【メリット・事例とあわせて解説】ECサイトに欠かせない決済代行サービスの選び方
ネットショップの担当者のなかには、「クレジットカード会社の契約審査が通らない」、「決済方法ごとに締め日がバラバラで、入金確認が大変」などといった悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、決済代行各社が提供している決済代行サービス。今回は決済代行サービスの概要や導入メリットを整理したうえで、契約先を選ぶ際のポイントをご紹介します。
- 決済代行サービスとは?
- 決済代行サービスのメリット
- 決済代行サービスのデメリット
- 決済代行サービスの導入事例3選
- 決済代行サービスの選ぶ際のポイント
- まとめ:決済代行会社選びでお悩みならPRONIアイミツヘ
決済代行サービスとは?
決済代行サービスは、ネット通販などを手がける企業とクレジットカード会社をはじめとする信販会社を仲介するサービスです。
サービスを提供する会社(決済代行会社)は信販会社との契約手続きを代行した上でクレジットカード、電子マネー、アプリなど決済手段をカバーする決済システムを提供、購入代金の入金処理をはじめとする運用業務までまとめて引き受けます。それと引き換えに、サービスを利用する側は毎月一定額の月額手数料+決済の件数に応じた決済手数料(マージン)を支払うというのが、一般的な仕組みです。
詳しくは次章で解説しますが、決済代行サービスを利用すれば、煩わしい事務手続きや経理処理の手間を省いた上で、商品開発や販売戦略のプランニングといったより本質的な業務に時間を充てることが可能になるでしょう。あわせて幅広い決済方法をカバーできるようになり、買い物客の離脱、機会損失の防止にもつながります。
実際に決済代行サービスを利用しているEC事業者や通販会社は非常に多く、矢野経済研究所のリサーチによれば、2020年度のマーケット規模は約19兆円。2024年度には30兆円以上に達すると見込まれています。
決済代行サービスのメリット
続いては決済代行サービスの具体的なメリットについて、大きく5つに分けてご紹介します。
契約の手間が減る
4大カード会社(VISA、MasterCard、American Express、JCB)や電子マネー運営会社と個別に契約を結ぶ場合、1社1社の審査フローを確認した上で、フォーマットの異なる申請書類を作成・提出する必要があります。内容の不備や記載ミスがあれば書類は差し戻され、審査通過(加盟)までに時間がかかってしまうケースも少なくありません。
一方、決済代行サービスを利用すれば、こうした手間をまとめてカットすることが可能。契約の更新手続きなども含めて、事務作業を大幅に簡略化できます。
審査のハードルが下がる
コンビニ払いや後払いは、利用者が代金の支払いを渋ったり、支払いが遅れてしまったりするリスクを孕んでいます。そのため、クレジットカードや電子マネーと比べると契約審査のハードルが高く、開業して間もない小規模なネットショップなどでは加盟が認められないことも。そうした際も一定の信用がある決済代行会社のサービスを通じて加盟申請することで、審査に通りやすくなります。
経理の生産性がアップ
クレジットカードや電子マネーの手数料率は契約先によってさまざま。さらに購入代金の入金サイクル(「月末締め・翌月末払い」、「毎月15日締め・翌月25日払い」など)もバラつきがあるため、信販会社と個別に契約を結ぶと、入金のタイミングにあわせてその都度売上金額を集計する必要があり、多大な手間が発生してしまいます。決済方法や購入件数が増えるほど経理処理は複雑になり、計算ミスなども起こりやすくなるでしょう。
一方で、決済代行サービスを利用すれば、各社の手数料率を差し引いた上で、毎月決まった日に購入代金がまとめて入金されます。おのずと経理作業の負担は減り、人件費の削減も見込めるようになるはずです。また入金サイクルが一本化されることで、一度にまとまった資金を確保しやすくなるのも大きなメリットだと思います。
安心・安全な決済が可能に
決済代行会社が提供している決済システムの多くには、SSL(暗号化通信)、ファイアウォール、3段階のクレジットカード本人認証(3Dセキュア)といったセキュリティ機能が搭載されています。決済代行サービスを利用すれば、情報漏洩やクレジットカードの不正利用を防ぎ、よりセキュアな決済環境を構築することが可能です。
カゴ落ちを防げる
SBペイメントサービス株式会社が2020年に行ったリサーチによれば、ネット通販(物販)における支払い方法の割合は、全体の78.5%を占めるクレジットカードが第1位。第2位として17.5%のPayPayが続き、他社のオンライン決済(楽天ペイ、LINE Payなど)もここ2~3年の間に大きくシェアを伸ばしています。
世界的にキャッシュレス化が加速するなか、「キャッシュ払いは面倒くさい」、「電子決済しかしない」というユーザーは少なくありません。クレジットカードやオンライン決済に対応していないと、即カゴ落ちに直結します。決済代行サービスを利用し、キャッシュレスを中心とした幅広い決済方法をカバーすればカゴ落ちを防ぎ、より安定した収益を確保できるようになるでしょう。
決済代行サービスのデメリット
経理の効率化や機会損失の防止など多くのメリットをもたらす決済代行サービスですが、いくつかのデメリットもあるので注意しましょう。
手数料がかかる
1つめのデメリットは、コスト面。最初にも少し触れたとおり、決済代行サービスの利用にあたっては、毎月定額の月額手数料(システム利用料、決済データの管理費)や決済手数料(マージン)が発生します。とりわけ、クレジットカード決済の場合、決済代行会社の取り分に加えて、カードブランドやカード発行会社のブランドフィー、マージンが加算されるため、手数料率が10%前後になることも。
サービスを利用する以上、コストがかかるのは致し方ない点ではありますが、自社で決済処理を行う場合と比べ、売り上げ1件当たりの利益率は下がります。
なお、決済代行サービスの費用の仕組みや料金相場については、以下の記事でも詳しく解説しています。より詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
