みなし残業とは?メリットや、トラブル防止策を解説

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「みなし残業とは何?」「なぜ残業代がつかないの?」と疑問を感じていませんか。みなし残業制度は、実際の残業時間にかかわらず一定時間分の残業代をあらかじめ支給する仕組みです。サラリーマンであれば「みなし残業」という言葉は一度は耳にしたこともあると思いますが、仕組みや内容についてはあまり知られていません。

本記事では、「みなし残業」とは何か、導入の条件、メリット・デメリット、よくあるトラブル事例と防止策まで、実例を交えてわかりやすく解説します。

みなし残業とは

「みなし残業」とは、毎日一定時間の残業をしていると「みなして」残業代を計算する制度のことです。この制度を適用する場合、会社は実際の残業時間に関わらず、事前に設定したみなし残業代を従業員に支払います。つまり従業員は、みなし残業代に応じた残業時間を境に、それ以上の残業時間だとその分だけ損をし、それ未満の残業時間だとその分だけ得をする計算になるのです。

みなし残業に関する個別の法規定は存在しておらず、会社独自の制度として労働基準法に則って運用する必要があります。また、導入に際しては必ず労使間での合意が必要です。

みなし残業が増えた理由

みなし残業の起源は、昭和63年に労働基準法においてこの制度が制定された頃まで遡ります。本来、給料は「労働の正当な対価」として支払われるべきであり、しかしながらその「正当さ」の考え方が時代の流れに伴って大きく変化しました。

いわゆるブルーカラー中心だった頃の労働の対価は「労働時間に対するもの」としてシンプルな構造でしたが、ホワイトカラーの割合が増えたことによって給料の正当性は労働時間ではなく「成果主義」の考えに則るようになったのです。その結果、みなし残業制度のような柔軟な対応が必要になりました。

固定残業との違い

固定残業制度はあらかじめ一定時間の残業があると想定し、その分の賃金を固定で給与に組み込んでおき労働時間を計算せず定額で給与を支払うことです。つまり、みなし残業制度と意味は同じです。

固定残業=みなし残業を導入する際は、事前に労使合意を行い労働者に周知をして、雇用契約書には「基本給28万(30時間の残業代6万含む)」といった内容の文言を記載しなければなりません。

みなし残業が認められる条件

みなし残業制度は無条件で認められるわけではありません。次の2つの条件があります。

従業員に周知されている

みなし残業制度を採用する場合は、内容を事前に従業員に知らせる義務があります。散々残業をさせたあとで「ウチはみなし残業だから残業代は出ないよ」と言うのはアウトです。周知も口頭で伝えるだけではダメで、就業規則や賃金規定に明記しなければなりません。また、それらは社員が見ようと思ったときにいつでも見られるようにしておく必要があります。内容を見たいけれどどこに載っているのかも分からない、という状況では周知をしているとは言えません。

みなし残業代の時間、金額が明らかである

みなし残業制度は残業に該当する時間と固定残業代の金額を明らかにする義務もあります。みなし残業制をとるにしても「固定給28万円」とだけ知らせて、残業時間と残業代を教えないのはNGです。具体的には、口頭で伝えるだけでなく先述の通り「基本給28万(30時間の残業代6万含む)」といった内容を雇用契約書に記します。また、みなし残業制度の場合には求人の際にもその旨を内容を記載しなければなりません。

みなし残業がトラブルに発展するケース

そんなみなし残業ですが、一部のケースにおいてはこの制度の運用をめぐってトラブルに発展するケースもあります。例えば、設定されているみなし残業時間よりも、日常的な残業時間の方が圧倒的に多い場合です。前述の通り、残業代が固定されている以上はその範囲内で残業を済ませなければ労働者は損をする計算になります。

また昇給時において基本給とみなし残業代の扱いが曖昧だと、実質的に給料がそれほど増えていないケースもあります。損をしている可能性が高い以上、会社側に対して何らかのアクションを起こす可能性が高く、最悪の場合、従業員が会社をやめる事態に発展するケースもあるため注意が必要です。

みなし残業の悪用

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みなし残業制度は厳格なルールに基づき運用されなければなりませんが、ともすると企業側に都合よく利用されることもあります。次に紹介するのは労働者が一方的に不利益を受けるパターンで、制度を悪用していると言っても過言ではありません。

