グループウェアの選び方って?ツール選びのポイント
業種や規模を問わず、多くの企業に導入されているグループウェア。今回は、これからグループウェアを導入しようとしている人や他社からの乗り換えを検討している人に向けて、正しいグループウェアを選ぶ際のポイントを解説します。
グループウェアのメリット
グループウェアを導入するメリットは、大きく分けて2つあります。
1つは社員同士のコミュニケーションや情報共有が活発になること。ほとんどのグループウェアには、チャットと社内SNSが標準搭載されており、メンバー同士で他の業務と並行しながらリアルタイムにやりとりすることができます。メールのように重要な情報が受信ボックスのなかに埋もれてしまったり、返信し忘れたことで情報の伝達が滞ってしまうようなことはありません。
さらに、掲示板やポータルサイトの作成機能が付いているものも多く、全社的な業務連絡、社内イベントの案内などにも役立ちます。
もう1つのメリットは、業務フローを効率化できることです。ワークフロー機能を使えば予算や休暇の申請・承認をweb上で完結できますし、タイムカード機能で勤怠管理を電子化することも可能です。さらに、最近ではカスタムアプリの作成機能が搭載されているグループウェアも多く、自社の課題に合わせてオリジナルの業務ツールを開発することも可能です。
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よく考えないで導入したときのデメリット
社内の情報共有や業務プロセスの改善に大きな効果を発揮するグループウェアですが、充分な準備をせずに導入するとトラブルにつながることも少なくありません。
その1つが、一時的な生産性の低下です。グループウェアを導入するということは、それまでのコミュニケーションのあり方や仕事の進め方を大きく変えるという意味を持っています。
チャットでのやりとりに対応できるようなるまで、時間がかかる社員もいますし、予算の承認フローが変わったことで混乱を招くこともあります。そういった点で、繁忙期や大きなプロジェクトが進行している最中にいきなりグループウェアを導入するのは避けた方がいいでしょう。
加えて、コストも慎重に検討すべき課題です。後ほど詳しく解説しますが、多くのグループウェアは一見すると1人あたりの単価が安く、手軽に導入できるように感じられるものの、会社の規模によっては年間数百万円以上の出費がかさむことも珍しくありません。それだけのコストを支払ってどういったリターンがあるのか、本当に自社の身の丈に合っているのか、複数の候補を見比べながら慎重に選びましょう。
グループウェアを選ぶ際の7つのポイント
それでは次に、グループウェアを導入するにあたって気を付けるべき7つのポイントを説明します。
導入目的
まず何よりも大切なのは、何のためにグループウェアを導入するのかということです。例えば、チャットワークなどのツールを既に導入していて問題なく使えているのなら、無理にグループウェアのチャットや社内SNSに切り替える必要はありません。そうした際は、人事や総務といったバックオフィス系の部署の工数削減を念頭に置き、ワークフローやタイムカード機能が付いたグループウェアを導入するのも1つの案です。部署や拠点ごとにヒアリングを行い、課題を掘り下げたうえでしっかりと目的を見定めましょう。
注意したいのは、短期的な成果にとらわれ過ぎないことです。どんなに高機能なグループウェアでも、導入してすぐに売り上げや収益のアップにつながる訳ではありません。社員1人ひとりが掲示板などのアプリの便利さを実感し、自発的に使うようになって少しずつ成果が見え始めます。半年、1年といった運用スパンを見据えて目的を定めるのも大切です。
対応デバイス
対応するデバイスについては、多いに越したことはありません。総務や人事、経理といった内勤のメンバーが使う分にはPC専用のグループウェアでも問題ありませんが、将来的に事業拠点が増えたり、他部署にも展開していく可能性があることを考えると、スマートフォン・タブレットに対応したものを選ぶのがおすすめです。
スマホ・タブレットに対応するグループウェアは、専用アプリを使うインストールするタイプと、PCと同様にwebブラウザ上で使うタイプの2つに分けられます。どちらが使いやすいかは人それぞれです。日ごろから業務用アプリを使っているならアプリ型を、一方でインストールするのが面倒な場合や、クラウドツールの利用に慣れているのならwebブラウザ型を選ぶといいでしょう。
機能・操作性
グループウェアへのニーズが高まり各社の開発競争が進む今、チャットやスケジューラーといった基本機能に各社それほど大きな違いはありません。「Office 365」といったシェア上位の製品なら、情報共有から勤怠管理、稟議・決済のプロセス改善までほぼすべての領域をカバーしています。前述の目的さえしっかり定まっていれば機能の点で迷うことはないはずです。
ただ、操作画面のインターフェイスやデザインについては各社それぞれで、一部のグループウェアでは特定のデバイスで動作が不安定になったり、画面のリロードが遅れてしまったりすることもあるようです。必要な機能をもとにいくつかの候補をピックアップし、それぞれ無料トライアルで使い勝手を見比べながら絞り込んでいくとよいでしょう。
企業がグループウェアに求める機能
PRONIアイミツSaaS(当社)が2025年5月~9月に実施した調査によると、グループウェアの導入を検討している人の約7割が、欲しい機能が明確になっていることが分かりました。その中でも特に求められている機能(複数回答可)のトップ3は、「ファイル共有機能(56.4%)」「プロジェクト管理機能(47.4%)」 「チャット機能(43.6%)」 です。
