クラウドPBXの失敗事例、導入成功のポイントを解説
クラウドPBXを導入したいものの、いきなりクラウド化することに不安がある企業も多いのではないでしょうか。これまでにレガシーPBXやIP-PBXを使用してきた企業では、「クラウドPBXのセキュリティ面が心配」「今よりもコストダウンできるのだろうか」という心配もあるでしょう。システム導入を成功させるためには、導入の失敗事例を知っておくことが大切です。
そこで本記事では、クラウドPBXの導入失敗事例を紹介します。加えて、失敗事例から分かるクラウドPBXのメリット・デメリット、クラウドPBX導入で失敗しないためのポイント、おすすめのクラウドPBX5選も解説。自社に合うクラウドPBXを導入したい担当者はぜひご覧ください。
- クラウドPBXを導入して失敗した事例
- 失敗事例から分かるクラウドPBXのデメリット
- クラウドPBXのメリット
- クラウドPBX導入で失敗しないためのポイント
- まとめ:ポイントを押さえて失敗しないクラウドPBX導入を
クラウドPBXを導入して失敗した事例
はじめに、クラウドPBXを導入して失敗した事例を4つ紹介します。企業で実際にあった失敗事例なので、導入前にぜひ確認し参考にしてください。
事例①コスト削減につながらなかった
はじめの事例は、クラウドPBXを導入してみてもコスト削除につながらなかったというパターンです。相続や終活関連のサービスを展開している企業(従業員数200名以上)では、数年前に外資系のクラウド型CTIシステム/PBXを導入しました。しかし、使用していくにつれコストパフォーマンスの悪さがネックに。月額料金の支払いだけでなく、席数変更の設定を一定数以上行うと、費用がプラスされる仕組みだったのです。
そのため、新たな施策を打とうと設定変更を行うたびにオプション料金が加算となり、結果的にランニングコストが大きな負担となっていたといいます。このように、月額料金は問題なかったにも関わらず、オプションの追加料金で予想以上にコストがかさんでしまうことも。事前に、運用コストも含めたトータルコストを確認することが重要です。
出典:BIZTEL 公式ページ
事例②自社の業務に適さない構成だった
2つ目の事例は、クラウドPBXを導入してみたものの、自社の業務に適さない構成だったというパターンです。医療業界に特化した人材採用システムや、オンライン診療システムなどを提供する大手企業(従業員数600名以上)では、クラウドPBXのシステム障害が年に数回発生しました。
PBXを提供する会社に問い合わせても満足のいく対応を得られず、復旧後も原因について説明がないなど、サポート体制に不備が見られていました。電話対応業務が多い事業であるにも関わらず、度々システムが止まってしまうので、システムの乗り換えを決断したと言います。この失敗事例からも分かる通り、コールセンターのような電話対応業務が多い企業は、導入実績が豊富なPBX、かつ、サポートが万全なPBXを選ぶことが肝心です。
出典:BIZTEL 公式ページ
事例③電話帳が流出してしまった
3つ目の失敗事例としてあげられるのが、電話帳が流出してしまったパターンです。とある企業では、クラウドPBXを導入してテレワークを推進したところ、社員が顧客情報の入ったUSBを紛失。会社に前もって許可を得ないまま勝手に持ち出しており、自宅へ帰宅する際に鞄ごと紛失してしまったとのことです。
このように、クラウドPBXの導入が直接の原因でなくとも、テレワークをきっかけに電話帳が流出してしまうおそれもあります。
事例④従業員が使いこなせない
失敗事例として4つ目にあげられるのが、従業員が使いこなせなかったというパターンです。人材採用プラットフォームや医療関連プラットフォームの構築・提供を軸に事業を展開している大手企業(従業員数600名以上)は、顧客へのフォローアップとして電話やメール、LINEなどのマルチチャネルで対応していました。クラウドPBXを活用して電話対応を行っていましたが、PBXの管理画面がわかりづらく、提供する会社のサポート体制も不十分だったと言います。結果的に、他のシステムに乗り換えたとのことです。
この事例のように、クラウドPBXを導入後、「操作性が合わない」「サポートが十分でない」という理由で、再度システムを検討する必要が生じるケースもあります。クラウドPBXを本格導入する前に、トライアルを活用し操作性を確認しましょう。
出典:BIZTEL 公式ページ
失敗事例から分かるクラウドPBXのデメリット
