【2023年最新】副業の経費にお悩みなら!節税の注意点と確定申告まで徹底ガイド
働く人すべてが個人で確定申告しなければならないアメリカと異なり、労働者の多くが企業に所属する日本では、会社員が確定申告を意識することはそれほど多くありません。なぜなら、毎月給料から天引きされる源泉徴収などをもとに、年末調整という形で、会社が年間所得の再計算と税金の精算を代行してくれているからです。 しかし、すべての会社員が確定申告をする必要がないわけではありません。年収額の大きい人、医療費の控除をしたい人、遺産相続や不動産所得のあった人は、会社員であっても確定申告する必要があります。もちろん、会社員としての本業以外に副業を持ち、収入を得ている人も場合によっては確定申告が必要になります。 では、副業で得た収入はどのような場合に確定申告する必要があるのでしょうか?実際に確定申告する方法とは?経済の先行き不透明感の高まりから、複数の収入源を確保できる副業が注目されている現在、多くの人が知りたい副業収入に関連した確定申告のすべてを解説します。

アイミツコンシェルジュ 伊藤
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- 1.副業の経費計上における基本
- 2.副業の経費を事業所得にするメリット
- 3.副業を経費にする注意点
- 4.そもそも副業に確定申告は必要?
- 5.副業で確定申告するのは20万以上が目安
- 6.確定申告のやり方
- 7.確定申告の例
- 8.確定申告で注意すること
- 9.副業に経費精算ツールの導入をおすすめする理由
- 10.まとめ
1.副業の経費計上における基本

副業で得た収入は、確定申告で必要経費として計上できるものがあります。言い換えると、経費だと思っていた支出が実は法律上は経費に含まれない可能性があるということです。トラブルを避けるために、経費になるものとならないものについて把握しておきましょう。
副業経費として認められるもの
副業経費として認められるものは次の通りです。
項目 | 経費内容 |
荷造運賃 | 物販などの送料 |
租税公課 | 個人事業税(年間所得290万円超の場合) |
水道光熱費 | オフィスで使う水道光熱費・消耗品費:パソコン、プリンターなど |
家賃 | オフィスを借りる場合の家賃 |
広告宣伝費 | 副業で使用する名刺作成、Web広告など |
副業の形態によって経費として認められるものがことなります。例えば、YouTubeで玩具の紹介チャンネル運営していた場合には、購入した玩具は経費になります。このように副業の形式によっては経費になるものがことなるので注意しましょう。
パソコン経費の注意
インターネット系の副業を始める場合はPC必要になります。プライベートでも兼用しているPCの購入費用は経費になりません。PCを経費にするには2台持ちで1台はプライベート用、1台は副業用と分けると購入費用が経費として認められます。注意点はPCの価格で10万円以上の場合は減価償却の対象となり4年に分けて経費計上しなければなりません。ただし、青色申告の場合は30万円未満の場合全額経費にすることが可能です。
副業経費として認められないもの
副業経費として認められないものは個人的な支出です。また、経費か個人支出か曖昧な支出については注意が必要です。特に気を付けるべきは家事関連費です。家事関連費の例としては以下のものがあります。
自宅の一部を作業場として家賃 |
自宅の水道光熱費、インターネット契約料 |
自宅で副業を営んでいる場合は自宅の減価償却費 |
副業で使用している携帯電話料金 |
私用車を使用している場合の減価償却費やガソリン代 |
家事関連費を経費にするには、何割を副業で使っているか算出し、割合に応じて経費処理することが可能です。
2.副業の経費を事業所得にするメリット
確定申告の際、副業の所得を雑所得にするか事業所得にするか分かりにくいですが、実は副業の経費を事業所得にすると大きなメリットがあります。
青色事業専従者給与
基本的に生計を同一にする親族に給与を与える場合、必要経費にはできないので注意が必要です。しかし、副業の所得を事業所得にして税務署に事前申請し、かつ一定の要件を満たすことで、青色事業専従者給与が経費して認められます。
