工事台帳とは?作成する目的やエクセルで作る方法までまとめて解説【2024年最新版】
建設業では適切な工事台帳の作成・管理が求められますが、一般会計とは異なる知識が必要なことから「どうすればいいのかわからない」とお困りの方も多いでしょう。
そこで本記事では、営業・バックオフィス・情報システムなど幅広い分野の法人向けSaaSサービスを比較検討できる「PRONIアイミツ」が、工事台帳の概要や目的、作成方法のほか、エクセルで作成する際のポイントも解説します。工事台帳の作成でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
- 工事台帳とは
- 工事台帳を作成する目的
- 工事台帳の記載項目
- 工事台帳をエクセルで作成する方法
- 工事台帳をエクセルで作成するメリット・デメリット
- 工事台帳はシステムで作成・管理するのがおすすめ
- 工事台帳の作成におすすめのシステム
- まとめ
工事台帳とは
工事台帳とは、工事別の取引に関する内容を記載して原価を集計する台帳のことです。工事に必要な材料費や人件費、外注費用などがすべて記載されるので工事ごとにかかった費用の詳細や進捗を把握できます。「工事管理台帳」「工事原価管理庁」「工事原価台帳」などと呼ばれるケースもありますが、基本的に意味や内容は変わりません。
工事台帳は建設業が必ず作成する帳簿の1つで、決算書類の作成や税務調査の際にも工事台帳が用いられるのが一般的です。しかし、工事台帳の作成には「建設業会計」が用いられるので、正確に記載するためには学びを深める必要があります。
工事台帳を作成する目的
工事台帳を作成する目的は「収支・利益率の把握」や「完成工事原価の算出」「税務調査への備え」など多岐にわたります。ここからは、それぞれの目的について解説します。
収支や利益率を把握するため
工事を受注した際には、発生した経費や支払いに関する情報を記録して利益を算出する必要があります。工事台帳を作成すれば、工事ごとにかかった費用をすべて把握できるので、必要な時に収支や利益質の算出が可能です。同様の工事を受注することになったときにも、過去に作成した工事台帳があれば適切な受注額の設定に役立つでしょう。
未成工事支出金を算出するため
工事台帳は、未成工事支出金の算出にも活用されます。未成工事支出金とは、まだ完成していない工事で発生した支出・費用のことで「材料費」「労務費」「経費」「外注費」の4項目に分けて記載します。大規模な工事は1年以上の工期を要するため、「建設業会計」と呼ばれる手法を用いるのが一般的です。
しかし、未成工事支出金は建設業会計の項目で、工事が未完成の状態では売り上げとして計上できません。時期へ繰り越す場合は賃借対照表で資産として計上することになります。このように、工事台帳には決算に必要な項目の算出に必要な情報が含まれるため、建設業における作成は必要不可欠と言えます。
完成工事原価を算出するため
完成工事原価の算出にも、工事台帳が用いられます。完成工事原価も建設業会計の科目で、完成済みの工事の収益・売上高を示す「完成工事高」として計上した向上原価を指すものです。
未成工事支出金と同様に「材料費」「労務費」「経費」「外注費」で構成されており、これらをまとめることで原価予想が可能になります。工事台帳に記載する情報は原価や利益の算出にも活用されるので、正確さが非常に重要です。
経営事項審査で提出を求められるため
経営事項審査とは公共工事を請け負う会社を対象とした資格審査のことで、これを受ける際にも工事台帳の提出を求められる場合があります。工事台帳をもとに「経営状況」「経営規模」「技術力」「その他の審査項目(社会性等)」の4項目で審査が行われ、結果は数値で評価されます。工事台帳に不適切な記載があると審査を落とされる原因になることもあるので、慎重に作成しなければなりません。
税務調査への備え
税務調査の対象となった場合も、工事台帳があれば調査官に好印象を与えられるとされています。もちろんそれだけではなく、調査官からの質問にも工事台帳の内容にもとづいた回答が可能です。回答があいまいな場合、情報が不明瞭な場合にはさらに調査を受けることもありますが、工事台帳には工事に関する費用の情報がまとまっているので、短時間で調査を終えるのにも役立ちます。
工事台帳は税務調査への対応を目的としたものではないものの、もしもの時に備えておくと安心でしょう。
工事台帳の記載項目
工事台帳に記載する項目は「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4種類です。ここでは、それぞれの項目について解説します。
材料費
材料費は工事のために仕入れた材料の費用で、仕入れた際の費用を記載して合計費用を算出します。工事台帳では木材やコンクリート、鉄といった材料の原価だけでなく、配送費や取引にかかった費用なども材料として記載するのが一般的です。
しかし、建設業会計では一般会計と異なるルールで計算される場合もあるので注意するようにしましょう。
労務費
労務費は、工事に関係する従業員の給与を指すものです。対象となるのは建設現場で実際に作業する従業員の給与であり、オフィスに勤務する事務スタッフの給与は労務費にはならないので注意しましょう。
また、「自社の従業員の費用」のみが対象となるので、雇用関係にない職人や作業員の給与は労務費には含まれません。このようにいくつかの注意点があるので、事前に確認した上で記載しましょう。
外注費