売り上げを回収できないリスクも
こちらは稀なケースではありますが、決済代行会社が何らかの理由でサービスを停止したり、倒産してしまったりすると、売上金を回収できないことがあります。実際、2010年にはネット通販のクレジットカード決済代行サービスを手がけてサイバークレジット社が経営不振に陥り事業を停止。2012年にはケー・ティー・トラスト社が破産申請をして、ネットショップ運営会社を中心に多くの債権者が出る事態になりました。
決済代行サービスを利用するということは、一時的に売上金を預けるということでもあるので、契約先は慎重に選びましょう。
決済代行サービスの導入事例3選
次に実際に決済代行サービスを利用している3社の事例をご紹介します。
株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
音楽コンテンツの配信事業などを手がける株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス(本社:東京都豊島区 旧:株式会社ヤマハミュージックメディア)では、若年層への販路拡大とユーザーの利便性向上に向けて、決済代行サービスを導入しました。
これにより、従来からのクレジットカード決済、オンライン決済に加え、モバイル端末によるキャリア決済も可能に。導入後は売り上げ全体の約20%をキャリア決済が占めるようになり、事業拡大につながりました。また、決済代行サービスの導入にあわせてショッピングカートを改修したことにより、独自の販売キャンペーンなど新しい施策も打ち出せるようになりました。
事例参考:https://www.sbpayment.jp/case/yamaha/
株式会社トラーナ
玩具のサブスクリプション型レンタルサービス事業を手がける株式会社トラーナ(東京都中野区)は、2015年のサービス開始にあわせて決済代行サービスを導入しました。
導入後は、決済代行会社が提供しているASP型(リンク型)フォームを活用することで、スピーディーに決済できる仕組みを構築。さらに決済フォームの会員登録機能を新規顧客へのアプローチにも活用し、サービス開始からの5年で約6,000名の会員を抱えるサービスへと成長しました。
事例参考:https://www.robotpayment.co.jp/service/payment/case/torana.html
東映アニメーション株式会社
アニメ作品のプロダクションとして、60年以上の歴史を持つ東映アニメーション株式会社(東京都中野区)では、以前から作品関連グッズのオンライン販売を行っていたものの、決済方法が代金引換に限られていたため、次第に売り上げが伸び悩む状況に。
その解決策となったのが、決済代行サービス。サービスの導入によってクレジットカード決済とコンビニ払いにも対応できるようになり、売り上げは大幅に拡大。さらに開発元のサポートを受けながらセキュアな決済環境を実現したことで、顧客からの信頼アップにもつながりました。
事例参考:https://www.gmo-pg.com/case/mp-toei-animation/
決済代行サービスの選ぶ際のポイント
最後は決済代行サービスを選ぶ際のポイントについてご紹介します。大きく4つに分けて見ていきましょう。
希望の決済方法に対応しているか
クレジットカード払いやアプリ決済、電子マネー払いなど、決済の方法はサービスによってさまざま。まずは自社のビジネスモデルやターゲットを念頭に置き、希望する決済方法に対応している決済代行サービスを絞り込んでいきましょう。
たとえば比較的単価の高い、シニア層向けの商材を取り扱っているネットショップなら、American ExpressやJCBをはじめとするクレジットカード決済に対応しているサービスがおすすめ。一方で商品の単価が低い場合、メインターゲットが若年層などの場合は、より手軽に利用できるオンライン決済やキャリア決済に対応している決済代行サービスが有力候補になると思います。
費用対効果が見込めるか
契約プランやメインとなる決済方法によって若干の違いはあるものの、月商100万円のネットショップが決済代行サービスを導入すると、月額手数料と決済手数料をあわせおおむね月額5万円から8万円前後、月商300万円の場合は10万円から25万円前後の料金が発生します。
決済代行サービスによって事務手続きや経理処理のコストを削減できても、こうしたランニングコストがそれを上回ってしまうようでは本末転倒です。導入にあたっては各サービスの手数料率などをしっかり見比べた上で、人件費と照らし合わせながら費用対効果が見込めるものを選びましょう。
セキュリティに問題はないか
決済代行会社が提供するシステムには、ユーザーのクレジットカード番号や口座番号といった非常にセンシティブな情報が蓄積されます。万が一こうした情報が外部に流出すると、訴訟などを含めた非常に大きなトラブルにつながり、リカバリーするのは容易ではありません。
決済代行サービスを選ぶ際は、ログイン認証やファイアウォールといったセキュリティ対策、開発元のセキュリティ認証(プライバシーマーク、ISO27001)の有無に留意するのも、大事なポイントと言えるでしょう。
契約先の事業基盤はしっかりしているか
決済代行は異業種からの新規参入してくる事業者が少なくなく、前述のとおり、契約先が事業を停止して売上金を回収できなくなってしまうリスクもゼロではありません。そういった点では、手数料やセキュリティ対策とあわせて、契約先の事業基盤に目を向けるのも欠かせないポイントの1つです。
具体的なチェックポイントとしては、各社のコーポレートサイトに記載されている沿革や資本金、売上高、従業員数、取引先情報など。一概には言えないものの、創業してあまりにも日が浅いほか、財務関連のデータがまったく公開されていない決済代行会社との契約は、慎重に検討した方がいいと思います。
まとめ:決済代行会社選びでお悩みならPRONIアイミツヘ
今回は決済代行サービスのメリットや選び方についてご紹介しました。ネットショップや通販会社の担当者の方の参考になれば幸いです。
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