今すぐ使えるLINEチャットボットの作成ツール5選
チャットボットは、カスタマーサポートの担当者に代わって顧客からの質問・要望を受け付け、回答や選択肢を提示する自動応答プログラムです。民間企業に加え最近では自治体・公共団体の間でも導入が進んでいます。矢野経済研究所のリサーチによればチャットボット(AI搭載型)の市場規模は、日本国内だけで2022年までに130億円以上に達するとされています。
そんなチャットボットのなかでもとりわけ手軽に利用できるのが、今回取り上げるLINEチャットボット。概要やメリットを整理した上で、LINEチャットボットの作成に役立つツールや導入の際のポイントをご紹介していきます。
- LINEチャットボット(LINEボット)とは?
- LINEチャットボットができること
- LINEチャットボットを導入するメリット
- LINEチャットボットの作り方
- LINEチャットボットの作成ツール5選
- LINEチャットボットを導入する際のポイント
- まとめ:LINEチャットボットの導入で悩んだらアイミツへ
LINEチャットボット(LINEボット)とは?
LINEチャットボット(LINEボット)とは名前のとおり、メッセンジャーアプリ・LINEのアカウント上に置かれるチャットボットです。詳しくは後述しますが、LINEのアプリ自体にもチャットボットの作成機能が付いており、作成機能を活用したり外部のツールを組み合わせたりすることによって手軽に導入することが可能です。
日ごろからPC・スマートフォンを使っているネットユーザー、SNSユーザーの多くにとってLINEは馴染み深いツールであり、うまく活用すればカスタマーサポートの業務コストを削減した上で、顧客満足度や生産性の向上も図ることができます。
たとえば大手運送会社のヤマト運輸では、2016年にLINEチャットボットを導入し、チャット上で再配達を受け付ける仕組みを構築。あわせて伝票の発行や荷物の集荷受付業務にも活用することで、売り上げアップを実現しました。
LINEチャットボットができること
ここからはLINEチャットボットの機能についてご紹介していきます。LINEチャットボットは具体的にどんなことができるのでしょうか?
メッセージの自動返信
顧客からの質問・要望に含まれる特定のキーワードに合わせ、あらかじめ用意しておいたメッセージを自動表示する機能です。LINEチャットボットではテキストに加えて、画像や動画、スタンプを組み合わせて回答することが可能。さらに1つの質問に対して複数のメッセージを提示することで回答ミスを減らすことができます。
加えてテキストメッセージを音声ファイル化する機能も付いており、視覚障害者向けのカスタマーサポートツールとして役立てている企業や団体も少なくありません。
選択肢の提示
相手の質問・要望に対して、複数の選択肢を提案する機能です。一問一答形式での対応が難しい場合、たとえばECサイトでの購入を検討しているものの具体的な商品は決めていないという消費者に対し、デザインの好みや用途、機能、サイズなどを聞き出しながら適した商品を提案していく場合などに役立ちます。
アパレル販売大手のユニクロでは2018年からこの機能を活用し、ユーザーのメッセージに合わせてコーディネート例などを紹介することで、売り上げの拡大と顧客満足度向上につなげています。
Webサイトへの誘導
LINEのチャット上にボタンやリンクを設置して、ユーザーをWebサイトへ誘導する機能です。相手の用件や疑問を聞き出した上で、より詳細な回答が用意されているFAQコンテンツの参照を促したり、自社の商品やサービスを紹介したりする際に効果を発揮します。
生命保険や医療保険を取り扱っているライフネット生命では、前述の選択肢表示機能とあわせてこの機能を活用することで電話での問い合わせ対応コストを減らし、見積りの件数を従来の約1.5倍に伸ばしました。
クーポンの配信
LINEチャットボットには前述の3つの機能に加え、クーポンを配信する機能も付いています。使い方は簡単で、LINEアカウントの管理画面で有効期限や使用可能回数、クーポンのタイプ(割引、プレゼント、キャッシュバックなど)を設定し、チャットボット上のメッセージにURLやボタンを埋め込むだけ。
問い合わせ対応の効率化や顧客満足度の向上とあわせて、新規ユーザーの獲得を図りたい場合やリピート購入を促したい場合に役立つでしょう。
LINEチャットボットを導入するメリット
次はLINEチャットボットの導入メリットについて、大きく3つに分けてご紹介します。
