ワークフローシステムの導入効果とは?効果測定のポイントを解説
業務を手際よく遂行していく上で、欠かせないのがワークフローの設定。あらかじめ決まった手順を用意しておけば、効率よく作業を進められます。
そして、スムーズな業務遂行をさらに後押ししてくれるのが、ワークフローシステムです。今回は、ワークフローシステムを導入することによって得られるメリットや、導入効果を測定する方法についてご紹介します。
- ワークフローとは
- 現場別にみるワークフローに関する課題
- ワークフローシステムとは
- ワークフローシステムの主な機能
- ワークフローシステムの効果
- ワークフローの作り方
- ワークフローシステムと自作のワークフローの違い
- ワークフローを行う際に重要な承認ルートについて
- 承認ルートの種類
- ワークフロー導入後の効果測定をする方法
- ワークフローシステムを導入する際に気を付けるべきポイント
- まとめ
ワークフローとは
そもそもワークフローとは、仕事上で発生する手順の一連の流れを指す言葉です。あらゆる業務は、その実施方法を細かくステップごとに分けることができます。
資料の作成にしても、ただ資料を作るだけでなく、作成後の提出から修正、そして承認といった手続きを経て業務が進められるでしょう。そのため、資料を作成する際には、これらの段階を分けて考えることが効率化において重要となります。
そこで、きちんとワークフローを作成し、業務の流れを明確にすることが大切。進捗管理も簡単になるため、タスクをわかりやすく整理できます。対応漏れなどのミスを防止する効果にも期待できるでしょう。ワークフローで業務を切り分けることによって、目の前の作業に集中できるようになるため、高い成果を得ることができるようになるはずです。
現場別にみるワークフローに関する課題
ワークフローを管理する上では、各プロセスごとに異なる問題が発生する可能性をはらんでいます。それぞれのステップで対処法が異なるため、ワークフローにおける課題の解像度を高めておくことが重要です。
申請者の課題
申請者が抱える課題としては、やはり申請手続きそのものに時間を要してしまうという問題が挙げられます。規定のフォーマットで申請書を用意するために会社へ行って用紙を受け取り、手書きで記入しなければならないとなると、リモートワークや出張、あるいは外出中の従業員にとっては大いに面倒な手続きとなるでしょう。差し戻しや修正作業が入る可能性があるのも厄介なポイントです。
承認者の課題
承認作業を行う承認者にとっても、課題は存在します。そもそも承認フローが正しく社内で周知されていないと、承認の際に誰が担当すべきかがわかりません。わずか数分で終わるような手続きも、書類がたらい回しとなって、大いに時間がかかる可能性もあります。また、逆に必要な承認手続きを踏まずに申請が通ってしまい、後になってトラブルが起きるケースも少なくありません。
管理部門の課題
ワークフローのマネジメントを担当する管理部門では、ワークフローの周知に時間をかける必要があります。ルール周知のために各部署とコミュニケーションをとらなければいけないため、業務の負担が重くなるケースもあり得るでしょう。
また、紙での申請と承認にはその作業のためだけに印刷費用や紙代がかかります。経済的なコスト負担も無視できません。さらに、保管スペースが圧迫されるほか、逐一手続きを踏まなければいけないのも難点です。
ワークフローシステムとは
上記のようなワークフローにおける一連の課題を解決する手段として、多くの企業に導入されているのがワークフローシステムです。ワークフローシステムは、その名のとおりワークフローで発生する手続きをデジタル化することで、紙媒体を介さない承認作業を実現します。
ワークフローシステムの導入目的
ワークフローシステムの導入では、多くの企業が人材不足への対応やコスト削減を目的にしています。なぜなら、近年、日本国内の市場ではあらゆる業界における人材が不足しており、優秀な人材ほど獲得が困難になってきているのが事実だからです。そこで、ワークフローで発生していた無駄な業務を削減し、より重要なポジションに人材を配置できる環境づくりが必要となりました。スマートな会社経営を実現するためには、コスト削減と業務効率化は欠かせない対策だと言えます。
ワークフローシステムの必要性
