人事制度改革が必要なタイミングは?見直しにおすすめのシステムも紹介
法改正や人事トレンドの変化に伴い、人事制度の改定は避けられない課題となっています。従来の制度では対応しきれない「等級・評価・報酬」の新たなニーズに合わせ、柔軟かつ公平な制度設計が求められています。
本記事では、人事制度改革が必要なタイミング、最新の人事トレンド、具体的な進め方を解説。人事制度の見直しにおすすめのシステムも紹介しています。人事制度を見直して従業員が定着する企業を目指したい方はぜひご覧ください。
- 人事制度改革が必要なタイミング
- 【2025年最新】人事トレンド予想
- 人事制度を見直す際のポイント
- 人事制度改定の進め方
- 人事制度改革の成功事例
- 人事制度の見直しにおすすめのシステム
- まとめ:システムの導入で人事制度改革を効率化しよう
人事制度改革が必要なタイミング
人事制度はいつ、どんなタイミングで改革すべきなのでしょうか。まずは、人事制度見直しが必要になる背景について解説します。
- 市場の成長やトレンドの変化
- 政策や法律の変化
- 離職率が高く人手不足に陥っている
市場の成長やトレンドの変化
市場の成長やトレンドの変化によって、従来の人事制度では対応しきれない新たな課題が生じます。たとえば、ITツールや生成AIツールを導入する際には業務フローが大きく変化するため、その技術を活用できる人材を評価する新たな制度が必要です。こうした評価制度の導入により、従業員のキャリアパスが明確になり成長意欲の向上が期待できます。さらに、企業にとっても競争力の強化につながり、新たな市場での持続的成長を支える要素となります。
政策や法律の変化
政策や法律の変化があったときも、人事制度改革が必要なタイミングです。たとえば、働き方改革関連法の施行にともない、時間外労働の上限規制が設けられ、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。 このような法改正があった場合、企業は報酬の見直しや労務管理体制の強化が求められます。最新の法改正を把握し人事制度を適切に更新しない場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
離職率が高く人手不足に陥っている
離職率の高さによる人手不足に陥っているときも、人事制度の見直しが必要なタイミングといえます。とくに、報酬や人事評価への不満が原因で退職が相次いだり、採用後すぐに離職して人が定着しない場合、制度改革が急務といえます。
多くの従業員は円満退社を望むため、本当の退職理由を会社に伝えないことが少なくありません。実際、エン・ジャパン株式会社の調査でも、表向きの退職理由と実際の理由には乖離があることが明らかになっています。こうした状況を踏まえ、人手不足に陥っている企業は人事制度の抜本的な見直しが求められます。
【2025年最新】人事トレンド予想
ここでは、2025年最新の人事トレンドを予想し、今後の制度設計にどのような視点が必要かを探ります。
IT・AIリテラシーの高い「DX人材」の育成
経済産業省のレポートによると、2025年にはレガシーシステムの老朽化が深刻化し(2025年の崖)、多くの企業でIT人材がその対応に追われることが指摘されています。その結果、一時的にIT人材が不足し、新たなシステム導入などのDX推進が停滞するリスクがあります。そのため2025年以降のDX推進は、レガシーシステムの刷新とともにITリテラシーの高いDX人材の確保・育成が不可欠といえるでしょう。
また、総務省が発表した令和6年版情報通信白書では、生成AIの急速な普及と進化が示されています。OpenAI社のChatGPTは、わずか2ヶ月で1億ユーザーを獲得するなど、驚異的な成長を遂げています。生成AIは情報を効率的に生成できる一方で、誤情報や偏見を含むリスクも伴うため、正確に評価・選別する力が求められます。AIを活用できる人材とそうでない人材の格差を解消することも、重要な課題となります。
このように、IT・AIリテラシーの高いDX人材の育成は、2025年以降の企業競争力を左右する重要な要素となるでしょう。
仕事と育児・介護を両立する柔軟な働き方の推進
