CRM(顧客管理システム)とは?仕組みや使い方、できる施策やメリットを解説
CRMは顧客情報を一元管理し、分析したデータをもとに顧客それぞれのニーズに合わせた対応を実現します。価値観の多様化により市場が細分化され競争が激化している現代の日本において、大きな注目を集めるCRMツール。実際日本でも浸透しておきており、導入により高い成果を出している企業も多く存在します。
本記事ではCRMの主な機能や仕組みなどの基本情報や、メリットデメリットや選び方などを解説します。CRMの導入を検討している方や、CRMの活用方法に悩んでいる方はぜひチェックしてください。
- CRM(顧客管理システム)とは
- CRMツールの主な機能一覧
- CRMの主な使い方・できる施策
- CRM・SFA・MAの違い
- CRMを導入するメリット4つ
- CRM導入のデメリット
- CRMの月額料金・費用相場
- CRMの選び方・比較方法
- まとめ:CRM(顧客管理システム)の導入で、顧客支援を効率化
CRM(顧客管理システム)とは
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を構築し、企業の成長をサポートするシステムです。顧客の購買履歴や問い合わせ内容、行動データを記録し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた対応を行うことで、顧客満足度を高め、顧客との信頼関係を強化することを目的としています。
CRMの仕組み
CRMは、顧客情報の収集・分析から効率的にアプローチをするまでのプロセスを一貫する仕組みにより、業務効率化や顧客との信頼関係を構築します。
まずは顧客情報をメールや電話、SNSなどさまざまなチャネルから自動で収集し、一元的に管理します。次に収集データをもとに、顧客のニーズや行動を分析し、適切なマーケティングキャンペーンやフォローアップのタイミングを判断。見込み顧客に対して最適なアプローチを自動化することで、無駄のない効率的な対応を実現します。さらにCRMはこの一貫したプロセス全体を記録し追跡するため、次のアプローチを改善するためのフィードバックとして活用が可能です。
CRMツールの主な機能一覧
CRMツールで使える、主な機能を解説します。CRMツールは、企業が顧客との関係を円滑に管理し、営業・マーケティング活動を最適化するために必要なさまざまな機能を提供しています。
機能内容 | 機能詳細 |
---|---|
顧客情報の一元管理 | 顧客の連絡先や取引履歴、問い合わせ情報などを一カ所で管理 |
メール一斉配信 | ターゲットリストにもとづき、パーソナライズされたメールを自動で顧客へ配信 |
営業プロセス管理 | 営業チームの進捗やタスクを追跡し、案件ごとにステータスや次のアクションを管理 |
カスタマーサポート管理 | 顧客からの問い合わせを追跡し、過去の対応履歴を参照しながら迅速なサポートを提供 |
分析・レポート機能 | 顧客データや営業活動のパフォーマンスを分析し、レポートとして視覚化 |
スケジュール管理 | Googleカレンダーなどと連携し、会議やタスクのスケジュールを効率的に管理 |
CRMの「顧客情報を一元管理する機能」により、メンバーは常に最新の顧客データにアクセスし、迅速かつ正確な対応が可能です。また「メール一斉配信機能」は、顧客ごとにパーソナライズされたメッセージを自動で大量に送信し、効果的なマーケティング施策を展開します。
他にも「営業プロセス管理機能」では案件の進捗やタスクを追跡し、次のアクションを明確にすることで、成約率の向上が期待できます。さらに「カスタマーサポート管理機能」では、過去の問い合わせ履歴をもとにして、迅速かつ的確な顧客対応をサポート。「分析・レポート機能」や「スケジュール管理機能」を活用することで、業務全体の可視化と効率化が実現します。
製品によって機能は異なるため、導入を検討する製品が自社に必要な機能を搭載しているか確認する必要があります。
CRMの主な使い方・できる施策
CRMの使い方や、機能によりできる施策を具体的に解説します。
- 営業進捗を可視化し、顧客へのフォローアップに繋げる
- カスタマーサポートを漏れなく迅速に対応できる
- マーケティングキャンペーンを最適化できる
営業進捗を可視化し、顧客へのフォローアップに繋げる
CRMが自動で記録する顧客との過去のやりとりをもとに、営業担当者は顧客の興味やニーズを把握することで、次のアプローチを最適化できます。また案件やタスクの進行状況を把握する「ステータス管理」により、優先順位を明確にし、効率的にリソースを配分が可能。他にもリマインダーの自動化などタスク自動化機能により、担当者が漏れなく対応し続けることで、商談機会を逃しません。
CRMは営業進捗を可視化し、対応を自動化することで、営業メンバーが定期的に顧客へフォローアップできる環境を整えます。また適切なタイミングでのアプローチにより、顧客が購買に踏み切り、成約につながるケースが増えるため、営業全体のパフォーマンス向上も期待できます。
カスタマーサポートを漏れなく迅速に対応できる
