MAツール(マーケティングオートメーション)とは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説
企業のマーケティング活動で大きな課題となるのが、労力や時間がかかること。MAツール(マーケティングオートメーション)を導入して「マーケティング活動をより充実させたい」と思っている担当者も多いでしょう。MAツールの導入により、マーケティングの業務を自動化するだけでなく、社内に散逸した顧客情報を一元化することが可能です。
この記事では、MAツールとは何か、メリットやデメリット、選び方をわかりやすく解説しています。「マーケティング業務の工数を軽減したい」「効率よく見込み顧客情報を獲得したい」とお悩みの担当者は必見です。
- MAツール(マーケティングオートメーション)とは
- 企業がMAツールを導入する目的・背景
- MAツールでできること
- MAとSFA・CRMの違い
- MAツールのメリット
- MAツールのデメリット
- MAツールの選び方
- まとめ:MAツール(マーケティングオートメーション)に迷ったらPRONIアイミツへ
MAツール(マーケティングオートメーション)とは
MAツール(マーケティングオートメーション)は、マーケティング業務を自動化するツールです。リード(見込み顧客)の育成や顧客データの管理などを自動化することで、営業・マーケティング担当者の負担を軽減します。
企業がMAツールを導入する目的・背景
近年、インターネットやスマートフォン、デジタル技術の進化に伴い、消費者の行動や購買傾向も変化しています。消費者は製品・サービス購入前に、自らインターネットで商品情報や口コミなどの情報収集をします。このような消費者の行動を把握した上で、最適なタイミングで自社製品をアプローチする必要があります。
さらに下記統計データによると、コロナ禍の第一回緊急事態宣言(2020年4月)をきっかけに企業のMAツールの導入が急速に進みました。半年ごとに10%以上の伸張率で増加し、現在は3年前と比較すると導入企業数は2倍に増えたことが読み取れます。
出典:2023年5月国内63万社のMAツール実装調査を報告 ~コロナ前と比較して導入企業数は2倍~ | Nexal
デジタル化が急速に進展したコロナ禍において、オンラインでの見込み顧客獲得や購買へのアプローチが企業にとってより重要となったことが、近年MAツールを導入する企業が増加している背景と言えます。
MAツールでできること
MAツール(マーケティングオートメーション)は、効率的にマーケティング活動を行うための機能が多く備わっています。
見込み顧客の管理(リード管理)
MAツールは、見込み顧客の連絡先や興味・関心の分野、ウェブサイトの訪問履歴、ダウンロードした資料などの情報を一つのシステムに集約できます。営業担当者は顧客の状況や過去のやり取りを簡単に把握できるため、より効果的なアプローチが実現可能です。
また社内で顧客情報が重複したとしても、CRMやSFAとの連携で、重複データの削除・更新を自動的に実施。同じ顧客へのアプローチ重複や顧客放置による取りこぼしを防ぎます。また顧客を特定の基準でセグメント分けでき、個々のニーズにあうメール配信の提供も可能です。
見込み顧客の抽出・スコアリング(リードクオリフィケーション)
リードクオリフィケーションとは、顧客が購買に至るまでの過程での行動やデータを分析し、その情報を活用して最適な営業アプローチを行うことです。MAツールにより、製品ページへの訪問回数やダウンロードした資料から、見込み顧客の購買意欲や営業成功の可能性を評価できます。成約確度の高い顧客リストを営業担当と共有することで、効果的なアプローチを実現。最適なリードクオリフィケーションを実現するために、営業部門と連携し、より成約確度の高い見込み顧客を獲得する施策強化が求められます。
見込み顧客への適切なアプローチ(リードナーチャリング)
