代休と振休の違いとは?注意点やを法律違反になるケースを徹底解説【2024年最新版】
代休と振休に関しては、休日に仕事をした代わりに勤務予定だった日に休みを取るという意味では同じですが、労務管理上の取り扱いは異なります。管理の仕方を間違えると、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。振休と代休の違いを確認した上で、労働基準法に正しく準拠した勤怠管理をしていくための運用方法について確認していきましょう。
代休と振休の違いは?
まず初めに、代休と振休はそれぞれどのように定義されているのかをご紹介します。申請のタイミングや賃金の計算方法が異なるため、労務管理上は別のものとして管理する必要がある点を把握しておきましょう。
振休(振替休日)の定義
振休(振替休日)は「休日の振り替え」をするという意味を持ちます。あらかじめ休日と定められていた日を労働日として、その代わりに他の労働日を休日とすることです。もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならないという点がポイントです。そのため、割増賃金も発生しません。なお振休を取得しない場合、会社が定めた休日の日数を消化できないため、必ず取得させる必要があります。
代休の定義
代休とは、休日労働が行われた際にその代償として以後の特定の労働日を休みとするものです。休日を振り替えたことにはならず休日出勤をしたということになるため、経営者は休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。あらかじめ振休取得の申請をせず休日に仕事をした場合、振休は認められていないため、代休を選択する必要があります。代休は必ず取らなければならないものではありませんが、法定休日の日数に満たないような状況になると労働基準法に抵触する点には注意が必要です。なお割増賃金を支払わない場合も同様に問題になるため、正しく管理する必要があるでしょう。
代休と振休は具体的に何が違う?
代休と振休の具体的な違いを整理しましょう。振休は簡単に言うと「休むはずだった日」と「勤務するはずだった日」を事前に交換するものです。この勤務するはずだった日に、代わりに休みを取るのが「振休」です。振休を取得するために大切なこととして、事前に振替日を決定しておく必要があるという点が挙げられます。先に休日出勤をしてしまった場合は、振休ではなく代休を取得するしかありません。
一方で、代休を取得する場合は休みの日に働いたことになるため、35%以上の休日手当の支払いが必要です。代休と振休は似たようなものに見えますが、賃金の計算方法が異なることをしっかりと把握しておくことが大切といえます。
振休の注意点やトラブル
振休を導入する際には後々トラブルにならないよう、しっかりと準備をしておくことが大切です。以下で振休についての注意点をご紹介します。
振休に関する規定を定める
振休の制度を導入するためには、まず社内規定に振休のルールを記載する必要があります。休日出勤と振休取得のルールを作り、社内に浸透させることが大切です。なお振休には必ず事前申請が必要であることを認識しないまま休日出勤をした場合、振休ではなく代休として処理しなければなりません。また厚生労働省が発行している「労働基準法のあらまし」には、振休制度の導入要件として就業規則に振休の規定を設けるよう明記されています。
週の労働時間を超える振替は割増賃金が必要
振休は休日を別の日に変更するだけのため、手当は発生しないと前述しましたが例外もあります。週をまたいで労働日を振り替えたときは、代休と同様に時間外手当として割増賃金が発生する可能性があることを覚えておきましょう。これは労働基準法32条と37条の「1日8時間、週40時間以上の労働を行ったとき、25%の割増賃金を支払う義務がある」によるものです。
振休を申請する社員に計算させるのは難しいこともあるため、申請を受けて給与計算を行う側が認識しておく必要があるでしょう。
振休の取得期限を決めておく
振休は同一賃金支払期間内で付与することが一般的です。給料の締め日を過ぎないよう、振替対象の休日を取得させるようにルール決めをしておきましょう。労働基準法第24条には「賃金全額払いの原則」という記載があります。これは「所定支払日に支払うことが確定している全額を支払わなければならない」とする原則のことを指します。
例えば、締め日が月末の会社で考えてみましょう。3月30日の土曜日に休日出勤をし、代わりに4月1日に休みをとるとした場合、3月分の給与計算には振休が含まれません。この場合はいったん休日出勤に対する給与を支払い、4月分で振休を取得した分を控除する必要があります。手続きが煩雑になってしまうため、取得期限のルールをあらかじめ定めておくことが大切です。
振休は同一週に確保
締め日をまたいだ取得にならなくても、法定労働時間である週40時間を超過してしまう可能性が高くなるため、振休は同一週に確保するよう決めておきましょう。月曜から金曜まで通常勤務した社員が、土曜日に休日出勤して翌週の平日に振休を取得する場合、前述したように時間外の割増賃金が発生します。さらに時間外労働を行うために必須とされる「36協定」の締結と申請も必要です。単純に休日仕事をして、代わりに平日に休むということはできないことを覚えておきましょう。
有給休暇と扱いが異なる
勤務日であるはずの日に休みを取るという意味では有給休暇に似ていますが、労務管理上の扱いは異なります。有給休暇とは、文字通り給料が発生する休暇です。労働基準法で定められており、6ヵ月間継続勤務していること、ならびに6ヵ月間の全労働日の8割以上出勤していることが条件です。これらの条件を満たす労働者に有給休暇が与えられます。
なお付与日数は、雇用形態や勤務年数によって異なります。また企業は年間10日以上の有給休暇がある労働者に対して、年に5日以上取得させることが義務付けられていることも覚えておきましょう。
代休の注意点やトラブル
代休は事前に休日を決める必要がないため従業員に任せてしまうことが多いですが、どの休日出勤に対してどの代休が紐づいているのかなど、管理をしっかりと行う必要があります。なお代休取得に関しては、以下のような場合にトラブルへと発展する可能性があるため注意しましょう。
なお以下の記事では勤怠管理システムについて紹介しているため、こちらもぜひご覧ください。
関連記事:勤怠管理システムを価格や機能で徹底比較!
