時間外労働で損をしていませんか?よくある問題と対処法を紹介
働き方改革が進められている昨今、2019年4月からは時間外労働の上限が設けられ、エンドレスの残業は法律で認められなくなります。しかし、労働形態が多様化するなか、時間外労働の計算はそれほど簡単ではありません。そもそも労働時間の管理が曖昧になっていることもあれば、本来受け取れるはずの手当をもらえていない方もいることでしょう。
今回は日常的に残業が多い方、現状の手当に疑問のある方、制度を正しく活用したい経営者の方に向けて、時間外労働のよくある問題点と対処方法を紹介します。
時間外労働とは
時間外労働とは法定労働時間(1日8時間、1週間40時間以内)を超えて働いた時間のことです。実は残業には2種類あり、1つは「法内残業」、もう1つが「時間外労働」であり、この2つは取り扱いが異なります。
一般的に会社で定めた労働時間を超えて働くこと=時間外労働と思われがちですが、法定労働時間を超えていない場合は「法内残業」であり「時間外労働」とはなりません。
時間外労働とはあくまでも法律上の概念であり、法定労働時間を超えた場合は時間外労働手当をつけなければなりませんが、法定労働時間内であれば手当をつけるかどうかは会社の自由です。例えば、会社によっては労働時間が7時間のこともありますが、1時間余分に働いても1日8時間の法定労働時間は超えていないので、1時間分の労働賃金を払う必要はありますが、時間外労働手当をつける義務はありません。しかし、就業規則により手当てがつくことはあります。
労働時間については、会社は法定労働時間の範囲内で任意に定めることができます。しかし、1日8時間、1週間40時間以内であればいつでも自由に働かせられる、ということになると労働者の生活は不安定になります。そのため、会社ごとに就業規則で出退勤時刻を定めており、それを「所定労働時間(定時)」と言います。所定労働時間は法定労働時間を超えて設定することはできません。また労働時間が1週間40時間以内でも、1日に8時間を超えた場合は時間外労働の扱いになります。
固定残業との違い
さきほど法定労働時間を超えた分が時間外労働である、というお話をしましたが、少々ややこしいのが残業と時間外労働との関係です。
1日8時間、1週間40時間の法廷労働時間のうち、会社が指定する勤務時間が所定労働時間=定時であり、一般的にその範囲を超える場合は「定時+残業」で業務を遂行します。定時が1日8時間の場合は法定労働時間と合致するので、残業=時間外労働をしたことになります。しかし、定時が1日7時間であれば1時間までの残業は時間外労働として扱われることはありません。
ここで問題になるのが、固定残業時間制度を適用している場合です。固定残業制度は一定時間までの残業代が給与に組み込まれているので、いくら働いても時間外労働として扱われないのではないか、と思われがちですがこれは誤解です。
時間外労働は定時関係なく、法定労働時間外での作業を指すので、固定残業時間が法定労働時間を超える場合は超過分を時間外労働として取り扱われなければなりません。また、固定残業時間が法定労働時間内であっても、実労働時間が超過していたら同じく時間外労働として手当を払う義務があります。
ブラック企業の中には固定残業制度を悪用し、どんなに働いても時間外労働手当を出さない口実としているところもありますが、いくら働かせても良い制度ということではないので、従業員側も制度について知識を持つことが必要です。
時間外労働の計測方法【具体例】
時間外労働の計測方法について解説します。
法定労働時間は1日最大8時間、1週間合計40時間以内で、この範囲を超えた部分が時間外労働に当たります。
具体例1…月曜~木曜が7時間労働、金・土曜に6時間働いた場合
このケースは1日8時間および1週間40時間は超えていないので時間外労働とはなりません。土日は時間外労働というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、労働日は必ずしも月~金でなくてもOKです。ただし、週に1日は休みをとることは義務付けられていますので、週7日勤務とするのはNGです。
具体例2…月曜日に12時間、火~金曜日に7時間働いた場合
このケースは1週間の総労働時間は40時間以内ですが、月曜日は8時間を超えて働いているので4時間が時間外労働となります。
具体例3…月~土曜まで6日間、1日あたり7時間働いた場合は?