ちなみに白色事業専従者控除もありますが、配偶者86万円、その他の親族50万円と上限が決められています。その点、青色事業専従者給与には上限設定がないので節税効果は高いです。副業収入が高く、親族に給与を与える場合は事業所得として申請するのがベストです。
赤字の場合は損益通算ができる
副業の所得を事業所得にすると、赤字の場合は給与所得などと損益通算ができます。雑所得で計上すると損益通算ができないので、赤字が発生したとしても所得金額が0円として扱われるだけです。
事業所得として認められるには「職業として認知されている」と「継続的に安定収入を得ている」の2つの要件を満たさなければなりません。社会通念上事業と称して通用するかどうかが判断の決め手となります。事業所得にできるかどうかわからない時は、税務署に問い合わせをしてみましょう。
30万円未満の少額減価償却資産の特例が受けられる
事業で使った10万円を超える資産(車、パソコンなど)は1年で経費にすることができず、減価償却の対象で4年に分けて経費計上しなければなりません。しかし、副業を事業所得とすることで、平成30年3月31日までに取得した資産については30万円未満の少額減価償却資産の特例が受けられます。ただし、上限は300万円までと決まっています。また、150万円を超えると固定資産税の対象となるので注意が必要です。
3.副業を経費にする注意点
副業の経費するさいには注意が必要です。経費にするうえで、注意したい点を解説していきます。
副業の収入が300万円を超える場合は領収書は5年の保管が必要
副業の経費に使用した領収書は5年の保管が義務付けられています。税務署から確認の問い合わせがくる場合もあるため、保管している領収書は日付ごとにファイリングしておくといいでしょう。また、事業所得として、青色申告を行った場合は原則として、7年の保管が必要になります。
経費として計上するタイミング
副業の経費を計上するタイミングは間違えやすく注意が必要です。経費の計上は事実が発生したタイミングで計上します。11月にクレジットカード決済にで副業で必要なものを購入した場合、実際の引き落としが12月の場合は12月の経費として相殺します。
領収書を紛失の場合
副業の経費として計上した領収書をなくした場合は、再発行が可能ならば依頼をしましょう。なぜなら、領収書がない経費は認められない可能性があるからです。再発行ができない場合は支払いを証明が必要。出勤伝票などで支払額や支配内容を詳しく記載し証拠書類として提出する方法があります。ですが、税務署の判断によっては、認められない可能性があることを頭に入れておきましょう。
また、紛失を防ぐには経費精算システムなどで電子保存しておくと安心でしょう。電子帳簿保存法の改正により、領収書の電子化要件は緩和されているため、電子化した領収書は基本的に認めれています。副業経費の計上の際は経費精算システムなどを活用すること、効率的に計上を行うことができるでしょう。
4.そもそも副業に確定申告は必要?
副業の経費を計上するためには「確定申告」が必要なのですが、そもそも副業に確定申告は必要なのでしょうか?
確定申告とは
「確定申告」とは、毎年1月1日~12月31日までに得た収入から「所得」を計算し、課税対象所得に応じた税金を確定させたうえで申告および納税する手続きのことです。
「所得」とは、全収入から経費などの各種控除額を差し引いた金額のことを指し、課税の対象となる金額のことをいいます。つまり「収入が〇円で、経費が△円なので、所得は□円で、納税額は◇円になります」と確定させるための一連の手続きが確定申告になりますので、一部のケースを除き、副業で収入を得ている以上は確定申告は必要不可欠なのです。
5.副業で確定申告するのは20万以上が目安

給与所得以外に20万円を超える年間所得がある会社員は、確定申告しなければなりません。つまり、副業をしている会社員が確定申告しなければならないケースは、副業の年間所得が20万円を超えている場合です。
ここでいう副業の年間所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を意味します。逆にいうと、副業収入から必要経費を差し引いた年間所得が20万円以下の場合は、確定申告する必要はありません。
