チャットボットとは?AIとの違いや種類、メリット、作成方法をまとめて解説!
近年、コールセンターやカスタマーサポートサイトではさまざまな新技術が導入されています。生産性の向上、そしてコスト削減などのために、IVR(自動音声応答システム)やテキストマイニングシステムを取り入れている企業も少なくありません。オペレーターのサポートを目的に音声認識システムを導入した結果、工数の短縮やコストの削減につながった例も数多く見受けられます。
こうした技術のなかでも、とりわけ注目を集めているのがチャットボット。本記事では、チャットボットとはどんなもので、具体的にどういった導入メリットがあるのかなど、作成方法から活用事例まで、詳しくご紹介していきます。
- チャットボットとは?
- チャットボットの種類
- 機能・用途別に見るチャットボット
- チャットボットの導入メリット
- 参考にしたいチャットボットの導入事例3選
- チャットボットの作り方
- おすすめのAIチャットボットツール5選
- チャットボットの導入でお悩みならアイミツへ
チャットボットとは?
チャットボットは、チャットとロボット(ボット)を組み合わせた自動会話プログラムです。顧客から寄せられるテキスト形式の問い合わせに対し、オペレーターに代わってリアルタイムで選択肢や回答を表示します。
その歴史は意外と古く、世界初のチャットボットと言われる「ELIZA」(イライザ)が開発されたのは1960年代の半ばごろ。日本語のチャットボットも1980年代には存在したと言われており、その後のネット環境の進化やAI(人工知能)の普及にともない、多くのコールセンターやWebサイトで利用されるようになりました。
AIとの違い
現在、コールセンターやWebサイトで使用されているチャットボットの多くにはAIが搭載されているため、チャットボット=AIだと認識している人も少なくないようですが、厳密に言えば両者は別物です。
チャットボットとは、あくまでも自動会話プログラムの総称。AIが搭載されていなくても、相手からのテキストメッセージに対して自動的に応答するツールは基本的にすべてチャットボットと呼ばれます。
一方のAIは、自らデータを蓄積し、機械学習を重ねてデータの推測や判断を行う技術・プログラムの総称です。チャットボット以外にも産業機械のオペレーション、マーケティング活動における各種分析、病院での画像診断など、幅広い用途で活用されています。
チャットボットの種類
続いてはチャットボットの種類について。主に、AIが搭載されている否かによって2種類に分けられます。それぞれの概要とメリット・デメリットを見ていきましょう。
ルールベース型(シナリオ型)
AI非搭載型のチャットボットは、一般的に「ルールベース型」と呼ばれます。あらかじめ作成しておいたルールやシナリオに沿って、選択肢や回答を表示します。予約サイト、IT製品のサービスサイトなどでよく見られる、ユーザーの要望にあわせてFAQページへ誘導するチャットボットもルールベース型の一種です。
ルールベース型のメリットは、比較的導入のハードルが低い点でしょう。カスタマー向けのWebサイトに「よくある質問」などのコンテンツが用意されている場合、それをそのままシナリオとして活用できるため、後述するAI搭載型と比べると低コストで制作・導入することが可能です。
反面、あくまでもシナリオに沿った回答しかできません。複雑な内容の対応窓口としては、あまり適しているとは言えないでしょう。
ルールベース型のチャットボットを利用している企業の多くでは、二次対応者としてオペレーターを配置しています。チャットボットが対応できない案件はオペレーターへエスカレーションする体制を敷くのが一般的です。
AI搭載型(機械学習型)
AI搭載型は、過去の問い合わせパターンや応答、ユーザーの行動履歴などといったデータを解析した上で、相手の質問・要望に対して統計上もっとも適切と考えられる選択肢・回答を表示します。
ルールベース型と比べるとより広範囲で、複雑な案件に対応することが可能です。加えて、回答を重ねるごとに精度が上がっていく点もAI搭載型ならではのメリット。休日や夜間の問い合わせ窓口として活用することで、コストを削減している企業も少なくありません。
