グループウェアの基礎知識からオンプレミス・クラウドの違いまでを解説
「グループウェアを導入すると業務効率化が進む」ということは分かっていても、具体的にどんなツールなのかは知らないという方も多いのではないでしょうか。どのようなことができるのか分からないままだと、ツールを導入するべきかどうか正しく判断できません。導入を検討する際には、主な機能やメリット・デメリットまで把握しておきましょう。
そこで今回は、グループウェアとはどのようなツールか、それぞれの導入形態での違いなどを中心に解説していきます。グループウェアについて知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
- グループウェアとは
- グループウェアの主な機能
- グループウェアのメリット
- グループウェアのデメリット
- グループウェアの導入形態の種類
- オンプレミス型グループウェアのメリット・デメリット
- クラウド型グループウェアのメリット・デメリット
- グループウェアを自作するメリット・デメリット
- グループウェア導入で失敗しないためのコツ
- まとめ
グループウェアとは
はじめに、グループウェアとはどのようなツールなのかを確認していきましょう。
グループウェアとは、主に社内におけるコミュニケーションの活性化や情報共有、協働などを効率化させるツールです。詳しくは後述しますが、クラウド型とオンプレミス型、そして自作の3つの導入形態から選ぶことができ、現在はクラウド型が主流となっています。
導入例として挙げられるのが、業務の効率化がなかなか叶わないと悩んでいる企業や、コミュニケーション不足に悩んでいる企業、さらには情報共有がスムーズにいかないと悩んでいる企業など。豊富な機能が搭載されているため、さまざまな課題をまとめて解決できるのが大きな特徴です。
グループウェアとコミュニケーションツールとの違い
グループウェアとは、主に社内におけるコミュニケーションの活性化や情報共有、協働などを効率化させるツールと先に述べましたが、「グループウェアとコミュニケーションツールはどう違うの?」と疑問に思った方も多いでしょう。
企業が導入するコミュニケーションツールには、SlackやChatworkなどのビジネスチャットツール、あるいは社内SNSなどが挙げられますが、これらはグループウェアと大きく異なります。
例えばビジネスチャットツールの場合、基本的には1対1のチャットやグループチャット、通話、テレビ通話(Web会議)機能が搭載されており、社内のコミュニケーションに特化したツールです。また、社内SNSの場合には、メッセージ機能やコミュニティ機能が搭載されていることもあるでしょう。
一方グループウェアには、掲示板やメール、チャットなどのほか、ワークフローやスケジュール管理などさまざまな機能が豊富に搭載されています。コミュニケーションの活性化には貢献しつつ、業務の効率化を図るものなので、ビジネスチャットツールや社内SNSのようなコミュニケーションの活性化に特化したツールとは明確な違いがあります。
グループウェアの主な機能
それでは、グループウェアにはどのような機能があるのかを確認していきましょう。
社内のコミュニケーション活性化や情報共有の円滑化、共同作業の効率化などを叶えるグループウェアですが、大まかに「コミュニケーション関連機能」「進捗管理関連機能」「情報共有関連機能」の3つに分けられます。
コミュニケーション関連機能としてあげられるのが、掲示板やメール、チャットなど。進捗管理関連機能で挙げられるのが、スケジュール管理機能やタスク(Todo)管理機能、ワークフロー機能などです。また、情報共有関連機能には、Web会議機能やアンケート機能、議事録機能などがあります。
詳しくは、こちらの解説記事をご確認ください。
グループウェアのメリット
ここからは、グループウェアを導入するとどのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。
コミュニケーションを円滑に進められる
グループウェアを導入するメリットとしてはじめに挙げられるのが、コミュニケーションを円滑に進められる点です。
グループウェアには、メールやチャットなどの個別でやり取りできるコミュニケーション機能のみならず、社内や部署全体にまとめて伝えることのできる掲示板機能も搭載されています。テレワーク中であっても円滑にコミュニケーションを取ることができるでしょう。
また、別途コミュニケーションツールを導入する必要がないのもうれしいポイントです。
意思決定にかかる時間の削減