最高水準の給料に見せかける手法

ブラック企業で多いのは、最高水準の給与に見せかけるためにみなし残業を利用するパターンです。「基本給28万(30時間の残業代6万含む)」と書くのであれば、基本給22万円にして残業代を他に払えばよいのでは?と思いますが、そうするとパッと見で給与を高く見せかけることができません。

その点、みなし残業制にすれば基本給を高く見せられるので、求人広告を出すときにも有利になります。人手不足の中、優秀な人材を確保することはどの企業にとっても切実な課題です。しかし、基本給が低いとそもそも応募がありません。求人広告を出す際は、残業代を除いた基本給を記載する義務がありますが、中にはルールを守らない事業者もいます。見る人はよもやその中に残業代まで含まれているとは思いません。

給料が高い企業ランキングにも登場するような会社の中にはこうした手法をとっている企業もあり、蓋を開けてみたら残業代を除いたら給与は最低賃金レベルだった、ということもあります。このように、みなし残業制は高待遇に見せかけて人を募集し、実際には低賃金で長時間労働をさせるという、最悪の形で利用されることもあります。よって、基本給が他より高い場合は十分注意しておかなければなりません。また、採用面接の際には必ず残業制度の確認をとりましょう。

超過分の残業代が支払われない

みなし残業制は残業を一定時間したものとみなし、残業代を固定で基本給の中に組み込みますが、何時間でも際限なく働かせていい訳ではありません。みなし残業制度を採用していても、固定残業時間を超過した分については割増賃金を別途支払う義務があり、求人の際もその旨を記さなければなりません。休日出勤や深夜労働についても同様です。

みなし残業については「長時間働かせても残業代を払わなくて済む制度」という誤った認識が広まっていることもあり、経営者が制度適用のルールを知らずにみなし残業制を適用しているケースも多々あります。しかし、明らかに確信犯で支払いをしたくないがために、みなし残業にしている場合もあるので、いずれにしても要注意です。

実労働時間が固定残業時間を大幅に上回っている場合は、会社に対して割増賃金を請求することができるので、もし支払がなされていない場合は労働基準監督署に相談することをおすすめします。

一定時間に満たないと残業代が支払われない

みなし残業を適用する場合は、実際の労働時間が所定の時間に満たなかった際にも固定残業代を支払わなけれなければなりません。しかし、ブラック企業の中には「固定残業時間に満たない場合は残業代を支払わない」という会社もあります。これは完全に違法なのですが、残業代が支払われないと生活できない、との思いから無理をして働いてしまう人もおり、そうしたプレッシャーが過労死の原因になることもあるので、これは非常に悪質です。

そもそも、みなし残業制度は「その月の残業時間が固定残業時間以下の場合○○円払う」というという賃金規定であり、残業を義務づけるものではありません。残業時間が規定に満たなくても支払義務はあり、固定残業時間を超えた場合は超過分の賃金を支払うのが本来です。この条件を満たしていないときには固定残業制は無効です。

経営者の中には労働者を使いたい放題にするためにみなし残業を適用し、お金を払わない名目にすることもあります。この点に関しては労働者側も自衛のために知識をしっかり持つ必要があるでしょう

最低賃金を下回っている

みなし残業制度は基本給に残業代を含んでいるので、パッと見では高待遇に見えますがよくよく見ると最低賃金を下回るほどの劣悪な条件であることも多いので、この点は十分に注意しなければなりません。

2022年10月時点では、東京都の最低賃金は1,072円です。時間外労働は1.25倍の賃金がつくので残業時の最低時給は1,072円×1.25=1,340円です。1ヵ月の所定労働日数は23日間・1日の所定労働時間は8時間なので、東京の1ヵ月あたりの最低賃金は1,072円×8時間×23日=197,248円となり、基本給部分がこの額を下回ると労基法違反となります。

例えば、東京都の会社で「基本給28万(30時間の残業代6万含む)」という条件で雇用契約を結んだ場合は、固定残業代を差し引くと本来の基本給は22万円。この条件で残業手当を時給換算すれば2000円になるので、基本給も残業代も最低賃金はクリアしているので合法です。

しかし、これが「基本給20万円(30時間の残業代3万含む)」という条件だったら、固定残業代を差し引くと基本給は17万円、残業手当は時給1000円になってしまいます。これでは基本給、残業分ともに東京の最低賃金を下回ることになるので認められません。ちなみに、最低賃金に満たない条件で働いていた場合は、過去にさかのぼって未払い分を会社に請求することが可能です。