業務コストを削減できる
LINEチャットボットの何より大きなメリットは、カスタマーサポートの業務コストを大幅に減らせること。導入にあたって開発費用や利用料金こそかかるものの、それと引き換えに残業代を含めたカスタマーサポート担当者の人件費を丸ごとカットすることも不可能ではありません。
また顧客とのやりとりがLINEのチャット上に集約されるため、コールセンターなどでは欠かせないオペレーター用のPC端末、ヘッドセットも不要となり通信費の削減も見込めます。実際にコスト削減を第一の目的として、LINEチャットボットの導入を進める企業も少なくないようです。
顧客満足度向上につながる
LINEチャットボットを導入すれば、24時間365日体制での顧客対応が可能に。回答が遅れて相手をイラつかせることもなくなり、事前にシナリオやメッセージをきちんと整備しておけば、幅広い質問・要望に対してブレのない回答を提示できます。
その結果として、顧客からの信頼感は増し、商品の定期的購入やサービスの継続利用につながりやすくなります。加えてLINEチャットボットでの適切な対応が他のソーシャルメディアやブログで評価・拡散され、ブランディング面での相乗効果を得られることもあるでしょう。
顧客の本音をくみ取りやすい
前述のとおり、多くのネットユーザーやSNSユーザーにとってLINEは馴染み深いツールです。電話での問い合わせのように相手とのやりとりに不安を感じて躊躇したり、長文のメールを作成するのに煩わしさを感じたりすることはありません。
日常会話とほぼ変わらない感覚で利用できるため、おのずとチェット上の文面には顧客の本音や潜在ニーズがあらわれやすく、そうした情報をうまく分析すれば新商品や新サービスを開発する際の切り口、ヒントも見出しやすくなるのではないでしょうか。
LINEチャットボットの作り方
LINEチャットボットの作成方法は、利用するツールや進め方によって大きく3種類に分けられます。それぞれ個別に見ていきましょう。
1.LINEアカウントの管理画面で作成
1つめは、LINEアカウントの管理画面からLINE公式のチャットボット機能を使って作成する方法です。応答メッセージ数が最大200種類に限られるため、複雑なやりとりにはあまり向いていませんが、プログラミングの知識・スキルが必要なく、日ごろからアプリや業務用システムを使い慣れている方なら比較的簡単にチャットボットを形にできます。手順は以下のとおりです。
まずLINEのアカウント管理画面にログインし、メインメニューの「設定」→「応答設定」の順にクリック。次に表示される応答モードの選択肢を「bot」→「チャット」へと切り替えます。
続けて、管理画面左側のメニューから「自動応答メッセージ」→「AI応答メッセージ」を選択しましょう。画面中央に表示される設定画面で質問に含まれる可能性の高いキーワードを選び、それに対する回答文を作成すれば設定は完了です。
一方で管理画面左側のメニューから「あいさつメッセージ」を選択して文面を作成すれば、顧客アカウントが友達として登録された際に、任意のメッセージを自動送信することもできます。
2.LINE Messaging APIで開発
2つめにご紹介するのは、APIを使って作成する方法です。APIとは、ソフトウェアやアプリ、プログラム同士をつなぐインターフェース(接点、窓口)のこと。
LINEの「Messaging API」というAPIと、Googleが提供しているスクリプト言語・GAS(Google Apps Script)を組み合わせることで、チャット画面のデザイン・レイアウトを自由自在に変更したり、チャットボット内で別のアプリを動作させたりすることが可能になります。
進め方としてはまず、LINEの開発者向けサービスである「LINE Developers」にLINEカウントでログインし、「新規プロバイダー作成」をクリック。続いて表示される画面の「Messaging API」から「チャネル作成を選択します。
次にGoogleドライブを開いて、メニューの「その他」から「Google Apps Script」を選択。白紙のスクリプト作成画面に、JavaScriptの文法に沿ってメッセージの種類や応答の条件を定義付けしていきます。
プログラミングが完了したら、GASのメニューから「公開」→「ウェブアプリケーションとして導入」と進み、全ユーザーを対象に指定したうえで、権限の承認ボタンをクリックしましょう。
