施工管理システムとは?メリット・デメリットや選び方を解説
施工管理システム(工事管理システム)とは、現場管理や情報共有、経営レポート作成など、建設業の業務全般を効率化するためのITツールです。現場の写真や各種図面、報告書などを一元管理できるため、迅速な意思決定や作業精度の向上が期待できます。
2024年4月1日から建設業における時間外労働の上限規制が適用される中で、労働時間の短縮による業務負担の増加が課題となっています。このような背景から、施工管理システムの導入が注目されています。そこで本記事では、施工管理システムとは何か、選び方のポイントや導入メリット・デメリットを解説します。効率的な施工管理を目指す建設企業は、ぜひ参考にしてください。
なお、2024年最新のおすすめ施工管理システムは以下の記事で紹介しています。機能や料金を詳しく解説しているので、興味のある方はこちらもぜひご覧ください。
施工管理システムとは
施工管理システム(工事管理システム)とは、現場管理や情報共有、経営レポート作成など、建設業の業務全般を効率化するITツールです。施工現場の写真や各種図面、現地調査の報告書など、業務に関わる情報をシステム上で一元管理可能。パソコンやスマホで常に「現場を持ち運ぶ」ことで、迅速な意思決定や作業精度の向上が期待できます。
2024年4月1日から、建設業における時間外労働の上限規制が適用され、月間の時間外労働は最大で45時間まで、年間では360時間までとされています。今までよりも労働できる時間が短くなったことで、現場では新たな課題が生じています。jinjer株式会社が2024年5月に実施した調査によると、法改正への対応を進めている企業は35.3%。対応を進める上での課題は「勤務時間は減少したものの、人手不足が解消されていないので、一人あたりの負担が増えている」とのこと。
出典:jinjer株式会社「時間外労働の上限規制開始から1か月、建設業界の実態調査」
一人あたりの業務負担を軽減するためには、従来の業務プロセスを改善するための「DX化」は喫緊の課題と言えるでしょう。そこで注目を集めているのが施工管理システムです。
施工管理システムのタイプ
施工管理システムには、以下の2つのタイプがあります。
タイプ | 内容 | 目的 | 主な利用者 |
---|---|---|---|
経営管理タイプ | 案件管理 顧客管理 見積作成 予実分析 |
顧客管理の効率化 経営を円滑に回す |
経営層 営業 |
現場特化タイプ | 案件管理 職人管理 現場写真の共有 現場のマップ表示 チャット |
現場作業を円滑に進める | 現場監督 職人 施主(発注者) |
「経営管理タイプ」は、案件管理から見積もり作成、受注後の原価管理など、全般的に管理できるタイプです。営業担当者が入力した顧客情報はリアルタイムで更新されるため、管理者や経営層は迅速な経営判断ができます。
一方で「現場特化タイプ」は、現場作業の効率化に特化したタイプです。最新図面の共有やチャット機能による気軽なコミュニケーションで、現場作業を円滑に進めます。主な利用対象者は現場監督や職人、施主(発注者)です。
施工管理システムの機能一覧
施工管理システムの主な機能を一覧にまとめました。
施工管理システムの主な機能 | 内容 |
---|---|
案件管理 | 工程表、写真、施工図面、仕様書など案件ごとに一元管理できる |
受発注管理 | 元請、協力業者間の状況をダッシュボードで一覧表示できる |
予実分析 | 現場ごとの個別の受発注を集約。数値目標達成に向けた予実管理ができる |
クレーム管理 | 対応期限を設定し、クレーム対応完了までのフローを現場監督が管理できる |
チャット | LINEに似た画面上でチャットができる。図面や報告書を共有することも可能 |
スケジュール管理 | 依頼した職人のカレンダーにリアルタイムに反映。複数現場の予定も一元管理できる |
駐車場の地図表示 | Googleマップ上で現場近くの駐車場の位置を表示可能。不本意な駐車料金の請求を防ぐ |
入退室管理 | 現場作業員の出退勤を管理できる。GPS打刻で不正打刻を防止できる |
施工管理システムの数は多く、各サービスごとに搭載されている機能は異なります。施工管理システムの導入目的を明確にした上で、社内のニーズに対応した機能があるか事前に確認しておきましょう。
施工管理システムを導入するメリット
施工管理システムを導入するメリットは以下の通りです。
- データの一元管理で、迅速な意思決定ができる
- 書類の電子化で、必要な情報にすぐにアクセスできる
- GPS打刻で、法律に準じた勤怠管理ができる
データの一元管理で、迅速な意思決定ができる
施工管理システムでは、、現場の状況をリアルタイムで把握できます。例えば、作業の進捗、資材の使用、労働者の配置などを一括管理することで、迅速かつ正確な意思決定が可能です。
また、施工管理システムで一元管理しているデータに基づいた経営判断ができるため、予算計画の調整や現場ごとの在庫の最適化が簡単になります。プロジェクト全体の効率が向上し、コスト削減や納期短縮が実現するでしょう。
書類の電子化で、必要な情報にすぐにアクセスできる
従来の施工管理では、多くの仕様書や図面、契約書などを紙で管理するため、大量の書類とそれに伴う管理コストが発生していました。しかし、施工管理システムを導入することで、これらの書類をデジタル化し、ペーパーレス化を進めることができます。デジタルデータは検索や共有が容易で、必要な情報に迅速にアクセスできるため、業務効率が大幅に向上します。また、書類の紛失や劣化のリスクが減り、情報の保全性も向上します。
