CTIシステムとは?メリット・デメリット、機能を分かりやすく解説
顧客からの電話に対応するコールセンターや、営業で架電を行う企業の多くは、業務効率化を図るためにCTIシステムの導入を進めています。一元的な顧客管理や電話操作を可能とするCTIシステムを導入することで、オペレーター業務の効率化や人件費の削減、顧客満足度向上といったさまざまなメリットを享受できます。
そこで本記事ではCTIシステムとは何か、メリットやデメリット、主な機能や導入事例をわかりやすく解説します。電話業務を効率化し、生産性を高めたい担当者はぜひご覧ください。
- CTIシステムとは
- CTIシステムの種類と利用シーン
- CTIシステムの主な機能
- CTIシステムを導入するメリット
- CTIシステムを導入するデメリット
- CTIシステムの導入事例
- まとめ:CTIシステムでコールセンターの業務効率化を図ろう
- よくある質問
CTIシステムとは
CTIとは、Computer Telephony Integrationの略称で、電話関連機器(電話・FAX)とコンピュータを統合する技術です。CTIシステムとは、電話システムとコンピュータを統合し、一元的な顧客管理と電話操作を可能とするシステムを指します。CTIシステムの導入でコールセンターでは顧客応対品質の向上を図ることができ、テレアポや営業電話を実施する企業では架電業務の効率化が可能です。
中小企業庁によると、IT投資額が増加傾向にある企業は、デジタル化の推進が業績に良い影響を与えている割合が70%を超えています。
出典:「デジタル化推進による業績への影響調査」(中小企業庁)
上記の統計データからもわかるように、CTIシステムのようなITツールへの積極的な投資は、企業の成長にとって重要であることが分かります。今後、企業が成長していくためには、IT投資を通じてデジタル化を推進する視点がますます求められます。
CTIシステムとPBXを比較した違い
CTIシステムとPBX(電話交換機)はいずれも電話に関わるシステムですが、役割と機能に違いがあります。
比較項目 | CTIシステム | PBX(電話交換機) |
---|---|---|
役割 | コンピュータと電話を一体化すること | 内線通話や外線通話の制御 |
機能 | ・着信時に顧客情報をポップアップ表示 ・電話の自動振り分け |
発着信や転送などの基本的な電話機能 |
PBX(電話交換機)は、発着信や転送などの基本的な電話機能で、CTIシステムのなかの一部の機能といえます。CTIシステムは電話業務を効率的に行うためにコンピュータと電話を一体化する役割を担っています。具体的には、着信時に顧客情報がポップアップ表示される機能や通話自動録音、着信の自動振り分け(ACD)機能などがあります。
CTIシステムとコールセンターシステムを比較した違い
コールセンターシステムは、顧客からの問い合わせや対応を一元管理し、オペレーターの業務をサポートするシステムです。この、コールセンターシステムが搭載している主要な技術がCTIシステムです。CTIシステムにより、コールセンター内の電話システムとコンピューターを連携でき、オペレーターは顧客対応を効率的に行えるようになります。
CTI連携できる他ツール
SalesforceなどのCRMとCTI連携することで、CRM上では電話やメールでの履歴を一覧表示でき、これまでの経緯を確認しながら適切な電話対応ができます。また、PBX(電話交換機)とCTIを連携することで、通話の発着信管理が効率化され、内線や外線の切り替えもスムーズに行えます。詳しくは「CTI連携とは?CRMとの連携メリットや選び方、おすすめシステム10選も紹介」の記事をご参照ください。
CTIシステムの種類と利用シーン
CTIシステムは、インバウンド型・アウトバウンド型の2種類に分けることができ、それぞれの利用シーンによって最適なCTIシステムは違います。
CTIシステムの種類 | 利用シーン |
---|---|
インバウンド型 | コールセンター運用や受注業務 |
アウトバウンド型 | 電話営業やテレアポ業務 |
①インバウンド型システム:コールセンター運用や受注業務向け
受電業務に特化したインバウンド型CTIシステムは、コールセンター運用・受注業務などの利用シーンで使われます。機能としては、ACD(着信の自動振り分け)機能やIVR(自動音声応答)機能があり、顧客からの問い合わせを効率的に処理することが可能です。
また、CRM連携により、顧客の通話履歴や購買履歴をリアルタイムで確認しながら電話応対が可能。よりパーソナライズされた対応によって、顧客満足度を向上させる効果も期待できます。
②アウトバウンド型システム:電話営業やテレアポ業務向け
架電業務に特化したアウトバウンド型CTIシステムは、電話営業・テレアポ業務などの利用シーンで使われます。機能としては、ワンクリック発信(CRM内で発信可能な機能)やオートコール(自動的に電話をかける機能)があり、作業の時短によって架電数を伸ばすことが可能です。