CRMは、カスタマーサポート業務においても非常に役立ちます。例えば顧客が過去に問い合わせをしていた場合、サポート担当者はCRMに記録された履歴を即座に確認し、過去の対応を踏まえた上で、迅速な解決方法を提供できます。また問い合わせのやりとりはCRM内で共有できるため、担当者が複数いても、対応漏れが発生せずスムーズに対応が可能です。
CRMにより過去の問い合わせを記録し、社内で共有することで、カスタマーサポート担当者が迅速かつ漏れなく顧客に対応できる環境を整えます。
マーケティングキャンペーンを最適化できる
CRMは、マーケティングキャンペーンの効果を最大化するために不可欠なツールです。
顧客情報をもとに、ターゲット層ごとにパーソナライズしたメッセージを自動配信することで、特定の商品に興味を持つ顧客に適切なアプローチができます。また、キャンペーンの結果をリアルタイムで追跡し、効果的だった施策をデータ分析することで、次の戦略を最適化できます。CRMにより各施策の効果を把握し、精度の高いマーケティング活動を実現することで、ROIの最大化が期待できます。
CRM・SFA・MAの違い
CRMに近い業務システムとして「SFA」と「MA」があります。それぞれ顧客情報管理を主体としたツールである点は共通しているものの、それぞれ顧客情報のアウトプット方法は異なります。近年はSFAやMAの機能を搭載したCRMも登場しており、その境界線は曖昧になりつつありますが、それぞれの違いをご紹介します。
CRMとSFAの違い
CRMとSFAは似ている点も多いですが、異なる役割を持っています。CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報を中心に管理し、見込み顧客の育成や長期的な関係構築を目的としたツール。主な機能は、顧客データベースの管理や分析、自動メール配信やSNSとの連携です。
一方、SFA(Sales Force Automation)は、営業活動をサポートするためのツールです。見込み顧客や営業活動のデータ管理、商談状況の可視化を通じて、営業チームの業務効率を高めます。顧客との継続的な関係構築を目的としたCRMと比較すると、SFAは営業プロセスの最適化や成約までの効率化を図る点に特化しているのが特徴です。
CRMとMAの違い
MA(Marketing Automation)は、企業のマーケティング活動を自動化するためのツールです。見込み顧客のリストを一元管理し、自動でスコアリングやメール配信、ランディングページやフォームの作成、データ分析、レポート作成などを行います。
展示会やWebを通じて集まったリードを効果的に管理し、見込み顧客の創出を支援するのがMAです。CRMは、主に既存顧客との関係を強化するために使用されます。ただ、見込み顧客が少ない場合、展示会やWebを通じて集まったリードを効果的に管理し、見込み顧客の創出を支援するMAが効果的です。
CRMを導入するメリット4つ
CRMを導入することで、業務効率化やマーケティング・営業の精度を向上する環境を整え、関係構築や売上の成果に繋げます。詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 顧客情報の一元管理により属人化を防止
- 高精度な情報分析でマーケティング施策を強化
- 顧客対応の効率化
- 部門間の情報共有を強化
顧客情報の一元管理により属人化を防止
CRMを導入すると、顧客の基本情報や過去のやり取り、競合製品の導入状況などを管理できます。また入力した情報を、Google WorkspaceやSlackなどの外部ツールに連携し、反映できる便利な製品も。CRMで顧客情報を一元管理することで、営業担当に属人化することなく、会社全体で営業状況を把握できます。
高精度な情報分析でマーケティング施策を強化
CRMを導入することで、年齢や住所、購買履歴などのデータをもとに顧客をセグメント化し、個別に応じたマーケティング戦略を立案できます。ニーズに合わせた個々の対応は、顧客満足度の向上に寄与します。さらに、過去の行動データを活用して、顧客が最も反応しやすいタイミングでキャンペーンやプロモーションを実施できるため、売上向上の効果ももたらします。
顧客対応の効率化
売上を上げるためには、顧客との適切なタイミングでの接触が鍵となります。そのため、各顧客に対するフォローアップや連絡の履歴を、正確に把握することが重要です。CRMを活用すれば、誰がいつ、どの顧客とどのような接触をしたかが全社員に共有できるため、過去の対応状況を踏まえた適切なフォローアップができます。また、担当者不在や急な変更により代理対応が必要な場合でも、CRMに記録された顧客とのコンタクト情報を簡単に確認できるため、スムーズに顧客対応を引き継ぎします。
部門間の情報共有を強化
CRMの導入により営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、複数の部門間で顧客情報を共有しやすくなり、部門間の連携が強化されます。また情報の透明性が高まることで、各部門の業務効率が向上し、より効果的な顧客対応が実現できるでしょう。
CRM導入のデメリット
CRMの導入メリットが多くある一方、少なからずデメリットも存在します。CRMは主にクラウド型とオンプレ型の提供形態によって、費用や定着にかかる時間が異なります。