このケースは1日の労働時間は8時間以内ですが、一週間の総労働時間が6×7時間=42時間なので2時間が時間外労働に当たります。
時間外労働のカウントは所定労働時間と関係ないので、あくまでも労働時間が法定労働時間の枠内か否かで測るのが基本です。
時間外労働の定義が異なる場合もある
基本的に労働時間が法定労働時間を超えた場合は時間外労働手当を支払わなければなりません。
しかし、業務によっては時期によって繁忙期、閑散期の別れることもあります。その際、忙しい時期に全従業員の残業代を全て支払うのは企業にとっても大きな負担です。
その場合は労働時間を1日単位でなく、月単位、年単位でカウントし、繁忙期に多く働いても、労働時間が月、年単位で法定労働時間を超えなければ時間外労働には当たらない変形労働時間制を導入します。これにより企業は残業コストを抑えることができます。
変形労働時間制は、お客様商売などである特定の季節だけ忙しいという場合によく使われます。また、2018年には自民党部会が教員に変形労働時間制の導入を提言し、夏休みに長期休暇をとることで長時間労働を抑制する中間提言をまとめています。
時間外労働の種類による割増賃金
労働者が時間外労働をした場合は、企業はその従業員に対し割増賃金を支払う必要があります。時間外労働手当は一律ではなく、時間帯によっても割増率が異なります。ここでは時間外労働の種類ごとの賃金の内訳を解説します。
時間外労働
法定労働時間を超えて働く場合、普通の残業は1.25倍の割増賃金を払う必要があります。また、残業でなくても夜22時から翌朝5時までの深夜労働については1.25倍の割増賃金を払わなければなりません。さらに時間外労働かつ深夜労働の場合は1.5倍の手当てを支払う必要があります。
・時間外労働=1.25倍
・深夜労働(22時~翌5時)=1.25倍
・時間外労働かつ深夜労働=1.5倍
例えば所定労働時間が9時~18時(休憩1時間)の会社で、朝9時~夜24時まで働いた場合、1日の法定労働時間は8時間なので、この会社の場合は18時以降に働くと時間外手当の支払いの対象となります。仮に時給1000円で働いていたとすると、18時までは時給1,000円、18時以降の時給は1.25倍となるので、22時までの4時間は1000円×1.25=時給1250円です。さらに夜22時~24時までは、時間外かつ深夜労働として1.5倍の手当がつくので、1000円×1.5=時給1500円となります。
休日出勤
休日出勤については、会社の休日か法定休日かでも扱いが異なります。
・会社の休日
・法定休日
会社の休日の場合は1.25倍の割増賃金を支払う必要があります。休日深夜労働も同じく1.25倍です。
一方、法定休日の場合は1.35倍、法定休日かつ深夜労働の場合は1.6倍の手当てを付けなければなりません。ただし、法定休日には法定労働時間が存在しないので、時間外労働の手当は発生しません。
これは法律で定めた手当の基準であり、就業規則や雇用契約で休日手当等の定めがあり、その規定が法定割増率を上回る場合には、会社が独自に定めた割増率が適用されます。会社が決めた割増率が法定割増率を下回る場合には無効になり、その場合は法定割増率が適用されます。
月に60時間以上の残業
月に60時間以上の残業をする場合は、時間外労働の割増率が1.5倍になります。さらに60時間以上の残業が深夜に及ぶ場合は1.75倍の割増が適用されます。
例えば時給1000円で働いている人が、月の法定労働時間160時間を超えて、1ヶ月230時間働いたとします。この場合、法定労働時間を超えるのは70時間で、月の残業時間は60時間を超えています。この場合の時間外労働手当の算出方法は
残業60時間まで時給1250円、残り10時間は時給1500円となるので、トータルの残業代を計算すると
60時間×1250円+10時間×1500円=90,000円
となります。なお、残業60時間以上は手当1.5倍というルールは、これまで大企業だけに適用されてきましたが、働き方改革関連法で労働基準法附則第138条が削除されたことにより、今後は中小企業にも適用されることになります。ただし、中小企業については2023年4月1日以降の適用となります。
時間外労働が認められる条件
時間外労働をさせる場合は残業手当をつけなければなりませんが、賃金を払えば無制限に働かせて良い訳ではありません。時間外労働にも法律上の上限があり、それを超えて設定することはできません。ここでは時間外労働の基準を定めた36協定の内容と、例外について解説します。
36協定に基づく時間外労働の基準
労働者に時間外労働をさせる場合は、企業が好き勝手に命令をすることはできません。法定労働時間を超えて働かせる場合、休日労働をさせる場合は、労使間で予め書面で協定を結ぶことが義務付けられています。労働基準法36条で規定をされていることから「36協定」と言われているのはご存知の通りです。