外注費は外注業者や下請け業者、協力会社の従業員などへ支払う費用のことです。労務費に計上できない他社の従業員へ支払う費用は外注費として計上します。
しかし中には労務費に「労務外注費」という項目を含めることもあるので注意が必要です。この場合は労務外注費と外注費の区別が複雑になるため、こちらの必ず事前に確認しましょう。
経費
工事で発生する費用の中で、材料費と労務費、外注費に当てはまらないものは経費として計上します。経費に該当するのは、工事にかかった光熱費や保険料、警備費用、交通費などです。材料費と労務費、外注費を正しく理解していれば、そのほかの費用は経費として計上すればいいので覚えやすいでしょう。
たとえば、工事で使用する重機をレンタルした場合はいずれにも該当しないので、経費として計上することになります。
工事台帳をエクセルで作成する方法
工事台帳はエクセルで作成することができます。ここからは、エクセルでの作成手順を解説していきます。
必要項目の記入
まずはエクセルのシートの縦軸に「日付け」「工事名」「仕入れ先」「金額」といった必要項目を記入します。より詳細な工事台帳にしたい場合は、項目を追加もしくは細分化しましょう。
工事に関する費用が発生した際には、それぞれの項目に日付けや数値、仕入れ先などを記入します。何度も利用する仕入れ先があるなら、プルダウン機能を活用して入力の効率化を図るのがおすすめです。エクセルの機能を有効活用しながら、使い勝手に優れた工事台帳を作り上げていきます。
関数による計算
費用に関する情報を記入したら、次は関数を用いて計算を進めます。「どの項目を合算するのか」「どの数値を求めるのか」を明確にした上で、目的に合った関数を活用しましょう。工事ごとに別個のシートを作ると見やすい工事台帳を作成できますが、その場合は全体の原価を計算しにくくなるというデメリットも。その場合は全体管理用のシートを別に作成し、そこへ各工事シートの合計原価が反映されるようにするのがおすすめです。
工事台帳をエクセルで作成するメリット・デメリット
工事台帳はエクセルでも作成できますが、メリットだけでなくデメリットが存在するのも事実です。デメリットも事前に把握した上で、エクセルを活用するか否かを検討してもいいかもしれません。
メリット
エクセルを使って工事台帳を作成するメリットは以下のとおりです。
・導入コストが低い
・使い慣れている人が多い
・工事台帳をデータとして管理できる
・マクロや関数で自社向けの工事台帳を作れる
・テンプレートを利用できる
多くの人が使い慣れているエクセルは、抵抗感なく導入できるのが大きな魅力です。マクロや関数を活用すれば、自社にぴったりの工事台帳を作成できます。コストを抑えて工事台帳を作成したいのであれば、エクセルの活用が適しているでしょう。
デメリット
工事台帳をエクセルで作成するデメリットは以下のとおりです。
・属人化しやすい
・データ更新のミスが発生しやすい
・情報共有にタイムラグが生じることがある
・マクロや関数などの知識が必要
マクロや関数を取り入れると質の高い工事台帳を作成できます。一方で、それらの機能に関する知識がない場合は、工事台帳を適切に作成するのは困難です。
計算式も自身で記入しなければならないので、誤った数式を使用した場合は数値にも誤りが生じてしまいます。エクセルでの工事台帳作成を検討する際は、これらの要素も考慮しておくべきでしょう。
工事台帳はシステムで作成・管理するのがおすすめ
工事代表を正確かつ効率的に作成・管理したいのなら、施工管理システム・アプリの導入がおすすめです。稼働管理や工程表の作成・共有、写真・図面管理などさまざまな機能を実装しており、データを適切に作成・管理できます。
パソコンはもちろんスマートフォン、タブレットからの操作も可能なので、場所を問わず情報を記入できるのも大きな特徴です。工事台帳の作成だけでなく、建設現場における業務や会計全般の改善を図りたいという場合にもうってつけでしょう。
工事台帳の作成におすすめのシステム
ひとことに施工管理システム・アプリといってもその種類はさまざまです。つづいては、工事台帳の作成におすすめのシステムを紹介します。
「建て役者」は、システムサポートが提供する施行管理システムです。「建築業界の経営を見える化」することに重きを置いているのが特徴で、工程や原価、発注、実行予算など施工管理に役立つさまざまな機能を標準で備えています。くわえて、これまでに約700社に導入されるなど実績も豊富です。さらに、「独自指標を用いた工程表を出力したい」「自動で点検予定を作りたい」などの課題解決に向けたカスタマイズに対応する姿勢も魅力でしょう。
Sitrom-CC
「Sitrom-CC」は、フォロスの提供するクラウド型の施工管理システムです。現場で記入された原価や支払いといった情報がすぐにシステムへ反映されるので、最新情報を手軽に一元管理できます。ほかにも工事登録や実行予算・作業出来高、工事進捗、資材管理など建設現場で便利な機能を豊富に備えています。クラウド型でありながら、顧客ごとの業務内容や現場に合わせた追加・変更が可能なのも特徴と言えます。
まとめ
本記事では、建設業に欠かせない工事台帳の概要や目的、記載項目などについて解説するとともに、エクセルでの作成方法やおすすめの施工管理システム・アプリを紹介してきました。工事台帳はさまざまな場面で提出が求められるので、正確に作成しなければなりません。工事台帳作成が負担になっている場合は、施工管理システム・アプリを導入して効率化を図るとよいでしょう。
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