ワークフローシステムは自作できる?おすすめのツールや注意点を紹介
社内稟議のプロセスに時間と手間がかかっている企業では、「紙での稟議をシステム化したいが、費用はかけられない」という方も多いのではないでしょうか。コストをかけずにシステム化するには、ワークフローを自作してはいかがでしょうか。ただし、自作方法によっては専門知識を要するため注意が必要です。
そこで本記事では、ワークフローシステムの自作方法3つを紹介します。作り方の具体的な流れや、システムを自作するメリット・デメリットも解説していますので、コストをかけずに申請や承認をシステム化したい担当者はぜひご覧ください。
- ワークフローシステムとは
- ワークフローシステムを自作する3つの方法
- ワークフローシステムを自作するメリット
- ワークフローシステムを自作するデメリット
- ワークフローシステムを自作する際には柔軟性・拡張性に要注意
- 自作が難しい場合は、ワークフローに特化したツールの導入を
- おすすめのワークフローシステム3選
- まとめ:ワークフローシステムの自作は計画的に実施しよう
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、企業で発生する業務や申請などの一連の流れを管理するシステムのことです。
たとえば、営業担当者が取引先と会食を行った場合は、いわゆる「経費申請」が必要となります。経費申請は、以下のような流れで行われます。
営業担当者が取引先と会食、その旨と領収書を提出
↓
会食内容、参加者、領収書などを上長が確認した上で経理に提出
↓
経理担当者が詳細を確認
↓
経理担当者の上長または社長が最終承認
このような流れをあらかじめ「ワークフロー」として定めておくことで、スムーズに管理できるのが「ワークフローシステム」です。
ワークフローシステムを活用することで、主に以下のようなメリットがあります。
・誰もが業務や申請に関する一連の流れを把握できる
・業務や申請が現在どのステップにあるのかを確認できる(進捗管理ができる)
・承認依頼や流れの確認といった声かけがなくなり業務の効率化につながる
紙による稟議書を効率化したい方は、別記事「稟議書を電子化する方法やメリット」もあわせてご覧ください。社内稟議を電子化する方法やメリットを詳しく紹介しています。
ワークフローシステムを自作する3つの方法
自作であれば費用をかけずにワークフローのシステム化が可能です。ここでは、ワークフローシステムを自作する方法を3つ解説します。
- Googleフォームを活用する
- Excelを活用する
- オープンソースのシステムを活用する
Googleフォームを活用する
Googleフォームとは、Googleが無料で提供するサービスのひとつです。Googleフォームでは、次のような項目を設けたアンケート形式のフォームを簡単に作成できます。
- フォームのタイトル(「営業ツール導入の申請」など)
- メールアドレス
- 氏名
- 件名
- 内容 など
項目は任意で設定できるため、ワークフローシステムとしても利用可能です。たとえば、タイトルを「経費申請」に設定し、必要な項目を組み合わせることで、経費申請用の入力フォームを作成できます。スプレッドシートやPDFファイル、画像の添付も可能です。
Googleフォームによる自作は下記の流れで行います。
1. Googleアカウントがなければ作成
2. Googleフォームでワークフローのフォーマットを作成
3. 承認ルートは、スプレッドシートやExcelで別途管理
注意点は、Googleフォームには承認や通知の機能はなく、承認ルートの設定もできない点です。こういった高度な機能を利用したい場合にはスクリプトを組む必要があり、専門的な知識が求められます。
Excelを活用する
Excelであれば使い慣れている人も多く、特定のサーバーやシステムを利用する必要もありません。誰でも簡単にワークフローのフォーマットを作成・活用できるでしょう。
Excelは、「フローチャート」「図形」といった、ワークフローシステムを自作するのに最適な図や記号の挿入機能も搭載しています。紙への出力も簡単で、出力を考慮して作成すれば、関係各所への送付にも対応可能です。また、Excelでワークフローシステムを自作する場合は、現在運用している紙の申請書を模した形で作成できる点も魅力です。
Excelによる自作は下記の流れで行います。
1. Excelでフォーマットを作成
2. 承認ルートを、「フローチャート」「図形」機能で作成
3. 別件のワークフローを作成する際には、都度コピーして作成
ワークフローを運用する際は、作成したExcelをメールに添付して承認者に通知する、あるいは、共有フォルダにExcelをアップロードして承認者に通知する必要があります。自動的に承認依頼の通知が配信されるワークフローシステムと異なり、手動で通知が必要になるので注意しましょう。
オープンソースのシステムを活用する
