人事評価システムを利用するメリット・デメリットとは?
人事評価システムの導入にはコストがかかりますが、業務効率化をはじめとする多くのメリットがあります。また、属人化を防ぎ、適切な人事評価を実現できるため、職場環境の改善にも効果的です。
本記事では、人事評価システムの導入を検討している方のために、導入するメリットやデメリットについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
- 人事評価システムとは
- 人事評価システムの主な機能
- 人事評価システムのメリット
- 人事評価システムのデメリット
- 人事評価業務を行う方法
- 中小企業における人事評価システムの必要性
- 中小企業が人事評価システムを導入するメリット
- 人事評価システムの導入成功事例
- 人事評価システムの導入時に確認すべきこと
- 人事評価システムを導入する際の注意点
- まとめ
人事評価システムとは
人事評価システムとは、評価シートの作成や社員のスキル管理などを行えるシステムで、人事評価に関連する業務を効率化できます。
目標設定や自己評価、上長による評価などの作業もシステム上で完結させることが可能。さらに、評価シートの作成や記入だけでなく、結果の集計も自動化できます。Excelや紙ベースでの人事評価よりもスムーズに実施できるでしょう。もちろん集計したデータは、社員教育や人事制度の見直しなどに活用できます。
加えて、保有している資格やスキルなど、従業員情報の一元管理も実現可能。配置の見直しや新規プロジェクトのメンバーを選定する際にも活用できます。人事評価システムを導入することで、人材配置の最適化を効率的に行える点も特徴です。
人事評価システムの主な機能
人事評価システムを活用すれば、近年多くの企業で採用されている人事評価手法に対応できます。人事評価システムに搭載されている主な機能は以下の4つです。
・目標・進捗管理
・MBO評価
・360度評価
・ワークフロー管理
目標・進捗管理機能では、従業員や部署ごとに設定した目標とその達成度を管理・評価することが可能。MBOは企業理念などを個人の目標に反映させる目標管理手法で、人事評価システムにはMBO評価機能も備わっています。さらに、公平性を保つために複数人で従業員を評価する360度評価にも対応。ワークフロー管理機能も搭載されているため、評価シートの記入漏れや不備も減らせます。
人事評価システムのメリット
人事評価システムを利用することで、人事評価業務の効率化や従業員情報の一元管理、社員のモチベーションアップなどのメリットを受けられます。以下では、人事評価システムを導入するメリットを5つに絞って解説しましょう。
人事評価業務の効率化
人事評価システムを導入することによって、評価シートの集計などを自動化できます。集計作業の手間を省けるため、人事担当者の業務負担を軽減できるでしょう。手作業を削減できるため、人為的なミスや不備も予防できます。
また、ワークフロー機能によって人事評価の進捗も可視化されるため、どの従業員の評価が滞っているのかも一目瞭然です。作業が遅れている従業員に対して、通知を出すこともできます。
人事情報の一元管理
人事評価システムでは、従業員の実績や資格、評価などの情報を1つのシステムで管理できます。人事評価関連の情報をデータとしてまとめて管理できるため、紙代などのコストも削減可能。特定の条件にあてはまるデータの抽出や加工も簡単に行えます。
人事評価システムを導入すれば、紙をベースとする人事評価と比べて、社員に関する情報を活用できる幅が格段に広がります。
社員のモチベーション向上と離職予防
人事評価システムの導入には、社員のモチベーション向上や離職を防止できるというメリットもあります。なぜなら、人事評価システムを利用すると、評価の透明性や公平性の向上につながるからです。
従業員個人だけでなく、部署の課題も可視化できるため、改善すべき事項を把握できます。評価に対する従業員の納得感を得やすいため、自然とモチベーションも上がるでしょう。正当な評価を与えられることで、従業員の離職防止にもつながります。
最適な人材配置が可能
人事評価システムには、人材配置を最適化できるというメリットもあります。
人事評価システムでは、従業員の情報をデータ化し一元管理することで、簡単に社員情報を検索・抽出することが可能です。そのため、必要なスキルを持つ社員を見つけるのも簡単。
さらに、搭載されているさまざまな分析機能を活用することによって、これまでは把握できていなかった適性を洗い出すこともできます。
評価の公平化
社員を評価する際は、評価者の主観が入ってしまうことも少なくありません。しかし、人事評価においては、従業員を客観的に評価する必要があります。
人事評価システムを導入すれば、実績などの客観的なデータをもとに従業員の目標達成度を評価できるため、評価者の主観による影響を受けないでしょう。評価に必要な項目を明確化することで、人事評価の公平性も向上します。