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CTIシステムの主な機能
CTIシステムには、着信処理や発信機能、業務分析まで幅広い機能があり、組み合わせることでさまざまな効果を得ることが可能です。以下、CTIシステムの機能を詳しく解説します。
インバウンド向けの機能 | アウトバウンド向けの機能 |
---|---|
・ポップアップ通知機能 ・ACD機能 ・IVR機能 ・稼働モニタリング ・着信履歴 |
・ワンクリック発信機能 ・オートコール機能 ・アンケート機能 ・プレディクティブコール機能 ・発信番号を指定する機能 ・通話録音機能 |
顧客情報のポップアップ通知機能
顧客情報のポップアップ通知機能は、顧客から電話がかかってきた際に、顧客に関連する情報を瞬時にスクリーンに表示する機能です。表示する情報は、氏名・会社名・過去の応対履歴で、ポップアップ通知によりオペレーターは本人確認の対応をスムーズに行うことができます。
電話制御機能
電話制御機能は電話をオペレーター間で効果的に振り分ける機能です。電話制御機により、顧客対応が偏らず円滑な業務運営が可能となります。例えば、電話の振り分けを最適化でき、待ち時間が短縮できる、クレーム対応では状況に応じたオペレーターへの振り分けが可能になる、といったメリットがあります。
ACD(着信の自動振り分け)機能
ACD(着信の自動振り分け)は、事前の設定に応じてオペレーターに電話を自動振り分けする機能です。顧客の問い合わせ目的に応じて適切な部署に電話がつながるため、転送の手間なく、スムーズな顧客応対が可能となります。
IVR(自動音声応答)機能
IVR(自動音声応答)は、かかってきた電話に対して音声ガイダンスを自動再生し、コンピュータによって応答を行う機能です。問い合わせ要件に対して自動応答を設定することで、オペレーターが対応するよりも迅速に顧客の課題を解決します。IVR(自動音声応答)は多言語対応も可能です。→IVR(自動音声応答)の詳細説明は別記事へ
稼働モニタリング
稼働モニタリングは、オペレーターの稼働状況を可視化してモニタリングできる機能です。コールセンターの稼働状況を資料として作成できるレポート機能もあり、マネージャーやスーパーバイザーは、業務の偏り・パフォーマンスの低下がないかを確認して改善策を講じることができます。
着信履歴
着信履歴機能は、受信した電話番号・対応時間などを履歴として残せる機能です。架電時の不在通話も履歴として残るため、後から抜け漏れなく対応できます。
通話録音機能
通話録音機能は、顧客との会話をデジタルで保存できる機能です。後から通話内容を確認できるため、「言った・言わない」問題に対処できます。また、オペレーターは過去の通話データを参照して、顧客対応品質の改善を図ることができます。通話録音は、新人が優れた電話対応事例を学ぶ教材にも活用できます。
ワンクリック発信機能
ワンクリック発信機能は、CRM内の記載された電話番号をクリックするだけで相手に発信することができる機能です。電話番号を手打ちする必要がないため、オペレーターの手間を軽減できるうえ、間違って違う人に電話をしてしまうミスもなくなります。わざわざPBXのシステムを起動する必要なく、 CRM内で発信が完結する点もメリットです。
オートコール機能
オートコール機能とは、事前に設定した顧客リストに対して、指定した時間帯に自動で電話をかけるCTIシステムの機能です。電話がつながった場合には録音メッセージを流して顧客からダイヤルによって回答をもらいます。オートコール機能は営業活動や情報発信、アンケート調査など多様なシーンで利用できます。→オートコール機能が充実したシステムは別記事で解説
プレディクティブコール機能
プレディクティブコール機能とは、事前に設定した顧客リストに対して、一斉発信できるCTIシステムの機能です。オペレーターは電話がつながった顧客のみ対応すればよく、これまで1件1件電話をかけて応答を待っていた時間を削減することができます。なお、オペレーター数に応じて着信数が増加しないよう自動制御がかかります。
発信番号を指定する機能
CTIシステムには、オペレーターの発信番号を指定する機能があります。0120や0800など複数の電話番号を持つ企業においても、各顧客に表示される電話番号が統一されるため、「知らない電話番号から掛かってきた」という不安を顧客に与えず、スムーズな対応が可能です。
CTIシステムを導入するメリット
コールセンターや営業電話を行う企業がCTIシステムを導入することで、どのような効果が見込めるのでしょうか。具体的なメリット5つを解説します。
- CRMとの連携で電話業務を効率化できる
- スムーズな電話対応により顧客満足度が向上する
- オペレーターの応対品質を改善できる
- オペレーター業務の効率化で、人件費を削減できる
- クラウド型ならリモートワークにも対応可能
