フリーアドレスの「電話取り次ぎ課題」を解決する4つの方法
社内コミュニケーションの活性化や、スペースの有効活用につながるフリーアドレス。導入を検討している企業もあるでしょう。しかし、従業員の席が固定されないため、固定電話機は使いにくくなり、電話の取り次ぎが難しくなります。
本記事では、フリーアドレスの際に起こる電話取り次ぎの課題と、解決方法を紹介。フリーアドレス化を準備中の企業担当者・情報システム部の担当者は、ぜひご覧ください。
- オフィスにフリーアドレスを導入するメリット
- フリーアドレスにおける電話の課題
- フリーアドレスにおける電話の課題を解決する方法
- 【比較表】フリーアドレスと相性の良いクラウドPBX
- フリーアドレスと相性の良いクラウドPBXおすすめ5選
- まとめ:クラウドPBXの導入で、フリーアドレスの電話の課題を解決!
オフィスにフリーアドレスを導入するメリット
フリーアドレスとは、オフィスの中で固定の座席を設けないワークスタイルのこと。自席が決まっていないため、従業員はその日ごとに違う席で仕事をします。フリーアドレスを企業に導入すると、他事業部同士のコミュニケーションが活性化しやすくなる点がメリットです。また、集中して作業したい場合は静かな席、チームでの打ち合わせが必要な場合は広いスペースなど、柔軟に席を選べて生産性が高まる効果もあります。
在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドワークなら出社率が100%以下となるため、座席数を削減し、空いたスペースにミーティングルームを設置するなどでスペースを有効活用することが可能です。固定席が不要となるため、限られたオフィススペースを効率的に使用でき、レンタル費用や設備費用の削減につながります。
フリーアドレスにおける電話の課題
フリーアドレス環境は固定電話との相性が悪く、「電話の取り次ぎが困難」「専任の電話番が必要になる」といった課題が生じます。これらの課題について、以下で詳しく解説します。
電話の取り次ぎができない
フリーアドレスは従業員の座席が日によって変わるので、固定電話の内線番号と従業員の座席を紐づける従来の電話取り次ぎ方法は難しくなります。
株式会社ジェイドコーポレーションの調査によると、フリーアドレス化によって、約34%の企業が「折り返し対応が多くなった」、約22%の企業が「どこに着席しているのか探すのに手間がかかる」との課題を抱えています。

※出典:株式会社ジェイドコーポレーション『【フリーアドレス化で電話対応に課題】半数以上が業務効率化に向けフリーアドレスを導入。しかし電話対応業務の負担が増えた企業も?』
電話番が必要になる
フリーアドレスを導入する際に電話番の人を決めないと、固定電話に近い席に座っている人が成り行きで電話を取ることになります。電話機の周辺に誰も座らなくなるケースもあります。一方、電話番を決めても、その人は電話のためだけに出社したり、電話対応に追われて本来の仕事に集中できなかったりと、負担が偏ってしまうリスクも。
フリーアドレスの導入を成功させるには、上記2つの課題を解決することがポイントとなります。
フリーアドレスにおける電話の課題を解決する方法
フリーアドレスを導入する際の具体的な解決策を4つ紹介します。
- 社用携帯を導入する
- デジタルコードレス電話機を導入する
- 電話代行サービスを利用する
- クラウドPBXを導入する
社用携帯を導入する
従業員一人ひとりが専用の社用携帯を持つことができれば、オフィスのどこにいても電話の利用が可能です。社用携帯には個人の電話番号が付与されているので、個人あての電話が会社の代表電話番号にかかってくることが減り、電話の取り次ぎ業務が少なくなるでしょう。
ただし、必要な人の数だけ社用携帯を購入する必要があり、導入費用が高くなります。また、社用携帯の紛失・盗難による社内情報流出リスクがあり、万全のセキュリティ対策が必要です。
デジタルコードレス電話機を導入する
デジタルコードレス電話機とは、固定電話の子機のような形で、持ち歩きができる電話機です。従業員一人ひとりに端末を配布し、内線番号を付与することで、フリーアドレスの企業においてもスムーズに電話を取り次げます。
各従業員に対して端末を配布する点においては社用携帯と同じです。一方で、デジタルコードレス電話機は電話機能のみ搭載しているので、社用携帯と比較すると端末費用は安いです。通信品質については、親機と子機の間に距離や障害物があると、電波が届きにくくなる場合があるので注意が必要です。
電話代行サービスを利用する
電話代行サービスは、企業にかかってきた電話の一時対応を代行するサービスのこと。電話の一次対応をしてくれるため、社内で対応しなければ電話の数を減らせる点がメリットです。電話の内容はメールやチャットツールに通知されるため、取り次ぎを挟まず、直接担当者が対応できます。
ただし、発信者は折り返し電話を待たなければなりません。また、電話代行サービスは事前に用意したスクリプトに沿って対応するため、イレギュラーな問い合わせには対応しきれない場合もあります。
クラウドPBXを導入する

