【事例付きで解説】SFAの導入でありがちな失敗との5つの対応策
業種や規模を問わず多くの企業が活用しているSFA。たとえば、業界シェアNo.1の「Salesforce」の導入社数は全世界15万社以上に及び、売り上げを飛躍的に伸ばした事例も少なくありません。
ただ、そうした一方でSFAの導入で思うような成果を得られなかったり、運用を途中で諦めてしまったりするケースがあるのも事実。
今回はSFAの導入における失敗事例を取り上げ、対応策をひも解いていきたいと思います。SFAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
SFAとは
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動全般をサポートする業務用ツールです。商談・案件情報の登録・閲覧、スケジュール管理、予実管理、日報作成、営業活動の分析といった機能を搭載しています。
業務用ツールとしての歴史は比較的浅く、SFAが誕生したのは1993年頃。アメリカ・カリフォルニア州に本社を置いていたシーベル・システムズ社が、外出の多い営業スタッフを管理するために開発した製品が、SFAの第一号とされています。
2000年代に入り、PCが多くのオフィスに普及すると、日本国内でもSFAを利用する企業が増加。近年では初期費用を抑えられるクラウド型を中心に、働き方改革やテレワーク推進の一環として導入を進める企業も増えているようです。
SFAのメリット
SFAを導入する何より大きなメリットは、営業活動にともなうバックオフィス業務を大幅に効率化できる点にあります。近年主流となっているクラウド型SFAのほとんどはスマートフォンに対応しており、外出先から利用可能。顧客情報を調べたり、日報を作成したりするためにわざわざオフィスに戻る必要はありません。上手く活用できれば交通費や残業代の削減も見込めるでしょう。
SFAに入力されたデータ(顧客データ、個人のタスク・スケジュール、目標進捗など)は基本的に利用メンバー全員が閲覧可能。部署間の業務連絡やノウハウの共有もスムーズに行えます。
別記事「おすすめSFAを厳選して比較」では、SFAの導入メリットをより詳しく解説しています。おすすめSFAの比較表も掲載していますので、ぜひご覧ください。
SFAのデメリット
一方、デメリットとして挙げられるのはコストの面。SFAの多くはアカウント数・ライセンス数に応じた従量課金型の料金体系を敷いており、利用人数によっては年間数百万円単位のランニングコストが発生します。製品によっては10万円程度からの初期費用がかかるものもあり、創業して間もないベンチャーやスタートアップ企業が導入に二の足を踏んでしまうこともあるようです。
加えて、業務効率化や成約率のアップに向けてSFAを役立てるためには、その準備段階として営業活動にともなうデータ全般(前述した顧客情報、タスク、スケジュールなど)の入力作業が不可欠。会社によってはこの入力作業がうまく捗らず、本格的に稼働するまで時間がかかったり、利用が停滞してしまったりする場合もあります。
SFAの導入でありがちな失敗事例
SFAの概要とメリット・デメリットを整理したところで、SFAの導入でありがちな失敗について見ていきましょう。
利用されない
SFAの導入失敗事例として、最も起こりがちなのがこれ。導入してはみたものの現場に定着せず、運用が軌道に乗らないまま毎月のランニングコストだけがかさんでしまうというケースです。
理由は会社によってさまざまですが、1つ考えられるのは事前の準備不足。導入プロジェクトを進める管理部門やシステム担当部門が営業部門の実情や課題を把握しないまま製品を選んでしまうと、SFAの仕様・機能と現場のニーズがかみ合わず、現場に浸透しません。ベテランの営業社員、長年にわたって会社の売り上げに貢献してきた社員の多くは、顧客とのコミュニケーションやスケジュール管理を含め、自分なりのノウハウを確立しています。
SFAによって業務フローが画一化・標準化されると、そうしたレガシー、ほかの営業メンバーに対する自分自身の優位性が失われてしまうと危惧し、利用に積極的になれない人もいるようです。
データが蓄積されない
デメリットの章でも触れたとおり、こちらも頻繁に起こりがちな失敗の1つです。どんなにハイスペックな製品でも、顧客や商談、個人のタスクにまつわる情報がシステム上に蓄積されなければ、SFAはワークしません。
なかにはデータの入力作業に手間取って資料作成や商談に充てる時間が削がれたり、SFAを導入する前よりかえって残業時間が増えてしまったりする会社もあるようです。対策については後ほど詳しく解説しますが、1つ挙げるとすればSFAの機能を欲張り過ぎないこと。