CRMとの連携で電話業務を効率化できる
CRM(顧客管理ツール)とCTIシステムを連携することで着信時に顧客情報がポップアップ表示され、オペレーターは瞬時に通話相手を確認できます。CRMの画面上ではこれまでの顧客応対履歴を一覧で確認できるため、素早く状況を把握し、適切な電話応対が可能です。
また、多くのCTIシステムには効率的に発信業務を行うためのオートコール機能・プレディクティブコール機能があり、テレアポ・営業担当者の負担を軽減。これらの機能によって電話業務を効率化できる点がCTIシステムの最大のメリットです。
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スムーズな電話対応により顧客満足度が向上する
CTIシステム導入・CRM連携によってスムーズな電話応対が可能になると、顧客それぞれの状況や要望に合わせた丁寧な対応が実現し、顧客満足度の向上につながります。また、コールセンター全体が顧客対応に追われて逼迫した状況でも、IVR機能(自動音声応答)によって自動案内が可能です。CTIシステムのさまざまな機能により、これまでオペレーターが対応してきた電話転送・本人確認などがシステム化され、1人あたりの応対件数が増えることも期待できます。
外出中の社員にもスムーズに電話取次ぎをしたいとお考えの場合は、スマホアプリ対応のCTIシステムの導入の検討してはいかがでしょうか。「スマホアプリ対応のおすすめCTIシステム【2024年最新】」では、スマホアプリに対応したCTIシステムを導入するメリットや、おすすめのシステムを紹介してます。
オペレーターの応対品質を改善できる
CTIシステムには通話録音機能があり、コールセンターの管理者は録音データを聞くことでオペレーターの応対品質を確認することができます。優れた電話対応事例はほかのオペレーターに共有し、一方で応対品質が悪いオペレーターには個別指導するなどによって、応対品質を改善することが可能です。
また、CTIシステムの稼働モニタリング機能を使えば、リアルタイムでコールセンター全体のパフォーマンスを可視化。人材配置の最適化を講じることも可能です。
「コールセンター向けおすすめCTIシステム【2024年最新】」では、コールセンター向きの機能を搭載するCTIシステムを紹介しています。オペレーターの応対品質を改善する機能を求めている企業はぜひご覧ください。
オペレーター業務の効率化で、人件費を削減できる
オペレーター業務の効率化は、人件費の削減に大きな効果をもたらします。例えば、CTIシステムのルーティング機能を活用すれば、空いているオペレーターに自動的に電話を接続でき、効率化を図れます。また、着信時に顧客情報をポップアップ表示できるので、オペレーターが顧客情報を検索する手間を削減。1件あたりの対応時間が短縮し、人件費の削減が実現できます。
CTIシステムのさまざまな機能により、オペレーター業務が効率化し、結果的に人件費削減につながるのです。
クラウド型ならリモートワークにも対応可能
クラウド型のCTIシステムは、インターネット環境があれば場所を問わずに利用でき、リモートワークにも対応可能です。在宅オペレーターはパソコンやスマートフォンといったデバイスを用意するだけで、コールセンター環境を構築できます。リモートワークを含めた全オペレーターの稼働状況は、CTIシステムの稼働モニタリング機能により把握できるため、管理もスムーズです。
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CTIシステムを導入するデメリット
CTIシステムには多くのメリットがある一方、デメリットはあるのでしょうか。最後にCTIシステムを導入するデメリットを確認しましょう。
- 導入費用・月額料金などのコストが発生する
- システムの操作に慣れるまで時間を要する
導入費用・月額料金などのコストが発生する
CTIシステムの利用には、導入費用・月額料金などのコストが発生します。高額なCTIシステムは費用対効果が悪く、企業にとってコスト負担が重くなる可能性があるため注意が必要です。現在主流のクラウド型CTIシステムは、オンプレミス型と比較して導入費用が無料~数十万円と安いため、多くの企業におすすめです。
導入形態 | 導入費用 | 月額料金 |
---|---|---|
クラウド型CTIシステム | 無料〜数十万円 | 1ライセンスあたり数千円 |
オンプレミス型CTIシステム | システム費30万円以上、サーバー費20万円以上 | 無料 |
さらに詳しい費用相場や各サービスの料金を知りたい方は、「CTIシステムの費用相場は?料金比較でおすすめサービスも紹介」をご覧ください。こちらの記事では、コストパフォーマンスが高いCTIシステムも紹介してます。
システムの操作に慣れるまで時間を要する
CTIシステムの操作画面は使いやすいサービスがほとんどですが、オペレーターによってはシステムの操作に慣れるまで時間を要します。オペレーターがシステムの習得に時間がかかると、システム導入の効果を得るのも遅くなるため注意が必要です。