承認後、WebアプリのURLが発行されるのでそれをコピーし、「LINE Developers」チャネル設定画面の「Webhook URL」に貼り付け、「Webhook」の設定をONにすれば設定完了です。
3.専用ツールで作成
アカウント管理画面からの作成やプログラミングによる開発が難しい場合は、ITベンダーが提供している作成ツールを利用するのがおすすめです。
現在流通しているLINE対応型チャットボットツールの多くは、あらかじめAIのチューニングが施されており、導入直後から業務効率化、コスト削減といった効果が見込めます。あわせて製品によっては顧客データを自動で収集・分類したり、他の業務用ツールと連携させたりすることも可能です。
LINEチャットボットの作成ツール5選
続いては上記の内容をふまえつつ、アイミツが厳選した5種類のLINEチャットボット作成ツールをご紹介します。「スキルや知識に自信がない」、「開発エンジニアを確保するのが難しい」といった方はぜひ参考にしてみてください。
Zealsは、ZEALSが提供しているコンバージョン特化型のチャットボットツールです。会話データの解析、商品レコメンド、決済サービスとの連携といった機能が搭載されており、LINEやFacebookメッセンジャーリンクを埋め込むだけで利用することが可能。リクルートや松井証券など300社以上に導入され、98.9%の利用継続率をマークしています。
トヨタグループの自動車販売店では、マイカー登録の促進のためにZealsを導入した結果、わずか3日の間に15件の予約を獲得、利用数を毎月1,000件以上増加させました。
- 有人対応機能
- イメージマップ(画像表示)機能
- テキストフォームの作成機能
- テキストのテンプレート登録機能
- 起動率やCVRの分析機能
- Q&A登録
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- クラウド(SaaS)
- モバイルブラウザ(スマホブラウザ)対応
hachidoriは、株式会社エフ・コードが提供するLINE対応型のチャットボット作成プラットフォームです。7,000件以上の実績を持つ開発チームが、リード獲得やLTV(顧客生涯価値)の向上といった顧客の目的にあわせてシナリオを作成し、KPIの設定や運用改善までトータルにサポートします。チャットボットを使うのが初めての企業も安心して導入できるのではないでしょうか。
ソフトバンクや住友生命といった大手企業のほか、自治体・公共団体での利用実績も多数。AIエンジンの精度の高さにも定評があります。
- 有人対応機能
- CSVインポート(取込)機能
- CSVエクスポート(取出)機能
- ログの管理機能
- カルーセル(スワイプ範囲)の設定
- 送信メッセージの編集・削除機能
- イメージマップ(画像表示)機能
- テキストフォームの作成機能
- チャット開始時の通知設定
- テキストのテンプレート登録機能
anybotは、エボラニが提供しているチャットボットツールです。オムニチャネルの推進をコンセプトに開発され、製造、小売、美容関連など幅広い業種の企業に活用されています。
何より大きな特徴はチャットボットの枠組みにとらわれない多彩な機能。顧客データを自動で取り込み、属性にあわせて分類できるほか、提携アプリと組み合わせることで来店予約への受付や決済までトータルにカバーします。注目のツールとして日本経済新聞などのマスメディアで取り上げられる機会も少なくないようです。
- CSVインポート(取込)機能
- CSVエクスポート(取出)機能
- IVR(自動音声応答)機能
- チャットデザインのカスタマイズ機能
- カルーセル(スワイプ範囲)の設定
- 送信メッセージの編集・削除機能
- イメージマップ(画像表示)機能
- テキストフォームの作成機能
- チャット開始時の通知設定
- タグ・属性追加時のシステム表示設定
AI Messenger Chatbot
AI Messengerは、AI Shiftが提供しているAI搭載型のチャットボットプラットフォームです。クライアントに寄り添うきめ細やかなサポートに特徴があり、蓄積された問い合わせデータを提供するだけで、専任のチームが初期設定からAIのチューニングまでまとめて引き受けます。
ある医療関連のコンサルティング会社では、AI Messengerを導入し、あわせて開発元のサポートを受けながらヘルプページなどを充実させることで、LINE経由以外での問い合わせを約90%削減することができました。