導入する側(管理部門やIT部門側)としては、機能が多いほどコストパフォーマンスに優れているように思えますが、機能が増えればその分だけ操作手順を覚えるにも時間がかかり、データが蓄積されにくくなるからです。SFAを導入する際は実際に利用するメンバーのリテラシーを念頭に置いた上で、ストレスなく使える製品を選びましょう。
データを活かせない
SFAが現場に浸透し、データが蓄積されても、いざそれを業務に活かそうとすると「分析方法がわからない」、「何に役立つのかわからない」と戸惑ってしまうケースも少なくありません。
SFAは近年主流となっているクラウド型を中心に多機能化が進んでおり、顧客のプロフィールから問い合わせ履歴、予実情報まであらゆる情報を入力できます。それらの機能をフルに活用しようとするあまり、知らず知らずのうちにデータの収集作業そのものが目的化し、結果として集めても処理に困る、雑多な情報が蓄積されてしまうというわけです。
SFAの導入で失敗しないためのポイント
ここまでご紹介してきたような失敗を避けるためには、どんな点に気をつけるべきなのでしょうか?実際にSFAを導入する際のステップに沿ってご紹介していきます。
現場の課題を把握する
前述のとおり、SFAを導入・管理する側と実際に利用する側の認識・思惑のズレは、失敗の大きな原因になります。まず営業部署のスタッフやマネージャーにヒアリングを行い、現場でどんな問題が起きているか、何がボトルネックになっているかリサーチしましょう。場合によっては事前にアンケートフォームを用意しておくのも1つ。
ヒアリングとあわせて営業部のミーティング、朝礼などに参加させてもらえば、現場の課題意識を等身大の情報として把握でき、必要なSFAも絞り込まれてくると思います。
導入目的を共有する
課題にあわせて導入するSFAを決めたら、ガイダンスやオリエンテーションを開き、導入の背景や目的を全社的に共有しましょう。その際に大切なのは、あらゆる情報をオープンにすること。
改善できる業務などのポジティブな要素だけでなく、導入費用やランニングコスト、データ入力業務の負担まで言及し、それらをふまえた上で何を目指すのか、会社全体としてどんなメリットがあるのかきちんと説明すれば、前述のような利用を渋りがちな営業スタッフの理解も得られやすいのではないでしょうか。
スモールスタートする
稼働にあたっては全社的に一斉に始めるのではなく、できるだけスモールスタートを心がけましょう。会社の規模や業務体制によるものの、10名~30名程度に利用人数を絞ってスタートした方が稼働状況や費用対効果をウォッチしやすく、万が一成果が得られなかった場合もダメージを抑えられるからです。
利用する機能についても広げすぎるのは避けた方がいいでしょう。前述のとおり、多機能な製品だからといっていきなりすべての機能を使いこなそうとすると、操作に手間取ったり、ストレスを感じたりする時間が長くなり、結果としてデータの蓄積不足の原因となります。
マニュアルを整備する
稼働が本格化したあとは、基本的に営業部署の全メンバーがSFAを利用することになります。速やかにデータを蓄積し、運用を軌道に乗せられるようマニュアルを用意しておきましょう。
マニュアルには、開発元のサポートサイトなどを参考にしながら基本的な操作方法や注意事項を記載し、スマートフォンからでも閲覧できるよう、クラウドに保存しておくのがおすすめです。
専任担当者を置く
マニュアルの整備とあわせて、専任のシステム担当者を置くのも大事なポイントの1つです。どんなにハイスペックなSFAでも、不意のトラブルに見舞われる可能性はゼロではありません。不具合が発生した際、誰がどう対応するのか事前に決めておけば、業務へのマイナス影響を最小限に抑えられます。
営業企画や経営企画の実務経験者をSFAの担当者として配置すればデータの分析作業も捗り、高い費用対効果を得られるのではないでしょうか。
一方で人員不足から専任担当者を手配するのが難しい場合は、あらかじめ開発元に相談してみましょう。大手を中心に、SFAを提供するベンダーのなかには、アフターフォローの一環としてサポートスタッフをクライアント先へ常駐させてくれるところがあります。
まとめ
SFAの導入で失敗しないためには、現場の課題を把握し、導入目的を共有することが欠かせません。また、自社に合うシステムを選定することも重要です。自社にフィットするSFAを導入し、営業活動を効率化しましょう。
しかし、SFAは多数あり、どれを導入すべきか迷ってしまうでしょう。PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、SFA選びについての相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったSFAが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
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