人事評価システムのデメリット
人事評価システムの導入には多くのメリットがある一方で、制度の見直しが必要、適切に運用できるまでに時間がかかるなどのデメリットがあるのも事実です。ここからは人事評価システムのデメリットを5つご紹介しましょう。
人事評価制度の見直しが必要
既存の人事評価制度のままでは、人事評価システムに対応できない場合があります。そのため、人事評価システムを導入するには、自社の評価制度を見直さなければならないケースも少なくありません。
また、創業から長年経過している会社では、人事評価の仕組みが時代に合わない可能もあるでしょう。人事評価システムの導入は、自社の評価体制を見直す絶好の機会だとも言えます。
人事評価シートが使えない場合がある
人事評価システムを導入した際に、既存の人事評価シートが使えないという可能性もあります。そのため、評価シートのフォーマットを見直す必要が出てくるかもしれません。
また、評価シートのカスタマイズに対応している人事評価システムは多いものの、複雑な評価制度を運用している場合は対応が難しい場合もあります。人事評価システムがどこまで自社の運用体制に対応できるのか、導入前に必ず確認しておきましょう。
適切に運用できるまでに時間がかかる
きちんと運用できるまでに時間がかかるのも、人事評価システムのデメリットでしょう。
人事評価システムの導入では、事前に自社の課題を把握した上で製品の選定やカスタマイズなどを行わなければいけません。準備には手間や時間がかかります。
加えて、従業員がシステムになかなか慣れない可能性もあるでしょう。適切に運用するには評価者のスキルも求められるため、実用までには一定の時間が必要です。
コストがかかる
人事評価システムを導入するには、初期設定やカスタマイズなどに費用がかかります。また、導入時の初期費用だけでなく、月額料金などのランニングコストも考慮しなければなりません。
もちろん、人事評価システムにかかるコストは、製品によって異なります。自社のニーズに合わせたシステムを選ばなければ、予算が無駄になってしまう可能性もあるでしょう。
人事評価システムを導入する際は、機能面や使用期間など多角的な面から費用対効果をしっかりと考えた上で選ぶ必要があります。
社員に納得してもらうための説明が必要
人事評価システムの導入は、個人の考えだけでは行えません。必ず社員に納得してもらう必要があります。
前述したように、人事評価システムを導入するために既存の人事評価制度を見直さなければならないケースも多いのが事実です。企業によっては大幅な見直しが必要な場合もあり、社員の中には不安を感じる人もいるでしょう。また、反発を覚える人も出てくる可能性があります。
スムーズに運用を開始するには、新しい評価基準やシステムについてしっかりとした説明を行わなければなりません。社員が安心できるよう、導入前に各部署でヒアリングを行うことも重要です。
人事評価業務を行う方法
人事評価業務を行う方法としては、Excelなどの図表計算ソフトや無料システムを活用するなどの方法が挙げられます。ここでは、人事評価業務を行う3つの方法について解説しましょう。
エクセルやGoogleスプレッドシートを使う
ExcelやGoogleスプレッドシートなどの図表計算ソフトは、人事評価にも利用できます。評価シートのテンプレートをインターネットで入手できるため、導入のハードルも低いです。
一方で、従業員数が多い企業の場合、集計などの業務負担が増大します。また、データ量が増えると評価シートが重くなってしまう点もデメリットです。
無料ソフトを使う
人事評価システムの中には無料で利用できる製品もあります。ただし、機能や利用人数など、何らかの制限が設けられている場合が多いです。
有料のシステムと比較すると制約が多いため、導入前に機能などを確認する必要があります。
人事評価システムを使う
有料の人事評価システムを利用する場合、無料ソフトのような制限はありません。フォーマットを自社向けにカスタマイズできる製品も多いです。
費用はかかりますが業務効率が向上するため、人事評価のトータルのコストを削減できるでしょう。また、クラウドタイプを利用すれば簡単に情報共有できて便利です。
中小企業における人事評価システムの必要性
国内の中小企業の内、90%以上が人材育成に何らかの課題を抱えていると言われています。理由の1つとして、中小企業では経営者が現場に出なければならないケースも珍しくなく、人材育成に時間を割けないという点を挙げられるでしょう。
中小企業が成長するためには、人材を育成できる体制や仕組みを構築する必要があります。人事評価システムを導入すれば、スムーズに情報収集を行い、現場に反映させることが可能です。
中小企業が人事評価システムを導入するメリット
