ワークフローシステムとは?機能や導入ステップを解説
紙文書の決裁に時間がかかる、管理を負担に感じている方はワークフローシステムの導入を検討するべきかもしれません。 ワークフローシステムを使えば、業務のペーパレス化、申請・承認業務の効率化が実現可能であり、また社内の情報共有もスムーズになります。実際にワークフローシステムを導入している企業は多く、業務効率化に成功しています。 今回は、これからワークフローシステムの導入を検討している方に向けて、ワークフローシステムの概要と役割、機能、導入までのステップを詳しく解説します。
- ワークフローシステムとは
- ワークフローシステムを導入するメリット
- ワークフローシステムの機能を解説
- 代表的なワークフローシステム3選
- ワークフローシステムの相場
- ワークフローシステムの導入形態
- ワークフローシステム導入ステップ
- まとめ
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは業務手続きを電子化することにより、ワークフロー上の課題を解決するためのツールです。ワークフローは業務の流れを意味しており、システム導入により手作業で行っていたことの自動化が可能。
企業活動では経費精算や稟議申請といった申請書類がさまざまあります。各種申請を紙文書で行っている会社は多いと思いますが、紙での申請には記入、手渡し・郵送、承認時の押印、会計システムへの手入力など多くの手間がかかります。手間の積み重ねは業務効率を大幅に低下させる原因になるでしょう。また、承認者が複数いる場合に承認漏れがあると滞留が発生し、スピーディーな決裁が妨げられます。また、決裁文書の保管スペースも確保しなければなりません。
その点、ワークフローシステムを使えば申請書類のペーパレス化、申請・承認作業については全て電子化が可能です。ツール導入により業務効率は飛躍的に向上するでしょう。
ワークフローシステムを導入するメリット
ここからは、企業がワークフローシステムを導入するメリットを解説していきます。
ペーパーレス化
ワークフローシステムを導入することで、申請書類の提出・郵送が不要になるため、文書のやり取りにかかる時間のカットやペーパーレス化を進められます。ペーパーレス化の実現はもとより、決裁までの時間短縮ができることで意思決定までのスピードも向上するでしょう。コスト削減や業務効率化を目的にペーパーレス化をなかなか進められなかったという方にもおすすめです。
内部統制の強化
ワークフローシステムを導入することで、社内の機密情報にアクセスできるメンバーを制限・管理できるため、内部統制の強化を実現できることがメリットです。具体的には、申請者の履歴管理やアクセス管理、決裁フローの設定などにも対応しています。内部統制によって人的ミスを防ぐことで、同時にコンプライアンス違反も防ぐことにつながるでしょう。
ワークスタイルの多様化
テレワークなどワークスタイルの多様化を実現できることも、システムを導入するメリットです。導入するワークフローシステムによっては、パソコンはもちろんスマホからの申請・承認作業ができます。外出先からも作業ができるため、導入後は申請・承認作業のためだけに出社する必要はなくなり、多様化を実現可能です。
データの活用
ワークフローシステムを導入することで、各種データの抽出が容易となります。蓄積したデータをもとに業務の分析・改善が可能になるため、結果的に業務内容の改善につなげることが可能です。たとえば、ワークフローの分析をした上で、業務が滞っている箇所や時間を特定してフローの見直しをするなどがあります。
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ワークフローシステムの機能を解説
ここからは、ワークフローシステムの機能を紹介します。ワークフローシステムはツールによって搭載している機能が異なります。
ワークフローシステムの導入を成功させるには、自社にぴったりの製品を選ぶことが肝心です。それにはまずワークフローシステムにはどのような機能があり、自社にはどんな機能が必要かを見極めることが大切でしょう。
以下、ワークフローシステムで代表的な機能を6つ紹介します。機能要件を決める際にぜひ活用してください。
申請フォームの作成
ワークフローシステムには申請フォームの作成機能があります。経費精算や総務・人事など目的別の各種申請書のテンプレートが搭載されており、従来の紙文書に近いイメージでの申請が可能です。
管理者は申請フォームを一から作る必要がないため、申請・承認業務にかかる手間も省けます。申請者は必要事項を入力するだけでOK、申請ボタンを押せばそのまま承認者に送られます。難しいマニュアルを見なくても直感的に使いこなせるものが大半なので、導入に際して混乱を招く恐れもありません。管理者、従業員双方にとって便利と言えるでしょう。