しかし、会社員が確定申告しなければならない要件に、複数の会社から一定金額の収入を得ている場合が含まれるのを忘れてはいけません。どのような副業をしているかによって所得の区分は異なるため、税務署による所得区分の判断によっては、副業の年間所得が20万円以下であっても確定申告する必要があるのです。
具体的に、いくつかのケースで解説してみましょう。
4-1. 副業がアルバイトやパートの場合
会社員がアルバイトやパートで副業している場合、それによって得られる収入はすべてが所得としてみなされます。これは、アルバイト・パートでは必要になる経費が存在しないと考えられているためであり、一部の例外を除いたほとんどのアルバイト・パートで、受け取った給与=所得となります。
このため、アルバイト・パートで得られた1年間の給与が20万円以下であれば、確定申告は必要ないといえるでしょう。しかし、アルバイト・パートによる副業収入は「給与所得」であるため、確定申告が必要なケース「複数の会社から一定金額の収入を得ている」に該当する可能性があります。この場合は、副業がアルバイト・パートであっても確定申告しなければなりません。
一方、アルバイト・パートの給与から源泉徴収される所得税などは、会社員として源泉徴収される場合よりも高率になっていることがほとんどです。このため、確定申告すれば払い過ぎた所得税が戻ってくる可能性もあります。どうすべきか迷っているなら、確定申告しておいた方が無難です。
5-2. 副業がそれ以外の場合
会社員の副業がアルバイト・パート以外、たとえば、クラウドソーシングでWebデザインを受注する、FXなどの個人投資で副業している場合などは確定申告すべきでしょうか?結論からいえば、アルバイト・パート以外の副業で年間所得が20万円を超えていれば、確定申告する必要があります。
ここでいう年間所得とは、クラウドソーシングであれば報酬額から必要経費を差し引いた金額を意味し、FXなどの個人投資であれば「確定利益」から必要経費を差し引いた金額を意味します。これらの年間所得が20万円以下であれば、会社員の副業であっても確定申告する必要はありません。
ただし、事業所得もしくは雑所得に分類されるクラウドソーシングなどの報酬から、必要経費を計上するのはそれほど簡単ではありません。経費として使った費用の領収書やレシート、クレジットカード明細は保管しておかなければならないからです。
また、雑収入で分離課税であるFX取引の場合、利益が出たときは一律の所得税を支払わなければなりませんが、損失が出てもほかの収入と相殺した所得税の節税ができません。
5-3. 複数の副業を掛け持ちしている場合
それでは、クラウドソーシングとアルバイト、FXなどの個人投資を組み合わせ、複数の副業を会社員が掛け持ちしているケースでは、確定申告する必要はあるのでしょうか?このケースでは、本業以外の副業すべての年間所得を合計した金額が20万円以下であれば、確定申告する必要はありません。
たとえば、アルバイトの年間収入が10万円、クラウドソーシングの年間収入が30万円だったとしても、クラウドソーシングの経費が20万円かかっていれば年間所得は20万円になるため、確定申告は必要ないのです。ただし、経費が本当に20万円必要だったことを証明するためにも領収書、レシートなどの保管は必須であり、できれば簡単な帳簿も作成しておくべきでしょう。
5-4. もし確定申告をしなかったらどうなる?
確定申告が必要な条件を満たしているにも関わらず、確定申告をしないと罰則が科せられます。
・無申告加算税:期日(一般的に毎年3月15日)までに確定申告しなかったことに対する加算税
・延滞税:期日までに納税しなかったことに対する、納税した日までにかかった延滞分の追徴税
さらに、確定申告しなかったことが「悪質な脱税行為」であると判断された場合には刑事罰の対象となります。
6.確定申告のやり方

ここまで解説したように、会社員が本業以外の副業で年間20万円を超える所得を得ている場合は、確定申告しなければなりません。一般的に確定申告というと思い浮かぶのは白色申告、青色申告ですが、会社員が副業を持っている場合の確定申告は、どのように行うべきなのでしょうか?