固定残業制を導入する場合、厚生労働省は求人広告に固定残業代を除いた基本給の額を明示し、固定残業時間については「残業の有無にかかわらず、時間外労働○時間分の手当てとして△円支給する」など、労働時間と残業代の計算方法も記すことを義務づけています。よって、本来であれば固定残業代が最低賃金を下回っているかどうかは、求人広告で判明するはずです。逆に固定残業代が分からない場合は求人内容が適切でなく、その時点でみなし残業を悪用している可能性があると疑ってかかる方が賢明です。

知らないうちに固定残業代制度に変わっている

みなし残業制度は適用前に従業員に周知しなければなりません。ある日突然基本給の中に固定残業代を含めて残業代を払ったことにする、というケースは認められません。

しかし、実際には事前周知をせずに運用をしている会社は多く、周知するとしても、基本給に固定残業分を上乗せして支給する、ということは滅多にないのが現実です。なぜなら、固定残業制を適用する会社はもともと残業代を払っていない会社が多いので、みなし残業を適用しても実質的に給与額に変わりがなく、労働者も「まあそんなものだ」と思ってしまいがちです。

しっかりと残業代が支払われている会社の人が見れば、これが損だということは一目瞭然なのですが、残業代が支払われないブラック企業に勤めていると、正しい判断力を持つことができません。労働者に知識がないことにつけ込んで制度を悪用する企業は決して少なくありません。

現在進行形でこうした状況に直面している方は、労働基準監督署や弁護士に相談をすることをおすすめします。労基署の相談(来所 or 電話)は随時受付ており、弁護士相談については自治体や弁護士会、法テラスが各地で無料相談会を実施しています。気がかりなことがあれば問い合わせをしてみましょう。

みなし残業を取り入れる「本来」の理由

悪い印象を持たれがちなみなし残業制度ですが、この制度の「本来の導入理由」について知ればそのイメージは誤りであることがわかるでしょう。

企業側のメリットはそれほど多くない

実は、この制度を正しく運用する限りにおいては、会社側の導入メリットはそれほど多くないのです。詳しいメリット・デメリットについては後述しますが、ブラック企業のような悪用の実態がなければ、みなし残業制度を導入することに会社側のメリットはそれほどありません。むしろ、制度を正しく運用しなければならないという、コンプライアンス部分がデリケートになってしまうという点は無視できないジレンマとなるでしょう。あくまでも「この制度を正しく運用している限り」という条件付きではありますが、みなし残業制度は会社側が悪く得をする制度ではないのです。

従業員側には大きなメリットがある

正しく運用されている限りにおいて、みなし残業制度を導入することによって恩恵を得られるのは従業員側です。みなし残業制度を正しく見れば「残業代を払ってもらえることが確定している」ということでもあります。世の中には対価が支払われない残業、いわゆる「サービス残業」という言葉もあるほど。みなし残業制度があることによって、従業員は「きちんと残業代を払ってもらえる」という安心感の下で労働に勤しむことができます。

制度を悪用する会社や勘違いして運用している会社が多いのでマイナスイメージを持たれるケースも多いみなし残業制度ですが、紐解いてみれば従業員にとってメリットのある制度であることがわかります。

みなし残業のメリット

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先ほども少し触れた「みなし残業制度を導入するメリット」について、会社側の2つのメリットと、従業員側の3つのメリットについて解説します。

企業側のメリット①給与計算が楽になる

みなし残業の企業側のメリットは、残業代が一律になることで給与計算がしやすくなることです。給与計算の作業は管理者にとっても負担が大きく、場合によっては数人がかりでやっても1日では終わらないことも多々あります。その業務コストは甚大で、時間外労働を個別に計算するとなると大きな負担がかかるでしょう。

しかし、みなし残業にすれば給与計算はシンプルになります。固定残業時間を超えた分は割増賃金を払う義務がありますが、そうでなければ毎月定額の支払いをすれば良いので、給与計算の負担は激減するでしょう。それだけ本業に力を入れられるようになるので、コスト削減、生産性向上というメリットもあるでしょう。