ただし、適切な回答を行うには、十分なデータが蓄積されていることが大前提。50件、100件といった程度のデータ量ではAIの学習が進まず、回答を誤ってしまう可能性が高まります。
また、AIエンジンの開発には膨大なコストがかかるため、予算の限られる企業では導入が難しい場合もあるでしょう。
機能・用途別に見るチャットボット
チャットボットの種類については上記のとおりですが、機能・用途別に見ると、さらに細かく以下の4つに分類できます。
FAQ型
FAQ型は、質疑応答を行うチャットボットです。相手の質問・相談内容を受け取った上で、ルールベース型の場合はシナリオに沿って、AI搭載型の場合は蓄積されたデータベースから、最適な選択肢や回答を表示します。
チャットボットとしてはもっとも基本的・汎用的なタイプであり、カスタマーサポートのほか、ネットショップにおける予約・注文受付、社内ヘルプデスクなどの幅広いシーンで活用されています。
雑談型
「おはよう」「おやすみ」といった挨拶や天気にまつわる会話、近況報告など、ユーザーとの間で日常的なコミュニケーションを交わすチャットボットです。
コストの削減や業務効率化といった実利的な目的に使われるケースはそれほど多くないものの、とりとめのない日常会話から消費者の潜在的なニーズを探ることができます。新商品開発のヒントを見い出すことも可能でしょう。
アシスタント型
ネットショップにおける商品の注文、動画・音声コンテンツの再生、ニュース・天気予報の表示といったユーザーの行動をサポートするチャットボットはアシスタント型と呼ばれます。身近なところでは、AppleのSiri、AmazonのスマートスピーカーAlexaもアシスタント型チャットボットです。
大手運送会社のヤマト運輸では、2016年に自社のLINEアカウントにアシスタント型のチャットボットを導入し、再配達の受付コストを大幅に削減しました。さらに、送付状の発行や荷物の集荷受付までチャットボットでカバーすることによって、売り上げアップも実現しています。
配信型
配信型は、あらかじめ設定した日時・時間帯にメッセージを配信するチャットボットです。主な用途としては、セールやイベントの告知、新商品の案内、オフィスにおける業務のリマインドなど。
情報を送るという点では従来のDMやメールマガジンとそれほど大きな違いはありませんが、受け取る側としてはチャット形式で表示されることによって親しみやすく、従来のマーケティング手法と比べて行動喚起につながりやすいと言われています。
チャットボットの導入メリット
続いてはチャットボットのメリットについて。チャットボットを導入すると、具体的にどういった効果が見込めるのでしょうか?
①24時間365日体制で顧客に対応できる
一番のメリットは、なんと言っても24時間365日体制で顧客に対応できる点です。
チャットボットを導入すれば、オペレーターを配置するのが難しい深夜や早朝でも顧客を待たせることなく、リアルタイムで応答できるようになります。
顧客満足度の向上につながる上、対応漏れによる機会損失(ECサイトからの離脱、注文の保留など)が減ることで、売り上げ・収益のアップも期待できるでしょう。
②応対品質を均一化できる
長時間にわたる顧客からの問い合わせ対応やクレーム処理は、オペレーターにストレスや疲労を与えます。当然、言葉遣いが雑になることや、誤った回答をしてしまうリスクも高まるでしょう。しかし、チャットボットを導入すれば、そうした心配もいりません。
チャットボットの種類にあわせてシナリオとデータベースを整備・蓄積しておくことで、応対品質を均一化できます。
③コストを削減できる
業務コストを削減できるのも、チャットボットの見逃せないメリットです。
例えば顧客からの相談・問い合わせ窓口として、オペレーター5名を週5日フルタイム稼働させる場合、毎月数万円もの人件費がかかります。
一方で、チャットボットは安価なツールなら月額1万円台から利用可能。シナリオやデータベースをきちんと整備すれば、前述のような人件費を丸ごとカットすることもできます。
④商品開発やマーケティングに役立つ
LINEやFacebookのメッセンジャーと同様、チャットボットに寄せられた質問や要望とそれに対する回答は、基本的にすべて会話形式のログとして保存されます。
