女性活躍推進法とは?行動計画の策定・実施などわかりやすく解説【2024年最新版】
ビジネスにおける女性の活躍を後押しする「女性活躍推進法」は、2022年(令和4年)4月1日に義務化の対象企業が拡大しました。女性活躍推進法で求められる行動計画の策定・実施方法がわからず、頭を抱えている担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では「女性活躍推進法」の基礎知識や、行動計画の策定・実施方法をわかりやすく解説します。また取り組みを効率化する方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 女性活躍推進法とは?
- 【女性活躍推進法の行動計画】基礎項目の把握・分析・策定
- 【女性活躍推進法の行動計画】行動計画の周知と公表
- 【女性活躍推進法の行動計画】都道府県労働局への届出
- 【女性活躍推進法の行動計画】取り組みの実施・評価
- 女性活躍推進法の「えるぼし」認定とは?
- 【まとめ】女性活躍推進法の行動計画の策定ならPRONIアイミツへ
女性活躍推進法とは?
女性活躍推進法とは、女性が活躍できる職場環境の実現に向けて2016年(平成28年)に成立した法律のことで、正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。2022年には法改正で内容が一部変更されましたが、現在でも施行されています。
具体的には、女性が活躍できる職場を実現するための「一般事業主行動計画」(以下、行動計画)の策定・実施を、事業主に義務付けるものです。策定した行動計画は、都道府県労働局へ届出を行う必要があります。
ここでは、女性活躍推進法の概要についてご紹介します。
女性活躍推進法が成立した目的・背景
女性活躍推進法の第1条にも明記されていますが、女性活躍推進法の目的は「変化に対応できる豊かで活力ある社会の実現」です。つまり、女性が活躍できる職場環境を構築することで、活力ある社会の実現につなげる狙いがあります。
女性活躍推進法が成立した背景として、下記のような社会課題が挙げられます。
・少子高齢化による労働力不足
・働きたくても働けない女性の増加
日本では少子高齢化などの影響により、労働力不足が深刻化しています。そこで、女性の活躍を後押しすることで就業者を増やし、不足した労働力をカバーする狙いがあるのです。
また時代の変化により仕事に対するニーズも多様化し、結婚や出産後にも働きたいと考える女性が増えています。しかし日本のビジネスでは、結婚や出産を経た女性は不利になりやすいのが現実です。そのため、女性が働きやすい仕組みづくりにより、働きたくても働けない女性を減らす狙いもあります。
女性活躍推進法の対象になる企業は?
女性活躍推進法が成立した2016年当時は、「301人以上を常時雇用する事業主」に取り組みが義務付けられていました。
しかし2022年4月1日からは対象範囲が拡大し、現在では「101人以上を常時雇用する事業主」が義務の対象となっています。以前は「努力目標」とされていた社員数300人以下の多くの中小企業にも、女性活躍推進法の取り組みが義務化されたのです。
101人以上を常時雇用している事業主には、行動計画の策定や実施が求められます。次章以降では具体的にすべきことについて解説していきます。
【女性活躍推進法の行動計画】基礎項目の把握・分析・策定
そもそも女性活躍推進法の「行動計画」とは、女性が活躍するために企業が取り組む内容を明確化するものです。行動計画の策定は、下記の3ステップで進めていきましょう。
・女性労働者の現状の把握をする
・把握した現状の課題を分析する
・行動計画の策定を行う
各ステップについて、順番に解説します。
女性労働者の現状の把握をする
まずは、女性の活躍を阻む課題を見つけるために女性労働者の現状を把握します。現状把握においては「基礎項目」として、下記の4つが定められています。これらの基礎項目は必ず把握しましょう。
(1)採用者(または労働者)に占める女性労働者の割合
(2)平均継続勤務年数の男女比
(3)管理職に占める女性労働者の割合
(4)月ごとの平均残業時間
また、必要に応じて「選択項目」を追加することも可能です。より詳細に課題を分析したい場合は、企業の状況に合わせた項目を把握しましょう。
選択項目は多数ありますが、例として下記のようなものが挙げられます。
・昇進率の男女比(女性÷男性×100)
・賃金の男女比(女性÷男性×100)
・人事評価結果の男女差
選択項目について詳しくは厚生労働省の女性活躍推進法特集ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html)をご参照ください。
把握した現状の課題を分析する
次に、把握した現状から課題を分析します。基礎項目(1)~(4)を基準値と比較することになります。具体的には、下記いずれかの条件を満たしている場合、「課題あり」と判断してください。
(1)が40%未満の場合
(2)が80%未満の場合
(3)が40%未満の場合
(4)で45時間を上回る月がある場合
どのような課題があるかによって、策定すべき計画も変わってきます。なお、現状の把握や課題の分析には、公式の行動計画策定支援ツール(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/plan_tool/)も活用すると良いでしょう。ツールを使用することで素早く分析できます。
行動計画の策定を行う
見つかった現状の課題をもとに、行動計画を策定します。行動計画に盛り込むべき内容は、下記の3つです。
(a)計画期間
企業の状況に合わせて、2~5年の範囲で決めましょう。行動計画の進捗によっては、後から見直すことも可能です。
記入例:
計画期間 令和4年4月1日~令和7年3月31日
(b)数値目標
見つかった課題に合わせて、数値を含む具体的な目標を決めましょう。
記入例:
部長以上の女性管理職を3人以上増やす
(c)取り組み内容・実施時期