ワークフローシステムは、SDGsの観点からも必要とされています。なぜなら、システムの導入によって、紙を使用した作業から解放され、ペーパーレスでクリーンな組織運営が可能となるからです。さらに、余計な負担を減らした上で、リモート対応も進めることによって、多様な働き方の実現にもつながります。単なる業務効率化とコスト削減にとどまらず、ワークフローシステムの導入には社会的な意義も大きいと言えるでしょう。
ワークフローシステムの主な機能
ワークフローシステムには、業務効率化という目的を達成するためのさまざまな機能が実装されているのが一般的です。申請をすべてデジタルで完結できるよう、必要事項が用意されているだけでなく、入力漏れがあればその場ですぐに通知してくれます。
もちろん、承認機能でもリアルタイムで申請依頼を確認できるため、無駄な手続きが発生しません。PCのほか、タブレットやスマホからでも承認作業を進められるため、出張中、あるいはリモートワーク中でも承認作業を進められます。
承認の依頼先やデータの保管先を自動で設定できるルート機能や、承認漏れを防ぐ進捗管理機能など便利な機能も豊富です。
ワークフローシステムの効果
ワークフローシステムの導入によって得られる最大の効果は、やはり業務効率化です。申請手続きをすべてデジタルで完結できるため、無駄なオフライン業務が発生しません。さらに、ペーパーレス対応で保管や管理を効率化することで、オフィスへの負担も軽減できます。
デジタル化するとはいっても、申請内容や承認結果などの閲覧には権限を設定できるため、セキュリティ対策やコンプライアンスの強化にも効果的です。データはデータベース上から簡単に引っ張り出すことができるため、管理しやすい環境を構築できます。さらに、承認してきた内容をもとに、分析を行うという積極的なデータ活用も可能です。
ワークフローの作り方
ここで、ワークフローの作り方についても確認しておきましょう。ワークフローは、まず作成目的を決めるところからはじまります。どんな目的のための業務フローを固めるのか、最初にゴール地点を決めなければ、合理的なワークフローは作成できません。しっかりと目的を洗い出しましょう。
目的が確定したら、ワークフローの進行に必要な人物の定義づけと、タスクを明らかにします。申請者と承認者を明確することによって、誰にどんな作業が必要なのかを把握することが可能です。
次に、どんなフォーマットで申請を行うかを決定します。ワークフローシステムでは紙の申請書ではなく、システム経由で無駄のない申請手続きを実現することが可能です。もちろん、従来の紙のフォーマットをそのままフォーム化する方法もあります。
一連の流れが完成したあとは、一度図に起こしてみましょう。社員の混乱を防ぐために、ワークフローを視覚化することも大事です。
ワークフローシステムと自作のワークフローの違い
上記のようなステップをなぞることで、ワークフローは十分自作することができます。ワークフローシステムを利用するよりも、自作の方がコストを抑えられる点はメリットでしょう。手を動かして作成し、問題なく管理できるのであれば自作でもよいかもしれません。
しかし、これまでにワークフローを適切に運用してきた実績がない場合は、実現可能なワークフローを作成できるのか、実際にそのフローが機能するかどうかが怪しいという懸念もあります。
ワークフローを確実に機能させたい、あるいは目的に沿ったワークフローによって業務パフォーマンスを高めたいという場合は、ワークフローシステムを導入するのがベストでしょう。
ワークフローを行う際に重要な承認ルートについて
続いては、ワークフローを実施する際に経由することとなる、ワークフローの承認ルートについて。ワークフローの実施にあたっては、適切な承認ルートを経ることが大事です。しっかり確認していきましょう。
ワークフローの承認ルートとは
ワークフローの承認ルートとは、簡単に言えば申請から決裁までに辿る道筋のことです。企業で物事の承認を得るまでには、一般的に複数の意思決定者による判断が必要となります。そのため、承認ルートをしっかりと定めておくことが重要です。
承認ルートは、内部統制を強化するという意味においても、軽視してはいけません。なぜなら、きちんとした手続きを踏まえずに申請が通ってしまうと、不正の発生のみならず、知らず知らずのうちに脱税などの法を犯すリスクもあるからです。
とはいえ、承認ルートが複雑でわかりづらく、時間がかかってしまうのも混乱の元となります。これまでに承認ルートを意識せずにワークフローを実践してきた場合は、一度承認ルートを見直してみましょう。
ワークフローにおける承認ルートはなぜ重要?