ここまで紹介してきた失敗事例から、クラウドPBXにどんなデメリットがあるのか確認していきましょう。
- 現在の電話番号が引き継げないことも
- 機能・月額料金によってはコスト削減につながらない
- 搭載機能や仕様がシステム提供会社によって異なる
- セキュリティレベルがシステムによって異なる
現在の電話番号が引き継げないことも
クラウドPBXは、現在使用している電話番号が引き継げない場合がある点がデメリットです。クラウドPBXを導入した際、現在の電話番号を引き継ぐためには、LNP(Local Number Portability=固定電話番号の番号ポータビリティ)を利用しなければなりません。そしてLNPを利用するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 固定電話の契約が、NTT東日本/西日本の範囲内
- 現在使用している固定電話番号が、IP電話に対応可能
万が一上記の条件に該当しない場合は、番号を変える必要があります。自社の電話番号は問題ないかクラウドPBXを導入する際に問い合わせてみましょう。
機能・月額料金によってはコスト削減につながらない
クラウドPBXを導入しても、使用する機能や月額料金によってはコスト削減につながりません。クラウドPBXは、クラウド上にあるPBXを利用して通話を制御するため、従来のPBXよりも初期費用は大幅に抑えられ、月額料金も比較的リーズナブルです。しかし、オプション機能を追加していくことで、月額料金が高くなってしまうこともあります。
クラウドPBXを導入する際には、どこまでが標準搭載でどの機能がオプションなのか事前に確認しておきましょう。
搭載機能や仕様がシステム提供会社によって異なる
クラウドPBXが搭載する機能や仕様は、システム提供会社によって異なります。スマートフォンやPCの内線化、電話の保留や転送といった基本的な機能に差はありませんが、全通話録音やIVR(自動音声応答)、チャット機能、電話会議機能は各PBXによって有無が異なります。
「クラウドPBXであれば何でも同じ」と気軽に導入してしまうと、欲しかった機能が使えないミスにつながることも。各PBXで機能は異なるということを覚えておきましょう。
セキュリティレベルがシステムによって異なる
クラウドPBXのセキュリティは、システム提供会社によって異なる点も注意したいデメリットです。セキュリティレベルの高いクラウドPBXは、ファイルや音声データの暗号化、ログ監査、パスワードの2段階認証のようなセキュリティを強化する機能を搭載しています。
また、セキュリティの国際規格であるISO/IEC 27017やプライバシーマークを取得しているのも、安心して利用できるPBXの証です。しかし、すべてのクラウドPBXがこれらのセキュリティをそなえているとは限りません。クラウドPBXを安心して使うためにも、導入実績や継続率は重要なポイントです。
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXは、デメリットばかりでなくメリットもたくさんあるシステムです。ここからは、クラウドPBXのメリットについて解説します。
- コストを抑え、スピーディーに導入できる
- 複数の拠点でも利用できる
- 場所・キャリアにとらわれず利用できる
- 既存システムとの連携で便利に活用できる
コストを抑え、スピーディーに導入できる
クラウドPBXは、コストを抑えつつスピーディに導入できるのが大きなメリットです。名前の通り、クラウド上にあるPBXを利用するため、オフィス内にハードウェアを設置する必要はありません。そのため、設置工事のコストと時間がカットされ、初期費用を抑えながらスピーディに導入できます。
また、スマートフォンやPCをビジネスフォン代わりに使えるため、わざわざ配線工事やレイアウト工事を行う必要もなく、固定電話機を用意するコストも不要に。さまざまな面でコストダウンにつながります。
複数の拠点でも利用できる
クラウドPBXはクラウド上で電話を制御しているので、本社と地方支社のような離れた拠点間であっても、無料の内線通話が可能です。よって、クラウドPBXを導入すれば、拠点を複数展開している企業もスムーズに利用できます。先にも述べた通り、クラウドPBXはハードウェアを設置しないため、わざわざ各拠点にPBXを設置する必要もありません。複数の拠点を展開していても、契約すればすぐに全社で導入できます。また、既存のPBXと併用し、段階的に導入していくことも可能です。