オープンソースとは、ソースコードを無料で公開しているソフトウェアを指し、誰でもダウンロードや変更・配布が可能です。オープンソースの活用で、精度の高いワークフローシステムを自由に自作できます。
ただし、ソースコードを改変するにはプログラミングやシステム構築に関する知識が必要です。専門知識を有する人材が社内にいない企業は、オープンソースを活用したワークフローシステム導入は難しいため、GoogleフォームかExcelの活用、または、ワークフローシステムの製品を検討しましょう。
下記で、オープンソースのワークフローシステムや、ワークフロー機能を搭載するオープンソースのグループウェアを3つ紹介します。
Exment
「Exment」は、株式会社カジトリが提供するWebデータベースです。無料で利用でき、ユーザー数や機能にも制限はありません。業務に合わせたテンプレートが用意され、比較的簡単に利用を開始できます。使用言語はPHP(Laravel)で、データベースシステムはMySQLとメジャーなものを採用しており、リーズナブルなレンタルサーバーでも動作可能です。
Activiti
「Activiti」は、Alfresco Software Inc.が提供するBPM(ビジネスプロセスマネジメント)プラットフォームです。軽量なワークフローを作成でき、ビジネスにおけるさまざまなプロセスの自動化に役立ちます。使用言語はJavaで、ランタイムバンドルや監査サービス、クエリサービス、クラウドコネクタ、アプリケーションサービス、通知サービスなどを搭載。オープンソースながらも高機能なワークフローを作成することが可能です。
Tec STORK.
「Tec STORK.」はテック情報株式会社が提供するオープンソースのグループウェアです。実用的かつ拡張性が高いことに加えて、ワークフローの一元管理が可能。既存の業務システムともデータ連携もできるため、すでに利用している業務システムがある企業にもおすすめです。もちろん、オープンソースのため、リプレイス費用やライセンス費用は必要ありません。国際標準規格を満たしており、扱いやすさも抜群です。
ワークフローシステムを自作するメリット
ワークフローシステムを自作するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
コストを抑えられる
既存のワークフローシステムを導入するには、どうしてもコストがかかってしまいます。ソフト自体の購入にかかるコストのほか、オンプレミス型ならサーバー費用や運用保守費用なども必要です。一方で自作なら、これらのコストを抑えられます。
自社に最適なシステムを作成できる
特殊な業種・業態の場合は特に、既存のシステムではスムーズに利用できない場合があるでしょう。自作ならカスタマイズが自由にできるため、自社の業務形態に最適な形でワークフローシステムを構築できます。
セキュリティ面で安心
自作する場合は、システムに関する情報が外部に漏れ出る危険性を減らすことができます。構築後のセキュリティ対策はもちろん必須ですが、機密性の高い情報を扱う企業にもおすすめです。
ワークフローシステムを自作するデメリット
一方で、ワークフローシステムを自作するデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
工数がかかる
既存のシステムをそのまま導入するわけではないため、自作に関する作業は当然発生します。業務の洗い出しから項目設定までをすべて社内で行わなければいけません。システムの内容によっては、膨大な工数が発生する可能性もあるでしょう。
専門知識が必要
オープンソースを利用する場合は、プログラミングの知識が必要になります。カスタマイズが必要なら尚更、専門的な知識を持つ人に依頼しなければなりません。
システムの更新が難しい
「業務形態・方針が変わったため新たな機能を取り入れたい」「法改正に対応したい」といった場合も、すべての更新を自社で行わなければなりません。大規模な更新が難しいという点も、デメリットだと言えるでしょう。
ワークフローシステムを自作する際には柔軟性・拡張性に要注意
上記でお伝えしたように、ワークフローシステムを自作する場合は、システムの更新が難しいという点がデメリット。そのため、「柔軟性」「拡張性」には特に配慮して作成する必要があります。
以下のようなポイントを事前に洗い出しておくと良いでしょう。
- 現在運用されている申請内容
- 各部署で実際に必要な(現在運用されている)ワークフロー
- 今後導入する可能性がある業務システム
- ビジネス拡大の可能性
また、申請項目やワークフローが追加される場合の更新手順も、あらかじめ定めておくことが大切です。「会社は生き物」とも言います。自作する際は、変化する可能性がある業務や関連システムに対応できるワークフローシステムの構築を目指しましょう。
自作が難しい場合は、ワークフローに特化したツールの導入を
ここまで、ワークフローシステムの自作に焦点を置いて解説してきました。結果的に「自作は難しいかもしれない」「ハードルが高そう」と感じた方も多いかもしれません。