代休に関する規定を明確化する
振休・代休ともに、従業員に対して運用ルールを浸透させるのは簡単なことではありません。労務担当者も、従業員一人一人の休日出勤や代休取得状況を把握することは、難しいといえるでしょう。あらかじめルールを細かく設定し、就業規則によって明確化しておくことが大切です。
振休は同一週の取得が推奨されていますが、代休についても1週間から1ヵ月以内に取得させることが望ましいといえます。また割増賃金の支払いについても、締め日に合わせてどのように処理するのかを明らかにしておきましょう。
従業員の欠勤時に無断で代休へは変更できない
代休と有給休暇を比較すると、代休は「休日出勤に対する割増賃金のみを支払う」のに対し、有給休暇は1日分の賃金を支払うことです。企業側からすると、未取得の代休がある場合は有給休暇ではなく代休として処理したくなるところでしょう。ただし、従業員の合意なく勝手に代休として処理することはできません。
また有給休暇の取得についても、従業員の合意が必要です。従業員からの申請や合意の手順が明確になっていないと、労務担当者が都度本人に確認をすることになります。事務手続きが煩雑になり時間もかかることが予想できるでしょう。勤怠管理や給与計算については、ツールによる自動化などによって効率的に運用できるような仕組み作りも大切といえます。
代休と振休に関して法律違反になるケース
休日出勤に伴う代休・振休には、さまざまなルールや制限があることが分かりました。ここでは、違反になるケースについてご紹介します。
割増賃金を支払わない
法定休日に仕事をさせた場合、会社は労働者に対して35%の割増賃金を支払う必要がありますが、代休を取得した場合は、割増分以外の賃金は発生しません。例えば、日給が1万円の場合、休日出勤をした日の日給は1万3,500円です。一方で、代休を取得した場合は、休日出勤に対して支払う額は3,500円になるということです。また振休は休日を別の日に振り替えるだけのため、割増賃金の支払いは基本的に発生しません。しかし、週をまたいで振休を取得した場合には、25%の割増賃金(時間外手当)が発生します。このことを見過ごしてしまい、後から違反だと発覚するケースもあるため、注意しましょう。
代休の未消化が累積する
代休は事前に休日の振替日を決めていないため、時間が経つと本人も忘れてしまったり、繁忙期などで代休が取得できず未消化のまま累積してしまったりすることがあります。代休を取得させないまま放置すると、年間休日の日数が足りなくなる恐れがあります。また休日出勤をした月の翌月以降に代休が持ち越される場合、本来は休日出勤をした日に対する割増賃金を含めた賃金を支払う必要がありますが、代休取得を見越して割増分しか支払っていない場合、賃金未払いにもつながってしまうでしょう。さらに管理がずさんだと、割増賃金さえ支払われないことも考えられます。このようなケースは労働基準法や労使協定などに抵触し、後々大きなトラブルになる可能性があるため注意が必要です。
振休・代休申請の管理は勤怠監理システムを活用
振休や代休の管理は非常に煩雑です。Excelを使って手作業で行っていると、手間がかかってしまうでしょう。ミスがあれば法律違反にもつながるため、管理体制は整えておきたいところです、適切に管理するためにも勤怠管理システムの導入をおすすめします。以下で勤怠管理システムについてご紹介します。
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムのメリットは、あらかじめ設定したルールに基づいて自動的に制限をかけたり、アラートを発信してくれたりするところです。制限やアラートがあることで、抜け漏れを防止できます。また法律が変わったような場合にも迅速に対応できる点もメリットの一つです。新人の担当者でもミスなく運用していけるでしょう。
テレワークによって働き方が多様化している昨今、以前よりも勤怠管理が煩雑になっています。場所を問わず、インターネット経由で利用できるクラウドサービスも数多く普及しており、そういったシステムを導入する企業も増加しています。システム化によって人事・労務担当者の負担が大幅に軽減される点は、企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムを選ぶポイントはいくつかあります。まず自社内にサーバを置いて運用する「オンプレミス型」か「クラウドサービス」かを決めましょう。既存の会計システムとの連携させて、自由にカスタマイズしたいのであればオンプレミス型がおすすめです。一方で、導入コストをかけずに比較的すぐに運用を開始したいのであればクラウドサービスがおすすめといえます。無料トライアルを実施しているものもあるため、気になった際は利用してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、代休と振休の違いについて詳しくご紹介しました。代休とは、休日労働が行われた際にその代わりとして特定の労働日を休みとするものです。対して、振休はあらかじめ休日と定められていた日を労働日として、その代わりに他の日の労働日を休日にすることを指します。間違えないようにするためにも、両者の違いについてはしっかりと押さえておきましょう
なお代休と振休に関するミスをなくすためには、管理ソフトを導入して業務の効率化を図ることが大切といえます。ただし、管理ソフトの種類の数は膨大です。どれが自社に合っているのかを判断するのは簡単なことではないでしょう。そういった際にはPRONIアイミツの活用をおすすめします。PRONIアイミツをうまく活用すれば、自社に適したものを見つけて、業務効率化につなげられるでしょう。
また以下の記事ではおすすめの会計ソフトならびに勤怠管理アプリを紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
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