勤怠表とは?おすすめの勤怠表管理の方法も紹介
勤怠表とは従業員の出退勤や勤務実績を正確に記録・管理するための必須書類です。しかし、アナログ管理や手作業の集計ではミスや負担が増えがち。結果として、法令違反や未払い残業など思わぬリスクにつながることも…。
この記事では、勤怠表とは何か、なぜ管理が必要なのかを分かりやすく解説しつつ、おすすめの勤怠表管理の方法も紹介します。現場の負担を減らし、法令対応もバッチリな管理方法を見つけたい方は必見です。
- 勤怠表とは
- 勤怠表の管理を怠ると違法になる?
- 勤怠表の記載方法・必須項目
- 勤怠表の作成方法
- 勤怠表管理には勤怠管理システムがおすすめ!
- エクセルやスプレッドシートで勤怠表を作成すべきでない理由
- Excelと勤怠管理システムの併用もおすすめ
- まとめ

勤怠表とは

勤怠表とは、文字通り従業員の勤怠、つまりは出退勤について証明する一覧です。従業員1人ひとりの出退勤時刻や、ある場合には休日出勤についてなどをもれなく記しています。会社によっては「勤怠管理表」と呼んでいることもあるでしょう。
勤務表との違い
勤怠表によく似た言葉として「勤務表」があげられますが、記されている内容はまったくの別物。勤務表では、従業員1人ひとりの勤務スケジュールやシフトなどが記されています。つまり、勤務予定について記されるのが勤務表、実際に勤務した時間について記録されるのが勤怠表と言えるでしょう。
勤怠表の管理を怠ると違法になる?

社員の出勤状況を勤怠表に記録することは、健全な経営をする上で重要であるだけでなく、法律でも義務付けられています。勤怠管理の記録をとらないのは違法ですが、それはどのような法律に基づいているのでしょうか?
勤怠表の記録を怠った場合(労働基準法108条違反)
労働基準法は労働者の賃金、就業時間、休日などの基準を定めた法律で、従業員を雇う場合には必ず法律に則って雇用しなければなりません。仮に労使で合意した内容でも、労働基準法の最低基準に満たない内容は無効です。自由契約となるのはあくまでも労働条件が、法律で定める最低基準以上のときに限られます。
労働基準法には様々な規定があり、勤怠表の保存については労働基準法108条で次の様に明記されています。
(賃金台帳)
第百八条
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
賃金計算の基礎となる事項とは、従業員の労働日数、労働時間、時間外労働、休日出勤、深夜労働、有給取得などの情報です。つまり従業員の勤怠データがこれに該当します。このように勤怠記録は法律で義務付けられており、記録を怠ると賃金台帳調整義務違反となり、30万円以下の罰金に処せられます。
さらに勤怠記録を怠ったがために、法律で定められた有給休暇が付与されなかった場合は、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処せられる可能性もあるので十分注意してください。
保管期間を過ぎた書類の対応
勤怠表は5年間の保管が義務付けられていますが、もしも保管期間を過ぎた場合には処分しても構いません。廃棄するという場合には、情報漏えいには十分に注意して処分してください。万が一のことを考えてデータを残しておきたいという場合は、スキャンなどでデータ化してPCやクラウドに保存しておくという手もあるでしょう。
労働時間に見合った給与が支払われない場合
勤怠表の記録ができていないと、労働時間に見合った給与を支払うことができません。そもそも労働時間を把握できないので計算しようがないからです。労働時間通りに給与が支払われないのは労働基準法違反であり、従業員い労基署に駆け込まれれば一発でアウトです。是正勧告・指導は行われるでしょうし、それでも従わず悪質と判断されれば最悪逮捕・起訴に発展する恐れもあり、その場合は刑事罰の対象となります。
また、退職後に未払い賃金を従業員から請求された場合は遅延損害金を支払わなければなりません。さらに裁判になった場合は、未払い賃金と同額の付加金を従業員に支払う義務を負います。例えば、50万円の未払い賃金があると認められれば、付加金も50万円となり、従業員に対し合計で100万円の支払いを命じられます。未払い賃金は通常一人だけということはないので、仮に他の従業員からも一斉に訴えられたら会社の経営は危機的状況に陥るでしょう。
しかし、勤怠表がなければ、裁判で労働時間を証明できないため、少なくとも義務を怠った点で会社側は相当不利な状況になるでしょう。このように、勤怠表の記録をとらないことは違法であるばかりでなく、そのことが理由で会社の存続が危うくなる可能性すらあるのです。