クラウドPBXとは、クラウド上に電話交換機能(PBX)を構築し、インターネット回線を通じて電話の発着信を行う次世代の電話システム。スマホやPCでも電話の発着信ができる点が特徴です。すでに従業員が持っているモバイル端末に専用アプリをインストールするだけなので、新たに社用携帯や電話機を購入する必要がない点がメリット。
クラウドPBXを導入すると、社内外問わず、インターネット回線に接続できる場所ならどこでも電話が可能です。かかってきた電話は従業員のスマホ・PCに転送でき、フリーアドレスで担当者の居場所が分からなくても、問題なく電話を取り次げます。また、特定の電話番号からの着信を担当者に直接転送することもできるため、電話番自体を無くすことも可能。
オンプレミス型のPBX(社内に設置する物理的なPBX。従来、ビジネスフォンを利用する際に設置していた機器)では、席替えで電話機を移動するときに設定しなおす必要がありますが、クラウドPBXはその必要がありません。場所を選ばない柔軟な働き方を実現するクラウドPBXは、フリーアドレス制の導入を検討している企業にとって、非常に有効なツールと言えるでしょう。
【比較表】フリーアドレスと相性の良いクラウドPBX
ここでは、各クラウドPBXの初期費用と月額料金を表にまとめました。サービス導入の参考にしてください。
サービス名 | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|
VoiceX(ボイスクロス) | 3万~20万円 | 500~890円/ユーザー |
トビラフォン Cloud | 3万3,000円(税込) | 3,300円(税込) |
BIZTEL ビジネスフォン | 5万~210万円(税抜) | 2万1,000円~57万5,000円(税抜) |
MiiTel(ミーテル) | 要問合せ | 5,980円/ID(税抜) |
INNOVERA PBX(イノベラ) | 要問合せ | 要問合せ |
サービスによって料金設定はさまざまです。「VoiceX」は月額料金がかかりますが、1ユーザーあたりの料金は1,000円未満なので、少人数で利用する場合でも導入しやすいでしょう。
「BIZTEL ビジネスフォン」は、他のサービスと比較して料金が高額です。しかし、最も手頃なプランでも利用できる内線番号は40回線で、同時通話数は最大10となっており、電話を多く利用する企業に向いています。
フリーアドレスと相性の良いクラウドPBXおすすめ5選
フリーアドレス導入企業におすすめのクラウドPBX5選を紹介します。サービスごとの特徴や、他社と比較したおすすめポイントを解説しているので、電話業務を見直したい担当者はぜひ参考にしてください。
- VoiceX(ボイスクロス)
- トビラフォン Cloud
- BIZTEL ビジネスフォン
- MiiTel(ミーテル)
- INNOVERA PBX(イノベラ)

VoiceX(ボイスクロス)
-
料金
月890円/席 -
初期費用
30,000円
-
最低利用期間
1ヶ月
-
最低利用人数
要問合せ
VoiceX(ボイスクロス)は、株式会社コムスクエアが提供するクラウドPBXです。通信キャリア会社が提供するクラウドPBXならではの優れた通話品質が魅力で、総務省が定めた通話品質基準ではクラスA(最高水準の評価)を獲得。固定電話と同等の安定感で通話できます。
VoiceXは独自番号を保有しており、これまで300万以上の電話番号を発行してきた実績があります。全国主要都市の電話番号に対応しており、現在ご利用中の電話番号も継続利用が可能。従業員のPCやスマホに専用アプリケーションを導入するだけで、外線・内線通話が可能なため、フリーアドレスを導入する企業にもおすすめの電話サービスです。