また36協定は書面にして労働基準監督署に提出しなければなりません。届出をせずに時間外労働をさせた場合は、労働基準法違反となります。
36協定についても、労使間で合意すれば何時間でも働かせられる訳ではなく、法律で期間ごと時間外労働の上限が次の通りに定められています。(カッコ内は変形労働時間制の場合の上限)
1ヶ月…45時間(42時間)
2ヶ月…81時間(75時間)
3ヶ月…120時間(110時間)
1年…360時間(320時間)
時間外労働をさせる場合は、原則上記上限の範囲内で協定を結ばなければなりません。上限を超えて労基署に届出を出すと厳しく指導されるので注意が必要です。
それ以上の労働が必要な場合
36協定を締結すれば、労働者に一定時間まで時間外労働をさせることができますが、仕事量は常に一定ではありません。業種によっては急な受注量の増加、イベント制作、システム改修などで、一時的に時間外労働の上限を超えて働かないと業務が間に合わない、取引先に迷惑がかかる、ということもあるでしょう。
その場合には「特別条項付きの36協定」を労基署に提出することで、時間外労働の上限を超えて延長労働させることができます。その場合は、36協定の余白に但し書きとして、時間外労働の上限を超える労働についての理由、延長時間、手当について明記する必要があります。
特別条項付き36協定を活用する条件
「特別条項付き36協定」は会社が忙しければ無制限に活用できる制度ではありません。活用するときには次の3つの条件をクリアすることが求められます。
・特別条項による上限拡大は年6回が限度
特別条項は緊急事態に対処するための特例措置なので、常に適用することはできません。適用できるのは年に最大で6回まで。期間は半年を超えると例外措置ではなくなってしまうからです。
・特別の事情があるときのみ適用可
特別条項付き36協定は、何となくあった方が会社に有利だからという程度で適用することはできません。特別条項を適用しないと会社が存続できない、業務遂行ができない、緊急事態のみ適用できる制度です。特別条項つきの36協定書の但し書きには具体的な事例を明記する必要があります。
・過労死ラインは常に意識する
特別条項は会社の緊急事態であれば無制限の残業を認める制度ではありません。企業が労働時間の設定をする際は常に過労死ラインを意識し、従業員の健康管理をする安全配慮義務があります。
時間外労働の計算を複雑化する多様な働き方の制度
通常労働における時間外労働の計算はそれほど複雑なものではありません。しかし、多様な働き方が普及するにつれ、時間外労働の計算も複雑化しています。
これから取り上げる5つの制度はその典型で、改めて制度ごとに正しく計算すると、実は今まで損していたことに気づくかもしれません。ぜひこの機会に見直してみてください。
固定残業代(みなし残業代)制度
固定残業代制度は、毎月一定の時間残業をするもの見越して、予め固定給に残業代を含めて支給する制度です。
固定残業代だといくら働いても時間外労働は発生しないのではないか、と思われがちですが、決してそんなことはありません。
時間外労働はあくまでも法定労働時間を超えた分なので、みなし残業時間が法定労働時間を超えていれば時間外労働手当(1.25倍)をつけて支給する必要があります。また、みなし残業時間の上限を超えた場合は、さらに追加で残業代を支払わなければなりません。残業が60時間を超えた場合は1.5倍の手当てを付けなければなりません。
会社が労働者に時間外労働をさせる場合は、36協定を締結しても、月の残業時間は最大でも45時間までと決められています。特別条項を付帯することで臨時的に45時間以上残業することも認められますが、みなし残業時間は45時間以内に設定されるのが原則です。45時間を超えて働いた分については当然時間外手当の支払い対象となります。
変形時間労働制
変形労働時間制は繁忙期と閑散期に別れる業界で、年単位、月単位で労働時間を調節できる働き方です。変形労働時間制をとる場合は、繁忙期に労働時間が法律の上限を超えても、時間外労働手当を払う必要はありませんが、月単位、年単位で調整しても法律の上限を超える場合は、時間外労働手当を払わなければなりません。
変形労働時間制をとる場合、月単位、年単位で法定労働時間を超えて労働時間を定めることはできません。月単位の場合は就業規則にその旨を明記すればOKですが、年単位で制度を採用する場合は、労使合意が必要であり、労働基準監督署にも届出をする必要があります。
裁量労働制