2025年には「育児・介護休業法」「子ども・子育て支援法」といった子育て・介護関連の法律が一部改正されます。これを受け、仕事と育児・介護の両立が企業にとって喫緊の課題となっています。柔軟な勤務形態やリモートワーク、フレックスタイム制など、従業員がライフステージに合わせた働き方を選択できる制度の導入が急務です。
企業が取り組むべきポイントは、制度の整備、意識改革、デジタル環境の強化などがあげられます。これらを実施することで、従業員のワークライフバランスを尊重しながら、エンゲージメントの向上を図ることができます。企業にとっても 優秀な人材の確保・定着、労働生産性の向上、企業イメージの向上といったメリットが得られるでしょう。
人事制度を見直す際のポイント
ここでは、人事制度を見直す際のポイントを解説します。
- 企業文化との適合性を考慮する
- 透明性・公平性を確保する
- キャリアパスを明示する
- 従業員も納得する制度にする
- 法改正に対応できる制度にする
企業文化との適合性を考慮する
会社のミッションや価値観に合った人事制度は、従業員に受け入れられやすく、定着しやすくなります。たとえば、チームワークを大切にする会社なら、個人の成績だけでなくチームへの貢献も評価基準に入れると、一体感が生まれやすくなります。企業文化に適合した制度を作ることで、従業員のモチベーションが上がり、長く働いてもらいやすくなります。
透明性・公平性を確保する
評価や昇進の基準をはっきり決めて、従業員にわかりやすく説明することが大切です。たとえば、「リーダーシップを評価する」と言っても、どんな行動がリーダーシップとみなされるのかが曖昧では、従業員も納得しにくくなります。評価の基準を明確にすることで、従業員から「透明性・信頼性の高い人事制度だ」という評価を得られるでしょう。
キャリアパスを明示する
従業員が「この会社でどんなふうに成長できるか」をイメージできるように、キャリアパスを明確にすることが大切です。たとえば、「入社3年目でリーダーを目指せる」「管理職になるには特定の研修が必要」といった具体的なステップを示すことで、将来の目標を立てやすくなり、人材の定着にもつながります。
従業員も納得する制度にする
トップダウンで決めるだけでなく、従業員の意見を取り入れた制度にすることも重要です。たとえば、新しい評価制度を導入する前にアンケートを取ると、「成果を重視してほしい」「プロセスも評価してほしい」など、現場の声を反映しやすくなります。従業員が納得しやすい制度を作ることで、定着率や生産性の向上にもつながります。
法改正に対応できる制度にする
労働関連の法律は定期的に変わるため、人事制度もアップデートが必要です。たとえば、2020年に施行開始した「同一労働同一賃金」では、正社員と非正規社員の待遇差をなくすことが求められました。こうした法改正にすぐ対応できるよう、社労士と連携したり、定期的に制度を見直す仕組みを作ることが大切です。ITツールを導入する場合は、法改正に柔軟に対応できるものを選択する必要があるでしょう。最新の法律をチェックしながら柔軟に対応することで、企業のリスクを減らし、安定した運営ができます。
人事制度改定の進め方
企業が人事制度を改定する際は、現状分析を行い、課題の抽出、基本方針の策定、試験導入、全社員への周知といった段階的なアプローチが重要です。各プロセスでは関係者の意見を取り入れ、計画的に進めることで、より効果的な制度改革を実現できます。ここでは、人事制度改革の進め方を解説します。
- 現状の分析と課題の抽出
- 基本方針の策定と制度設計
- 制度の試験導入と移行プロセスの設計
- 従業員への周知と制度運用の開始
1.現状の分析と課題の抽出
既存の人事制度の運用状況を正確に把握するため、従業員アンケートや経営陣へのヒアリング、業界動向のリサーチを実施します。これにより、現行制度の具体的な課題を抽出し、改定計画の基盤を構築します。
とくに人事制度が長年更新されていない企業では、労働市場の一般水準と乖離が生じていることが少なくありません。そのため、企業の成長戦略と整合性を図りながら、外部の市場調査も併せて行います。その結果、「昇進基準の不透明さ」「競合他社と比較した給与水準の低さ」「属人的な評価制度」などの具体的な課題が明らかになり、制度改定の方向性を明確にすることが可能になります。
2.基本方針の策定と制度設計
企業の成長戦略と照らし合わせ、改定の基本方針を決定します。ここでは、等級制度、人事評価制度、報酬制度の3つが重要な要素となります。