また、代理で申請を起票して提出できるものもあるため、本人が不在でも代わりに作業を行えます。
申請の検索・呼び出し
ワークフローシステムには申請の検索・呼び出し機能も搭載されています。
各種申請を紙文書で行っている場合、過去の申請について検索をするのは一苦労です。その点、ワークフローシステムを導入すれば、申請者や承認者の情報、案件名、申請時期などの複数のフィルターによって過去の申請データをボタン一つで検索できます。全文検索機能があれば申請に添付されたPDFなどの文章内の検索も可能です。
検索・呼び出し機能があれば、過去のデータを検索するのに手間取ることもありません。この機能は問い合わせがあった際や同じ申請があった際に役立つでしょう。
ルート設定
ワークフローシステムには承認ルート設定機能もあります。
ルート設定機能では承認者、決裁者の設定、承認経路の条件分岐や選択分岐、並行分岐といった分岐が可能です。また、差戻し先や差戻し方法、ルート変更の可否の設定ができたり、役職、金額、選択肢によって承認フローの増減を自動判定できる製品もあります。社内規定に基づき正しいルートで承認フローが設定されるため、内部統制の確立にも役立つでしょう。
また、特定の人の判断で承認者が変わる申請について、承認者を追加指定できる製品もあります。また、回付前の根回しが必要な場合は、承認の事前通知機能を搭載している製品を選ぶと良いでしょう。
内部統制とセキュリティ強化
ワークフローシステムには内部統制とセキュリティ強化に関する機能もあります。
ワークフローシステムは事前に申請フローを設定できるので、承認経路が複雑なフローでも混乱を回避できます。
また、ワークフローシステムの導入により証跡や決裁情報の可視化ができるようになり、文書の改ざん防止に繋がるためコンプライアンスの強化に力を入れたい会社にもおすすめです。
その他、スキップ設定や本人最終承認の制御、シングルサインオン設定、アクセス権限設定など、セキュリティ強化に役立つ機能も搭載されています。
紙文書では改ざん、紛失、情報漏洩などのリスクが常につきまといますが、ワークフローシステムの導入によりセキュリティ体制は堅牢なものとなるでしょう。
マルチデバイス対応
ワークフローシステムはマルチデバイス対応の製品が大半です。PC、スマホ、タブレットのいずれも利用可能で、クラウド型でインターネット環境があれば外出中も申請・承認作業が可能。大抵はポップアップ、メール、チャットによる通知機能もあるため、承認漏れによる滞留の心配もありません。
紙の申請書の場合は申請・承認業務のためだけに出社をしなければなりませんが、ワークフローシステムがあればその必要はありません。また、紙文書での申請は決裁ルートの中で対応漏れが生じることもありますが、ワークフローシステムがあれば都度通知がくるほか、未対応のものは一目瞭然なので決裁までのロスも削減できるでしょう。
外部システム連携
ワークフローシステムには外部システム連携も搭載されています。
外部システムとの連携機能により、ワークフロー以外のさまざまな外部データとも連携できます。請求データなどのPDF・CSV出力、Excelファイル入力も可能な製品であれば、スムーズに導入ができるでしょう。サービスによっては自社環境に合わせてカスタマイズしてもらえることもあります。中にはAPIがついていないものもあるので、システム導入の際は事前によく確認することをおすすめします。
ここまで、ワークフローシステムの機能について紹介をしました。ワークフローシステムには多くの便利機能が搭載されていることがお分かり頂けたと思います。
以降は実際のシステム導入事例を紹介。また、製品比較のポイントや導入までのステップについても解説します。
代表的なワークフローシステム3選
ここらは、実際に使われているワークフローシステムの紹介です。現在、多くのワークフローシステムが提供されていますが、数ある中でも特に人気の製品を3つピックアップしました。機能や料金などの参考にしてください。
WaWaFlow
WaWaFlowは岡山市北区に本社を構えるアイアットOECが提供するワークフローシステムです。2,000人以上でも対応できる大容量クラウドシステムで、大企業でも多数導入をされています。
搭載している機能は検索・閲覧機能、滞留防止機能、CSV出力機能、コメント機能、モバイル利用、クレーム報告機能など実に豊富。複雑な承認ルートも細やかな条件分岐で対応でき、申請フォームも簡単に作成できるのでプログラム知識がなくても安心です。