ログからどういった経緯で問い合わせにいたったのか、質問や要望にはどういった消費者心理が潜んでいるのかを分析できれば、おのずと新商品の開発やマーケティング施策のヒントが見えてくるのではないでしょうか。
⑤気軽に問い合わせできる
質問や要望を送る顧客側にもメリットがあります。
例えば、電話で問い合わせる場合、営業時間内にしか連絡が取れない上、口頭で要件を伝えることに煩わしさを感じる人もいるでしょう。担当者とのやり取りに不安を抱き、電話を躊躇してしまうケースも少なくないようです。
一方で、チャットボットは対人コミュニケーションではないため、心理的な負担が軽いのも特徴。問い合わせ時間を気にする必要もありません。
日ごろからPCやスマートフォンを使用している方なら、チャットは馴染み深いコミュニケーションツールです。サイトにポップアップされるタイプのチャットボットなら、Eメールのようにアプリを起動させる必要もなく気軽に利用できます。
参考にしたいチャットボットの導入事例3選
コスト削減や顧客満足度の向上など、さまざまなメリットをもたらすチャットボットは、多くの企業や団体に利用されています。以下では、とりわけ大きな成果を上げた3つの事例をピックアップしました。ここまでの内容とあわせながら、ぜひ参考にしてみてください。
アスクル株式会社
株式会社ユニメディアによると、オフィス用品の販売で国内トップクラスのシェアを誇るアスクルでは、2014年に自社の通販サイト「LOHACO」に、文章全体の意味をとらえる認識エンジンと会話制御エンジンを搭載したAIチャットボット「マナミさん」を導入。
チャットボットの導入によって24時間365日体制での問い合わせ対応が可能となり、オペレーター6.5人分のコスト削減につながりました。現在では、「LOHACO」に寄せられる問い合わせ全体の約3分の1をAIチャットボットがカバーしています。
※参照:株式会社ユニメディア『アスクル、AI型チャットロボ導入で省人効果6.5人分に』
SHIBUYA109エンタテイメント
株式会社繊研新聞社によると、若年層向けのショッピングモールを運営しているSHIBUYA109エンタテイメントは、2017年に自社のLINEアカウントにチャットボット「WazzUp!」を導入しました。
渋谷109のフロアガイドやテナント概要、在庫商品といった情報を、スマートフォン経由でダイレクトに取得することが可能に。さらに、在庫情報を公式サイトと同期させることによって、再入荷の通知などを消費者がリアルタイムに受け取れるようになりました。
※参照:株式会社繊研新聞社『109にチャットボット EC在庫有無を自動応答へ』
チャットボットの導入後、LINE公式アカウントの1日あたりのフォロワー数は、従来の2倍以上に伸びています。
岡山県和気町
こちらは地方自治体の成功事例です。
総務省の資料によると、岡山県和気町は豊かな自然に囲まれ、農業がさかんで全国からの移住希望者が多く、職員が直接問い合わせ対応にあたっていたものの、不在時や業務時間外には回答が滞っていたそうです。
また、問い合わせ窓口が担当部署ごとに分かれていたため、住居、支援制度の内容など、希望者が必要な情報を手に入れるまでに時間がかかってしまうケースもありました。
そこで導入したのが、AI搭載型のチャットボット「わけまろくん」。導入後は移住にまつわる情報を公式サイトとLINEアカウントに集約させることで、業務時間外の問い合わせにもスムーズに対応できるようになりました。2020年までの5年間で、和気町には人口全体の3%を超える515名が移住しています。
※参照:総務省『地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例』
チャットボットの作り方
続いてはチャットボットの作り方についてです。ゼロから自社開発する場合と、制作ツールを用いる場合の2つをご紹介します。
自社開発する場合
自社開発する場合はまず、ほかのアプリや業務用システムと同様に要件・目的(顧客満足度の向上、業務コストの削減など)を定め、プラットフォームを決めます。
多くの企業では自社製品のサービスサイトやオンラインショップにチャットボットを置いていますが、若年層がメインターゲットとなる場合はLINE、社内のヘルプデスクとして役立てたい場合はSlackなどを選ぶのも良いでしょう。