ワークフローにおける承認ルートの作成は、企業として活動にまとまりをもたらす上では欠かせない作業です。組織に属する人物が適切なワークフローを経てから行動に移すことで、企業としての一貫した活動を実現できます。
そして承認ルートを丁寧に設計しておくことで、業務手続を明確化することが可能です。ミスのない業務遂行のためにも重要でしょう。
また、リスクマネジメントの管理においても承認ルートの設定は必要です。承認作業が疎かになっていると、許可を得ていないリスクの高い施策を実行されてしまう可能性があります。適切な意思決定を経て、確かな成果を得る上でも、ワークフローの設計とそれに伴う承認ルートの作成は欠かせません。
承認ルートの種類
ワークフローにおける承認ルートには、以下のような種類があります。
承認ルートの種類 | 内容 |
---|---|
直線型 | 申請から承認、そして決裁にいたるまで定型化されたルートが一本道で存在する方式 |
指名型 | 状況に応じて承認者を追加し、決裁にいたる方式 |
条件分岐型 | 金額や案件の種類に応じて承認者や決裁者が分岐する方式 |
並列型 | 複数のルートで承認作業を進める方式で、各ルートの承認者全員が承認、あるいはそのうちの誰かが承認することで決裁にいたる仕組み |
中でも並列型は大きなプロジェクトに採用される傾向が強く、進捗管理が難しいため、ワークフローシステムの導入を検討すべき事例です。
ワークフロー導入後の効果測定をする方法
ワークフローの導入後に、指定した方法が正しく機能しているかどうかを判断するための効果測定を実施することも大切です。
また、ワークフローのパフォーマンスを測定する上では、あらかじめいくつかの評価方法を策定しておく必要があります。承認や決裁のスピードはどれくらい以前と比べて変化したか、ワークフローの中で機能しなかった点はなかったか、など。ワークフローを実装したことで、どれくらいのコスト削減効果が現れたのか、数値化できる仕組みがあると便利です。
効果測定が完了したあとには改善案をまとめ、改善のための施策を実施しましょう。優れたワークフローを実現するために、改善に向けたサイクルを維持し続けることが重要です。
ワークフローシステムを導入する際に気を付けるべきポイント
ワークフローシステムを導入する際には、事前に注意点を確認しておくことが大切です。重要なのは、機能と承認ルートが自社に適しているか、そして業務フローがシステムに適しているかどうか。以下で確認していきましょう。
必要な機能が搭載されているか
まず重要なのは、自社のワークフローに最低限必要な機能が備わっているかどうかの確認です。必要な機能が実装されていないと、本来目指してたワークフローを実現できないため、見直しが必要になります。
また、申請フォーマットは普段から利用している申請書に近い形式のものでないと、申請手続きが複雑になる可能性も。申請の際の差し戻しの手間などを減らすためにも、機能の確認はしっかりと行っておきましょう。
複雑な承認ルートに対応できるか
ワークフローシステムの導入を検討するようになった背景として、「複雑な承認ルートに対応できるような環境を整えるため」という理由を挙げる企業も少なくありません。
手動では管理が困難な承認ルートでも対応できるかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。自社の希望に沿ったワークフローを作成できなければ、やはりいちから作り直す必要が出てきます。
業務フローの見直しも⼀緒に行う
どうしても自社が求めるワークフローや承認ルートに対応している製品が見つからない場合は、一度業務フローを見直してみることも大切です。
もう少し効率的に承認を進められるルートはないか、ワークフローに携わる人数やアプローチに問題はないか、組織としての取り組み方から考えてみるのもひとつの手でしょう。ワークフローシステムの導入を検討する際に、コンサルタントに相談してみるのもおすすめです。
まとめ
ワークフローの効率化は、適切な業務の実行と迅速なアクションを実現する上で重要な役割を持ちます。大規模なプロジェクトとなると、承認ルートも複雑になりますが、そんな際に役立つのがワークフローシステムです。
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