統合したいのかなど、自社と似たような環境で問題解決した事例があれば、どのような効果が得られるのかイメージしやすくなります。
SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼のコメント
経費申請の遅れは、「入力に手間がかかる」「ログインしなければならない回数が多い」といったシステムの使いづらさも原因になります。使いやすい経費精算システムを選ぶことで、経費申請に対する従業員のハードルが下がり、円滑な申請が叶います。
なお、経費精算システムの選び方は「経費精算システムを選ぶ際の比較ポイント」で詳しく解説しています。おすすめの経費精算システムも目的別に紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
まとめ:導入事例を参考に、自社の課題を解決できる経費精算システムを選ぼう
経費精算の効率化を図るため、経費精算システムを導入する企業は増えています。経費精算システムでは申請・承認業務の効率化ができるほか、振込データの自動作成や複数拠点の統合といった数多くのメリットがあります。
しかし、導入にあたり最も気になるのが実際の効果。効率化ができるとは言っても、どれだけ工数削減できてどのような変化が起きたのか知りたいと思う方は多いはずです。そのような場合に参考になるのが、経費精算システムの導入事例です。事業規模や業種が似た事例を参考に、自社の課題を解決できる経費精算システムを選びましょう。PRONIアイミツでは、さまざまな条件で経費精算システムを比較できます。導入実績のある業界・企業規模・使いたい機能などで絞り込み、あなたの会社に最適なサービスを「経費精算システムのランキング」から探してみてください。
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SaaSの導入・運用支援のプロ
杉野 愼
株式会社TECO Design 代表取締役社長
株式会社TECO Designにて800社へのツール導入支援を行い、中小企業のDX化をサポートしている。以前は大手の社会保険労務士事務所にて、給与計算業務などに従事し、顧問先担当企業のIPO、M&Aも経験。同時にIT推進室室長として、社内のマニュアル整備、IT推進などに注力した。
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