- 導入・運用にコストがかかる
- 導入・運用の定着に時間がかかる
導入・運用にコストがかかる
クラウド型CRMの月額料金は従業員の数に応じて費用が変動する製品が多く、特に従業員数の多い企業では高額になる可能性があります。また機能のカスタマイズや他の業務システムと連携する場合、オプション費用が発生してトータルコストが増えるケースも。
またオンプレミス型CRMは、導入時にハードウェアやサーバーの設置など、インフラ整備にかかるコストが非常に大きいです。さらに専門的な技術を要するメンテナンスやアップデートにも、費用が発生します。提供形態の違いや費用については本記事の「CRMの月額料金・費用相場」でさらに詳しく解説します。
導入・運用の定着に時間がかかる
CRMは従業員がシステムに慣れるまでには時間がかかります。特に営業やサポート部門が多機能なシステムに対応するためのトレーニングが必要です。新しい業務フローに合わせたシステムのカスタマイズも求められるため、その調整期間が運用開始を遅らせる要因となることがあります。また、システム運用の定着には、継続的なサポートと定期的な見直しが必要です。
オンプレミス型では、システムの構築やインフラ整備自体に時間がかかり、その後の定着もさらに時間を要します。特に社内リソースが不足している場合、運用の安定化に長期間を要するケースも少なくありません。
CRMの月額料金・費用相場
CRMツールの提供形態は、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型があり、それぞれ特徴や費用が異なります。
初期費用 | 月額料金 | |
---|---|---|
クラウド型 | 無料〜要問い合わせ 有料は100,000円〜150,000円円 |
1ユーザー1,000〜5,000円 |
オンプレミス型 | ライセンス発行:1人2〜10万円 サーバー設置:5万円 パッケージ料金:5〜10万円 |
製品により異なる |
クラウド型CRMツールの場合、初期費用が無料の製品が多く、保守運用の人的リソースを削減できる点からもおすすめです。また、サーバーを立てる必要がなく、導入スピードが早いのも魅力です。ただし、自社仕様にカスタマイズしたいという場合は向いていません。
一方、オンプレミス型CRMツールの場合、自社サーバーにシステムを構築して社内ネットワーク内にて利用するため、カスタマイズ性が高いだけでなく、セキュリティリスクも抑えられます。しかし、その分システムの構築に時間を要し、導入コストもかさみます。
CRMの選び方・比較方法
CRMの選び方・比較方法は主に3つのポイントがあります。詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。
- 業務に必要な機能は搭載しているか
- セキュリティ対策・サポート体制は十分か
- トライアル・無料プランで操作性を試せるか
業務に必要な機能は搭載しているか
自社に必要な機能が搭載されているCRMを選ぶことが、何よりも重要です。例えば高度なデータ分析や顧客をセグメント分けする機能があると、個々の顧客に適切なタイミングでアプローチでき、マーケティング戦略の最適化が可能です。他にもタスク管理機能があれば、営業チームが効率的に進捗を把握でき、フォローアップを自動化できます。さらにメールやカレンダー、マーケティングツールなど他システムとスムーズな連携ができると、より業務効率を高めることができるでしょう、
セキュリティ対策・サポート体制は十分か
CRMに保管されている顧客情報は、企業の重要な資産です。そのためCRMを選ぶ際は、システムにしっかりとしたセキュリティ対策が施されているか確認しましょう。また、トラブル発生時に迅速に対応してくれるサポート体制も重要です。クラウド型CRMの場合、セキュリティ更新やデータ保護がプロバイダー側で管理されるため安心です。オンプレミス型の場合、自社での管理が必要となりますが、サポート契約をしっかり確認することが求められます。
トライアル・無料プランで操作性を試せるか
CRMは長期的に使用するツールであるため、実際に操作しやすいかどうかを試すことが重要です。多くのCRMは期間限定のトライアル、もしくは期間のない無料プランを提供しています。CRMを選ぶ際、無料で利用できる機会を活用して操作性を確認しましょう。特に他ツールとの連携のしやすさや、分析機能の実用性もこの段階でチェックできます。使いやすいシステムは、導入後の業務効率を大きく向上させる鍵となります。
まとめ:CRM(顧客管理システム)の導入で、顧客支援を効率化
本記事ではCRMの使い方や仕組み、機能など、基本的な知識を紹介すると共に、導入形態の違いや費用相場、メリット、選び方などを解説しました。CRMを導入することで、営業支援だけでなく、マーケティングやカスタマーサポートの業務効率化を図る環境を整えます。顧客データを一元管理し、パーソナライズされたアプローチや迅速な問い合わせ対応が可能になるため、顧客満足度の向上や業務全体の最適化が期待できるでしょう。
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