オンライン決済に関する法律をわかりやすく解説!資金決済法を学ぼう
オンライン決済は金融サービスだということもあり、常に最新の法制度に対応しているものを選ぶことが大切です。今回は、オンライン決済の導入に当たって確認しておきたい法制度について、わかりやすく解説します。
- オンライン決済に関する法律とは
- オンライン決済を取り巻く環境の変化
- 決済法制における課題
- 決済方法の種類
- 決済法制の資金決済法・割賦販売法について
- 前払い決済サービスに対する法律「資金決済法」とは
- 資金決済法の骨子
- 2010年に施行された資金決済法
- 後払い決済サービスに対する法律「割賦販売法」とは
- 資金決済法以外の決済事業に関する規制事情
- 資金決済法の改正で得られるメリット
- オンライン決済を扱う上でのポイント
- まとめ
オンライン決済に関する法律とは
まずは、オンライン決済に関連する法整備について確認しておきましょう。導入を検討している企業にとって見逃せないのが、資金決済法です。資金決済法には「前払式支払手段」および「資金移動」に関する規制が定められています。
オンライン決済を取り巻く環境の変化
オンラインショッピングと決済代行サービスの普及に伴い、健全に利用するための法整備も進められてきました。これらのサービスを、単に普段の買い物を楽にするだけのものではなく、災害など非常時の際にも活用できる取り組みも行われています。
クラウドファンディングなどの少額投資サービスなど、従来の決済手段では実現できなかった社会貢献にも役立てられており、今後ますますオンライン決済が活用される分野は増えていくでしょう。
決済法制における課題
ただ、便利で有意義なものなら何でも認可されるようでは、万が一悪用された際には多大な被害がもたらされるでしょう。
送金や支払いサービスが適切に機能するための制度的なバックアップは不可欠です。確実に決済を行える環境の整備、利用者資金の確保、過剰な与信の防止、そしてサイバーセキュリティ対策と、検討すべき事項は多々あります。
フィンテックは多大なポテンシャルを秘めている分、技術そのものが秩序を乱さないよう取り締まらなければなりません。
決済方法の種類
続いては、主要なオンライン決済方法の種類について、一度確認しておきましょう。一般的に決済手段として用意されているのは、前払いと即時払い、そして後払いという3つの方法です。
現金決済では即時払いに限定されてきましたが、支払い手段が多様化したことによって、決済のタイミングにも違いが生まれています。使い分けられるよう、それぞれの特徴を理解しましょう。
前払い
前払い決済は、購入者があらかじめ決済サービスに入金し、そこで獲得したポイントやチャージ金額を決済の際に利用する方法です。いわゆる交通系ICカードによる支払いや、電子マネー決済、プリペイドカード決済などが当てはまります。
最近ではQRコード決済など、前払いの仕組みを採用した金融サービスも次々と登場。資金決済法にも大きくかかわる支払い制度であるため、よく理解しておく必要があります。
即時払い
即時払い決済は、商品の購入と同時に支払いが行われる、現金決済にもっとも近い方法です。デビットカードを使用したカード決済や、銀行振込による入金、あるいは資金の移動によって支払いが行われるものは、即時払いとして分類されます。
また、配達時の代金引換も即時払いの1つで、クレジットカードを使わない決済手段を求めている方には便利な支払い方法だと言えるでしょう。
後払い
後払い決済は、商品を受け取ってから料金の引き落としが実行される決済手段です。第三者の金融機関によって、購入者および事業者の信用情報を担保し、決済手続きを仲介してもらうことで成立します。
後払い決済の代表格だと言えるのが、クレジットカード決済です。クレジットカード決済はカード利用者の「信用」に基づいて成立しており、事業者に代わって金融機関が後日まとめて請求を行います。
しかし近年では、カードがなくても利用できる後払いサービスも少なくありません。
決済法制の資金決済法・割賦販売法について
キャッシュレス決済の浸透、およびオンライン決済の普及に伴い、日本国内では決済法に関する整備が急速に進んでいます。中でもオンライン決済と関連性の深い法律が、資金決済法と割賦販売法です。
