IP電話とは?メリットとデメリット、導入のポイントを解説
IP電話は、一般電話と比べて通話料を抑えられ、導入もスピーディなどといった特徴があることから、ビジネスシーンにおいても幅広く活用されています。しかし、IP電話の導入には、どのようなメリットやデメリットがあるのかわかっていないという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、IP電話を導入するメリット・デメリットをはじめ、ビジネス利用におすすめなIP-PBX、さらにはクラウドPBXについて、IP電話を導入する際の注意点を紹介していきます。IP電話の導入を検討しているという方は、ぜひ参考にしてください。
- IP電話とは
- 全国で2025年1月までにIP網へ移行予定
- IP電話のメリット
- IP電話のデメリット
- ビジネス利用はIP-PBXの導入がおすすめ
- IP電話の導入前に確認するべきポイント
- まとめ:IP電話のビジネス利用はメリットが多いのでおすすめ!
IP電話とは
IP電話とは、「インターネットプロトコル」という通信方式を採用し、インターネットを通じて通話することのできる電話のことです。アナログの電話回線を利用して通話する固定電話とは違い、音声データをインターネット回線を通じて通話するという特徴があります。
全国で2025年1月までにIP網へ移行予定
総務省は、これまで固定電話で利用していた電話網を2025年1月までに廃止し、IP網へ移行予定だと発表しています。※
移行は、従来の電話設備の維持コストや利用者減少、インターネットの普及などが理由です。そのため、今後はさらにインターネット回線を活用したIP電話が多くの人に利用されると考えられます。現在、固定電話を利用中の方は、IP電話のメリットやデメリットを理解して、スムーズに移行できるように準備が必要です。
※出典:総務省 固定電話網の円滑な移行 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/telephone_network/index.html
IP電話のメリット
はじめに、IP電話を導入するとどのようなメリットがあるのかをチェックしていきましょう。IP電話を導入するメリットは、以下の7つのポイントにまとめることができます。
通話料金が安い
IP電話を導入するメリットとして1つ目にあげられるのが、通話料金がリーズナブルであるということです。
たとえば、一般的な固定電話で国内通話をした場合、3分間で20円ほどかかってしまいます。一方、IP電話であれば同じ3分間であっても8円ほどにおさめることが可能です。
また、プロバイダーによって条件等は異なるものの、IP電話同士であれば通話料金が完全に無料となることも少なくありません。
「LINE」や「Skype」に代表されるような番号不要型のIP電話の場合、そのユーザー同士であれば一切料金はかからずに通話することができます。
基本料金が安い
IP電話を導入するメリットとして2つ目にあげられるのが、基本料金もリーズナブルということ。
一般的な固定電話の場合、基本料金は1,000円以上。しかし、IP電話の基本料金相場はたったの500円程度です。通話料金がリーズナブルであるだけでなく、基本料金も半額ほどに抑えることができます。
また、IP電話は固定回線が不要であることから、そもそも基本料金が設けられていないというサービスも。通話料金の無駄を徹底してなくしたいという場合、IP電話は非常に心強いでしょう。
導入までが素早い
IP電話を導入するメリットとして3つ目にあげられるのが、導入までが非常にスピーディであるということ。
たとえば通信キャリアの提供しているIP電話サービスを導入するという場合、必要なのは、モデム(ONU)の設置と設定のみ。非常に簡単で大掛かりな工事などは必要ありません。
一方IP電話ソフトを用いる場合には、ソフトをパソコンなどのデバイスにインストールするだけ。あとは簡単な初期設定ですぐに使い始めることができます。
電話番号が簡単に手に入る
IP電話を導入するメリットとして4つ目にあげられるのが、電話番号を簡単に手に入れられるということ。
NTTの固定電話を利用するためには、固定回線を利用できる権利を得るために、電話加入権を購入しなければなりません。その権利を購入しなければ、番号は割り当てられないということです。
しかし、IP電話であれば電話加入権の購入がなくともすぐに番号が割り当てられます。ひかり電話のような「0AB-J型」のIP電話の場合には、一般的な電話番号と同じく0から始まる10桁の電話番号、「050型」の場合には050から始まる11桁の電話番号となります。