勤怠表の記載方法・必須項目
ここまでは勤怠表を作成する意味・目的や重要性について紹介してきましたが、勤怠表にはどのような情報を記載するべきなのでしょうか。ここからは、勤怠表の記載方法や必須項目についてまとめて確認していきましょう。
出勤時間・退勤時間
勤怠表を作成する上でもっとも欠かせないのが、出勤時間と退勤時間です。出退勤時間を正しく把握・管理することによって初めて勤怠表は意味を成すため、情報の改ざんや不正打刻などのないように環境を整えましょう。
残業時間
勤怠表は、労働時間をきちんと把握するために作成されるもの。そのため、残業時間についても過不足なくきちんと記載することが重要です。法定労働時間を超えた労働があった場合には25%の割増賃金、夜10時以降にまで残業が及んでいる場合には深夜労働分の割増賃金25%が加算されるため注意しましょう。
深夜労働
午後10時〜翌朝5時に至るまでの深夜労働が発生しているのかどうかも忘れずに記載しなければなりません。先にも軽く触れていますが、もしも深夜労働に当たる時間に勤務があった場合には、25%割増にする必要があるため注意しましょう。
休日出勤
勤怠表を作成する際には、休日出勤の有無についてもきちんと記載しておきましょう。もしも週に1回ある休日に従業員を働かせた場合には、通常の35%分割増した賃金を支払わなければなりません。それ以外の休日に出勤させた場合には、1日あたり8時間、週あたり40時間を超えた時間外労働として25%の割増賃金を支払いましょう。
早退/遅刻の時間と回数
勤怠表には、早退や遅刻があったのかについて、時刻や回数とともに記載しなければなりません。企業により異なりますが、出勤時間が所定労働時間を過ぎてしまっている、あるいは満たしていないなどという場合に早退・遅刻となり、賃金が控除される場合もあります。
有給取得日数/残日数
勤怠表を作成する際は、従業員が有給を取得した日数についても記載しましょう。労働基準法に則り、もしも有給休暇が年に10日以上付与されている場合には、最低でも5日は必ず取得しなければならないため、日数の管理は注意が必要です。
→有給管理におすすめの勤怠管理システムはこちら(別記事)
欠勤/休日の区別
休日と欠勤についてきちんと区別し、欠勤については勤怠表に記載しましょう。欠勤は、本来であれば勤務しなければならなかった日に勤務しなかったということを意味し、賃金控除の対象とされています。
勤怠表の作成方法
勤怠表には、出勤時刻や退勤時刻、労働時間、残業時間、早退、遅刻など必ず記載しなければならない項目が多数あります。これらの項目を不備なく記載するには、以下の3つの方法のいずれかで勤怠表を作成することをおすすめします。
エクセルやスプレッドシートで作成する
MicrosoftのExcelやGoogleのスプレッドシートなどで勤怠表を作成できます。Excelやスプレッドシートで作成することの一番のメリットは、無料で作成できる点。スプレッドシートは無料で利用できますし、Excelがインストールされている端末であれば無料で利用できます。また、計算式を入力しておけば自動で計算してくれるため、入力ミスや計算ミスなどの人為的ミスを防止できます。
テンプレートを用い作成する
これまで紙ベースで勤怠表を作成していた方の中には、「勤怠表にどのような項目を記載し、どの部分にどのような計算式を入れれば良いか分からない」という方も多いのではないでしょうか。そういった方は、インターネット上で無料公開されているテンプレートを利用してはいかがでしょうか。一般的な勤務表のほか、深夜勤務と深夜残業を分けて集計できる勤務表やスマートフォン対応の勤務表など多種多様なテンプレートが公開されています。
→Excel(エクセル)で勤怠管理表を作る方法、出勤簿テンプレート
勤怠管理システムを利用する
今回紹介する3つの方法のうち、最も簡単に勤務表を作成できるのが勤怠管理システムで作成する方法です。勤怠管理システムでは、従業員の勤怠情報をもとに、自動的に勤怠表や勤務実績表が作成できます。勤務時間などは自動入力されるため、Excelやテンプレートで作成する勤務表と違い、入力ミスや転記ミスといった人為的ミスの心配がありません。さらに、勤怠管理システムには勤怠表が作成できるだけではなく、残業時間や有給取得状況をリアルタイムで把握できる機能などが搭載されているため、勤怠管理業務の効率化が期待できます。
勤怠表管理には勤怠管理システムがおすすめ!