企業が自社の製品・サービスに興味を持つ見込み顧客を効果的に育成し、購買に至るまでのプロセスを最適化する取り組みを「リードナーチャリング」と言います。リードナーチャリングのポイントとしては、顧客とのコミュニケーションを継続的に行い、次の段階のアプローチに繋げることです。
MAツールの導入により、定期的なメール配信や個々の興味・関心に合わせたタイミングでメールを送れます。例えば顧客に必要な情報が載った資料(ホワイトペーパー)の提供や、開催セミナーの連絡など、ニーズのある顧客に一斉に届けることが可能です。最適なコンテンツを、適切なタイミングで提供することは、顧客の疑問や不安を解消し、受注へ寄与します。
マーケティング業務の自動化(オートメーション)
見込み顧客へのアプローチやマーケティング業務を自動化する機能は、最も皆さんがMAツールに対してイメージする特徴でしょう。
MAツールは例えば見込み顧客に月に1度メールを配信し、その後自社Webサイトに訪れた人だけにサービス案内のメールを送るといった設定も自動化できます。その他にも、フォームから申し込みがあると、完了メールの配信を自動化も可能です。マーケティング業務の自動化により、担当者がより戦略的な業務に集中できるようになります。
MAとSFA・CRMの違い
MAのツールについて調べていると、よく目にするのがSFAやCRMといったツール。どれも「企業のマーケティングや営業活動を効果的にサポートするツール」ではありますが、MA、SFA、CRMはそれぞれ異なる機能を持ちます。これらの違いと目的について、以下で解説します。
MA(Marketing Automation)
- 目的:マーケティング活動の効率化・効果向上
- 機能:メール配信、Webサイト分析、リング内訳データ管理など
- 適用:BtoB, BtoC 共通
- 特徴:顧客の興味や購買履歴に基づく適切なコンテンツの提供や、施策の自動化・セグメント化を実現。最適なタイミングでリードを営業に獲得できる
SFA (Sales Force Automation)
- 目的:営業活動の効率化・見込み顧客の管理
- 機能:商談管理、顧客情報管理、営業KPI分析など
- 適用:BtoB
- 特徴:営業担当者が顧客情報を一元管理することで、提案やフォローアップを効率化。また、営業リソースの最適化に役立つ
CRM (Customer Relationship Management)
- 目的:顧客との長期的な良好な関係の構築・維持
- 機能:顧客データベースの管理、コミュニケーション履歴の追跡など
- 適用:BtoB, BtoC 共通
- 特徴:顧客のニーズに合わせたサービスや製品を提供し、リアルタイムで顧客の反響や状況を把握できる
それぞれのツールは目的や機能が異なりますが、連携して使用することで、企業のマーケティングや営業活動をより効果的に行うことができます。自社の課題や目的に合わせて、最適なツールを選定・活用しましょう。
MAツールのメリット
MAツール導入により企業は効率的な営業活動を実現できます。具体的なメリットは以下の通りです。
マーケティング業務の工数軽減
従来担当者によって手作業で行われていた様々なマーケティング業務を自動化することで、より効率的に施策に取り組むことが可能となります。担当者の工数削減は、自社の製品やサービスの最適化、新たな顧客獲得への取り組み施策の強化に寄与します。
属人化を防ぐ営業組織づくり
営業担当者が見込み顧客に直接訪問・開拓していく従来の営業スタイルは、成果が担当者によって大きく変化するため、顧客へのアプローチの質や効果が一定ではありません。また営業担当者が退職をした場合、社内での情報共有も不十分だと、その知識や経験が失われるリスクが高くなります。
一方MAツールは事前に成約確度の高い見込み顧客を抽出し、営業担当者に共有するため手腕の違いが生まれにくく、営業の質を一定にできます。また、アフターフォローや商談の進め方を共有することで、チーム全体の顧客対応力やサポート力の向上も実現可能です。MAツールにより企業は営業の属人化を克服し、時代に適応した効果的な営業活動を展開できるようになります。
見込み顧客の取りこぼしを防ぐ