近年、主流のAI搭載型チャットボットの開発には、文法がシンプルなPythonというプログラミング言語が多く使われています。機械学習のライブラリやデータ集計・計算のアルゴリズムもPythonで構築することが可能です。プログラミングが終了したあと、テストを経て動作や回答に問題がなければ、開発は完了です。
自社開発のチャットボットなら、当然ながら月額利用料はかかません。事業の成長や顧客の増加にあわせてフレキシブルに機能を追加していくことも可能です。しかし、開発にあたっては高い技術力を持つエンジニアがいることが前提となります。
制作ツールを使う場合
自社での開発が難しい場合は、ITベンダー各社が提供しているチャットボット制作ツールを利用するのがおすすめです。
利用料金こそかかるものの、制作ツールの多くにはノンプラグラミングのシナリオ設定、自動レポーティングなどといった機能が付いており、テンプレートをもとにチャット画面のレイアウトも簡単に作成できます。セキュリティ対策を含め、開発元のサポートを受けられるのもツールを利用するメリットだと言えるでしょう。
具体的な料金や仕様・機能は各社さまざまなため、チャットボットを導入する目的・予算を念頭に置いた上で、自社に合ったものもを選びましょう。
おすすめのAIチャットボットツール5選
最後はアイミツが厳選した5つのチャットボットツールをご紹介します。
ChatPlus
ChatPlusは、チャットプラス株式会社(東京都千代田区)が提供しているチャットサポートシステムです。中小・ベンチャー企業を中心に1万社以上への導入実績を誇っています。
人気の理由はリーズナブルな料金体系。利用アカウント数や機能に応じて5種類の料金プランが用意されており、最安のミニマムプランは1IDあたり月額1,500円(税抜)から利用できます。初期費用は一切かかりません。
業種ごとの豊富なテンプレート、マニュアルいらずのシナリオ作成など、使いやすさにも定評がありまる。もちろん、売り上げの増加や、コスト削減効果などの実力も確かです。
sAI Chat(サイチャット)
sAI Chat(サイチャット)は、株式会社サイシード(東京都新宿区)が提供しているAIチャットボットサービスです。キリンや読売新聞、横浜銀行をはじめ、多くの企業に利用されています。
高精度なAIと、テキスト入力途中でのサジェスト表示などの豊富な機能に特徴があり、導入時からその精度は95%以上。開発元によるサポートも充実しており、利用率向上に向けた施策やKPI管理をまとめて相談することが可能です。
hitobo
hitoboは、アディッシュ株式会社(東京都品川区)が開発・運営しているチャットボットです。シンプルな画面上でFAQのシナリオを入力するだけで、用途・目的に応じたオリジナルのチャットボットを実現できます。
また、問い合わせ履歴などをまとめたCSVファイルがあれば、そのままアップロードしてシナリオとして利用することも可能。「システムやITの知識に自信がない」という方でも安心して利用できるチャットボットサービスです。
AI Messenger Chatbot
AI Messenger Chatbotは、株式会社AI Shift(東京都渋谷区)が提供するAIチャットボットです。回答後のレポーティング、ユーザーからのフィードバック取得などの豊富な機能が搭載されており、設定によってはチャット画面に写真や動画を挿入することも可能。
質の高いカスタマーサポートを通じて顧客との信頼関係を構築していきたい企業や、チャットボットで得たデータをマーケティングに活用したい企業にはぴったりのツールでしょう。
オルビスやファンケルをはじめとする、有名企業の利用実績も豊富です。
Zendesk Answer Bot
Zendesk Answer Botは、米カリフォルニア州に本社を置くソフトウェア開発会社Zendeskが提供しているAIチャットボットです。
カスタマイズ性の高さに特徴があり、あらゆるプラットフォームに設置できます。ノンプラグラミングでシナリオを設定できるほか、多言語のコミュニケーションもカバーできる点は見逃せません。
国内ではディー・エヌ・エー、デンソー、クラシコムといった大手への導入実績も豊富です。
チャットボットの導入でお悩みならアイミツへ
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