IP電話とは?番号の種類とメリット、デメリットを解説
IP電話は、「これから新たにビジネスを始めたい」という方におすすめのツールで、コストをかけずに簡単に導入できるのが特徴です。IP電話は電話番号の取りやすさや低コストで人気がありますが、「導入したら今使っている番号はどうなるのか?」など分からない部分も多いのが実際のところでしょう。
そこでこの記事では、IP電話番号とは何かを解説します。また、IP電話の種類とメリット、デメリットを解説、さらには導入時の注意点についても詳しく解説します。
- IP電話とは
- IP電話と固定電話の違い
- IP電話で取得できる電話番号のタイプ3種類
- IP電話を導入するメリット3つ
- IP電話を導入するデメリット3つ
- IP電話を導入する際に気をつけるべきポイント3つ
- まとめ:自社に合ったIP電話の導入でコストダウン&効率化を図ろう
IP電話とは
IP電話とはインターネットを通じた電話サービスのことで、システムはプロバイダーから提供されています。固定電話、携帯電話の両方で利用ができ、音声だけでなく映像での通話も可能です。VOIP(Voice over Internet Protocol)と呼ばれる通信技術を利用するのが特徴で、音声を音声パケットというデジタルデータに変換して相手に送信、相手側では音声パケットが音声に再現されて通信が可能になります。
インターネット回線を利用した電話はIP電話のほかにひかり電話があります。光電話は光ファイバー網を用いた通信です。
IP電話と固定電話の違い
IP電話と固定電話の違いは主に以下の4つがあります。
・通話料金:固定電話は通話相手が遠隔地になるほど通話料金が高くなります。理由は距離が離れるほど中継の局舎数が多くなるためです。一方、IP電話はインターネット回線を使って通話するため、物理的な距離に料金の影響を受けることはありません。また固定電話の利用には電話加入権が必要ですが、IP電話では電話加入権は不要なため、初期費用をかけずに導入できます。
・電話番号:IP電話の電話番号は050から始まる番号が主流です。ほかに03、06など市外局番から始まる0AB-J番号、電話番号がないタイプのサービスもあります。固定電話は市外局番から始まる電話番号のみです。
・通信品質:固定電話は音声通話専用の回線を利用するため、IP電話と比べて通話品質は安定しています。一方、IP電話はネット回線の混雑状況などの影響を受けるため通話品質は不安定になりがちです。
・緊急通報の可否:IP電話は110番や119番など緊急通報はできません。オフィスでIP電話を使う場合、緊急通報はスマホを利用するなどの対策が必要です。
IP電話で取得できる電話番号のタイプ3種類
IP電話には電話番号のタイプ別に「050タイプ」「0AB-Jタイプ」「電話番号が無いタイプ」の3つに分類できます。それぞれの内容と違いについて解説をします。
1.050タイプ
050タイプはIP電話のなかでも最もポピュラーなタイプです。IP電話と言えば050から始まる番号というイメージをお持ちの方も多いと思います。「050+事業者の識別番号+加入者番号」の11桁の番号から構成されます。市外局番や市内局番など地域情報は含まれません。
050番号のIP電話は電話番号もすぐに取得可能で、番号取得に際して費用もかからないためサブの電話番号にはおすすめです。携帯電話やスマホでも利用できるので手軽でしょう。
050番号のデメリットとして、事業者が変わると電話番号が変わってしまう点があげられ、サービスの乗り換えやすさという点では課題が残ります。通話品質がクラスA~CのうちクラスCでも認可を受けられるため、サービスによっては通話品質が落ちる可能性もあります。
2.0AB-Jタイプ
IP電話には0AB-Jタイプもあります。0AB-Jタイプは一般加入電話のように「03」「06」などで始まるIP電話で、0から始まる10桁の電話番号「0A – BCDE – FGHJ」で構成されます。身近なところでは光電話が0AB-Jタイプに該当します。
ぱっと見が一般加入電話と同じ番号のため、ビジネス用途でも利用しやすく、相手からも信用されやすい点は大きなメリットです。
もともと0AB-Jタイプは総務大臣が必要と認めた場合のみ使用が出来る番号だったため、ほとんど使われていませんでした。しかし、現在はIP電話普及と品質向上により、総務省の定める「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4項目の基準を満たせば番号が取得できるようになりました。通話品質はクラスAのみ認可され、050番号に比べると通話品質は高いのが特徴です。
3.電話番号が無いタイプ
IP電話には電話番号が無いタイプのものもあります。インターネット電話と呼ばれるもので、インターネット回線を通じて通話をする点はIP電話と同じですが、IP電話が専用回線を利用するのに対し、インターネット電話は公衆回線を利用するのが特徴です。
電話番号がないタイプのものは相手と同じアプリケーションを使って通話をします。双方がアプリをダウンロードしていればすぐに通話できるため、手軽に使える点はメリットでしょう。
SNSアプリに搭載されている通話機能もインターネット電話です。インターネット電話は電話番号がないためビジネス用途よりはプライベート向きと言えます。
IP電話を導入するメリット3つ
IP電話にはメリットとデメリットがあり、導入に際しては両面を知っておくことが大切です。最初にIP電話のメリットについて見ていきましょう。
1.通話料などの運用コスト・導入コストを抑えられる
IP電話は固定電話に比べて基本料・通話料などのコストは安いです。同じプロバイダー、もしくは提携しているプロバイダーの同士であれば無料通話が可能です。理由はプロバイダー回線内であれば接続料がかからないことがあげられます。全国に支店がある会社で社内通話を多用する会社であれば導入のメリットは大きいです。
固定電話への通話料も格安で、通常固定電話で県外に電話すると3分の通話で約20円かかるのに対し、IP電話は約8円で通話可能です。基本料金も無料~500円程度と安く、携帯電話にも安くかけられます。海外への通話もリーズナブルで料金重視の方には断然おすすめです。