主な制度 | 内容 |
---|---|
等級制度の設計 | 従業員の成長ステージを明確にし、各等級ごとに求められるスキルや業績を定めることで、キャリアパスが具体的に示される仕組みを構築します。 |
人事評価制度の設計 | 成果やプロセスを適正に評価する制度を作ります。納得感のある評価基準を構築し、従業員が自らの成長を実感できる仕組み作りが大切です。 |
報酬制度の設計 | 評価結果に基づき、給与や賞与に連動させた報酬制度を設計します。公平な処遇が実現され、従業員のモチベーション向上に寄与する仕組みを整えます。 |
3.制度の試験導入と移行プロセスの設計
新しい人事制度の導入にあたっては、まず一部の部門や特定のグループを対象に試験導入・運用します。このプロセスを通じて実際の運用上の課題を洗い出し、必要な修正を加えながら人事制度をブラッシュアップすることが重要です。さらに、既存制度から新制度への移行が円滑に進むよう、詳細な移行計画を策定し、全社展開に向けた段階的なプロセスを設計します。
たとえば、管理職の評価制度として「360度評価」を導入する場合、まず特定の部署で試験運用を行います。360度評価とは、上司・部下・同僚といった複数の視点から評価を受けるため、より公平で多角的な評価ができる評価制度です。全従業員に関わる制度であるため、試験運用を通じて多くのフィードバックを収集しやすく、評価基準の精度を高めることができます。このように試験導入を行うことで、従業員の納得感を高めながら、最適な制度設計を実現できます。
4.従業員への周知と制度運用の開始
改定した人事制度を全従業員に浸透させるため、説明会や研修を通じて周知を徹底します。さらに、制度運用開始後も定期的にフィードバックを収集し、運用状況をモニタリングするなど、必要に応じた改善を継続的に行うことが重要です。
たとえば、評価者との定期的な1on1ミーティングを実施することで、新人事制度に関するフィードバックを効果的に収集できます。
項目 | フィードバック例 |
---|---|
評価基準の明確性に関する意見 | ・評価項目の定義が曖昧で、評価者ごとに判断基準が異なる ・数値化できる項目と定性的な評価のバランスが不明確 |
運用面での課題 | ・評価に時間がかかりすぎて、業務に支障が出ている ・フィードバックシートが複雑で、スムーズに記入できない |
評価の公平性に関する懸念 | ・評価者の主観が強く反映され、公平性に欠けている ・成果を出しているのに正しく評価されていないと感じる社員がいる |
被評価者の反応と納得度 | ・評価結果を説明しても納得しない社員が多い ・成長につながるフィードバックが不足しており、モチベーション向上につながっていない |
報酬や昇進との連動に関する意見 | ・評価が給与や昇進にどのように影響するのかが不透明 ・短期的な成果のみが重視され、長期的な貢献が評価されにくい |
このようなフィードバックに対し、根気よくPDCAサイクルを回しながら人事制度をブラッシュアップしましょう。従業員の納得感が高まり組織全体のエンゲージメントやモチベーションの向上につながります。
人事制度改革の成功事例
ここでは、人事制度改革の成功事例を紹介します。他社の良い点を、自社の人事制度改革にも取り入れていきましょう。
- 事例①:人事制度の見直しで離職率を23%から15%に改善
- 事例②:適正な人事評価で女性の活躍を推進
- 事例③:人事評価制度の導入でDX人材育成を促進
事例①:人事制度の見直しで離職率を23%から15%に改善
食べるスープの専門店「スープストック」を展開する株式会社スマイルズでは、分社化に伴う組織文化の変化で社員のモチベーションが低下し、離職率が23%に上昇。長時間労働やコミュニケーション不足が問題を深刻化させる中、業務効率と従業員満足度の向上が求められていました。
この課題解決のため、同社は3ヶ年計画で人事制度を全面的に見直し。「生活価値拡充休暇」という新たな休暇や、退職者との関係を維持する「バーチャル社員制度」、社内SNS「Smash」を導入しました。さらに、明確な評価制度でスキルの可視化を図り、モチベーション向上を実現。その結果、離職率は23%から15%に改善し、アルバイト退職者数も35%減少しました。今後は、制度の運用改善や新たな課題への対応を通じて、従業員が働きやすい環境を整えていく予定です。
