クラウド型ビジネスフォンとは?利用できる機能やメリットを解説
会社の設立やオフィス移転に伴い、ビジネスフォンの新規契約や乗り換えをお考えの方も多いでしょう。そのような方におすすめなのがクラウド型のビジネスフォン(クラウドPBX)。固定電話のように電話機器をリースして設置する必要がなく、電話料金のコストを抑えることが可能です。
本記事では、クラウド型ビジネスフォンとは何か、利用できる機能を詳しく解説します。メリット・デメリットや選び方、おすすめのクラウド型ビジネスフォン6選も紹介しますので、法人用の電話契約をお考えの方はぜひご覧ください。
- クラウド型ビジネスフォンとは
- クラウド型ビジネスフォンのメリット
- クラウド型ビジネスフォンのデメリット・注意点
- クラウド型ビジネスフォン選びのポイント
- 【2025年最新】おすすめクラウド型ビジネスフォン6選
- まとめ~工事不要でスマホ内線化も可能な電話サービスを導入しよう
クラウド型ビジネスフォンとは
クラウド型ビジネスフォンとは、クラウド上に電話交換機能(=PBX)を構築し、インターネット回線を通じて電話の受発信を行う次世代のビジネスフォンです。インターネット回線を使って電話の受発信が行われるため、ハードウェアとしての主装置や配線工事は必要ありません。インターネット環境さえ整っていれば電話機能を利用でき、アプリを使ってスマートフォンやタブレット、PCなどで電話の受発信が可能。固定電話に代わる新たなビジネスフォンとして注目されています。
また、クラウド型ビジネスフォンは、支店や本店など複数拠点の電話をまとめて内線化できます。営業で外回り中の担当者にも内線通話が可能で、営業職が多い企業も便利に利用できる電話サービスです。
基本的な機能は会社番号での受発信、転送、パーク保留などですが、サービスによっては以下のような便利な機能も使えます。
- IVR(自動音声ガイダンス機能)
- 通話音声録音
- 音声認識・テキスト化
- ネットFAX機能
- SFAやCRM等外部ツールとの連携
- 音声分析
クラウドサービスを導入する企業は増えている
総務省が2023年5月に実施した調査によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は7割を超え、年々増えています。クラウドサービスを利用する理由としては、「場所、機器を選ばずに利用できるから」「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」という理由が多く挙がっています。
出典:総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」
これまで主流だった固定電話もクラウド化することで、電話機器にかかるコストを大幅に削減しながら、保守に必要な人的コストも軽減できます。
クラウド型ビジネスフォンのメリット
クラウド型ビジネスフォンは、従来のビジネスフォンと比較して柔軟性が高く、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 工事不要で導入・保守コストがかからない
- スマホ内線化で通話コスト削減、テレワークも可能に
- 他のクラウドツールとの連携でCTIシステムを構築できる
工事不要で導入・保守コストがかからない
固定電話など従来のビジネスフォンは、オフィスにPBX(電話交換機)の設置が必要でした。しかし、クラウド型ビジネスフォンの場合は、PBXとしての機能がインターネットで完結しているため、機器の設置が不要です。
また、ハードウェアとしての主装置は故障するリスクもありますが、クラウド型ビジネスフォンにはハードウェアがないため、保守コストが掛からない点もメリットです。
スマホ内線化で通話コスト削減、テレワークも可能に
クラウド型ビジネスフォンは、スマホやPCを用いて電話の受発信が可能となるサービスです。私用のスマホを内線化することで、新たに電話機を購入するコストを削減できます。
スマホを内線化することは、場所を問わずにビジネスフォンを利用できることを意味します。そのため、電話対応業務をテレワークで行うことも可能です。外出先・移動中の社員とも内線通話が可能となり、営業職が多い企業では通話コストを大幅に削減できるでしょう。
他のクラウドツールとの連携でCTIシステムを構築できる
クラウド型ビジネスフォンは、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)といった他のクラウドツールと連携することで、CTIシステムを構築することも可能です。
CTIシステムとは電話・FAX機能とコンピューターを連携する技術です。SalesforceなどのCRMシステムと電話を連携することで、着信時に顧客情報をポップアップ表示することができます。CRM上では電話やメールでのやりとりの履歴を一覧表示でき、これまでの経緯を確認しながら適切に電話対応を行うことが可能となります。
クラウド型ビジネスフォンのデメリット・注意点
クラウド型ビジネスフォンにはさまざまなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも。以下2つの点に注意が必要です。
- 会社の電話番号を引き継げない場合に注意
- 古いスマホ端末やOSバージョンに対応していないケースにも注意
会社の電話番号を引き継げない場合に注意
クラウド型ビジネスフォンに乗り換える際、現在使用している会社電話番号を引き継げない場合もあり、注意が必要です。多くのクラウド型ビジネスフォンでは、03や06といった市外局番から始まる電話番号、0120や0800などの着信課金電話番号、050から始まるIP電話番号に対応しています。ただし、サービスによって対応電話番号は異なるため確認が必要です。