意思決定にかかる時間を短縮できる点も、グループウェアを導入するメリットのひとつです。
社内においては、何を決めるにおいても時間がかかってしまうもの。何かを申請しても、なかなか決裁まで進まないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。その場合には、申請・承認業務をデジタル化できるワークフローシステムを導入がおすすめです。
グループウェアであれば、ワークフローも機能の1つとして搭載されているため、別途システムを導入せずとも社内の意思決定にかかる時間を短縮できます。
情報共有の効率化
グループウェアを導入することで、情報共有の効率化も期待できます。
先にも述べたようにメールやチャット、掲示板などのコミュニケーションツールが搭載されているだけでなく、Web会議を行える機能も搭載されているため、何か情報共有を効率的に行いたい場合にもうってつけです。
生産性の向上
生産性の向上が期待できる点も、グループウェアの大きなメリットです。
グループウェアは、コミュニケーション関連機能や進捗管理関連機能、情報共有関連機能など複数の機能が1つにまとまったソフトウェアなので、グループウェアを利用するだけでさまざまな業務を効率化することができます。
スケジュール管理やメッセージのやり取り、Webミーティングなどを、いくつものツールを行ったり来たりせずに行えるため、業務の効率化のみならず、生産性の向上にも寄与するでしょう。
ノウハウを簡単に共有できる
グループウェアの導入により、ノウハウの共有も簡単に行うことができるようになります。
グループウェアには掲示板機能やSNS機能が搭載されているため、シェアしたい情報やノウハウがあれば気軽に残しておくことができます。各種マニュアルの配布などにも役立つでしょう。
伝達漏れの防止
グループウェアは、伝達漏れの防止にも役立ちます。
メールやチャットのみでコミュニケーションを取っていると、まれに伝達漏れが起こってしまうこともあります。口頭で伝えたとしても、言った言わないの水掛け論になってしまうこともあるでしょう。
しかしグループウェアで掲示板機能を利用すれば、社内全体に一括で情報を伝えることが可能です。
グループウェアのデメリット
グループウェアを導入するメリットは数多くありますが、デメリットがないわけではありません。グループウェアを導入する前に、デメリットについてもきちんと確認しておきましょう。
導入する際に手間がかかる
グループウェアを導入するデメリットとしてまず挙げられるのが、導入する際に手間がかかってしまう点です。
グループウェアと一口に言っても、数多くのベンダーがさまざまなグループウェアを提供しています。それぞれで利用できる機能やオプション、利用料金も異なるため、選定に多くの時間がかかってしまうでしょう。
また、全社的に導入するツールであることから、各部署の意見を取り入れる必要もあり、選定前の要件定義にも多くの時間を費やさなければなりません。グループウェアの導入を決めたらすぐに導入、というわけにはいかないでしょう。
導入や維持にコストがかかる
導入や維持にコストがかかってしまう点も、グループウェアのデメリットと言えるでしょう。
グループウェアを導入するには、初期費用や利用料金がかかります。近年主流であるクラウド型の場合は一見どちらもリーズナブルに見えますが、数年間にわたり使うとなるとランニングコストは膨らんでしまいます。
グループウェアの導入形態の種類
グループウェアを導入する際には、オンプレミス型・クラウド型の2つの導入形態のほか、グループウェアを自作するという方法もあります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型のグループウェアを導入する場合、自社サーバーを用意し、そのサーバー上にシステムを一から構築していく、あるいはパッケージとなっている製品をサーバー上にインストールすることとなります。
オンプレミス型のグループウェアを導入する際には、初期費用がかかる点に注意しなければなりません。
もしもサーバーを持っていない場合には、自社サーバーを用意するところから始める必要があります。その後システムを構築・インストールする際にも費用がかかります。導入規模にも左右されますが、基本的には最低でも100万円ほどは初期費用としてかかると把握しておきましょう。
さらに、導入後の運用やセキュリティ面の管理も社内で行わなければならないため、予算のみならずリソースも十分に確保しておく必要があるので、その点も留意しておくべきです。