企業側のメリット②業務効率を改善できる

むしろ会社側のメリットとしては「業務効率を改善できる」という点が大きいと評価できます。前述の通り、従業員は残業時間に関わらず固定の残業代を約束されています。おそらく、多くの従業員が「少しでも残業時間を減らして得をしよう!」と考えるでしょう。

その結果、従業員は残業の必要性を減らすために通常の勤務時間内での効率的な業務遂行を実現するという流れになります。必ずしもすべての従業員が理想的な働きをしてくれるとは限りませんが、優秀な従業員が多い会社ほど業務効率の大幅な改善が見込めるでしょう。

従業員側のメリット①時間外労働をしなくても固定残業代はもらえる

みなし残業制度を導入していない場合、残業代は基本的に「残業した時間に応じて支払われる」という形になります。つまり、残業代を少しでも多くもらおうと思ったら、その分だけ夜遅くまで働かなければなりません。

みなし残業制度を導入している場合、従業員は実際の残業時間に関わらず固定で残業代をもらうことができます。これにより、残業代はもらいつつ、プライベートな時間を確保しやすくなるのです。

従業員側のメリット②安定収入が見込める

制度を導入していない場合、残業時間が少ないほど残業代は少なく、ほとんど基本給に近い給料しかもらえません。人によっては、残業代が少ないと生活が困窮するという事情を抱えていることもあるでしょう。

みなし残業制度を導入することで、毎月の残業代は一定になります。これにより、残業するほどの仕事がない月でも同じ残業代がもらえるため、毎月の給料が相応の水準で安定します。

従業員側のメリット③不公平感がなくなる

世の中にはさまざまな働き方をする人がおり、中にはわざと通常業務を遅らせて残業時間を増やし、残業代をもらっている人もいるでしょう。頑張って通常の時間内に仕事を終わらせようとしている人を尻目にそんなことをしていれば、どうしても不公平感が生まれてしまうのです。

みなし残業制度を導入することで、残業代は基本的に固定されます。これにより「わざと残業時間を長引かせる働き方」をしていた従業員もできる限り通常の時間内に仕事を終わらせようとするのが理論的であるため、従業員間の不公平感は緩和できます。

みなし残業のデメリット

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さまざまなメリットを持つみなし残業制度ですが、当然ながらデメリットも存在することを理解して導入しなければなりません。

会社側のデメリット①定時退社でも残業代を支払う必要がある

何度も説明している通り、みなし残業制度を導入している場合、実際の残業時間は残業代に無関係となります。この制度下での理想的な姿の1つとして「すべての従業員が定時までに必要な仕事をすべて完了させる」というシーンです。

一見すると、従業員のパフォーマンスやモチベーションを高めているという点において会社側・従業員側の双方にWIN-WINの関係であるように見えます。ところが、給料を支払う会社側にしてみれば「残業してないのに残業代を払っている」というジレンマを感じる結果になりかねないのです。

会社側のデメリット②トラブルに発展するリスクがある

このデメリットは、会社側が適切にみなし残業制度を運用していれば何の問題もありません。問題があるとすれば、制度を正しく運用するための管理体制が整っていないことでしょう。

特に新しくこの制度を導入し、ノウハウが全くない会社の場合だと、導入後に何らかのトラブルに発展してしまう可能性があります。新しくみなし残業制度を導入したい場合には、専門家に相談して適切な運用体制を整えることをおすすめします。

従業員側のデメリット①勤怠管理がいい加減になる

一概には言えないことではあるのですが、みなし残業制度を導入すると会社が従業員の実態をそこまで把握しようとしなくなるケースがあります。これは、残業代を固定化するため残業時間の把握が不要になることで、残業の実態を会社側が把握できなくなるのです。

こうなってしまうと、実際にはみなし残業時間よりも多い残業時間の実態があるとしても、会社側がこれを把握してくれないので超過分についての交渉や、最悪の場合は労使間トラブルに発展する可能性もあるのです。

従業員側のデメリット②定時退社しにくくなる

日本企業ならではのデメリットですが、みなし残業制度を導入することで「定時退社しにくくなる」というジレンマを抱えることになるかもしれません。

みなし残業制度は「◯時間は残業するだろう」と見積もったうえでみなし残業代を支払う制度です。つまり、この制度が導入されているからには、会社側は「従業員が残業するのは当然!」という空気を作り出してしまう可能性も否めません。