まず、資金決済法は資金移動に関連する事業の柔軟性を高めるために、近年改正が行われました。収納代行や代金引換といった金融サービスは、これまで資金決済法の対象外とされてきましたが、改正によって一般利用者の間で用いられる送金サービスとして分類され、法制度の適用対象となっています。
割賦販売法では、少額の決済で用いられる後払い決済に特化した分類が設けられ、円滑な事業展開と、消費者が安心して利用できる仕組みづくりのために改正法案が提出されました。
前払い決済サービスに対する法律「資金決済法」とは
資金決済法は、前払い決済を扱う法律としても注目されています。法改正によって、前払い決済を導入する際には「前払式支払手段」が採用されているかどうかがポイントとなります。
前払式支払手段の要件を満たすためには、金額や数量の記録、金額に応じた対価の発生、代金の支払いに活用できる仕組みづくりといった機能性を備えていなければなりません。
また、前払式支払手段を採用している事業者に対しては、利用者情報などの表示義務、残高の供託義務、国への報告義務、サービス終了時の払い戻し義務などといった、サービスの安全性と信頼性を担保する義務をクリアする必要もあります。
資金決済法の骨子
ここで、資金決済法の骨子についてもおさらいしておきましょう。資金決済法に記されているのは、大きく分けて前払式支払手段に関する規制、および資金移動に関する規制の2つです。
この2つに加え、同法律では暗号資産に関する記述もありますが、今回取り扱っているオンライン決済のテーマにはあまり関係がないため、ここでの説明は省きます。
いずれにせよ、近年のフィンテックを理解する上では極めて重要な法律であるため、関連情報だけでも理解しておかなければなりません。
前払式支払手段に関する規制
前払式支払手段に関する規制は、上述したとおり、物品購入や役務提供等を受ける際の代価の支払いに活用できる決済サービスに関する規制をまとめたものです。
前払式決済手段は2種類あり、発行者に対してのみ利用できるものを自家型前払式支払手段、それ以外のものは第三者型前払式支払手段とされています。
前者の場合、未使用残高が1,000万円超となる場合は財務局長への届出が必要で、後者はあらかじめ財務局長への登録が必要になるなど、それぞれ手続きが異なる点に注意しましょう。
資金移動に関する規制
資金移動に関する規制は、銀行以外の事業者が為替取引を事業として行う際に適用されるものです。
資金移動業を営む事業者は、あらかじめ財務局長、あるいは財務支局長への登録が必要で、履行保証金の供託義務など複数の義務が課せられます。
前払式支払手段と比べると、送金サービスの設計方法には柔軟性がある一方で、ユーザー登録に伴う取引確認が必要。上限金額も定められています。
2010年に施行された資金決済法
資金決済法は、社会の技術革新に伴い、これまでに複数回の改正が行われてきました。同法律がはじめて施行されたのは2010年で、前払式証票の規制等に関する法律の適用対象となっていた紙型や磁気型、IC型の前払式支払手段に加え、サーバ型の前払式支払手段も適用対象としています。
これに伴い、同法律の施行以前に適用されていた、前払式証票の規制等に関する法律は廃止となり、資金決済法へと一本化されることとなりました。
また、従来は規制対象であった銀行業以外の事業者も、資金決済法による登録をした者は、1件あたりの取引が100万円以内であれば、資金移動業者として為替取引に参入できるようになっています。
前払式支払手段
前払式支払手段において重要になるのが、改正資金決済法13条にあたる利用者の保護に関連する措置についてです。
前払式支払手段がより身近になったことで、利用者に対する保護を第一とした運用体制の構築だけでなく、発行業務の健全かつ適切な運営を確保することが求められるようになりました。
これからの決済システムのスタンダードとなれるよう、事業者側の高度なルール設計が求められています。
資金移動
資金移動業については、今回の改正によって3つの区分が与えられ、それぞれリスクに応じた規制がかけられています。