導入規模としては、基本的には1,000人以上ほどの従業員数の多い会社で導入される傾向にあり、導入規模の小さな企業ではあまり選ばれません。カスタマイズしやすい、さらにはクラウド型よりセキュリティ面にも優れているというポイントで、大企業に選ばれやすい導入形態です。
クラウド型
クラウド型のグループウェアは、現在のグループウェア業界にて主流と言っても過言ではありません。自社サーバーを用意する必要も、ソフトウェアをわざわざインストールする必要もない気軽さから多くの企業で導入されています。
クラウド型という名前から分かる通り、グループウェアの機能が丸ごとクラウド上で利用できる仕組みなので、導入までの時間が非常に短いのが大きな特徴です。グループウェアによっては、最短即日で利用をスタートできるものもあるでしょう。導入までの時間や初期費用もあまりかからないほか、毎月の利用料金もリーズナブルです。
しかしその反面で、オンプレミス型のようにカスタマイズすることが難しい、自社サーバーにシステムを構築しないためセキュリティ面が劣る、などといった側面もあるため、導入する際には注意しましょう。
導入規模としては、スモールスタートしたい小規模事業者から中小企業、大企業に至るまで幅広く対応しており、さまざまなニーズに応えられる導入形態です。
グループウェアを自作する
グループウェアを導入する場合には自作するという選択肢もあります。
グループウェアサービスの中には、ソースコードが無料で公開されているオープンソースのグループウェアも存在します。「無料ということは、料金を払わずに使用できるフリーソフトということ?」と思う方も多いかもしれませんが、その内容はまったく異なります。
フリーソフトは、オープンソースのグループウェアと同様に無料で利用できますが、ソースコードは非公開です。そのため、ソースコードの書き換え、カスタマイズは行うことができません。ベンダーが提供しているシステムをそのまま利用することとなるため、拡張性はゼロと言えるでしょう。
しかし、オープンソースのグループウェアの場合、ソースコードが無料で公開されていることから、自由にソースコードを書き換えてシステムをカスタマイズすることも可能です。
導入規模に問わず、自社仕様にカスタマイズされた、使い勝手の良いグループウェアが欲しいという場合にはおすすめの導入形態です。
オンプレミス型グループウェアのメリット・デメリット
ここからは、オンプレミス型のグループウェアを導入するメリット・デメリットをそれぞれ確認していきましょう。
オンプレミス型グループウェアのメリット
オンプレミス型のグループウェアを導入する場合、自社サーバー上で構築していくことから、クラウド型よりも自由にカスタマイズしやすい点が大きなメリットです。
特に従業員数の多い大企業の場合は、中小企業よりも要件が複雑化するもの。クラウド型の既存サービスではニーズを満たせないことも多いため、オンプレミス型のほうがより使いやすいグループウェアを導入できるでしょう。
また、自社サーバー上で利用することから、インターネット上のセキュリティリスクに晒されていない点も非常に大きなメリットです。会社によっては、「セキュリティポリシー上、クラウドサービスを取り扱うことはできない」という場合も少なくありません。クラウド型はインターネットに接続して利用するため、情報漏えい等のリスクを考慮する必要があるでしょう。
オンプレミス型であれば、そのようなセキュリティリスクを心配する必要はありません。
オンプレミス型グループウェアのデメリット
オンプレミス型のグループウェアを導入する場合、初期費用が高額となってしまうことが大きなデメリットです。自社サーバーの構築などのインフラ面の整備から始めなければならないため、どうしても初期費用が膨らんでしまいます。導入する規模にもよりますが、最低でも100万円ほど、場合によっては1,000万円以上することもあるため、予算に余裕がある企業でなければ導入は厳しいでしょう。
また、サーバーなどのインフラ面の整備から行う必要があり、導入完了までに多くの時間がかかってしまう点もデメリットです。基本的に数ヶ月以上かかるため、最短即日で利用できるクラウド型のようなスピード感はありません。
加えて、定期的なメンテナンスやバージョンアップ、サーバーの老朽化への対応などもすべて自社で行わなければならず、その都度費用がかかってしまうこともあります。社内に対応できるエンジニアも必要なため、リソースがきちんと足りているか確認しておきましょう。
クラウド型グループウェアのメリット・デメリット