場所・デバイスにとらわれず利用できる
クラウドPBXは、通話する場所やデバイスにとらわれることなく利用できます。クラウドPBXは、インターネット回線を利用できる環境下であればオフィスの内外を問わずどこでも通話可能です。そのため、オフィスで取った電話を、外回り中の営業担当者につなげることもできます。
また、テレワークを導入したい企業も、インターネット環境さえ整っていれば自宅で内線通話に対応可能です。使用できるデバイスも幅広く、スマートフォンやPCを内線化できるのが大きなメリットです。
既存システムとの連携で便利に活用できる
クラウドPBXは、既存システムと連携させることによってさらに便利に活用できます。どんなシステムと連携できるかは各クラウドPBXによって異なりますが、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)、CTIシステムと連携させることにより、電話対応を一段と効率化可能です。
「顧客情報を参照しながら電話に対応したい」「顧客とのやりとりをより正確にCRM上へ記録したい」というような、さまざまなニーズに応えられます。クラウドPBXと既存システムの連携によって、さらなるビジネスチャンスの創出につなげられます。
クラウドPBX導入で失敗しないためのポイント
ここからは、クラウドPBXの導入で失敗しないためのポイントを解説します。
- 自社が求めている仕様・機能を確認する
- 最終的にかかるコストを確認する
- トライアルで通話品質・操作性を確認する
- システム提供会社のセキュリティー対策を確認する
自社が求めている仕様・機能を確認する
クラウドPBXの導入で失敗しないためには、自社が求めている仕様や機能を確認しておきましょう。クラウドPBXは各サービスで使える機能は異なるため、クラウドPBXを導入する前に、自社に必要な機能を洗い出しておく必要があります。
たとえば、コールセンターで利用したい企業はCTIシステムとの連携機能、顧客対応をスムーズにしたい企業はCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)との連携機能、オペレーター不足を解消させたい企業はIVR(自動音声応答)機能など、自社の課題から逆算し欲しい機能を確認しておきましょう。
最終的にかかるコストを確認する
クラウドPBXの導入で失敗を防ぐために、最終的にどの程度のコストがかかるのか把握しておくことをおすすめします。初期費用が無料、月額料金が低価格という点を重視して安易に契約してしまうと、サポート費用やオプション料金で最終的に高額になってしまうというリスクも。月額料金の範囲でどの機能まで使えるのか、オプションを追加するとトータルでいくらになるのかもふまえた上で、費用面と機能面のバランスが取れていると思えるクラウドPBXを導入しましょう。
トライアルで通話品質・操作性を確認する
「クラウドPBXを導入したが、音声が安定しない」「思っていたより使いづらい」という失敗を防ぐために、トライアルを利用して通話品質や操作性を確認しましょう。最近では、ビジネスフォンと変わらぬ品質で通話できるサービスも多いですが、前もって自社の利用環境で音質を確認しておけば安心して導入できます。トライアルで実際に使用してみた後、通話品質が高く、操作がシンプルで誰でも使いこなせると判断できたものを導入しましょう。
システム提供会社のセキュリティー対策を確認する
クラウドPBXの導入で失敗しないためには、システム提供会社のセキュリティ対策も確認しておきましょう。クラウドPBXは、システムのバージョンアップやセキュリティ対策はすべてシステム提供会社に任せることとなります。そのため、信頼できる会社であることが重要です。
ISO/IEC 27017(ISMSクラウドセキュリティ認証)やプライバシーマークを取得済みの会社であれば、安心して導入できる可能性が高まります。併せて、これまでにセキュリティリスクに関する事案はあったのか、適切な対応を取ってきたのかも確認しておきましょう。
まとめ:ポイントを押さえて失敗しないクラウドPBX導入を
今回は、クラウドPBXを導入した際の失敗事例をもとに、失敗しないためのポイントや導入するメリット・デメリットを紹介してきました。クラウドPBXの導入に失敗しないためには、要件をきちんと整理しポイントを押さえた上で、サービスを選定することが重要です。
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