上記目標を達成するための取り組み内容を考えましょう。また、各取り組みに対して実施時期も決めてください。
記入例:
令和4年4月~ 女性労働者が多様な経験を積めるよう人事制度を見直す
令和5年10月~ 女性管理職候補者への育成研修を実施する
なお行動計画の策定には、女性活躍推進ポータルサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137513.html)の利用が便利です。企業の取り組み事例を検索・閲覧できます。
【女性活躍推進法の行動計画】行動計画の周知と公表
女性活躍推進法の行動計画を策定した後には、「社内周知」と「外部公表」が必要です。どちらか片方だけではなく、両方とも実施しなければなりません。ここからは社内周知と外部公表の具体的な方法についてご紹介します。
社内周知の方法
行動計画で決めた取り組みは、事業主や経営陣が認識しているだけでは意味がありません。女性活躍推進法の取り組みは、すべての「常時雇用する労働者」に理解してもらうために社内周知が必要です。
「常時雇用する労働者」とは、雇用期間が定められていない、あるいは1年以上の雇用が見込まれる労働者を指します。そのため、正社員・パートなどの雇用形態を問わず、幅広い労働者に対して周知する必要があります。
社内周知の方法は厳格には定められていませんが、例として下記の方法があります。
・社内の見やすい場所に掲示する
・社内向けサイトに掲載する
・社内説明会を開催する
できる限り、複数の方法を組み合わせて幅広く周知しましょう。たとえば、特定の部署しか通らないような場所だけに行動計画を掲載しても、ほかの部署の労働者は閲覧が難しいため、周知が限定的にならないように注意が必要です。
外部公表の方法
行動計画は社内だけでなく、社外にも公表する義務があります。社外に女性活躍推進法の取り組みを公表することで、女性が活躍できる職場であることのアピールにつながるでしょう。
外部公表の主な方法は、下記の2つです。
・企業のホームページに掲載する
・「女性の活躍推進企業データベース」に登録する
社外向け企業ホームページに記載することで公表できますが、「女性の活躍推進企業データベース」に登録するのも良いでしょう。女性の活躍推進企業データベースとは、女性の活躍に向けた企業の取り組みや行動計画を登録・公表できる、厚生労働省が運営するサイトです。
女性活躍推進に関する情報の公表
行動計画だけでなく、「女性の活躍に関する情報」も外部に公表することが義務化されています。公表の方法は「企業のホームページ」「女性の活躍推進企業データベース」のいずれでも構いません。下記の中から1項目以上を選び、求職者が簡単に閲覧できるように掲載しましょう。また、常時雇用労働者が301人以上の企業に関しては1と2から1項目以上ずつを選択する必要があります。
【1:女性労働者の仕事に関する機会の提供】
・採用者に占める女性労働者の割合
・男女別の採用における競争倍率
・労働者に占める女性労働者の割合
・係長級の役職に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種または雇用形態の転換実績
・男女別の再雇用または中途採用の実績
【2:仕事・家庭の両立に向けた雇用環境の整備】
・平均継続勤務年数の男女の差異
・10年程度前に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率
・労働者の1か月あたりの平均残業時間
・労働者の1か月あたりの平均残業時間(雇用管理区分ごと)
・有給休暇取得率
・有給休暇取得率(雇用管理区分ごと)
なお、少なくとも年1回は公表内容をアップデートしましょう。
【女性活躍推進法の行動計画】都道府県労働局への届出
行動計画は、社内周知や外部公表だけでなく、管轄の都道府県労働局への届出も必須です。届出の方法としては、郵送・持参・電子申請のいずれでも構いません。
郵送・持参の場合は、厚生労働省の公式サイト(https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html)から「一般事業主行動計画策定・変更届」の様式をダウンロードし、必要事項を記入しましょう。記入できたら、「都道府県労働局雇用環境均等部(室)」あてにポスト投函するか、持参してください。なお、行動計画自体の添付は不要です。
電子申請の場合は、電子申請システム「e-Gov」を利用することで手続きが行えます。ただし、アカウント登録・ブラウザ設定・アプリのインストールが必要です。詳しくは、公式サイト(https://shinsei.e-gov.go.jp/contents/preparation)をご覧ください。
【女性活躍推進法の行動計画】取り組みの実施・評価
都道府県労働局への届出まで完了したら、取り組みの実施・評価を行います。取り組みは一度実施して終わりではなく、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくことが大切です。
具体的には、下記のような流れで進めていきましょう。
(1)行動計画に沿って取り組みを実施する。【実行(Do)】
(2)取り組みの効果を測定し、目標を達成できたか評価する。【評価(Check)】
(3)計画どおりに行かなかった箇所に対する改善案を検討する。【改善(Action)】
(4)改善案を行動計画に反映する。【計画(Plan)】
(5)(1)に戻り、新しい行動計画に沿って取り組みを実施する。【実行(Do)】
取り組みの実施・評価を効率的に行うなら、ITツールを活用しましょう。たとえば、「勤怠管理システム」や「プロジェクト管理ツール」の活用がおすすめです。勤怠管理システムやプロジェクト管理ツールについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
勤怠管理システムとは?メリットと事例を具体的に解説【2022最新版】
プロジェクト管理のメリットとは?おすすめツール紹介【2024年最新版】
女性活躍推進法の「えるぼし」認定とは?