制度本来の意味合いとしては、残業時間の長短に関わらず残業代が固定である点がメリットであるにも関わらず、社内の「定時退社は許さない!」という空気によって残業を余儀なくされてしまうケースがあります。

従業員側のデメリット③制度を悪用されていないか確認する必要がある

稀なケースとして本当にこの制度を悪用している、あるいは勘違いして運用しているケースがあることも事実です。本来、この制度は働き方の変遷に柔軟に対応するために制定されました。前述のさまざまなメリットがあるのは、あくまでもこの制度が適切に、健全に運用されているという条件下に限定されます。

会社側がこの制度を悪用する意図がない場合には、専門家の意見を仰ぐなどして対処することが可能です。

みなし残業でトラブルにならないために必要なこと

みなし残業制度は法律に則って運用されている場合、労働者にとってメリットの多い制度です。しかし、企業側が悪用した場合には労働者が様々な不利益を被ります。みなし残業制度悪用の対策はどうしたらいいのでしょうか?

企業・従業員の双方が制度についてしっかりと理解する

会社と従業員にとって重要なことは「労使間双方がこの制度についてしっかりと理解する」ことです。

実はみなし残業制度を導入してトラブルに発展したケースにおいて、労使間で認識のズレがあったというケースも珍しくないのです。つまり、制度の影響を受ける会社側・従業員側のどちらかがみなし残業制度について間違った認識をしてしまったがために、制度を適切に運用できなかったというケースです。

労使間で適切な認識共有ができていれば、会社側は制度を適切に運用でき、従業員側は問題発生時に速やかに対処できます。会社側は余計なトラブルに発展するリスクを減らすことができ、従業員はこの制度のメリットを最大化できるのです。

トラブル発生時の対処法を把握する

それでもトラブルが発生する可能性は否定できません。合意時の認識のズレをなくすことはもちろん重要ですが、それだけでなく「トラブルが発生したときにどう対処すべきか」についても把握しておく必要があります。

労使間双方にいえることですが、こうした問題は当事者間では解決できないケースが多いです。そのため、みなし残業制度や労使間トラブルに強い専門家の意見を取り入れることで、双方が納得できる解決案を導くことができます。

問題を長引かせると、労使間双方にとってデメリットが大きくなります、トラブル発生時には迅速に解決できるように、事前にマニュアル等を定めておきましょう。

求人広告の記載を明確にする

みなし残業を導入している企業が求人広告を出す場合、みなし残業の事実を明確に記載しましょう。求人広告への明示が必要な項目は以下の通りです。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 労働時間数と金額等の計算方法
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

採用後のトラブルを防ぐためにも、上記の内容を表示しているのかを必ず確認しておきましょう。

正確に勤怠管理をする

みなし残業をしている企業だとしても、勤怠管理は正確に行う必要があります。なぜなら、みなし残業だとしても労働時間を把握しておかなければ、追加で発生した残業代などの支払いができなくなるなどの、トラブルが考えられるからです。

正確に勤怠管理を行うためにも、残業時間を含めた就業規則を明確にする方法や勤怠管理システムの導入などを検討してみてはいかがでしょうか。

みなし残業を廃止する企業も増えてきている

昨今、みなし残業制度を導入していたが、何らかの理由で制度を廃止するケースが増えています。この制度はどうしても相性の良いケースとそうでないケースがありますので、後者であれば制度を廃止するのは当然の動きです。

そうなると必要になるのは「適切な勤怠管理の仕組みづくり」です。残業時間の変動幅が大きくなる以上、適切な給与計算と労働実態の把握・改善のためには、自社にあった勤怠管理システムを導入することをおすすめします。→勤怠管理システムのランキング

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まとめ

みなし残業制度は本来、従業員側にメリットの多い制度です。ところがこの制度を悪用する会社や正しく運用できていない会社も少なくないためか、この制度は悪いイメージを持たれがちです。しかし、制度自体は決して悪いものではなく、問題なのは故意か否かに関わらず「制度を正しく運用できていない」ことにあります。制度を正しく運用するためには、会社側はもちろん、従業員側もきちんとこの制度についての知識を身につけることが重要です。

制度の導入や導入後のトラブルに関しては、専門家や専門機関への相談・報告が必要であるということも把握しておきましょう。適切に運用できさえすれば、最低限のデメリットで大きなメリットを享受できるでしょう。

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