グループウェア|オンプレミスとクラウドの違いとは?メリット・デメリットを徹底解説
グループウェアを選ぶにあたって最初の分かれ道が、オンプレミス型かクラウド型かの選択です。今回は、オンプレミス型・クラウド型のメリットとデメリットをあらためて整理し、それぞれどういった企業や利用シーンに適しているのか紹介していきます。
- グループウェアとは
- グループウェアを選ぶポイント
- オンプレミス型とは?
- クラウド型とは?
- オンプレミス型のメリット
- オンプレミスのデメリット
- クラウドのメリット
- クラウド型のデメリット
- オンプレミス型を使うべき会社
- クラウド型を使うべき会社
- まとめ
グループウェアとは
グループウェアとはチームで取り組む仕事を手助けするツールです。チャットや社内SNS、スケジューラー、ワークフローといった機能がパッケージ化されており、社員同士がリアルタイムにコミュニケーションをとったり、お互いの予定を確認したり、予算や休暇を申請・承認したり、さまざまな使い方ができます。
グループウェアが普及するきっかけになったのは、IBMが1996年にリリースした「Lotas Notes 4.0」と言われています。当時はインターネット黎明期。情報化社会への対応が重視されるなか、アメリカを中心に大手メーカーやITサービス企業がグループウェアを導入したことで、世界中へ広まっていきました。
ある老舗染物メーカーでは、グループウェアを導入して顧客台帳や受注管理のプロセスを改善したことで、残業時間が大幅に減った一方、過去最高の売り上げをマークした事例などがあります。
グループウェアを選ぶポイント
次に、グループウェアを選択するにあたり、目を向けるべきポイントを説明します。
料金
現在主流となっているクラウド型の場合、ユーザー1人あたりの料金相場は月額600円~800円ほどです。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)と比べると一見安価のようにも思えますが、仮に従業員100名の企業なら年額換算で70万円以上、従業員300名なら350万円以上の出費は避けられません。
それだけのコストに見合う対価があるのか、本当に自社にマッチするツールなのか、各社の料金プランを参考にしながら慎重に検討しましょう。予算が極端に限られている場合は、無料プランが用意されているグループウェアや、アプリごとに独立した料金が設定されているタイプのグループウェアが有力候補になるのではないでしょうか。
機能・操作性
チームや事業部それぞれの業務課題をしっかりと整理したうえで、相応の機能を備えたグループウェアを選びましょう。例えば、社員同士のコミュニケーションや情報共有に課題を抱えているならチャットや社内SNS、掲示板が搭載されているグループウェア、稟議や勤怠管理のプロセスを効率化したいのなら、ワークフロー、タイムカードといった機能が付いているグループウェアがおすすめです。
あわせて使い勝手も大切なポイントの1つです。グループウェアは基本的に社員みんなが毎日使うものなので、使い勝手が悪いと個人のパフォーマンス低下や会社全体の生産性ダウンにつながります。まずは無料トライアルに申し込み、レイアウトやボタンの配置は問題ないか、スマートフォンに慣れていない人も問題なく使えるか、念入りに確認しましょう。
カスタマイズ性
社内SNSやスケジューラー、ワークフローなどグループウェアには多彩な機能が搭載されていますが、それだけですべての課題を解決するのは難しいものです。自社特有の決算フローなど、汎用的なアプリでは、カバーできない課題を抱えている企業は決して少なくありません。
そうした点ではカスタマイズ性も大切な要素です。グループウェアの種類によってはAPIで外部のサービスと連携したり、オリジナルのカスタムアプリを作成できるものもあります。また、オンプレミス型の場合、エンジニアがいることが前提になるものの、自社で求められる要件にあわせて基本機能の仕様から改修することが可能です。
オンプレミス型とは?