料金体系は基本料金が月額2,500円、利用料金は1IDあたり月額400円で契約が可能です。また、最初の14日間は無料お試し利用ができる点も魅力と言えるでしょう。
クラウドERP freee
クラウドERP freeeは東京都品川区に本社を構えるfreeeが提供する統合基幹業務システム(ERP)です。給与管理、勤怠管理、経営管理など人事・労務に関する情報の一元管理が可能。大企業からの信頼も厚く、資金調達TOP100社における41%にあたる企業がfreeeを導入しています。
情報に更新がある場合は各種帳票や振込ファイルに自動反映ができるため、最新情報をリアルタイムで共有できます。入力は1度でOKのためデータ入力の二度手間がありません。また、リアルタイムに集まるデータをさまざまな切り口で確認できるので、スピーディーな意思決定、的確な経営判断をサポートします。
ジョブカンワークフロー
ジョブカンワークフローは東京都渋谷区に本社を構えるDonutsが提供するワークフローシステムです。ワークフローシステム市場の中で圧倒的な人気を誇る製品で、これまでの導入実績は1万社以上、ITトレンド2020では第一位にランクインしています。導入により申請・承認にかかる時間を3分の1まで削減可能です。
ワークフローで必要な機能は標準装備しており、スマホ対応で外出先からの作業も可。料金体系はユーザー1名あたり月額300円で契約が可能です。初期費用・サポート費用は無料、最初の30日間は無料トライアルサービスを実施しています。ジョブカンシリーズとの連携も可能で、ジョブカン経理清算は1ユーザーあたり月額400円で契約可、ワークフローおよび経費精算を同時利用の場合は月額600円で利用できます。
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ワークフローシステムの相場
ワークフローシステムの料金システムはクラウド型とオンプレミス型で分かれます。
クラウド型は1ユーザー毎の月額課金制を採用している製品が多く、初期費用は比較的安いのが特徴です。クラウド型の費用相場は初期費用が無料~20万円、月額課金は1ユーザー300円~500円ほどです。
オンプレミス型は初期のシステム構築費用が高額である反面、一度システムを導入すれば月額料金は発生しません。オンプレミス型の費用相場は初期費用が数十万円~数百万円と幅があります。月額課金はありませんが、導入後は保守・運用にコストはかかるため、費用を比較検討する際に考慮する必要があるでしょう。
初期費用やランニングコストなどをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
ワークフローシステムの導入形態
ワークフローシステムを導入する際は、導入形態についても検討が必要です。ワークフローシステムの導入形態にはクラウド型とオンプレミス型の2通りがあります。ここではクラウド型とは、オンプレミス型とは何かを解説します。
クラウド型
クラウド型とはインターネット上のサーバーを利用してソフトウェアを利用します。インターネット環境があればどこからでも利用できます。
・導入までが早い
クラウド型は自社でサーバーを構築する必要がないため、ベンダーと契約すればすぐに導入が可能です。
・システムの提供はベンダー側
クラウド型はシステム提供は全てベンダー側で行います。そのため、オンプレミス型に比べて初期費用はリーズナブルです。
保守・運用も自社対応しなくて済むので、専門技術者がいない会社には特におすすめです。
オンプレミス型
オンプレミス型とは自社で構築したサーバにソフトウェアをインストールして利用します。
・カスタマイズができる
オンプレミス型は自社でシステム構築をするため、自社仕様にカスタマイズできるのが強みです。セキュリティ基準も自社仕様にできるため、情報漏洩対策に力を入れたい企業には向いているでしょう。
・ランニングコストが安くなることがある
オンプレミス型はサーバー構築が必要のため初期費用がかかりますが、一度システムを構築すればクラウド型のように月額料金がかからないので、長期利用をする場合はランニングコストが安くなることもあります。
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ワークフローシステム導入ステップ
ここからは、ワークフローシステム導入ステップについて解説をします。実際にワークフローシステムを導入する際は、次に挙げる手順で導入作業を進めるようにしてください。
1.現状フローの洗い出し
ワークフローシステム導入ステップの第一は現状フローの洗い出しです。
自社に適した製品を導入するために、まずはワークフローシステムにしたい申請業務を検討します。