先ほど、勤怠表を作成する3つの方法をお伝えしました。中でも、最もおすすめなのは勤怠管理システムを利用しての勤怠表の作成です。

勤怠管理システムには勤怠表を作成できる機能だけではなく、勤怠管理業務の効率化につながるさまざまな機能が搭載されているからです。たとえば、勤怠管理システムには従業員の勤務時間や休暇の取得状況をリアルタイムで把握できる機能が搭載されています。この機能により、労務管理の法令順守を徹底できるでしょう。
また、労働時間や残業時間は勤怠管理システムが自動で算出・集計してくれます。これまで算出や集計にかかっていた時間をほかの業務にあたられるようになるわけです。さらに、勤怠管理システムを利用すれば不正打刻を防止することもできます。
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エクセルやスプレッドシートで勤怠表を作成すべきでない理由
勤怠表は、エクセルやGoogleスプレッドシートなどがを用いて作成している方もおおいでしょう。そのような作成方法はなるべく避けた方がいいと考えられます。エクセルやスプレッドシートで作成することによって、どのようなデメリットがあるのかチェックしておきましょう。
業務効率が下がり担当者の負担が増える
エクセルやスプレッドシートで勤怠表を作成することは、勤怠管理システムを利用するよりも面倒な作業が多く非常に手間がかかるもの。その結果業務効率が下がってしまい、人事担当者の負担が増えてしまう点は大きなデメリットです。従業員1人ひとりの労働時間の管理、残業時間の管理、休暇の管理、遅刻や早退、欠勤の管理などを1つずつ手作業で行なっていては、集計作業に多くの時間を要します。
また、従業員が月給制の場合は、各種手当などの確認、厚生年金や社会保険の確認なども必要になるため、給与計算が複雑になっていきます。そのため、確認が不足していると給与計算のミスに繋がるため、大きなトラブルに発展してまいます。勤怠管理システムであれば自動で集計されていくため、エクセルやスプレッドシートで管理するより手間なく対応できるでしょう。
打刻忘れや不正打刻のリスク
エクセルやスプレッドシートを用いて勤怠管理や勤怠表の作成を行うという場合、手作業で勤務時間を申告・集計することとなるため、従業員1人ひとりの出退勤時間が正確なのかどうかが確かめづらくなってしまいます。
場合によっては、実際に出勤した時刻よりも早く出勤したことに書き換えられてしまっている、不正打刻や打刻忘れの放置などが発生し続けてしまうと、管理体制の不備を指摘され、労働基準法に違反していると判断される可能性があります。このような事態を防ぐためには、ICカードやGPS、指静脈認証などさまざまな方法を用いて打刻することのできる勤怠管理システムを導入するべきでしょう。
労働基準法違反になる恐れ
エクセルやスプレッドシートでも出退勤の管理は行うことができますが、場合によっては労働基準法違反となってしまう可能性もあります。勤怠表の作成にエクセルやスプレッドシートを用いる場合、勤怠時刻や合計労働時間数についてはあくまでも自己申告です。勤怠管理システムのように、さまざまな打刻方法を反映しシステムに則って時間が反映されているわけではないため、実際には残業があったにもかかわらず過少申告している、休暇管理をきちんと行えずに有給取得が進んでいないなどといった状況になりかねません。
そのような違反行為を防ぐためにも、システムで過不足なく労働時間を管理できる勤怠管理システムを導入しておくと安心でしょう。
勤怠状況をリアルタイムで把握できない
エクセルやスプレッドシートで出退勤の管理や勤怠表の作成を行っている場合、入力が個人の裁量にゆだねられてしまうので、正確な勤怠状況を管理することが難しいです。そのため、残業時間についてもリアルタイムに管理することができず、万が一違法な残業が発生しているという場合にも、エクセル管理だと整合性の判断が難しく追求ができず、適切な指導を行うことができません。
リアルタイムに勤怠状況を把握するためには、すぐに出退勤情報が反映される勤怠管理システムを導入するべきでしょう。
多様化する働き方に対応できない
エクセルやスプレッドシートでは、フレックスタイム制度を利用している人や、テレワーク中の人、営業で外回りに出ている人などの勤怠管理も難しいでしょう。昨今ではさまざまな働き方があるため、それぞれの従業員で打刻のルールを設ける、シートも別で作成するなどという状況になると、人事労務の担当者にとっては厳しいもの。こなすべきタスクが増えすぎて、ミスの多発や業務の遅延につながってしまいます。
多様化する働き方にも柔軟に対応していくためには、クラウド上で気軽に出退勤を管理することができ、さまざまな働き方にも対応した勤怠管理システムを導入するのがベストです。
Excelと勤怠管理システムの併用もおすすめ
どうしても会社の都合でExcelの勤怠表が必要なケースもあるでしょう。そういった方におすすめなのが、Excel出力が可能な勤怠管理システムを活用することです。勤怠の集計やシフト作成などは勤怠管理システムで行い、確認用にExcel出力することで勤怠管理システムによって作成した勤怠表をExcelでも残すことができます。この方法なら、Excelで作成していたこれまでの勤怠管理データを、これからの勤怠管理業務にも活用できます。
まとめ
勤怠表は、従業員の出退勤時間や休暇取得等の情報を記録している書類です。勤怠表がないと誰が何時間働いているのか把握できず、労働時間を管理することができません。また、給与計算も正確にできなくなるので、未払い給与が発生する恐れがあり、裁判沙汰に発展することもあります。こうしたことから、勤怠表を正確に記録することは法律で義務付けられており、違反すると30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
もし、勤怠表の記録、管理の負担が大きいようでしたら勤怠管理ツールの導入を検討してみてください。今回紹介したツールは、いずれも勤怠表の自動作成ができるものばかり。その他の機能、料金面では色々と違いがあるので、その特徴をよく見比べて、自社に一番ふさわしいツールを選んでみるといいでしょう。
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