SFA(営業支援システム)の導入でよくある失敗とは?事例・対応策を解説
SFA(営業支援システム)は、営業の生産性向上や情報共有、属人化の解消に役立つツールとして多くの企業で導入が進んでいます。しかし、「導入したのに使われない」「データが蓄積されない」といった声も少なくありません。せっかくのSFAも、活用されなければ意味がありません。
本記事では、SFAの基本機能や導入メリットに加え、導入時にありがちな失敗事例とその対策をステップごとに解説します。自社に合ったSFAを見極め、導入を成功させたい方はぜひ参考にしてください。
SFAとは
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動全般をサポートする業務用ツールです。商談・案件情報の登録・閲覧、スケジュール管理、予実管理、日報作成、営業活動の分析といった機能を搭載しています。
業務用ツールとしての歴史は比較的浅く、SFAが誕生したのは1993年頃。アメリカ・カリフォルニア州に本社を置いていたシーベル・システムズ社が、外出の多い営業スタッフを管理するために開発した製品が、SFAの第一号とされています。
2000年代に入り、PCが多くのオフィスに普及すると、日本国内でもSFAを利用する企業が増加。近年では初期費用を抑えられるクラウド型を中心に、働き方改革やテレワーク推進の一環として導入を進める企業も増えているようです。
SFAのメリット
SFAを導入する何より大きなメリットは、営業活動にともなうバックオフィス業務を大幅に効率化できる点にあります。近年主流となっているクラウド型SFAのほとんどはスマートフォンに対応しており、外出先から利用可能。顧客情報を調べたり、日報を作成したりするためにわざわざオフィスに戻る必要はありません。上手く活用できれば交通費や残業代の削減も見込めるでしょう。
SFAに入力されたデータ(顧客データ、個人のタスク・スケジュール、目標進捗など)は基本的に利用メンバー全員が閲覧可能。部署間の業務連絡やノウハウの共有もスムーズに行えます。
SFAのデメリット
一方、デメリットとして挙げられるのはコストの面。SFAの多くはアカウント数・ライセンス数に応じた従量課金型の料金体系を敷いており、利用人数によっては年間数百万円単位のランニングコストが発生します。製品によっては10万円程度からの初期費用がかかるものもあり、創業して間もないベンチャーやスタートアップ企業が導入に二の足を踏んでしまうこともあるようです。
加えて、業務効率化や成約率のアップに向けてSFAを役立てるためには、その準備段階として営業活動にともなうデータ全般(前述した顧客情報、タスク、スケジュールなど)の入力作業が不可欠。会社によってはこの入力作業がうまく捗らず、本格的に稼働するまで時間がかかったり、利用が停滞してしまったりする場合もあります。
SFAの導入でありがちな失敗事例
SFAの概要とメリット・デメリットを整理したところで、SFAの導入でありがちな失敗について見ていきましょう。
- 導入したのに現場で使われない
- 入力されずデータが蓄積されない
- 蓄積されたデータが活用されない
導入したのに現場で使われない
SFA導入における失敗の中でも特に多いのが、「導入したものの現場で使われない」ケースです。運用が軌道に乗らないまま、毎月のランニングコストだけがかさみ、費用対効果が見合わなくなってしまいます。この事態が起こる要因のひとつが、導入前の準備不足。SFA選び・導入を主導する管理部門やシステム部門が、営業現場の実情や課題を十分に把握していないまま製品を選んでしまうと、現場ニーズとSFAの仕様がかみ合わず、定着が難しくなります。
また、ベテラン営業担当者の中には、長年の経験をもとに独自の営業スタイルや顧客管理方法を確立している人も多く、SFAによる業務の画一化・標準化に対して抵抗感を示す場合もあります。「自分の営業ノウハウや優位性が失われるのでは」と感じ、SFAの利用に消極的になることも一因です。
入力されずデータが蓄積されない
どれほど高機能なSFAを導入しても、データが蓄積されなければ活用のしようがありません。これは多くの企業で共通する課題です。例えば「入力作業に手間がかかる」「本来注力すべき商談や資料作成の時間が奪われる」といった理由で、入力を後回しにしてしまい、結局情報がSFAに反映されないことがあります。中には、SFA導入前よりも残業時間が増加してしまう本末転倒な結果に陥るケースも見受けられます。
この課題を回避するには、機能を欲張りすぎないことがポイントです。多機能なSFAは一見コストパフォーマンスに優れているように見えますが、そのぶん操作も複雑になり、利用のハードルが高くなります。実際に使う営業メンバーのITリテラシーや現場の負担感を考慮し、ストレスなく操作できるシンプルな製品を選ぶことが、データ蓄積への第一歩です。
蓄積されたデータが活用されない