オンプレミス型とはいわゆる「買い切り型」です。ライセンス料を支払って製品を購入し、自社のサーバーにインストールして使うタイプのグループウェアを指します。基本的には導入から運用にいたるまですべて利用者側に委ねられ、サーバーの準備・設定やセキュリティ対策、製品のアップデート、定期メンテナンスは利用者側で行う必要があります。設置する環境によっては、電源やネットワーク、空調設備まで自社で調達するケースも多々あります。
一方、拡張性と強固なセキュリティを兼ね備えており、クラウド型が主流になりつつある今も、オンプレミス型を選ぶ企業は少なくありません。
クラウド型とは?
一方のクラウド型は、webブラウザまたはスマートフォン・タブレット専用のアプリ上で利用するタイプのグループウェアのことです。やりとりしたデータは運営会社が管理するクラウドサーバー(Amazon Web Seviceなど)に保存されます。クライアント側でサーバーや周辺機器を用意する必要はなく、アップデート・メンテナンスも運営サイドに任せることが可能です。
現在、約1,050億円と言われるグループウェア全体の市場のうち、約85%をクラウド型が占めています。
オンプレミス型のメリット
ここからは、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。まずは、オンプレミス型のメリットです。
自由自在にカスタマイズできる
オンプレミス型の大きなメリットは、自由自在にカスタマイズできることです。自社にプログラミングやサーバーに精通したエンジニアがいることが条件ですが、基本的な買い切り契約のため、開発元からの制約を受けず、CRM(顧客管理システム)や経理システムと連携させて使うことが可能です。
部署や事業ごとにさまざまなニーズがあり、利用形態も複雑になりがちな大手企業のなかには、カスタマイズを前提としてオンプレミス型のグループウェアを選ぶところも多いようです。
強固なセキュリティ
自社専有のサーバーとネットワーク上で利用するため、ファイヤーウォールや利用端末ごとのアクセス制限など適切な対策がとられていれば、不正侵入や情報漏洩を未然に防ぐことが可能です。
また、「社外環境に顧客情報を置くのはNG」といったセキュリティポリシー上の取り決めから、オンプレミス型のグループウェアを利用している企業も多くあります。
オンプレミスのデメリット
続いて、オンプレミス型のデメリットを2つ説明します。
導入・運用コストが高い
企業のIT・システム担当者のなかには、「クラウド=手頃」「オンプレミス=割高」というイメージを抱いている人も多いようですが、基本的に間違いではありません。オンプレミス型グループウェアは、製品によっては100万円以上のライセンス料が必要なうえ、サーバーやネットワーク、周辺機器などをゼロから用意するとなると数百万円・1千万円単位のコストがかかることがあります。
クラウド型に比べると導入・運用のハードルが非常に高いのは事実です。グループウェア全体の市場のうち、オンプレミス型のシェアが15%程度にとどまっているのもその裏付けではないでしょうか。
稼働まで時間がかかる
購入してから稼働させるまで、時間がかかるのもオンプレミス型のデメリットの1つです。サーバーやネットワーク環境から用意し、端末ごとの稼働検証まで自社で行うとなると、数週間から3ヵ月程度の時間がかかるのは避けられません。
クラウドのメリット
次は、クラウド型のメリットを確認していきましょう。
導入・運用コストが安い
クラウド型グループウェアの多くは、初期費用が無料です。使える機能や利用人数、オンラインストレージの容量に応じて、月額料金が決まる仕組みになっており、おおむね1人あたり月額600円~800円程度で利用できます。また、アプリのアップデートやメンテナンスも基本的に運営サイド(グループウェアの開発元)が対応するため、利用者側がコストやリソースを割く必要はありません。
これらのメリットから、一部のナショナルクライアントを除き、初めてグループウェアを導入する際は、ほとんどの企業がクラウド型を選択しています。
導入がスムーズ
サーバーや周辺機器を用意する必要がなく、グループウェアの種類によっては、webサイトの登録フォームに必要事項を入力するだけでID・パスワードが発行され、即日中に利用スタートすることが可能です。