副業による収入が事業所得として認められる場合、さまざまな特典が得られる青色申告を利用したいところです。しかし、青色申告するには事前登録が必要であることに加え、多くの副業は雑所得に分類されます。このため、副業を含んだ確定申告の場合、白色申告もしくは雑所得で申告するケースがほとんどになるでしょう。
6-1. 副業がアルバイトやパートの場合
会社員がアルバイト・パートなどで副業している場合、本業の年末調整は会社が代行して済ませています。このケースでは、年末調整で確定している所得・税金に、アルバイトで得た収入と源泉徴収額を合算し、あらためて総所得から税金を計算しなければなりません。
具体的には、本業の源泉徴収票とアルバイトの源泉徴収票をそれぞれ用意し、確定申告書Aの第一表、第二表に記入して税率から税額を計算、申告することで差額の払い戻しを受ける、もしくは足りない分の税金を納付します。簡単な流れを以下に解説しておきましょう。
本業・アルバイトそれぞれの源泉徴収票から、給与額、源泉徴収額、事業所名を、確定申告書A第二表に転記します。 |
支払った社会保険料、控除対象になる生命保険料などを確定申告書A第二表に転記し、支払った源泉徴収額の総額を計算します。 |
第二表に記載した本業・アルバイトの給与額をプラスして確定申告書A第一表の給与欄に記載、それをもとに所得金額を計算して記載します。 |
社会保険料、生命保険料、源泉徴収総額を確定申告書A第一表に転記します。 |
確定申告書A第一表の指示に従って、最終的な税金を計算します。 |
支払済の源泉徴収総額との差額を精算します。 |
6-2. 副業がそれ以外の場合
会社員がアルバイト・パート以外、たとえばフリーライターとして原稿料を稼ぐ副業をしているなどの場合も、年間所得が20万円を超えれば確定申告しなければなりません。この場合の確定申告方法も、基本的にはアルバイト・パートで副業しているケースと変わりません。
アルバイト・パートでの副業と異なるのは、請求書・納品書・支払い明細などのほかにも「支払い調書」を用意すること、請け負い先が多く、確定申告書A第二表の給与額欄に書き切れなくなった場合に「所得の内訳書」を用意することです。
確定申告書への記入と税金の計算方法は同じですが、副業の収入は雑所得欄にも記載し、かかった経費金額も記入します。領収書も忘れないようにしましょう。また、FXや株式での所得を申告する場合、確定申告書Bへの記入が必要になり、雑所得、譲渡所得などの金額計算明細書も必要になります。もちろん、一般的な所得税と税率も異なります。
フリーライターの場合は、年末調整で確定している所得・税金に、副業で得た収入と源泉徴収額を合算し、あらためて総所得から税金を計算しなければなりません。
6-3. 複数の副業を掛け持ちしている場合
ここまでの解説でおわかりのように、複数の副業を掛け持ちしている会社員でも、基本的な確定申告の方法は同じです。本業の源泉徴収票のほかに、アルバイト先の源泉徴収票、支払い調書、雑所得などの金額明細書など、副業から得られた所得がわかる書類をすべて用意し、確定申告書A、場合によっては確定申告書Bに必要事項を記入して申告・税金の精算をします。
確定申告書Aの所得欄・雑所得欄は記入できる項目が限られるため、複数の副業を掛け持ちしている場合は所得の内訳書を作成する必要もあるでしょう。
7.確定申告の例

それでは、副業の所得が20万円を超えたために確定申告した場合、どのような計算が必要で、実際の精算額はどのくらいになるのか、具体的な例を挙げて解説してみましょう。
基本となる本業の収支は給与収入を460万円とし、社会保険料60万円、厚生年金5万円で、源泉徴収額が11万3,500円だったとします。尚、復興税などは考えないこととします。
7-1. 土日に配送アルバイトで年間120万稼ぐサラリーマンの場合
週末に限定されているとはいえ、アルバイトで年間120万円の収入があれば、計算式で導かれた給与所得から、ある程度の金額が源泉徴収されているはずです。120万円の収入に対する給与所得は、1,200,000 - 650,000 = 550,000円となるため、これに5%の税率をかけると源泉徴収額が求められます。
給与収入:1,200,000円 |
給与所得:550,000円 |
源泉徴収:27,500円 |
すでに解説したように、クルマの持込みでもない限り、配送のアルバイトで経費は認められません。単純に本業の給与収入にアルバイトの収入を合計した金額から給与所得を計算し、社会保険・厚生年金・基礎控除を引いた金額に適切な税率をかけると、本来支払うべき所得税が計算できます。あとは、支払済の源泉徴収との差額を精算するだけです。