「顧客へのアプローチが適切なタイミングでできていない」「顧客の興味・潜在ニーズを満たせていない」などが理由で、見込み顧客の取りこぼしが発生することがあります。MAツールにより最適なタイミングでメールを配信したり、顧客情報や購買履歴をもとに個別のニーズに沿ったコンテンツを提供することで、顧客とのエンゲージメント強化が可能です。
高度な分析でより確度の高い顧客を抽出
MAツールでは、過去の購買履歴やウェブサイトの閲覧履歴、メールの開封率などを総合的に分析することで、現在のニーズに合致した顧客リストを作成できます。顧客リストにより効果的なアプローチを行うことで、成約の可能性を高めます。また高度な分析を駆使することで、人員リソースを最適に配分し、効率的な営業活動を実現します。
MAツールのデメリット
MAツールはメリットが多いですが、一方で以下のようなデメリットもあります。メリットだけでなくデメリットも把握した上で、導入を検討することが大切です。
効果が出るまでに時間・費用がかかる
MAツールはまず、さまざまな機能や設定を熟知し、最適な方法で運用する必要があるため導入の検討や準備に時間をかけなければなりません。またツールをうまく活用するために必要な、十分な見込み顧客のデータ収集や分析にも時間を要します。
また、顧客に提供するコンテンツ準備も手間や費用がかかります短期的な効果を期待するのではなく、中長期的な計画を立ててMAツール導入を検討しましょう。
運用する人材の確保が必要
MAツールの適切な設定や活用方法を理解するためには、専門的な知識やスキルが求められます。具体的には、事例や分析データをもとに施策を選定する能力や、チーム内外で効果的にコミュニケーションを取るスキルなどが重要です。またMAツールの導入後も、システムのアップデートや機能追加が定期的に行われるため常に最新の情報にアップデートしなければなりません。
したがって、自社内で運用できる適切なスキルを持った人材の確保が重要です。自社にMAツール運用担当者がいれば、より効果的に活用し、企業の目標達成に繋げられるでしょう。
全てを自動化できるわけではない
自社のマーケティング戦略を立案する際には、さまざまな情報やデータを比較検討するだけでなく、課題を把握し、最適なアプローチの選定が重要です。これらは担当者の知識や経験に頼って行うものであり、自動化できません。
また外部のリソースや専門家のサポートが必要な場合のコミュニケーションはも、MAツールで自動化できるものではありません。他にもマーケティング施策の効果測定やKPIの確認、データ分析を通じた改善点の抽出などは、MAツールを活用しつつも人間が主体となって分析し、次のアプローチに繋げる必要があります。MAツールの適切な運用と共に、人間の役割を見失わないようにすることが求められるでしょう。
MAツールの選び方
MAツール(マーケティングオートメーション)のメリットデメリットを踏まえて、ツールを選ぶポイントを解説します。
MAツールの初期費用・月額料金相場
料金項目 | 費用相場 |
---|---|
初期費用 | 無料〜十数万円 |
月額料金 | 十万円前後 |
MAツールは月額の運用費だけでなく、初期導入や運用コンサルティング、オプション追加など、多岐にわたる費用が発生することも。初期費用とは「ライセンス費用」や「セットアップ費用」など、MAツール自体にかかる費用のこと。初期費用が無料のツールもあれば数十万円近くかかる場合もありますが、おおよその費用相場は十数万円台です。
月額料金は、MAツールの運用や管理にかかる費用のことです。費用相場としては十万円前後ですが、高額なツールだと数十万円から百万円程度かかるツールも。またプランごとに使える機能が違っていたり、自社の見込み顧客数やサイトのPV数などに応じて請求料金が変化する「従量課金形式」のツールも多く存在します。
自社で利用したい機能があるかどうか、公式サイトで確認したり相見積もりを取って比較するのがおすすめです。
BtoB向け・BtoC向けMAツールの機能の違い
MAツールは主に、BtoB向けとBtoC向けの二種類に分けられます。