また、クラウド型グループウェアのほとんどは、2週間~1ヵ月程度の無料トライアルが設けられており、無料で機能や使い勝手を試せます。複数のグループウェアに同時に登録し、UIや機能を見比べながら候補を絞り込んでいくのもいかもしれません。
クラウド型のデメリット
コストや導入のしやすさでは、オンプレミス型に大きく勝るクラウド型ですが、拡張性や運用の細かい部分に目を向けるとデメリットがあるのも事実です。
カスタマイズは限定的
基本的にwebサーバー経由で使用するため、オンプレミス型の業務用システムやソフトウェア(オフィスのPCにインストールされている顧客管理システムや会計ソフトなど)と直接つなぎ込むことはできません。
最近では、APIによって他社のクラウドサービスと連携したり、カスタムアプリの作成機能が付いているクラウド型グループウェアも増えてきてはいますが、自由度の高さでは依然オンプレミス型が勝っています。
他社の影響を受けることも……
他ユーザーや運営元の影響を受けやすいのもクラウド型のデメリットの1つです。クラウド型グループウェアは、サーバーやネットワークを他社と共用するため、アクセスが集中したり、他のユーザーが非常に容量の重いファイルをアップロードしてサーバーに負荷がかかったりすると、一時的に処理が遅くなることがあります。
また、運営会社の都合によってサービスそのものが終了し、グループウェアを利用できなくなってしまう可能性もゼロではありません。実際、2017年10月には長年多くの企業に利用されてきた「サイボウズ Live」のサービス終了が発表され、大きな波紋を呼びました。
オンプレミス型を使うべき会社
ここまで紹介してきたメリット・デメリットをトータルに考え、オンプレミス型のグループウェアは、どういった企業に向いているのか説明します。
カスタマイズ前提でグループウェアを利用したい企業
自由自在にカスタマイズできるのはオンプレミス型ならではの大きなメリットです。SFAと連携させて顧客情報を読み込んだり、ワークフローと経費精算のプロセスを統合させて経理処理を効率化したり、さまざまな使い方が可能です。
自社にエンジニアがいることが前提にはなるものの、「利用範囲が広いので改修しながら柔軟に運用していきたい」「既存のシステムにも多額の投資をしてきたので、グループウェアとあわせて活用していきたい」といった企業には適していると思います。
セキュリティを重視する企業
クラウド型のセキュリティが劣っているわけではありませんが、サーバーとネットワークを専有できるオンプレミス型の方が、物理的に不正アクセスのリスクが低いのは前述の通りです。
他のユーザーはもちろん、運営会社が起こしてしまったインシデントの影響を受けることもないので、セキュリティ面を重視する企業にもおすすめです。
クラウド型を使うべき会社
一方、クラウド型のグループウェアが向いているのは次のような企業です。
予算の限られる中小企業やスタートアップ
基本的に初期費用がかからず、おおむね1人あたり月額1,000円以下で利用できるのはクラウド型の強みです。予算の限られる中小企業、創業間もないスタートアップには非常に向いているでしょう。
初めてグループウェアを使う企業
サーバーやネットワークの知識が求められず、スムーズに利用スタートできるのもクラウド型ならではのメリットの1つです。加えて、アプリのアップデートや定期メンテナンスもすべて運営サイドに任せられます。カスタマイズなどを前提としない限り、初めてグループウェアを導入する企業は、クラウド型を選んだ方が得策です。
まとめ
今回は、クラウド型・オンプレミス型の違い、それぞれのメリット・デメリットのについて紹介しました。カスタマイズを前提に導入する場合や、セキュリティ面を重視する企業ならオンプレミス型。その一方で「まずは手軽に試してみたい」「コストはできるだけ抑えたい」といった多くの企業にとってはクラウド型が最適な選択肢になるのではないでしょうか。グループウェアの導入を検討しているのであれば、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
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