システム連携がしやすい
IP電話を導入するメリットとして5つ目にあげられるのが、システム連携もしやすいということです。
IP電話サービスは数多く提供されていますが、なかには顧客管理システム(CRM)と連携できるものも。顧客管理システム内にあるデータをIP電話に同期できるため、連絡先の管理や受発信履歴の管理に役立つでしょう。
また、IP電話はPCと連携できるのも心強いポイントです。PCと連携させていれば、着信時に発信者情報をポップアップ表示できるだけでなく、受発信履歴の確認もよりスムーズになるでしょう。
業務効率化につながる
IP電話を導入するメリットとして6つ目にあげられるのが、業務効率化にもつながるということです。
たとえば050型IP電話の場合、電話機のみならずスマートフォンとも併用することが可能。アプリケーションをダウンロードするだけで、気軽に利用することができます。
スマートフォンでも利用できることにより、外出先でも電話対応を行える、自宅でテレワーク中であっても顧客対応ができるなど、さまざまな面で役立つのではないでしょうか。
固定電話との併用も可能
IP電話を導入するメリットとして7つ目にあげられるのが、固定電話と併用することもできるということ。
「IP電話を導入すると決めたら、現在の固定電話は解約しなければならないの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、心配いりません。すでに利用している固定電話を解約することなく、IP電話を導入することが可能です。
発着信を問わず、それぞれのシーンにおいて切り替えて使用できる点が心強いでしょう。
IP電話のデメリット
ここまで、IP電話を導入するメリットについて紹介してきました。何よりコストダウンに強みを持つIP電話ですが、一方でデメリットもいくつかあげられます。以下の4つのデメリットを確認した上で、導入を検討しましょう。
インターネット回線環境への配慮が必要
IP電話を導入するデメリットとして1つ目にあげられるのが、インターネット回線環境へ配慮しなければならないということです。
先にも述べている通り、IP電話はインターネットプロトコルによって通信しインターネットに接続して通話することのできる電話です。そのため、どうしてもインターネット回線の混雑状況などに通話品質が左右されてしまいます。
日中は問題なく利用できていても、インターネット回線が混み合う夜間となった途端に音声が途切れ途切れになってしまう、ということもなくはありません。常に安定した通話品質を期待するのであれば、IP電話は不向きかもしれません。
停電などのトラブルに弱い
IP電話を導入するデメリットとして2つ目にあげられるのが、万が一のトラブルの際には弱いということです。
たとえば社内が停電となってしまった場合、インターネット回線が強制的に断ち切られてしまいます。そうなると、インターネット回線を通じて通話しているIP電話は、一切使えなくなってしまうことが特徴です。また、停電以外にも利用中のインターネット回線の不具合やトラブルなどでは利用できなくなってしまいます。
フリーダイヤル・緊急電話を利用できない
IP電話を導入するデメリットとして3つ目にあげられるのが、「0120」などのフリーダイヤルや「110」「119」などの緊急電話を利用できないということです。
携帯電話からだとフリーダイヤルにつながらず、通話料のかかる専用ダイヤルにかけるしかなかったという状況と同じく、IP電話からもフリーダイヤルへは発信できません。
また、警察や消防などの緊急電話も基本的にIP電話からは利用できないため、会社での利用時は緊急時の対応を事前に定めておく必要があるでしょう。
050番号や電話番号不要のIP電話の場合はすべてフリーダイヤルには非対応ですが、例外として一部のひかり電話の場合はフリーダイヤルや緊急ダイヤルにも発信可能です。
電話番号が変わる
IP電話を導入するデメリットとして4つ目にあげられるのが、現在利用している電話番号から変更しなくてはならないということです。
IP電話の主流となっているのは番号が050から始まる050型IP電話ですが、IP電話を利用する=050から始まる11桁の番号を割り当てられてしまうということなので、現在利用しているであろう0から始まる10桁の電話番号は使用できません。
ビジネス利用はIP-PBXの導入がおすすめ
ここまで、IP電話のメリットとデメリットを紹介してきました。