続いて、クラウド型のグループウェアを導入した場合のメリットとデメリットを確認していきましょう。
クラウド型グループウェアのメリット
クラウド型のグループウェアの場合、何より気軽に導入できるという点が大きなメリットです。システムを導入するとなると、さまざまな面で時間も費用もかかってしまうというイメージがあるかもしれませんが、クラウド型の場合はそうではありません。
初期費用は高くても数十万円ほど、グループウェアによっては無料で始められるものもあります。そのほかにも即日利用を開始できるものもあり、オンプレミス型に比べて導入ハードルが非常に低いと言えるでしょう。
また、クラウド型の料金体系は1ユーザーあたりの課金制が多く、徐々にユーザー数を増やすことも可能なため、まずはスモールスタートしたいという場合にぴったりです。
加えて、自社サーバーを用意したり、ソフトウェアをインストールしたりする必要もなく、インターネットに接続できれば利用できるため、インターネット環境さえ整っていればデバイスも場所も問わずに利用できるのもうれしいポイントでしょう。
クラウド型グループウェアのデメリット
クラウド型のグループウェアを導入した場合には、いくつかのデメリットも存在します。はじめに挙げられるのが、オンプレミス型のように自由にカスタマイズはできないということです。
オンプレミス型のように自社サーバー上に構築していく方法ではないため、自社システムと連携させたい、自社独自の機能を搭載させたい、というニーズに応えるのは難しいでしょう。しかし、中にはさまざまな外部システムと連携できる機能が搭載されているものもあり、柔軟性を求める場合にはその点に注意して選ぶことをおすすめします。
また、前述しましたが、クラウド型の場合はインターネットを用いて利用するため、どうしてもセキュリティ面でリスクが伴います。ファイルやデータ、通信の暗号化、アクセスできるデバイスやIPアドレスの制限など、セキュリティを強固にする機能も備わっていますが、オンプレミス型に比べるとどうしても劣ってしまう点もあります。
グループウェアを自作するメリット・デメリット
続いて、グループウェアを自作する場合のメリットとデメリットを紹介していきます。
グループウェアを自作するメリット
グループウェアを自作するメリットは、オンプレミス型とも類似していますが、自社仕様に自由にカスタマイズができる点です。
近年ではクラウド型が主流となってはいるものの、既製のクラウド型グループウェアでは、どうしてもできることに限りがあります。自社の基幹システムと連携させたい、自社の業務に合わせた独自の機能が欲しいと思っても、なかなかカスタマイズはできません。
オンプレミス型の製品を自社サーバーに構築・インストールするという方法であればカスタマイズはできますが、買い切り製品のため初期費用が非常に高く、インフラ構築費用だけで100万円以上かかることもあるでしょう。
しかし、グループウェアを自作する場合は、ソースコードが無料で公開されているオープンソースのグループウェアを活用するため、オンプレミス型の製品を購入するような高額な初期費用はかかりません。費用を抑えながらも自由にカスタマイズできる点が大きなメリットです。
グループウェアを自作するデメリット
グループウェアを自作する場合には、オープンソースのグループウェアを柔軟にカスタマイズできるエンジニアが必要です。社内に専任のエンジニアを配置できなければ、グループウェアを自作することは難しいでしょう。
また、クラウド型のように即日利用開始というわけにはいかず、カスタマイズには多くの時間がかかります。もとから掲示板やスケジューラー、設備予約機能やワークフロー機能などが揃っているオープンソース型のグループウェアも中にはありますが、自社独自の機能を追加するとなると数ヶ月以上の開発期間がかかるでしょう。
グループウェア導入で失敗しないためのコツ
グループウェアを導入する際には、使いやすいのか、欲しい機能は揃っているのか、コストパフォーマンスは問題ないかを確認しましょう。
中でも重要なのが使いやすさです。いくら豊富な機能が揃っていて、コスパにも優れていても、使いづらければシステムが社内に定着しません。従業員にとって扱いづらいものであれば、結局使われることなく費用の無駄になってしまいます。
導入前にはトライアルで操作性を確認し、スムーズに運用できそうなものを選びましょう。
まとめ
今回は、グループウェアに関する基礎知識や、オンプレミス・クラウド・自作の3つの導入形態に関して紹介してきました。
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