BtoB/BtoC | 取引額 | 意思決定者 | 取引期間 |
BtoB向けツール | 高額なことが多い | 複数(組織) | 長い |
BtoC向けツール | 少額なことが多い | 少数(主に個人) | 短い |
BtoB企業向けMAツール
BtoB向けは、取引額が高額かつ意思決定者が複数いるため、取引期間が長くなる傾向にあります。そのため、「顧客を長くフォローできる」「社内で案件の進捗を共有できる」MAツールがおすすめです。
例えばCRMやSFAツールと連携して一元管理した顧客情報を、属性や流入経路によりセグメント分け。データ分析・抽出した成約確度の高い顧客を営業へ共有できます。またダッシュボードで案件の進捗具合を共有できるため、効率的な施策の実行かつ属人化を防ぐ組織実現が可能となります。
BtoC企業向けMAツール
BtoC向けは、取引額が少額かつ契約までの期間も短いことが大半です。想定顧客数は多い傾向にあるため「データ管理数が多く、販売促進に強いMAツール」がおすすめです。
例えば顧客の購買履歴やWebサイトでの行動を分析することにより、個々の興味に応じたコンテンツ配信が可能となります。また、Email、SNS、広告などさまざまなチャネルを通じた顧客とのコミュニケーションで、購買意欲を高めることができます。自社で取り扱うサービス・製品がBtoBかBtoCかを見極めて候補を選びましょう。
既存ツールと連携可能
すでに使用しているツールとMAツールが連携可能かを確認することも重要です。MAツールとCRM(顧客関係管理)・SFA(営業支援)間で顧客データを共有することで、データの重複や矛盾を排除し、顧客管理を効率化できます。また分析データを営業に提供することで、マーケティングと営業の連携が強化されます。ツール間のシームレスな連携は、結果的に組織全体での業務効率向上や属人化を防ぐ組織作りを実現します。
使いやすさ・操作性
MAツールを使用するには、マーケティング知識やツール運用のノウハウを持った人員の確保が必要です。十分な人員確保が難しい場合は特に、シンプルな操作性の使いやすいツールがおすすめです。例えば見やすく操作しやすいUI画面、コーディング知識が不要な洗練されたメルマガ作成機能、充実したテンプレートと簡単な操作性のLP・Webサイト作成フォームなど、誰でも簡単に使えるといいでしょう。公式サイトにデモ・トライアルシステムの案内があるかを確認したり、無料・お試しプランがある場合は試したりすることをおすすめします。
提供企業のサポート
格安のMAツールは、サポート体制が整っていないことがあります。また、海外製品は日本語のサポートが未対応なことも。導入・運用中に問題が発生した場合、解決まで時間がかかることが想定されるため、特に初めてMAツールを導入する企業は、導入サポートが手厚いツールを選ぶのがおすすめです。
またどうしても多くの人員を確保・育成することが難しい場合、MAツール運用代行を利用するのも手です。マーケティングやMAツールの専門知識を持ったエキスパートに業務を委託できるため、最新のトレンドを意識しながら最適な運用を短期間で実現できます。
同規模かつ同業種の競合他社の導入実績
自社と同規模かつ同業種である企業の導入実績があることも重要な判断ポイントの一つです。競合他社の導入実績を参考にすることで、業界特有の課題や顧客ニーズに適した機能を持つMAツールを把握できます。自社の規模・業種に合う最適なプランや費用を検討しやすくなるでしょう。
まとめ:MAツール(マーケティングオートメーション)に迷ったらPRONIアイミツへ
マーケティングオートメーションツールとは、企業が行うさまざまなマーケティング活動を効率化し、顧客とのコミュニケーションを自動化するためのツールです。最適なMAツールを選定するためには、自社のニーズや業務内容を十分に検討した上で、比較検討を行うことが重要です。また、導入後は、定期的な運用方法の見直しや効果測定を行い、改善を進めることが成功への鍵となります。
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