IP電話は、フリーダイヤルや緊急ダイヤルに発信できない、万が一の緊急時には使用できなくなってしまうなどのデメリットはあるものの、外部システムとの連携、スマートフォンの内線化などを叶えながら、コストダウンまで実現することができます。ビジネスで利用したい場合には、うってつけではないでしょうか。
また、より便利に活用できるIP-PBXや、クラウドPBXを導入する企業も増えています。ここからは、それぞれのメリットを紹介していきましょう。
IP-PBXのメリット
IP-PBXとは、インターネット回線を通じ、IP電話機への着信・転送を制御する役割を担った機器のこと。
IP-PBXを用いればスマートフォンでもPCでも内線・外線・転送を問題なく利用できるため、業務効率化に大いに役立ちます。カスタマイズ性も高いことから、コールセンター構築用に自動録音機能や着信振り分け機能などを搭載させることもできるでしょう。
また、インターネット回線を通じて利用するため、一般的な回線よりも低コストで利用できるのも大きなメリット。すでにインターネット環境が整っている場合には、IP-PBXシステムを導入するだけで大掛かりな工事などが必要なわけではないため、導入までがスムーズなのも心強いのではないでしょうか。
クラウドPBXのメリット
本体のハードウェアが必要となるIP-PBXとは異なり、インターネット上でPBXを利用できるのがクラウドPBXです。
インターネット上ですべてが完結するため電話機を用意する必要すらなく、コンピュータ1つで電話業務をすべてカバー。発着信の制御も問題なく行うことができます。電話機を用意する必要がないことから、導入時にかかる初期費用を大幅にカットできるのが魅力でしょう。
また、クラウドPBXを利用しスマートフォンを内線化することにより、外出中の社員も会社の番号で発着信が可能。保留や転送なども問題なく行えます。
また、クラウドサービスであることから、定期的なメンテナンス費用や故障時の修理費用もかかりません。メンテナンスなどはすべてサービスの提供者側が行ってくれるので、運用リソースを割けないという場合でも問題ないでしょう。
IP電話の導入前に確認するべきポイント
IP電話の導入を検討する際には、いくつかチェックしておくべきポイントがあります。以下で説明する3つのポイントを必ず確認し、サービスの導入時に後悔がないように注意しましょう。
インターネット回線への配慮
IP電話を導入する前に、インターネット回線に問題はないかを確認しておきましょう。
先にも説明した通り、IP電話はインターネットプロトコルを通信方式に採用しており、インターネットに接続しなければ通話ができません。そのため、通話品質はインターネット回線が安定しているかどうかに左右されてしまいます。なるべく通話品質を高く保つためにも、インターネット回線に問題がないかどうかはきちんと確認しておきましょう。
もしもインターネット回線の契約から行うという場合には、安定した回線が魅力のサービスを選んでおくと安心です。
複数サービスを比較する
IP電話の導入を検討する際には、必ず複数のサービスを比較しましょう。
さまざまなIP電話サービスが提供されていますが、音声品質、搭載されている機能、これまでの導入実績などはバラバラです。「とにかくリーズナブルなところがいい」、「名前を聞いたことがあるから」などという理由で、複数のサービスを比較することなく導入してしまうと、欲しい機能がついていなかった、予想していたより音声品質がよくないなど、予想外の失敗に陥るかもしれません。
機能面やサポート面、実績面、さらには費用面など多面的に比較し、自社にマッチしたものを選びましょう。
万が一のトラブルへ対策をしておく
IP電話を実際に導入する前に、万が一トラブルが起こった場合の対策をしておきましょう。
050番号は固定電話との併用も可能なので、万が一災害が起こってしまった場合でも対応できるように、あわせて利用することを考慮してみるのもいいかもしれません。
また、停電時にも電源を用意できるように、UPS(無停電電源装置)を用意しておくという手段もあるでしょう。
まとめ:IP電話のビジネス利用はメリットが多いのでおすすめ!
この記事では、IP電話を導入するメリットやデメリットを中心に紹介してきました。
特に、ビジネス利用を目的にIP電話を導入すれば、コストダウンや業務効率化などをまとめて叶えることが可能です。現在、通話料が負担となっており悩んでいるスマートフォンでも電話対応をしたいと考えている方にはおすすめです。
もし、複数のIP電話サービスを比較したい場合には、こちらのIP電話サービス比較記事を参考にしていただくか、PRONIアイミツまでお気軽にご相談ください。
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