給与収入(合計):4,600,000 + 1,200,000 = 5,800,000円 |
給与所得:4,100,000円 |
社会保険・厚生年金・基礎控除(合計):600,000 + 50,000 + 380,000 = 1,030,000円 |
課税金額:3,070,000円 |
所得税:209,500円 |
支払済源泉徴収(合計):113,500 + 27,500 = 141,000円 |
差額:68,500円 |
アルバイト先でも基礎控除された給与所得をもとに源泉徴収されていたため、実際の所得税よりも少ない金額しか納税していなかったことになります。
7-2. FXで年間50万稼ぐサラリーマンの場合
FX取引で得られた利益は、先物取引扱いの雑所得になります。このため、FXの利益に対して一律20.315%の所得税がかかり、分離課税として本業の所得税にプラスして納税しなければなりません。本業の所得税は年末調整で既に支払っているため、確定申告によってFXに対する税金を確定させて支払います。
アルバイトが副業だった場合と異なり、FXでの利益は経費が認められているため、セミナー出席や交通費、書籍代、インターネット接続料金やコンピューター購入費などを計上できます。一般的な副業の場合と異なり、分離課税となるFXでは確定申告書Bを利用するのも特徴でしょう。
まずは雑所得の金額計算明細書を作成します。50万円のFX利益に対し、その他の経費欄に計上すべき項目と金額を記載し、FXの所得金額を計算します。経費合算が10万円であれば、FXの所得金額は40万円になります。これに20.315%の税率をかければ、FX利益に対する所得税が計算できます。
FX利益金額:500,000円 |
経費金額:100,000円 |
FX所得金額:400,000円 |
FX所得税:81,260円 |
確定申告書Bの第二表、第三表に、本業の収支を源泉徴収票から転記し、第一表に本業の収支とともにFX利益の収支を記載すれば確定申告書は完成です。申告書を提出し、81,260円のFX所得税を納税すれば確定申告は完了です。
8.確定申告で注意すること

20万円を超える副業所得があったなら、それに応じた納税をするのは当然のことです。しかし、認められる範囲内でできる限り節税したいのも事実でしょう。アルバイトなどの給与所得でなければ経費が認められるのも、雑所得に分類されることの多い副業のメリットかもしれません。
きちんと経費を計上して節税するためにも、確定申告時に気を付けておきたいことを紹介します。
8-1. 所得に大きく関係する「経費」を把握する
FXの項目でもいくつか例を挙げたように「経費」とは、仕事をするうえで必要になる費用を意味します。たとえば、フリーライターとして原稿を書くにあたって取材が必要であれば、電車賃、ガソリン代、高速代、宿泊費などの費用は経費として落とせます。もちろん、原稿作成にコンピューターやインターネット回線が欠かせない以上、これも経費として計上したいですよね。
しかし、副業に使っているコンピューターやインターネット回線は、100%仕事専用でしょうか?取材費などのような100%仕事のための費用と異なり、事業用とプライベートとの区別が曖昧な費用は「事業割合」に応じた分だけしか経費計上できません。
つまり、コンピューターを事業用に使っている割合が40%程度であれば、購入費用の40%までしか経費として認められないのです。自宅で副業をしていて、家賃や電気代、電話代などを経費にしたい場合も同様です。仕事用として使っている部屋が全体の何パーセントを占めるのか、それに応じた割合でしか経費とならないのです。
納税者が経費として判断する費用と、税務署が経費として認める費用は異なります。購入や利用を証明する領収書などの保存とともに、なぜそれが経費として必要なのかを、常に説明できるようにしておくべきでしょう。
8-2. 雑所得でも5年間の書類保管が必要
副業の課税所得を抑えるために経費計上する場合は、確定申告書に金額を記載するとともに、保存している領収書やクレジットカード明細を提示しなければなりません。雑所得で副業を申告する場合、領収書などの書類保管義務はないため、これらを税務署に提出してしまうという方法もあります。
しかし、税務署で書類が保管されるのは1年間のみです。それ以降の税務調査に備え、最低5年間は自分で保管した方がいいでしょう。確定申告が済んだら、領収書などは返却してもらった方が無難です。