中小企業が人事評価システムを導入するメリットとしては、まず、システムを活用することで従業員の能力をしっかり把握できるようになる点が挙げられます。新しいプロジェクトを立ち上げる際も、必要なスキルを持つ従業員を素早く見つけられるようになります。
もちろん、人事担当者の業務負担を軽減できる点もメリットです。人事評価システムを活用して社員の情報をデータベース化すれば、従来の手作業を削減できます。加えて、評価の集計なども自動化できるため、人為的なミスも予防することが可能です。
評価の透明性が向上することで、評価結果に対する従業員の理解も得やすくなるでしょう。以下の記事では、中小企業向けの人事評価システムについてご紹介しています。中小企業向けの人事評価システムをお探しの方は、ぜひ本記事とあわせて参考にしてみてください。
関連記事:中小企業におすすめの人事評価システム【2024年最新版】
人事評価システムの導入成功事例
人事評価システムの導入による具体的な効果について気になっている方も多いのではないでしょうか。ここからは、人事評価システムの導入を業務改善につなげた2つの成功事例をご紹介しましょう。
株式会社ビルテック
MINAGINEの導入事例ページ(株式会社ミナジン https://minagine.jp/case/ 参照)によると、ビルテックでは人事評価システムの導入によって、社員の労働時間に対する意識が変化したそうです。
賃金の底上げを目指しているものの、システムの導入前は時間内に成果を上げるという意識が低く、仕事が早い社員の業務負担が重くなるという課題を抱えていました。
社員への評価を透明化するために人事評価システムを導入したことで、段々と社員も業務効率を意識するようになったとのこと。今後も引き続き改善を行い、賃金の底上げを実現したいそうです。
株式会社ビークル
あしたのチームの導入事例ページ(株式会社あしたのチーム https://minagine.jp/case/ 参照)によると、ビークルでは人事評価システムの導入によって、ワンマン経営から組織的な経営にシフトしたそうです。
システムの導入前は、社長に依存せざるを得ない経営体制に課題を抱えていました。しかしシステムを導入したあとは、経営理念が社員に浸透し、自分で考えて行動する社員が増加したとのことです。
さらに評価分析を活用することで、伸び悩んでいる社員も把握できるようになったと言います。システムの使用を通して、社員のコミュニケーションも活発になりました。
人事評価システムの導入時に確認すべきこと
人事評価システムの導入で失敗しないためには、以下の点を事前に確認しておく必要があります。
・導入する目的
・システムで改善したい業務
・運用方法
まず、人事評価を効率化するには、目的に合わせたシステムを選ぶ必要があります。「人員配置を最適化できる仕組みを構築したい」など、人事評価システムを導入する目的を明確にしておきましょう。
実際に評価を実施する際は評価シートの作成から集計まで、さまざま業務をこなさなければなりません。そのため、システム化したい作業内容によって、必要な機能も異なります。効率化したい業務も、あらかじめ洗い出しておきましょう。
加えて、人事評価システムを社内に浸透させるには運用方法も重要です。運用担当者やルールも事前に話し合っておくようにしましょう。
人事評価システムを導入する際の注意点
人事評価システムを選ぶ際は、自社のニーズに合わせた利用形態を選択しましょう。人事評価システムは、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられます。
オンプレミス型は自社で用意したサーバーにインストールして使用する利用形態です。データを社内で管理できるため、情報漏えいのリスクを低減できます。
クラウド型はベンダーが用意したサーバーにアクセスすることで、システムを利用する形態です。カスタマイズの自由度がオンプレミス型よりも低いものの、導入コストが比較的低く、社外でも利用できる利点があります。
また、人事評価システムを比較する場合は、使い勝手にも注意しましょう。社員にとって使いやすいシステムを選ばなければ、業務効率を下げてしまう可能性があります。
まとめ
人事評価システムを利用するメリット・デメリットについて解説しました。人事評価システムには、業務の効率化や公平性の向上をはじめとするさまざまなメリットがあります。自社にも導入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。一方で、「製品ごとの違いがよくわからない」という方もいるかもしれません。
また、アイミツでは随時無料相談を承っております。人事評価システムの導入サポートも行っているので、いつでもお気軽にご相談ください。
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