裁量労働制は実際の労働時間に関わらず、一定の時間働いたとみなす制度で、研究者、技術者、デザイナーなど労働時間と成果が比例しない職業で導入が進められています。裁量労働制は労働時間の設定、業務の遂行方法は労働者に委ねられるため、いつどのように働いても良いのですが、何時間でも働かせられる制度ではありません。
裁量労働制には「みなし時間」があり、労働基準法の範囲で設定する必要があります。みなし時間が法定労働時間を超える場合、残業代を払う義務はあり、実労働時間がみなし時間を大幅に超える場合は、労使間で協議する必要があります。そのような場合は固定残業代をプラスして対応することが多いでしょう。
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度は従業員が出退勤時刻を任意に決められる制度です。出退勤時刻の決定を従業員に全面的に委ねることが条件で、フレックスタイム制度にも拘わらず「明日は9時に必ず出勤して」と指示をだすことはできません。
ただし、フレックスタイム制度には必ず出社する義務のあるコアタイムを設定することができます。コアタイムはフレックスタイムの間に設定されるのが条件で、11時~15時がコアタイムであれば、11時までと15時以降がフレックスタイムとなります。従業員が自由に出退勤できるのはフレックスタイムの範囲のみで、コアタイムの間は勝手に家に帰ることはできません。
フレックスタイム制度は従業員が様々な時間に働いているので、誰が何時間働いているのか管理しにくく、時間外労働の計算も複雑になるのが難点です。
年俸制
年棒制は1年間の業績に対して給与を払う制度です。年棒制というとプロ野球選手や一部のホワイトカラーなど特殊な世界で高額所得を得ている人たちの制度というイメージが強く、残業代はでないのではないか、と思われがちです。しかし、それは間違いです。年棒制でも残業代については別途受け取ることができます。時間外労働手当は法定労働時間を超えたら払う義務があり、年棒制だから労働時間を把握しなくても良い、ということはありません。
しかし、年棒制で裁量労働制をとっている場合は、みなし時間分の給与が年棒に含まれているので、必ずしも法定労働時間を超えて働いた分の給与を別途受け取れるということはありません。しかし、みなし時間を超えた分については年棒制でも時間外労働手当を支給する必要があります。
悪質な企業の手口
みなし残業、変形時間労働制、裁量労働制、フレックス、年棒など、比較的自由に働ける労働スタイルはメリットもたくさんありますが、制度を悪用する企業もあるので要注意です。従業員の知識のなさに付け込んで、残業代を払わずタダ働きをさせる口実にしていることもあります。最後に、多様な働き方を悪用している例をとりあげるので、こうした場面に直面した場合はすぐに労働基準監督署か弁護士に相談をしてください。
サービス残業
多様な労働形態は労働効率を高める効果がある一方で、サービス残業の温床となると指摘されています。
・みなし残業の処理が不適切
労働時間があいまいになりがちな「みなし残業」では、時間外労働のカウントが曖昧になりがちです。みなし残業は実労働時間が固定残業時間の上限以下でも決まった残業代が入るので、本来は労働者にとって有利な制度です。しかし、僅かな固定残業代で山ほどサービス残業させる企業は多く、冷静に計算をすると時間外労働手当がつくどころか、最低賃金も下回っているケースも少なくありません。
定時で働く会社でも次の手口でサービス残業をさせることがあります。
・残業の記録をさせない
通常定時で働く会社の場合、時間外労働の算出も簡単なので、残業手当の支払いを巡ってトラブルになさそうに思えますが、そもそも残業の記録ができないような仕組みにして、残業代を支払わないケースもあります。
・朝残業/持ち帰りをさせる
残業は定時後とは限らず、朝早出をして働くのも残業に当たりますが、朝はサービス残業になりやすいので要注意です。また、自宅に仕事を持ち帰らせて働くのもグレーゾーンで、内容によってはサービス残業と認定されます。
様々な働制の抜け穴の悪用
・裁量労働制を悪用
裁量労働制は仕事をする時間、進め方を労働者に委ねることで、労働効率を高めるための労働形態です。しかし、裁量労働制を「定額働かせ放題」の口実にするために制度導入をしている企業も多く、裁量労働制の対象外の業務でも適用している企業もあり、こうした負の面は社会問題にもなっています。
・みなし残業制度を悪用
みなし残業制度は実労働時間が固定残業の上限以下の場合、固定残業代が貰える制度ですが、上限を超えても固定残業代以上の支払いをしない会社もあります。また、上限一杯働かないと固定残業代を払わない会社もあります。こうした振る舞いは完全に違法ですが、会社のルールとして従わされることも多く、低賃金、長時間労働の口実になってしまうケースが多々あります。
管理職には残業手当が支払われない?