1つ目は、送金額の上限なく為替取引を行える第一種資金移動業で、金融庁長官の認可が必要です。2つ目は第二種資金移動業で、送金額には100万円以下という上限が設けられています。従来の資金移動業のルールが当てはまるものです。3つ目は第三種資金移動業で、送金額に5万円以下という上限が設けられており、比較的カジュアルな事業者が当てはまります。
収納代行
収納代行サービスにおいては、これまで実質的な為替取引事業であるものを明らかにできるよう、規制対象として指定されました。
・受取人が個人で、なおかつ事業者が弁済として資金を受け入れた際、債務が消えない場合
・受取人が個人で、割り勘アプリのように連帯債務者として金銭債権が信用の供与によって発生し、その金銭債権の回収を目的として資金を移動させる場合
以上のようなケースは、為替取引として扱われるため、規制対象となります。
ちなみに債権者が事業者であり、二重払いの懸念がない場合には、従来どおりの収納代行サービスとされ、規制の対象とはなりません。
後払い決済サービスに対する法律「割賦販売法」とは
後払い決済サービスについては、「割賦販売法」が適用されます。
割賦販売法とは、商品やサービスの購入に伴う分割払い、および延払いに関するルールをまとめたもので、利用者に不利益が生じないよう保護する目的で制定されました。
後払い決済にはクレジットカードの発行者であるイシュアー、カード利用事業者である加盟店、決済代行業者(PSP)、加盟店契約会社のアクワイアラーと多くの事業者が参画するため、契約が非常に複雑です。
割賦販売法の改正によって、より高度な審査手法がこのような契約形態においても利用できるようになり、QRコードの決済事業者に対するセキュリティの強化も図られるようになりました。時代に合わせた変化が適用されています。
資金決済法以外の決済事業に関する規制事情
決済サービスの安心安全な利用をさらに確実なものとするため、そのほかの決済事業に関する規制も進んでいます。
金融庁は2021年2月に、不正取引対策に係る改正事務ガイドラインを確定させました。前払式支払手段発行者関係と資金移動業者関係について、いくつかの改正を行なっています。
まず、こういった事業者と銀行が連携する際は、その役割や責任を明確化することで、利用者の安全に対する責任の所在を明確にしなければなりません。前払式支払手段発行者及び資金移動業者と連携先との協力と、認証サービスを用いた不正防止への取り組み、さらには不正検知や不正取引があった際の補償対応などが改正内容に含まれています。
これらの制度については今後も改正が加えられる可能性があり、その動向に注目する必要があるでしょう。
資金決済法の改正で得られるメリット
資金決済法の改正によって、キャッシュレス決済関連サービスを提供している事業者にとっては、サービス設計のアップデートが求められるため、多くの負担が生まれます。
ただし、こういったサービスを利用する加盟店や消費者としては恩恵を受けられる部分も少なくありません。たとえば、行政も認める送金サービスが登場したことで、個人間の金銭取引の利便性が向上し、安全かつスピーディーに利用できるようになります。
また、国内外を問わずワンタップで取引が成立するようなオンラインサービスの提供にもつながり、越境ECの拡大にも役立てられるでしょう。セキュリティ対策もより強化され、不正利用の少ない、ローリスクな取引へと進化していきます。
オンライン決済を扱う上でのポイント
オンライン決済を導入する際には、上記のような細やかな資金決済法の改正などに対応している、信頼性の高いサービスを利用することが重要です。
上述した義務を怠っている事業者は、業務停止命令などの重いペナルティを課されるため、決してないがしろにはできません。さまざまな決済手段を取り扱っているとともに、取引実績が豊富な決済サービスを選ぶようにしましょう。
まとめ
オンライン決済関連のサービスは利便性が高い反面、多くの法規制に縛られています。それらをクリアにしながら提供されているものがほとんどです。
したがって、セキュリティ面でのリスクが懸念されてきた決済事業ですが、近年では厳しい基準が求められているため、いずれのサービスも安心して利用できると言えるでしょう。
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