- 有人対応機能
- リード情報(アドレス)の取得機能
- IVR(自動音声応答)機能
- ログの管理機能
- チャット履歴のメール送信機能
- 特定ルールの設定
- イメージマップ(画像表示)機能
- テキストフォームの作成機能
- チャット開始時の通知設定
- 営業時間外のチャット非表示設定
CS cloud
CS cloudは、スタークスが提供しているチャットボットツールです。LINE専用であることが特徴で、24時間365日対応の自動応答機能のほか、案件ごとの担当者設定機能、エスカレーション機能が付いており、カスタマーサポートの生産性アップに大きな効果を発揮します。
化粧品やサプリメントの販売を手がける企業では、CS cloudの利用を通じてメールでの問い合わせを約3分の1に軽減、別の美容関連企業ではコールセンターへの問い合わせが約30%減り、トータル数百万円のコスト削減につながりました。
加えてEC-CUBEをはじめとするショッピングカートや、kintoneなどのグループウェアと連携させられるのも魅力の1つ。使い方によってはマーケティングにも大きな効果を発揮するはずです。
以上、LINEチャットボットの作成ツールを詳しく解説しました。PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、チャットボットツール選びの相談を承っています。いくつかの質問に答えるだけで自社におすすめのツールがわかる診断(無料)も用意していますのでぜひご活用ください。
LINEチャットボットを導入する際のポイント
最後はLINEチャットボットを導入する際のポイントについて。のちのち後悔しないためには、どんな点に注意すべきなのでしょうか?
目的を明確にする
まず何より大切なのは、目的を明確にすること。ひと口にLINEチャットボットといっても機能の仕様はさまざまです。コスト削減、顧客満足度の向上など目的をしっかり定めた上で、適したツールを選びましょう。
たとえば、問い合わせの件数自体はそれほど多くないものの、限られた人手をほかの業務に回したいといった場合は、自動応答に特化したシンプルなチャットボットを開発・導入するのも1つ。一方でチャット上に蓄積された情報を販路拡大やマーケティングに活かしていきたいのなら、今回ピックアップしたCS cloudやanybotといったツールが有力候補になると思います。
費用対効果を見極める
LINEチャットボットを自社開発する場合は、担当者・エンジニアの人件費を含めた開発コスト、外部のツールを導入する場合は月額・年額の利用料金が発生します。
LINEチャットボットを導入して業務コストや設備投資を抑えられたとしても、こうした費用がそれらを上回ってしまうようでは本末転倒です。導入にあたっては必要な予算をきちんと洗い出し、費用対効果を見極めましょう。
効果測定ができる体制を整えておく
上記の2点とあわせて、効果測定を整える体制を整えておくのも大事なポイントです。一般的にLINEチャットボットの効果測定における指標・KPIとして用いられるのは回答率、解決率、Webサイトへの遷移数など。回答率や解決率が伸び悩んでいる場合は、メッセージや分岐の設定に不備がある可能性が高く、シナリオ全体の見直しが必要となります。
一方、販促やサービスの利用促進を目的としたチャットボットでWebサイトへの遷移率が低い場合は、顧客が会話の途中で離脱してしまっている可能性があるので、メッセージの文面やURLを表示させるタイミングに留意する必要があるでしょう。こうした指標をあらかじめ設定し、効果測定を重ねていくことで、チャットボットの費用対効果はぐっと高まるはずです。
まとめ:LINEチャットボットの導入で悩んだらアイミツへ
今回は多くの企業・団体で使われているLINEチャットボットのメリットや作成方法、作成に役立つツールをご紹介しました。
チャットボットツールの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツ(当サイト)をご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったチャットボットツール(最大6社)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
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