そういった場合は、既存のワークフローシステムの導入もおすすめ。費用はかかりますが、操作の不明点やトラブルが発生した際にはサポートを受けられますし、プロの目線で設計されているため、使いやすくて便利な機能が豊富に搭載されています。また、近年人気のクラウド型なら柔軟性や拡張性が高く、情報共有もスムーズです。
おすすめのワークフローシステム3選
ここからは、おすすめのワークフローシステムを3つご紹介します。それぞれの特徴やメリットをひとつずつ確認していきましょう。
「ジョブカンワークフロー」は、DONUTSが提供するクラウド型のワークフローシステムです。シリーズ累計で導入実績は12万社以上と実績豊富で、大手企業にも数多く導入されています。
ユーザーの使いやすさを追求しており、直感的に利用できる画面設計が特徴。スマートフォンからでも申請・承認が可能で、外出先でも簡単にワークフローを利用できます。
フォーマットのカスタマイズも自由で、あらゆる申請書に対応できるほか、柔軟な承認経路を作成できるのも魅力。入力必須設定や入力制御機能があるため、申請ミスや入力漏れの防止にも効果的です。
- 申請フォーマットの作成機能
- 申請の規定違反のチェック機能
- 申請へのコメント機能
- 申請内容の確認と承認機能
- 一括承認機能
- 導入支援・運用支援あり
- チャットサポートあり
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- ISMS
- 選択項目が整理されていてわかりやすいと思う。ワークフローシステムが初めてでも特に戸惑いなく使用することができた。
- マニュアルが無くても操作しやすい作りとなっている点は高評価。担当者のレスポンスも良く、困りごと解決に親身に寄り添ってくれている。
「X-point Cloud」は、エイトレッドが提供するクラウド型のワークフローシステムです。紙の帳票をイメージした申請フォームを簡単に作成できるため、システムに慣れていない人にもわかりやすい点が魅力。
また、申請書サンプルは1,000パターン以上用意されており、さまざまな申請書をすぐに作成できます。もちろん、スマートフォンやタブレットでの利用にも対応。多彩な検索機能で必要な申請書をすぐに参照できるほか、集計機能が搭載されているため、部署別の経費件数などを算出することもできます。
さらにセキュリティ機能もハイレベル。外部システムとの連携機能も搭載されており、安心・便利に利用できるワークフローシステムです。
- 申請フォーマットの作成機能
- 申請の規定違反のチェック機能
- 申請へのコメント機能
- 申請内容の確認と承認機能
- 一括承認機能
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- 冗長化
- 通信の暗号化
- IP制限
- 直感的な仕様で初めてでも迷う事なく使えました。他はまだ試した事がありませんが、今のところ満足出来ています。
- 複数の社員の共通する目的に合っている。部署でこれまでなかなか共有出来ていなかった問題点が見える化された。
「コラボフロー」は、コラボスタイルが提供するワークフローシステムです。Excelでフォームを作成できる点が特徴で、ワークフローの運用にExcelを使用している企業でも容易に移行できます。
フォームのレイアウト編集は運用中でも更新できるため、常に最新のワークフローを社員全員で共有可能です。「運用しながらブラッシュアップしていきたい」という企業にもぴったりでしょう。
また、連携パーツを利用することで外部システムとの連携も行えます。kintone、サイボウズOffice、Office365などをすでに利用している場合は、さらに便利に活用できるでしょう。
クラウド版・パッケージ版の両方が用意されており、自社の業務スタイルや予算に合わせて選択できます。
- 申請フォーマットの作成機能
- 申請へのコメント機能
- 申請内容の確認と承認機能
- 一括承認機能
- 導入支援・運用支援あり
- メールサポートあり
- ISMS
- 通信の暗号化
- IP制限
- シングルサインオン
- 申請履歴を参照できるので、似た内容の申請をする場合には、一から文章を作る必要がなく、効率的に業務をできる。
- 今まではエクセルで管理していたが、いつ誰が書いているのかわからなかった。 システムを導入してから、いつ誰がどんな回答をしているか一目でわかるようになった。
まとめ:ワークフローシステムの自作は計画的に実施しよう
ここまで、ワークフローを自作する際のポイントやメリット、さらに既存のワークフローシステムを導入する場合のおすすめについてご紹介してきました。ワークフローシステムを自作する際には計画的に実施し、導入を進めてください。ぜひ本記事を参考に最適なワークフローシステムを導入し、業務の効率化につなげていきましょう。
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