女性活躍推進法には、「えるぼし」「プラチナえるぼし」という2つの認定制度があります。えるぼし認定・プラチナえるぼし認定とは、女性の活躍に向けた取り組みが優秀な企業を認定する制度のことです。これらの認定を受けた事業主は、広告物やホームページに認定マークを使用できます。
ただし認定を受けるためには、都道府県労働局(厚生労働大臣からの委任)に申請が必要です。ここでは、えるぼし・プラチナえるぼしの認定基準や、認定を受けるメリットについて解説します。
女性活躍推進法のえるぼし・プラチナえるぼしの認定基準
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定の評価項目は下記5つです。基準を満たした評価項目数が、認定・不認定やグレードに大きく関わってきます。
(1)採用
(2)継続就業
(3)労働時間などの働き方
(4)管理職比率
(5)多様なキャリアコース
最上位にプラチナえるぼし認定があり、その下位に3段階のえるぼし認定があります。それぞれの認定基準は下記のとおりです。ただし前提として、基準を満たした評価項目などの実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があります。
■プラチナえるぼし認定
・5個の評価項目をすべて満たしている
・行動計画に定めた目標を達成
・男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任している
・「女性の活躍に関する情報」のうち8項目以上を公表している
■えるぼし認定(3段階目)
・5個の評価項目をすべて満たしている
■えるぼし認定(2段階目)
・3~4個の評価項目を満たしている
・満たさない評価項目の取り組み実施状況を公表し、2年以上連続で改善している
■えるぼし認定(1段階目)
・1~2個の評価項目を満たしている
・満たさない評価項目の取り組み実施状況を公表し、2年以上連続で改善している
女性活躍推進法のえるぼし・プラチナえるぼし認定のメリット
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定を受けるメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
・優秀な女性の人材を確保しやすくなる
・企業イメージが向上する
・公共調達で有利になる場合がある
認定マークを広告物やホームページに入れることで、女性の活躍を推進する企業だとPRできます。その結果、優秀な女性の人材を確保しやすくなり、企業イメージの向上にもつながるでしょう。また、政府が公共事業の発注先を民間企業から募る「公共調達」では加点評価を受けられ、有利になる場合があります。
女性活躍推進法の行動計画の策定にPRONIアイミツが役立つ!
行動計画の策定から取り組み後の評価・認定にいたるまで、女性活躍推進法への対応には数年単位の期間が必要です。また、平均残業時間が基礎項目に含まれていることから、女性・男性を問わず労働時間の正確な管理も欠かせません。
こうした作業を長期間にわたり続けていく上で、アナログな方法では効率が悪く、生産性の低下につながります。効率的に女性活躍推進法の対応を実施するなら、前述のとおり勤怠管理システムやプロジェクト管理ツールを活用しましょう。
とはいえ、上記のようなITツールには数多くのサービスがあり、どれを選べば良いかわからない方も多いでしょう。そこで役立つのが、「PRONIアイミツ」です。数多くの人気SaaS(クラウドサービス)を紹介しているため、機能や価格、特徴など多くの要素でサービスを比較できます。
PRONIアイミツが自信を持っておすすめする勤怠管理システムやプロジェクト管理ツールを知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
客観的記録とのチェック機能でおすすめの勤怠管理システム4選【2024年最新版】
プロジェクト管理ツールおすすめ17選を厳選比較!【2024年最新版】
【まとめ】女性活躍推進法の行動計画の策定ならPRONIアイミツへ
この記事では、女性活躍推進法の基礎知識や、行動計画の策定・実施方法をわかりやすく解説しました。女性活躍推進法は、女性が活躍できる職場環境の実現に向けて、行動計画の策定や実施を義務付ける制度です。101人以上を常時雇用する事業主が対象となり、多くの中小企業にも対応が求められます。
行動計画の策定や実施を効率化するなら、勤怠管理システムやプロジェクト管理ツールの活用がおすすめです。企業に合ったサービスを見つけたい方は、コンシェルジュにも相談できるPRONIアイミツをぜひご利用ください。なお、勤怠管理システムを探したい方には、以下の記事も参考にしてください。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!