参照:日本経済新聞「スープストック、離職率3年計画で改善 人事制度見直し」
事例②:適正な人事評価で女性の活躍を推進
ある食品企業(従業員数1,612名(2023年8月時点))では、実力を正当に評価する仕組みを導入し、女性管理職の増加に成功しました。具体的にやったこととしては、管理職の職務を明確化し、目標共有の仕組みを整備しました。また、人事労務と連携し、休業・復帰時の情報提供や代替要員の手配を実施し、キャリアの継続を支援。さらに、オフィス改革や無意識の偏見に気づく研修を実施し、多様性を尊重する風土を醸成しました。
これらの取り組みにより、女性管理職比率は2割を超え、復帰後の昇進事例も生まれました。女性も挑戦しやすい環境を構築することに成功しました。「健康経営優良法人」に3年連続で認定されるなど、心理的安全性や社員の健康にも配慮した職場が評価されています。
事例③:人事評価制度の導入でDX人材育成を促進
ある製造業の企業では、ITリテラシーの低さやデジタル技術の理解が特定の人材に偏り、DX推進が課題となっていました。
これに対応するため、DX人材育成を軸とした人事評価制度や資格取得支援制度を導入。セキュリティやIT技術などの専門分野ごとに知識レベルを測定し、一定の水準に達した段階でITコーディネーターなどの資格取得を奨励しました。その結果、従業員のITリテラシーが向上し、「メタバースプロジェクト」などDXを加速させる取り組みへの参加希望者が増加しました。
同社では、DX推進が生産性向上だけでなく、自社の課題や目指すべきゴールの再認識につながると考えています。また、DX人材育成を通じて新たな人材を発掘し、DX人材がリーダーシップを発揮することで、組織力の大幅な向上を実感しているとのことです。
参考:経済産業省「DX Selection2024」
参考:佐賀県産業スマートセンター「事例紹介」
人事制度の見直しにおすすめのシステム
人事制度の見直しを成功させるためには、人事システムの導入がおすすめです。柔軟な働き方の推進、法改正へのスムーズな対応、人事評価や採用基準の見直しといったメリットがあります。以下では、人事制度の見直しにおすすめのシステムを紹介します。
- 給与計算システム
- 人事評価システム
- タレントマネジメントシステム
給与計算システム

給与計算システムとは、従業員の勤怠データをもとに給与や手当を自動的に計算するシステムです。一人一人の雇用形態に合った給与計算を行える上、社会保険料や税金、控除などの計算も自動で行える機能があり、一連の給与計算業務を効率化。給与明細や源泉徴収票の作成・送信にも対応しています。
さらに、最新の法改正に柔軟に対応できる設計となっているため、常に最新の規定に沿った給与計算が可能。経理担当者は安心して運用できます。
人事評価システム

人事評価システムは、従業員一人一人のパフォーマンスを正確に把握し、透明性のある評価基準を設定するためのシステムです。各種評価項目や目標管理、フィードバックの収集など、評価プロセス全体を効率化する機能が充実しており、従業員の成長を的確にサポート。公正な評価プロセスの確立により、組織全体のモチベーション向上と戦略的な人材育成が実現します。
タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムは、従業員のキャリアパス、スキル、経験などの情報を一元管理できるシステムです。個々の人材の能力を正確に把握することで、適材適所の配置を効率的に行うためのシステムです。データに基づいた戦略的な人材マネジメントで、長期的な組織発展をサポートします。
まとめ:システムの導入で人事制度改革を効率化しよう
市場の変化、法改正、従業員満足度向上を実現するためには、柔軟で公平な人事制度の設計が必要です。人事制度改革の効率化には、「給与計算システム」や「人事評価システム」、「タレントマネジメントシステム」など、様々なシステムがあります。適切なシステムを導入することで、社員の負担軽減や生産性向上にもつながります。本記事を参考に最適なシステムを選び、公平な制度設計を行いましょう。
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