会社の申請書類は稟議書や費用申請、休暇申請などさまざまあります。現在紙で申請を行っている業務は全て洗い出しをします。ワークフローシステム導入をすれば紙の申請は全て電子化できますが、必要な機能を搭載していない製品では対応できないためです。
自社の要件を満たす製品が複数あれば優先順位をつけたほうがよいでしょう。この段階で社内関係者に共有しておき、優先順位の高いものから導入を検討します。
2.課題を分析
現状フローの洗い出しが終わったら、申請業務における課題を分析します。
申請業務の課題としては「紙文書のやり取りに時間がかかる」「決裁者が出張がちで承認までの時間がかかる」「対応漏れによる滞留が頻発する」「申請書類のの保管場所がない」などさまざま予想されます。
上記のような課題を分析し、新しいフローへ落とし込んでいくことで、最適のワークフローシステムの導入が実現します。
新しいフローへの落とし込みには、既存の申請書の取捨選択、レイアウトデザインの見直し、また、詳細部分については記入項目まで追加、削除、修正すべき箇所を精査してください。主管部署へのヒアリングも行うとより精度を高められるでしょう。
3.新しいフローを決定
課題分析のあとは新しいフローの決定です。
新しいワークフローの決定に際しては、新たに申請フローごとの承認経路を決定します。フローごとの承認経路を決めるには、利用範囲の特定、組織階層や役割、上長関係の調査、社内規定(決裁権限規定)を確認し、承認ルートの関係を見直します。
新しいフローの決定に際してはワークフローシステムに置きかわるのを想像し、ユーザーにとって便利になる方法を考えると失敗を避けられます。また、組織階層や承認経路が複雑な場合は、対応可能なワークフローシステムの選定が必要になります。どのようなシステムが必要か見極めるためにも、フローの見直しは必要でしょう。
4.ワークフローシステムの要件定義
フロー決定の後はワークフローシステムの要件定義です。
要件定義とは自社の要望と、どのようにして要望を実現するかをまとめることを意味します。ワークフローシステムの要件定義に際しては、システム導入で機能面など必須の要件を決定します。また、プラスαでやりたいことをクリアにすると良いでしょう。
要件定義を詳細まで落とし込むことで、自社が本当に必要としているワークフローシステムとはどのようなものかが明確になります。
なお、要件定義の際は欲しい機能だけでなく、システム連携の有無も決定するようにしてください。外部システムとの連携可否は業務効率化を図る上で重要なポイントとなります。
5.作業担当者の決定と目標設定
要件定義が終わったら作業担当者の決定と目標設定に入ります。
ワークフローシステムの導入にはいくつかの工程があるため、利用開始までの作業担当者、役割分担を決めておくとスムーズな導入が実現します。また、導入後のメンテナンス担当者などを決定しておくと後々の混乱を防げるでしょう。
また、新たなシステムを導入するときには、そのシステムが実際に業務効率化に役立っているのかを検証する必要があります。ワークフローシステムについても導入後の効果測定が必要なので、申請から承認までの平均時間など定量的な目標値を決めておきましょう。事前に指標を決めておくことでシステムの導入の成否が判断しやすくなります。
また、関係者間でミーティングを行い、フィードバックできる体制を整えておくことも大切です。
6.ワークフローシステムの選定
ワークフローシステム導入ステップの最後はワークフローシステムの選定です。
自社に最適のワークフローシステムとはどのようなものか、要件や予算、自社のリソースを考えてシステムを選定していきます。予算の内訳は大きく分けて初期費用と月額費用に分かれますが、目先の費用だけで考えるのではなく、長期的なランニングコストまで考慮することをおすすめします。また、従業員のリテラシーに見合わないシステムを導入すると定着しない恐れがあるので、操作性と言う点で問題がないかを確認してから導入するようにしてください。
まとめ
この記事では、ワークフローシステムの機能や導入ステップを紹介しました。
ワークフローシステムを導入すると申請文書の電子化が可能で、申請・承認作業も自動化できるため、導入後は決裁までの時間を大幅に短縮できるでしょう。ワークフローシステムを新たに導入する際は、今回紹介した導入ステップに沿って作業を進めるとスムーズです。
現在、ワークフローシステムの導入を検討中の方で「どのような製品があるのかを知りたい」という方はこちらの比較記事を参考にしてください。



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