とくに、自社の会社電話番号・代表電話番号をそのまま利用したい場合は、対応する電話番号を必ず確認しましょう。詳しくは別記事「クラウドPBXは電話番号そのまま引き継げる?移転時の注意点」をご覧ください。
古いスマホ端末やOSバージョンに対応していないケースにも注意
クラウド型ビジネスフォンはPC・スマホで電話できる点が大きなメリットですが、OSバージョンが対応していない場合はそもそも専用アプリを利用できないため注意が必要です。
年代が新しいWindows・MacのPCやスマートフォンであれば心配は不要ですが、古い端末を使っている場合は、事前にクラウド型ビジネスフォンが対応するOSバージョンなどを確認するのがおすすめです。
クラウド型ビジネスフォン選びのポイント
クラウド型ビジネスフォンを導入する際に、比較すべき4つのポイントを解説します。
- 通話の音質
- 利用可能な電話番号
- セキュリティ対策
- 初期費用・月額料金
通話の音質
電話サービスの要となる通話の音質については、メーカー各社が改善を重ね、電話回線を用いたビジネスフォンと同水準の音質が実現しています。しかし、クラウド型ビジネスフォンの中には、通話の声が途切れてしまう低品質のサービスもあるため、音質の比較が重要です。
音質を比較する際に注目すべき指標として、総務省判定基準があります。総務省判定基準とは総務省が設けている通信品質の基準のことで、段階ごとの評価は下記の通り。
総務省判定基準 | 通信品質 |
---|---|
クラスA | 固定電話相当の品質 |
クラスB | 携帯電話相当の品質 |
クラスC | IP電話相当の品質 |
利用可能な電話番号
クラウド型ビジネスフォンは、各サービスで対応している電話番号が異なります。03(東京)、06(大阪)のような主要都市の市外局番に対応しているサービスは多いですが、各地方の市外局番にまで対応しているサービスは限られています。発番したい電話番号を利用できるのか、事前に確認が必要です。
なお、0120や0800など、フリーダイヤル・フリーコールとして知られる着信課金電話番号や、050から始まるIP電話番号は、多くのクラウド型ビジネスフォンで発番可能です。
セキュリティ対策
クラウド型ビジネスフォンを選ぶ際は、セキュリティ対策の比較も重要です。クラウド型ビジネスフォンは、通常の電話回線とは異なり、インターネット回線を利用して通話する仕組みです。そのため、ウイルス感染やネットワーク攻撃などのサイバー攻撃のリスクに晒されています。
ログイン時は2段階認証か、通信や通話内容は暗号化されるのかなど、セキュリティ面の機能を忘れずに確認してください。プライバシーマークやISMS認証を取得しているサービスであれば、より安心です。加えて、「フリーWi-Fiでは使わない」「OSのアップデートを怠らない」など、社内のセキュリティ対策も徹底しましょう。
初期費用・月額料金
電話機不要のクラウド型ビジネスフォンは、従来のビジネスフォン・PBXよりも安くて導入しやすいですが、サービスごとに初期費用や月額料金は異なるため比較が重要です。
例えば初期費用の場合、相場は5万円ほど。初期費用は無料のサービスも少なくありません。一方で月額料金は、課金方式が2パターンあるため注意しましょう。1つは、回線数に応じて課金されるタイプ、もう1つはユーザー数に応じて課金されるタイプです。大人数での利用の場合は回線数課金、少人数の場合はユーザー数課金のサービスを選ぶと、コストを抑えられておすすめです。
【2025年最新】おすすめクラウド型ビジネスフォン6選
ここからは実際に、料金や機能を比較し、2025年現在おすすめのクラウド型ビジネスフォン6選を紹介します。各サービスの特徴や、他社と比較したポイントも解説していますのでぜひご参照ください。
- BIZTEL ビジネスフォン
- MiiTel(ミーテル)
- INNOVERA PBX(イノベラ)
- TramOneCloud
- モバビジ
- GoodLine
-
料金
月21,000円 -
初期費用
50,000円
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
BIZTEL ビジネスフォンは、株式会社リンクが提供するクラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)です。最短でたったの5日間あれば導入できる気軽さが魅力で、これまでの導入実績数は2,000社以上。会社の規模や業界も問わず、幅広い企業に導入されています。
代表番号による発着信やIVR、ソフトフォンなどの標準機能のほか、全通話の録音や外部CRMとの連携、着信ルーティングなど、便利なオプションも充実しています。専用のVPNネットワークを構築することもでき、セキュリティ面を重視する企業にもおすすめのクラウド型ビジネスフォンです。
また、BIZTEL ビジネスフォンはスモールスタートが可能な点も魅力の1つ。ライトプランは初期費用5万円、月額料金2万1,000円で、内線番号数40を利用可能です。電話番号の追加は300円〜で依頼できます。
MiiTel
-
料金
月5,980円/ID -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
MiiTel(ミーテル)は、株式会社RevCommが提供しているクラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)です。これまで2,000社以上に導入実績があり、ユーザー数は5万人を記録。コールセンターや営業などさまざまなシーンで活躍しています。
IP電話機能やIVR、自動録音、音声の文字起こしいった機能が利用できるだけでなく、通話品質の分析が可能な点が特徴。オペレーターの通話内容は録音されてスコアリングされるほか、会話速度やラリー回数などの定量分析も可能なので、「通話品質を上げたい」という企業におすすめです。