この結果は、多くの企業がファイル共有やチャットといった日々の業務で使う複数のツールを個別に導入するのではなく、チーム全体の生産性を向上させる「仕事のハブ」として、一つのグループウェアに情報を一元化したいというニーズの表れと言えるでしょう。
貴社でグループウェアを選ぶ際は、現在バラバラになっているツールやコミュニケーション手段を洗い出し、それらを一つに集約してチームの連携を最大化できるか、という視点で検討してみてはいかがでしょうか。
価格
グループウェアの一般的な料金相場は、ユーザー1人当たり月額600円~800円前後です。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)と比べると一見安価に見えますが、仮に1人あたり月額600円でも従業員1,000名の企業なら年間700万円以上のコストがかかります。画像やドキュメントを保存するオンラインストレージを増設するために追加料金がかかるケースも少なくありません。
それだけのコストに見合う価値があるのか、本当に自社に適したツールなのか、慎重に検討しましょう。不安な場合はまず無料で使えるグループウェア(「R-GROUP}」や「iQube」など)を選び、ひと通り使い慣れたら有料版にシフトしていくのがおすすめです。
カスタマイズ・連携
グループウェアを選ぶうえで、拡張に目を向けるのも大切なポイントです。APIによって他社のCMS(ホームページの配信管理システム)やクラウド決裁サービスと連携するものもあり、webコンテンツの運営や経理の業務改善にも効果を発揮します。
また最近では、カスタムアプリの作成機能が搭載されたグループウェアも増えてきました。汎用的なアプリで解決できない自社特有の業務課題を抱えているような企業は、そうしたものを中心に選ぶのもいいかもしれません。
オンプレミスVSクラウド
セキュリティポリシー上の取り決めなどを理由に、オンプレミス型(端末にインストールして使うグループウェア)を選ぶ企業もありますが、一般的なオフィスでの利用ならクラウド型の一択で問題ないでしょう。クラウド型ならサーバーや周辺機器を用意する必要がなく、アップロードやメンテナンスの手間もかかりません。
実際に、約1,050億円とされるグループウェア全体の市場規模のうち、約85%をクラウド型が占めています。
セキュリティ
チャットや社内SNSによって社内のコミュニケーションが活発になるということは、社員一人ひとりがタッチできる情報が増えるということでもあります。情報漏洩を防ぐためにセキュリティ対策のしっかりしたグループウェアを選びましょう。
具体的なポイントとして、IPアドレスや端末によるアクセス制限機能は必須。そのうえで、データセンターでのバックアップ体制がとられていて、運営会社がプライバシーマークやISO27001(情報セキュリティマネジメント)を取得していればベストです。あわせて大手企業への導入実績も判断材料の1つになると思います。
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グループウェアを社内に浸透させるためのコツ
最後に、グループウェアを運用するにあたっての3つのコツを紹介します。グループウェアを社内にスムーズに浸透させ、業務改善につなげていくためには、どういった点に気を付ける必要があるか確認しておきましょう。
コツ1:まずは試験的に導入を
ほとんどのグループウェアが2週間~1ヵ月の無料トライアル期間を用意しています。まずはトライアルに申し込み、機能や使い勝手を試しましょう。具体的な進め方としては、総務・人事・経理といったバックオフィス系の部署に導入して試験的に運用し、メリットを実感できるようになってから他部署に展開していくのも1つです。
組織の形態にもよりますが、バックオフィス系の部署ならグループウェアの導入によって、一時的に生産性が落ちてしまったとしても売り上げや収益への影響は低く、顧客と直接かかわらない分、大きな混乱・トラブルにつながる可能性も小さいからです。
コツ2:最初から無理に使いこなそうとしない
現在主流となっているクラウド型には平均7~10種類、ハイエンドな製品だと20種類以上の機能が搭載されています。いくらリテラシーが高い人でもそのすべてを最初から使いこなすのは不可能です。
社員同士のコミュニケーションを活発にしたいならチャットや社内SNS、チーム間の連携を深めたいならスケジューラーや掲示板といったように、まずは当面の課題に目を向けて、必要最小限の機能から使っていきましょう。
場合によっては、アプリ別に料金が設定されているグループウェアを選ぶのも一つの手。ランニングコストを抑えつつ、業務課題にあわせて順次必要な機能を追加していけます。
コツ3:早めに管理者を決める
グループウェアを導入するということは、それまでの仕事の進め方や社内コミュニケーションのあり方を変えるということです。長年にわたり、自分のやり方で成果を積み上げてきた社員のなかには、抵抗を感じる人もいるはずです。
そうした人を含めてグループウェアを浸透させていくためには、旗振り役となるキーパーソンの存在が不可欠です。導入後はできるだけ早く管理者を決め、社内掲示板やポータルサイトで周知を図っていきましょう。グループウェアを使って成果をあげている企業の多くは、社内広報や総務、人事などのメンバーがそうした役割を担っているようです。
まとめ
今回紹介した7つのポイント+運用の3つのコツをしっかり押さえておけば、グループウェアを選んだ後に後悔するようなことは少なくなると思います。グループウェアの導入を検討している方は、ぜひ今回の記事をお役立てください。
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