さらに、施工管理システムには電子帳簿保存法の要件を満たした「JIIMA認証」を取得したものもあります。これにより、電子化された書類に「タイムスタンプ」や「電子署名」を施すことで、データの改ざん防止が可能となります。各種帳票を適切に電子保存することで、社内のガバナンス強化にも貢献できるでしょう。
GPS打刻で、法律に準じた勤怠管理ができる
建設業界では、2024年4月から時間外労働の上限規制が施行され、労働時間の厳密な管理が必要とされています。施工管理システムには打刻機能も搭載されており、労働基準法に準じた勤怠管理が可能です。スマホのGPS機能をONにすれば、現場作業員の不正打刻も防ぐことができます。これにより、法令違反のリスクを低減し、労働者の健康と安全を守ることができます。
なお、以下の記事では2024年最新の勤怠管理システムを紹介しています。導入メリットや選び方についても詳しく解説しているので、興味のある方はこちらもぜひご覧ください。
施工管理システムのデメリット
施工管理システムには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。特に、エクセルや紙ベースでの管理に慣れている事業者にとっては、運用方法の大幅な変更が必要となります。紙の図面を使用していた職人にとって、図面の電子化は大きなストレスとなる可能性があります。また、施工管理システムはガラケーでは利用できないため、ガラケーを使用している方にはスマホ操作の習得が求められます。そのため、システム導入には予想以上の手間がかかることがあるでしょう。
一方で、施工管理システムを提供する多くの会社は豊富な導入実績を持ち、現場での運用サポート体制も充実しています。ガラケーを使用している職人がいる現場での導入実績がある提供会社もあり、そうした事例は信頼性の高いサポートが提供されている証拠です。充実したサポート体制がある施工管理システムを選ぶことで、スムーズな導入が可能となります。
施工管理システムの選び方
ここでは、施工管理システムの選び方を解説します。施工管理システムを選ぶ際には、以下のポイントを基準に比較することが重要です。
- クラウドかオンプレか
- 予算に合った料金か
- 無料(フリープラン)で試せるか
- IT導入補助金を利用できるか
クラウド型かオンプレ型か
クラウド型かオンプレ型か、施工管理システムの導入形態も重要な比較ポイントです。
導入形態 | 支払い方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
クラウド型 | サブスク | ・初期費用無料のものが多く導入しやすい ・システムメンテナンスを提供会社に一任できる |
月額料金がかかる |
オンプレ型 | 買い切り | ・長期的な運用コストが安い ・自社サーバーの安定した環境で利用可能 |
初期費用が高額 |
クラウド型システムはインターネット経由でアクセスでき、初期費用がかからない場合も多く、メンテナンスは提供会社が行うため手間がかからないというメリットがあります。
一方、オンプレ型システムは自社サーバーに設置されるため、セキュリティ面での安心感がありますが、初期投資が高額になるデメリットがあります。クラウド型かオンプレ型のどちらが適しているかは、自社のニーズを十分に整理してから判断することが重要です。
予算に合った料金か
施工管理システムの利用にかかるコストは、初期費用と月額料金に分かれます。多くのシステムでは、月額料金よりも年払い契約を選択する方がコストを抑えられる場合があります。導入前に各サービス提供会社の料金体系をしっかりと確認し、自社の予算に最適なプランを選ぶことが大切です。
無料(フリープラン)で試せるか
施工管理システムには、無料トライアルやフリープランが提供されているものがあります。無料トライアルでは、2週間から2ヶ月間の試用期間が設けられており、画面の見やすさや操作性を実際に確認できます。
一方、フリープランは登録後もずっと無料で利用できるのが特徴で、初期費用や月額料金をかけずに施工管理を効率化することが可能です。一方でフリープランの中には、システム内に広告が表示されることで無料提供が実現しているものもあります。そのため、広告表示が気になる場合があるかもしれません。フリープランを利用する際は、この点を考慮することが重要です。
IT導入補助金を利用できるか
施工管理システムの中には、IT導入補助金を利用できるものもあります。IT導入補助金は、小規模事業者や中小企業のデジタル化を支援するための制度で、これを活用することで施工管理システム導入にかかる費用を削減できます。対象となる事業者の条件や利用可能なシステムについては、事前に詳細を確認しておくことが重要です。
まとめ:施工管理ソフトのランキングページはこちら
施工管理ソフトは、建設業務の効率化と負担軽減に大きく貢献します。一方、施工管理ソフトの導入、運用には手間がかかるため、導入経験豊富で充実したサポート体制のある施工管理ソフトを選ぶことをおすすめします。
以下の「施工管理ソフトのランキング」ページでは、さまざまな条件で施工管理ソフトを比較できます。導入実績のある業界・企業規模・使いたい機能などで絞り込み、あなたの会社に最適なソフトを探してみてください。
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