MiiTel(ミーテル)の初期費用は無料、利用料金は1ユーザーあたり5,980円(税抜)となっており、他社と比較して安い点もおすすめのポイントです。
-
料金
お問い合わせ -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
INNOVERA PBX(イノベラ)は、株式会社プロディライトが提供するクラウド型ビジネスフォン。03番号(東京)、06番号(大阪)以外にも、40地域の市外局番を発番可能で、現在利用している電話番号を引き継ぎたい企業にもおすすめです。
IVRや全通話録音、音声ガイダンスなど、コールセンター レベルの豊富な機能を備えている点も評価され、これまでの導入企業数は1,500社以上、アカウント数は3万件を突破しています。
音声からの感情分析が可能な「INNOVERA Emotion」、通話内容のテキスト化が可能な「INNOVERA Text」など、便利なオプションも豊富です。さらに、API連携を利用することによって、外部の顧客管理システムなどと連携させることもできます。
-
料金
月1,200円/ユーザー -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
TramOneCloud(旧:UNOVOICE)は、トラムシステム株式会社が提供するクラウド型ビジネスフォンです。これまで500社以上、ユーザー数1.2万人に導入実績があり、サービス継続率は98%と高水準を維持しています。
他社と比較したおすすめポイントは、料金が安いこと。30名までの利用におすすめなEssentialプランは1ユーザーあたり月額料金1,200円、1,000名までにおすすめなProfessionalプランは月額料金1,500円、より便利なEnterpriseプランは月額料金2,500円で利用でき、リーズナブルながらも豊富な機能が揃っています。
また、世界トップシェアの音声基盤を用いていることから、音声品質が高い点も人気の理由。2週間たっぷりお試しできる無料トライアルも用意されています。
- ISMS
- 外線接続機能
- 内線基本機能
- 転送機能
- 保留機能
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- クラウド(SaaS)
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
-
料金
お問い合わせ -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
モバビジは、クラウドテレコム株式会社が提供するクラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)です。他社と比較したおすすめポイントは、高い音声品質。一般的なIP電話とは異なった通信技術を採用しており、ひかり電話網とクラウドPBXサーバーを直接つなげているため、これまでのIP電話のように音声品質に悩まされることはありません。
クラウド型ビジネスフォンでありながらも固定電話のような高音質で通話できるので、IP電話の利用に不安があるという企業にもおすすめです。
また、使いやすい操作画面であることも特徴の1つ。ビジネスフォンを操作している時と同じような操作感で使える設計となっているため、はじめてクラウド型ビジネスフォンを導入するという企業も安心です。電話やメールによるカスタマーサポートも充実し、気軽に相談できる点も魅力です。
- 外線接続機能
- 内線基本機能
- 転送機能
- 保留機能
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- クラウド(SaaS)
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
- モバイルブラウザ(スマホブラウザ)対応
GoodLine
-
料金
月3,000円 -
初期費用
20,000円
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
GoodLineは、株式会社グッドリレーションズが提供するクラウド型PBXです。導入企業数は7,500社以上(2024年10月時点)で、多くの企業に支持されています。
固定電話やスマートフォンから利用できる高音質な音声通話が特徴で、IP電話の品質に不安がある方にもおすすめ。また、通話録音や履歴管理、発着信の詳細な分析機能が標準で備わっており、電話業務効率の向上を実現します。
さらに、インターネット環境さえあれば外出先でも利用可能で、テレワークや多拠点運用にも適しています。工事不要で短期間で導入できるため、初めてクラウドPBXを利用する企業にも安心して導入可能です。
まとめ~工事不要でスマホ内線化も可能な電話サービスを導入しよう
クラウド型ビジネスフォンは、スマホやPC、タブレットなどを活用できるため、わざわざ電話機を用意する必要がありません。また、PBX(電話交換機)の設置工事が不要なので、工事の手間やコストを抑えることができます。スマホを内線化させ、より柔軟な働き方を叶えたい企業におすすめの電話サービスでしょう。
クラウド型ビジネスフォンの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツ(当サイト)をご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったクラウド型ビジネスフォン(=クラウドPBX)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!