対処法は、システム選定時に「誰にでも使いやすいシステムか」「導入後もサポート体制は万全か」という点を確認することです。
CTIシステムの導入事例
実際にCTIシステムを導入したことで、問い合わせ数の削減やアポ獲得率が向上した成功事例を2つ紹介します。
事例①コールセンター内製化で問い合わせ数を削減。応答率95%を維持している事例
全国に高速バスや列車を運行する、グループ従業員数約800名以上の企業が、CTIシステム「BIZTEL コールセンター」を導入した事例を紹介します。この企業は以前、コールセンター業務を外部に委託していました。
新規予約や変更、忘れ物対応など、1日あたり数千件の問い合わせがある一方で、オペレーターの数が不足しており、応答率が低迷。また外部委託であるため、顧客の声が直接伝わりにくいという課題もありました。そこで、問い合わせ件数の削減と顧客の声がダイレクトに伝わる体制を目指し、CTIシステムを導入して内製化を進めることにしたということです。
BIZTELを導入した理由の一つは、少人数から低コストで導入できる点が決め手だったことです。システム導入により、コールセンターの内製化が実現し、コールフローの構築やIVRによる自動応答も可能になりました。
また電話でのみ対応していた一部の予約をWebサイトで受け付け、チャットボットによる自動対応も導入。その結果、1日あたりの問い合わせ数が2,000件から300件に減少し、応答率は95%を維持することに成功しました。さらに、分析機能を活用して問い合わせ状況を可視化することで、迅速な対応が可能となりました。
参照:BIZTEL コールセンター公式サイト「導入事例」
事例②:アポ獲得率向上だけでなく、トークスキル向上や業務効率化も達成
コンサルティング事業を展開する従業員約30人の企業が、CTIシステム「MiiTel」を導入した事例をご紹介します。この企業では、新入社員が中小企業にアポイント獲得のための架電を行っていましたが、導入前は固定電話や携帯電話を使用していたため、履歴が残らず顧客情報やフィードバックが行えない状況でした。
グループ企業からの紹介で導入された「MiiTel」には、架電内容の録音や文字起こし機能があり、顧客の状況が把握しやすくなりました。その結果、アポ獲得率は導入前の3%から、成果が低い月でも15%に向上したといいます。
さらに、失注した案件についても振り返りが可能となり、データを基に話し方の改善が図られるようになりました。また、1社への架電にかかる工数も削減され、他業務に時間を割けるようになったとのことです。トークスキルの向上や業務効率化、教育コストの削減など、さまざまな効果を実感しているそうです。
参照:MiiTel公式サイト「導入事例」
まとめ:CTIシステムでコールセンターの業務効率化を図ろう
「電話取次ぎに手間がかかる」といった業務効率の課題や「架電数が低くて制約に結びつかない」といった営業の課題まで解決できるCTIシステム。顧客・取引先とのコミュニケーションツールとして電話を採用している企業におすすめのシステムです。
SalesforceやkintoneなどのCRMと連携できるCTIシステムは多数あり、どれを選べばよいか分からないと悩む担当者も多いでしょう。PRONIアイミツ(当サイト)は、ITツール受発注支援のプロとして、CTIシステム選びについての相談を受け付けています。いつくかの質問に答えるだけで希望要件に合ったCTIシステムが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
よくある質問
CTIシステムに関してよくある質問に回答します。
無料で利用できるCTIシステムは?
無料で使えるCTIシステムには、顧客管理機能を備えた「Fullfree」があります。FullfreeはCRMとして利用できるだけでなく、CTIシステムとしても活用可能で、顧客情報の管理や通話履歴の記録が無料で行えます。
また、他にも一定期間無料で試せる「Comdesk Lead」や「CT-MAX」といった製品があります。トライアル期間中にCTIの基本機能を試せるため、自社の業務に合うかどうかを事前に確認できるのが利点です。詳しくは記事「無料で利用できるCTIシステム」をご覧ください。
CTIシステムは自作できる?
CTIシステムは自作も可能ですが、非常に高度な技術と専門知識が求められます。例えば、電話回線やVoIPに関する通信技術、SIPやPBXの設定、ソフトウェア開発のスキルが必要です。また、通話録音や顧客情報管理には厳重なセキュリティ対策も欠かせません。さらに、メンテナンスや法令の遵守も考慮する必要があります。そのため、コストや労力を抑え、安心して使用できる市販のCTIシステムを導入することが一般的におすすめです。
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