トビラフォン Cloud
-
料金
月3,300円 -
初期費用
33,000円
-
最低利用期間
要問合せ
-
最低利用人数
要問合せ
トビラフォン Cloudは、トビラシステムズ株式会社が提供するクラウドBPX。同社は迷惑電話ブロックの技術に強みを持っており、クラウドPBXにも高性能な迷惑電話フィルタを実装しています。3万件以上のデータをもとに、押し売りや迷惑電話につながる可能性ある着信を事前に通知。不要な電話対応に時間を取られることなく、本来の業務に集中できます。
基本的なクラウドフォン機能・録音機能・IVR機能はあるため、スマホを内線化してフリーアドレスに対応したい企業におすすめのサービスです。また、SMS自動送信機能も搭載。IVR機能の分岐先で、発信元の携帯電話へ自動でSMSを送信でき、電話対応の取りこぼし防止や受電対応の負担軽減につながります。
-
料金
月21,000円 -
初期費用
50,000円
-
最低利用期間
要問合せ
-
最低利用人数
要問合せ
BIZTEL ビジネスフォンは、株式会社リンクが提供するクラウドPBX。これまで2,000社以上の企業に導入実績があり、さまざまな規模の企業が導入しています。代表電話番号での発着信・転送・パーク保留など基本的な電話機能を利用できるほか、IVR(自動音声ガイダンス)機能や音声録音機能、音声テキスト化機能も利用可能。
また、オプションでインターネットFAX機能を付けられます。受信したFAXが電子メールに転送されるので、オフィスのどこにいてもFAXの内容を確認可能に。基本的な電話機能から、便利な機能まで搭載しているBIZTEL ビジネスフォンは、フリーアドレス化に対応したい企業におすすめのクラウドPBXです。

MiiTel
-
料金
月5,980円/ID -
初期費用
要問合せ
-
最低利用期間
要問合せ
-
最低利用人数
要問合せ
MiiTel(ミーテル)は、株式会社RevCommが提供しているクラウドPBXです。クラウドフォン機能と録音・文字起こし・AI音声解析が1つになったツールで、スタートアップから大企業まで2,500社以上が導入しています。MiiTelにはスマホアプリがあるため、どこの席にいても電話を取ることが可能。フリーアドレスはもちろん、リモートワークであっても電話業務に困らないでしょう。
発番できる電話番号の種類が豊富な点もメリットで、03(東京)・06(大阪)以外にも主要都市の市外局番を取得可能。「オフィス移転後もそのまま電話番号を引き継ぎたい」という企業にもおすすめのサービスです。

-
料金
要問合せ -
初期費用
要問合せ
-
最低利用期間
要問合せ
-
最低利用人数
要問合せ
INNOVERA(イノベラ)は、株式会社プロディライトが提供するクラウドPBXで、これまで1,800社の導入実績があります。他社と比較した特長は、東京(03)や大阪(06)以外にも約40種類の市外局番を発番できること。電話番号の引き継ぎにも対応しており、オフィス移転に伴ってフリーアドレス化を進めたい企業におすすめです。
豊富な機能を搭載しており、録音した電話音声のテキスト化・音声解析なども利用できるため、電話業務やカスタマーサポート業務の効率化にも貢献します。
まとめ:クラウドPBXの導入で、フリーアドレスの電話の課題を解決!
フリーアドレスの導入は、コミュニケーションの活性化やスペースの効率的な活用などのメリットがある一方で、固定電話を使った従来の電話対応が難しくなってしまうデメリットが潜んでいます。しかし、クラウドPBXを導入すれば、スマホやPCを内線化でき、フリーアドレス導入後でもスムーズな電話業務が可能です。フリーアドレスを導入する企業は、クラウドPBXの導入を検討しましょう。
しかし、フリーアドレスと相性の良いクラウドPBXは多数あり、どれを導入すべきか迷ってしまうでしょう。PRONIアイミツでは、ITツール受発注支援のプロとして、クラウドPBX選びの相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったクラウドPBXが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!