SFAの利用が定着しても、蓄積されたデータを活用できなければ意味がありません。例えば、「どのデータをどう分析すればよいか分からない」「SFA上にある情報をどう業務に反映すべきか見通しが立たない」といった声が、導入後に現場から上がってくることがあります。
これは、SFAに入力できる情報の種類が多岐にわたることも一因。顧客プロフィール、過去の接触履歴、案件の予実管理など、あらゆるデータが集まることで、「とりあえず情報を入れること」自体が目的になってしまうことがあります。その結果、「何のためにこの情報が必要なのか」が見失われ、業務に活かしきれない状況に陥ってしまうのです。運用設計の段階で「どのデータを」「誰が」「どのように使うか」までを明確にし、活用の目的を明文化することが、SFA導入成功のカギとなります。
SFAの導入を失敗しないためのポイント
ここまで解説してきたような失敗を避けるためには、どんな点に気をつけるべきなのでしょうか? 実際にSFAを導入する際のステップに沿って解説します。
- ステップ1.現場の課題を把握する
ステップ1.現場の課題を把握する
SFAを導入・管理する側と実際に利用する側の認識・思惑のズレは、失敗の大きな原因になります。まず営業部署のスタッフやマネージャーにヒアリングを行い、現場でどんな問題が起きているか、何がボトルネックになっているかリサーチしましょう。場合によっては事前にアンケートフォームを用意しておくのも1つ。ヒアリングとあわせて営業部のミーティング、朝礼などに参加すれば、現場の課題意識を等身大の情報として把握でき、必要なSFAも絞り込めます。
ステップ2.導入目的を共有する
課題にあわせて導入するSFAを決めたら、ガイダンスやオリエンテーションを開き、導入の背景や目的を全社的に共有しましょう。その際に大切なのは、あらゆる情報をオープンにすることです。
改善できる業務などのポジティブな要素だけでなく、導入費用やランニングコスト、データ入力の負担といった懸念点にもきちんと触れましょう。そうした課題を踏まえたうえで、SFA導入によって何を目指すのか、会社全体としてどんなメリットが得られるのかを丁寧に説明することが大切です。そうすれば、導入に消極的な営業スタッフの理解も得やすくなるでしょう。
ステップ3.スモールスタートする
SFAの稼働は、いきなり全社で一斉導入するのではなく、まずはスモールスタートで始めるのが効果的です。例えば、10〜30名程度の限定されたチームから運用を開始すれば、稼働状況や費用対効果を細かく検証しやすくなります。仮に期待した成果が出なかった場合でも、影響を最小限に抑えられます。
また、導入時は利用する機能を必要最低限に絞ることも重要です。すべての機能を一度に活用しようとすると、操作に戸惑いが生じやすく、ユーザーにストレスがかかります。その結果、入力が定着せず、データが十分に蓄積されない要因にもなりかねません。まずはコア機能に絞って導入し、現場の習熟度に応じて段階的に活用範囲を広げることが成功への近道です。
ステップ4.マニュアルを整備する
稼働が本格化したあとは、基本的に営業部署の全メンバーがSFAを利用することになります。速やかにデータを蓄積し、運用を軌道に乗せられるようマニュアルを用意しましょう。マニュアルには、開発元のサポートサイトなどを参考にしながら基本的な操作方法や注意事項を記載し、スマートフォンからでも閲覧できるよう、クラウドに保存しておくのがおすすめです。
ステップ5.専任担当者を置く
マニュアルの整備とあわせ、専任のシステム担当者を置くのも大事なポイント。どんなにハイスペックなSFAでも、不意のトラブルに見舞われる可能性はゼロではありません。不具合が発生した際、誰がどう対応するのか事前に決めておけば、業務へのマイナス影響を最小限に抑えられます。営業企画や経営企画の実務経験者をSFAの担当者として配置すればデータの分析作業も捗り、高い費用対効果を得られます。
一方で人員不足から専任担当者を手配するのが難しい企業は、あらかじめ開発元に相談しましょう。提供会社の中には、アフターフォローの一環としてサポートスタッフをクライアント先へ常駐させる企業もあります。
まとめ:失敗を押さえることがSFA導入を成功させる近道
SFAの導入で失敗しないためには、現場の課題を把握し、導入目的を共有することが欠かせません。また、自社に合うシステムを選定することも重要です。自社にフィットするSFAを導入し、営業活動を効率化しましょう。
しかし、SFAは多数あり、どれを導入すべきか迷ってしまうでしょう。PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、SFA選びについての相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったSFAが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
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