また、経費を記録した帳簿を作成する必要もありませんが、細かな経費が多い場合などは、月ごとに項目や金額がわかるような帳簿を作成した方が便利です。フリーライターなどでも、定期的に決まったクライアントからの仕事をしていれば、それは事業所得だと指摘される場合もあり、白色申告以上が必要になる可能性があるからです。
8-3.「対象期間」と「申告期間」を間違えずに申告する
副業で確定申告する場合には「対象期間」と「申告期間」を間違えないようにしましょう。
基本的に確定申告は、年度初め(1月1日)から年度末(12月31日)までの1年間の所得が対象となります。申告するのはその翌年(例えば2020年1月1日~2020年12月31日の期間の確定申告であれば、2021年)の2月中旬~3月中旬の1か月間が申告期間となります。
2020年度のように例外的に延長されることもありますが、基本的に「毎年3月中旬までに前年分の確定申告を済ませないといけない」ことを念頭に置いておきましょう。
8-4.「添付書類」など不備がないように申告する
副業で確定申告する際には「添付書類」に不備がないことをしっかりと確認して提出しましょう。
確定申告では、税務署やダウンロードで書類を入手し、必要事項を記入して提出するのですが、その際に必要に応じて添付書類を用意する必要があります。何が必要になるかは、それぞれの確定申告の内容により異なります。不備があれば修正申告等が必要になり手間がかかりますので、必要書類がきちんと揃っていることを確認し、期日に余裕をもって提出しましょう。
8-5.わからないことがあれば税務署に確認をとる
副業で確定申告をする際に、わからないことがあれば早めに税務署などに確認をとっておきましょう。
特に「初めて副業で確定申告する」という場合には、わからないことが多いでしょう。「これは経費に含まれるのか?」「添付書類はこれで正しいのか?」「この部分はどのように記入するべきなのか?」など、不明な点を残したまま申告すればミスが起きるリスクが高く、後で手間になります。余計なトラブルにならないように、不明な点があれば担当者に確認をとり、万全の状態で申告しましょう。
9.副業に経費精算ツールの導入をおすすめする理由

最後に、副業で確定申告をするにあたって「経費精算システム」を利用するべき理由について解説します。
9‐1.経費申告にミスがあれば適切な確定申告はできない
計上できる経費がある場合、適切に申告しないと適切な確定申告はできません。
経費が計上できるタイプの副業をしている場合、副業の種類や内情次第ではありますが相応の金額の経費が発生する場合もあります。基本的に経費は自己申告になりますので、仮に50万円の経費が発生していても5万円分しか申告できていなければ、その分だけ多くの税金を納めなければならなくなります。
9‐2.経費の分析がしやすくなる
経費精算システムを導入することで経費申告の正確性が高まるだけでなく、経費分析がしやすくなるというメリットもあります。
経費精算システムを利用することで、経費として計上した支出を一元管理することができます。手書きで複数の領収書に埋もれた状態よりも、システムに入力しているデータの形の方が数字の分析がしやすくなります。経費が発生するタイプの副業であれば、無駄な支出は抑えたいところです。分析しやすい形になることで経費分析がはかどり、必要な経費と削減の余地がある軽費を分類しやすくなります。
9‐2.副業を拡大するにあたって必要になる可能性が高い
もし、今後も副業を続けるとなれば、いつかは経費精算システムが必須なほどに事業が成長する可能性もあります。
たまに「副業が本業になった」という話を聞きますが、規模が大きくなれば従業員を雇って仕事をしてもらうようになるかもしれません。当然ながら雇った従業員の経費精算は必要になり、経費精算システムを利用しなければ煩雑な経費精算業務に悩まされるかもしれません。いつか必要になるかもしれないことを考えれば、今のうちに導入しておいても損することはないでしょう。
10.まとめ

終身雇用という考えのないアメリカでは、収入の方法を得ることをポケットといい、リスクを分散させるためにセブンポケットが必要だともいわれています。雇用形態が変化しつつあり、会社の将来が不透明になりつつある日本でも、複数の収入を得ることは将来のリスク回避にもつながるため、ますます副業への意識が高まっていくでしょう。
そんな状況でも、税金の仕組みや申告方法を知っておけば、経費を効果的に使った節税対策もできます。確定申告を簡単にしてくれるツールも活用し、あなたもセブンポケットを探してみてはいかがでしょうか?



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