また、電話加入権が不要なため導入にかかるコストを抑えられることもメリットです。
2.電話機をそのまま使える可能性が高い
IP電話は既存の電話機をそのまま使える可能性が高い点もメリットです。電話機をそのまま使える場合、IP番号を取得するだけで現在お使いの固定電話、携帯電話からすぐに通話可能です。また、通話に際して固定電話のように電話工事の必要はありません。コストをかけずに新たな番号が取得したい方におすすめの方法です。
3.テレワークや在宅勤務にも最適
IP電話はテレワークや在宅勤務にも最適です。IP電話にはさまざまなサービスがありますが、なかには会社の電話番号を携帯電話で受信できるIP電話サービスもあるため、テレワークや在宅勤務中でも会社の番号にかかってきた電話を受けられます。
会社の固定電話をどこでもとれるなら、営業で外回りをしている最中や出張先でも電話を受けられます。従業員数の少ない会社で不在がちになる場合には特に便利です。
IP電話を導入するデメリット3つ
IP電話には多くのメリットがありますが、いくつかデメリットもあります。導入の際には以下3つのデメリットについても押さえておいてください。
1.電話番号が変わる可能性がある
IP電話の多くは050から始まる電話番号のため、固定電話からIP電話に切り替える場合は電話番号が変わります。
とはいえ、インターネット回線を使った通話でもひかり電話などは番号をそのまま使えますし、ほかにも固定電話の番号をそのまま使えるサービスもあるため、一概に番号が変わる訳ではありませんが多くのケースでは電話番号が変わると思っていた方が良いでしょう。
2.119番・110番などの緊急発信が使用できない
IP電話は119番・110番などの緊急発信が使用できません。あまり知られていませんが、119番や110番など緊急通報電話はNTTが作ったしくみのため、固定電話のように緊急発信ができません。理由は固定電話や080、090から始まる携帯電話は最寄りの消防署や警察署に位置情報を送れますが、050のIP電話は位置情報を送信できないため緊急通報には使えません。
しかし、IP電話でも最寄りの本部に直接電話をすることは可能です。また、総務省が改善のための働きかけをしており、将来的にはIP電話が緊急通報電話で利用できる可能性はあります。
さらに、ほとんどのIP電話は0120から始まるフリーダイヤルにもかけることはできません。最近ではフリーダイヤル対応のIP電話サービスも登場しています。
3.通信品質が不安定な場合がある
IP電話はサービスによっては通信品質が不安定になることがあります。IP電話は音声パケットをデータとして送るため、同時に大容量ファイルを送るなどした場合には処理速度が遅れるため音声品質が低下する恐れがあります。音声品質を上げるには回線の容量を増やす、通信速度を上げるなどの施策が必要です。
IP電話を導入する際に気をつけるべきポイント3つ
IP電話を導入する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。実際に導入する際は次の3つの点に気を付けてください。
1.使用できる電話番号を確認する
IP電話を選ぶ際は、使用できる電話番号を確認するようにしてください。
IP電話は050で始まる電話番号のほかに、サービスによっては03、06など市外局番から始まる0ABJ番号を使用することも可能です。0ABJ番号が取得できれば、外出先でもアプリをインストールすればスマホから固定電話番号の発着信が可能になるため、社用携帯を支給する必要もありません。
050から始まる電話番号はIP電話の番号として定着していますが、ビジネス用途などでは市外局番から始まる電話番号の方が信頼度は増します。
2.搭載している機能を確認する
IP電話サービスにはさまざまな機能がありますが、ベンダーごとに提供している機能が異なるため、導入前には必ず搭載している機能を確認してください。
IP電話サービスには留守番電話機能、内線・外線発着信、着信転送機能、代理応答、内線通話録音、内線CTI連携などがあります。このなかから自社で外せない機能をピックアップし、比較検討で自分が求める機能があるかどうかをチェックすると導入に際して失敗を防ぐことができます。
3.料金形態を確認する
IP電話を導入する際は料金形態を確認することも重要です。IP電話は同じプロバイダー、もしくは提携しているプロバイダーの同士なら無料で通話が可能ですが、携帯電話や固定電話に電話をする際は費用が発生します。通話料はサービス提供会社ごとに異なるため、契約前に必ずチェックしておきたいポイントです。
IP電話から携帯電話への国内通話料は1分あたり10円~16円程度、IP電話から固定電話への国内通話料は1分あたり2.26円~2.6円ほどが相場です。月額基本料は無料~500円以内のところが大半です。IP電話から携帯電話への料金は提供会社によって幅があるため、携帯電話によく電話をする場合は料金をよく確認するようにしてください。
まとめ:自社に合ったIP電話の導入でコストダウン&効率化を図ろう
この記事では、IP電話とは何かを解説し、取得できる番号の種類とメリット、デメリットまで解説してきました。IP電話番号には050から始まる番号のほか、03や06など市外局番から始まる0AB-Jタイプもあります。IP電話は電話番号が簡単に取得可能で、電話機を買い替える必要もないため導入は手軽です。通話料もリーズナブルのため多くのメリットがあります。
一方で、緊急通報電話にかけられない、通話品質が不安定になるなど注意点もあります。導入に際してはメリット、デメリットの両方を押さえておくことが大切です。
これからIP電話サービスを導入する方で選び方を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
どのようなIP電話サービスがあるのか詳しく知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。
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