労働基準法の規定では管理監督者に残業代を払わなくても良いとされていますが、管理監督者の要件は厳しく定められており、管理職であれば必ず要件を満たすとは限りません。管理職≠管理監督者であれば一般労働者と同様に残業代を支払う義務があります。
しかし、この制度を拡大解釈して管理職に割増賃金を支払わないケースも多く、2010年ころには飲食店を中心に、権限のない従業員を店長やマネージャーなど「名ばかり管理職」にして残業代を支払わないようにする企業が続出、広く社会問題となったのは記憶に新しいところです。名ばかり管理職は法律上の管理監督者の要件を満たしているとは言えず、残業代を払わないのは労働基準法違反に当たります。
フレックスタイム労働制
フレックスタイム制度をとっている会社も、従業員の労働時間管理があいまいになりがちです。
「ウチの会社はフレックスタイム制度だから残業代はでない」と言われている人もいるかもしれませんが、フレックスタイムであることを理由に残業代を払わないのは違法です。フレックスタイム制度には「清算期間」があり、その間の総労働時間の枠も決まっています。これはフレックスタイム制度の法定労働時間に当たり、仮に清算期間を1ヶ月とした場合、その日数の法定労働時間を超えなければ、1日8時間、1週間40時間を超えて労働をしたとしても残業代を払う必要がありませんが、上限を超えた場合は残業代を払わなければなりません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
時間外労働とは法定労働時間を超えた労働時間のことであり、会社の所定労働時間を超えた労働時間という意味ではありません。所定労働時間を超えて働いても法定労働時間内であれば「法内残業」であり、割増賃金の支払いについては任意です。一方、時間外労働は法律上の規定であるので、上限を超えた場合は所定の割増賃金を支払う義務があります。
時間外労働は企業が勝手に命令できるものではありません。法定労働時間を超えて働かせる場合はあらかじめ労使間で「36協定」を締結する必要があります。時間外労働にも一定の範囲があり、上限を超えて働く場合は「特別条項付き36協定」を締結し労働基準監督署に届け出なければなりません。
最近では様々な働き方が増えており、時間外労働の計算も複雑化しています。みなし残業制度、裁量労働制、変形労働時間制、フレックスタイム制度、年棒制など、労働時間が個人の裁量に委ねられる、自由度の高い働き方は特に時間外労働の線引きがあいまいになりがちですが、いずれも何時間働かせようが残業代を払わなくて良い制度ではありません。しかし、中には残業代を支払わない口実として制度を悪用する企業もあるので注意が必要です。
働き方が多様化するほど労働時間の管理は難しくなります。働き方改革が猛スピードで進む中、悪意がなくとも管理が追い付かないという企業も多いことでしょう。その場合は、勤怠管理システムの導入を検討することをおすすめします。ツールを導入すれば労働時間は自動集計されます。時間外労働、手当の算出も簡単にできるので、管理業務の負担を大幅に減らすことができるでしょう。
勤怠管理をしっかりすれば経営の透明化を図ることができます。時間外労働の管理をすることで従業員の健康を促進し、労使間の信頼関係を構築することもできるでしょう。
また、時間外労働や手当について疑問を持っている方は、労働組合、労働基準監督署、弁護士に相談をすることをおすすめします。労働問題を1人で解決するのは困難です。専門家の力を借りて一緒に解決していきましょう。
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