給料明細は保管する必要がある?期間も解説【2024年最新版】
給料明細書は、給与支払いに関する重要な情報が記載された明細書。会社側に保管義務があるのか、また保管期間や保管方法について知っておきたいという方もいるのではないでしょうか。
そこで当記事では、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「PRONIアイミツ」が、給与関連書類の保管義務・保管方法・保管期間・システム化のメリットについて解説。給与関連書類の適切で効率的な管理方法について知りたい方は、ぜひご参考ください。
- 会社側が給料明細を保管する必要はない
- 給料明細を保管する方法
- 要注意!給料関連書類は保管義務あり
- 保管期間が5年の書類
- 保管期間が7年の書類
- 法定三帳簿の作成・管理を怠るとどうなる?
- 給与関連書類の作成はシステム化が安心
- まとめ
会社側が給料明細を保管する必要はない
給料明細は、従業員へ支払う賃金の詳細が記載された重要な書類であり、所得税法により発行が義務付けられています。発行に関するルールが数多く定められており、また重要度の高い書類であるため、保管義務もあるのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。
実は、給料明細には保管についての義務は定められていません。発行さえきちんと行っておけば、保管を行わなかったとしても即座に廃棄したとしても違反にはなりません。
義務はなくとも保管しておくべき理由
給料明細は、法律による保管義務が定められていなくても、適切な方法で保管しておくことが望ましいとされています。その理由は以下の通り。
・従業員から再発行を求められる場合があるため
従業員から給料明細の再発行を求められるケースは比較的多くある。その依頼に対応できるようにするためにも、保管しておくことが望ましい。
・賃金支払いの証明となるため
給料明細は、従業員に支払った賃金を証明する書類。過去の明細も保管しておくことで、従業員との間に齟齬があった場合にも証拠書類として利用できる。
給料明細の再発行義務はある?
給料明細は、以下のような理由により、従業員から再発行を求められることがあります。
・給料明細を紛失した
・収入証明書類として必要となった
・確定申告などの手続に利用したい
会社は規定の日時に給料明細を発行しておけば、再発行を行う義務はありません。しかし、会社の信頼と従業員満足度を考慮すれば、手間はかかりますが再発行に応じるのがベターであると言えます。再発行に応じる際には、給料明細を自身で管理することの重要性や再発行には原則対応していないことを伝え、安易に再発行をさせないように教育を施すことが重要となります。
従業員に保管義務はある?
給料明細は、従業員側に関しても保管義務はありませんが、以下の理由から保管しておいた方が良いとされています。
・雇用保険申請時に必要
離職票に記載されている給与総支給額と給料明細を照らし合わせることで、社会保険控除前後の金額の一致を確認できる。
・確定申告時に必要
副業を行っているなど自身で確定申告を行う際に、給与欄を記載するために必要。
・厚生年金の確認
厚生年金の加入漏れなどのミスが無いか、社会保険控除されているかを確認できる。
・収入の証明に活用
ローンを組む際など収入の証明書が必要となるときに利用できる。
確定申告を行う際には5年分の給料明細が必要となるため、5年を目安に保管しておくと良いでしょう。
給料明細を保管する方法
給料明細を保管した方が良いことは理解できたけれども、適切な保管方法について分からない方もいるのではないでしょうか。ここでは、推奨される給料明細の保管方法について解説します。
ファイルやバインダーなどで管理
従来行われてきた給料明細の保管方法が、従業員に配布を行った給料明細書の控えをファイル・バインダーに綴じて保管するという方法です。紙の給料明細書を運用している企業では、一般的に行われている保管方法となります。
ファイル・バインダーで給料明細書の保管を行う場合は、必要な際に参照しやすいように、月別・個人別で分類を行っておくことがポイント。用紙の劣化を防ぐため、日光や湿気を避けて暗所へ保管することもポイントとなります。
また、給料明細書は社内の機密情報・従業員の個人情報が記載された書面であるため、紛失や情報漏洩を防ぐために鍵付きロッカーへ保管しておくことや、管理ルールや管理者の設定を行っておくことも重要となります。
電子データとして管理
よりスマートに給料明細を保管したい場合には、電子データとして保管するのがおすすめです。データとして保管しておけば、給料明細書を参照する必要があれば検索ですぐに探し出すことができ、データを保管する場所も必要なくなるため、管理効率や利便性を飛躍的に向上させることが可能です。電子データには情報漏洩やサイバー攻撃の脅威といったリスクが伴うため、アクセス権・管理権限の設定やセキュリティ対策は万全に行っておく必要があります。
電子データとして保管するには給料明細書の電子化を行っておく必要があり、これには従業員の同意を得ることが必須となります。
要注意!給料関連書類は保管義務あり
給料明細は、従業員側・会社側ともに保管しておくことが望ましいけれども、保管義務は無いことをご説明しました。ただし、そのほかの給与関連書類に関しては、書類の種類にもよりますが5年もしくは7年の保管が義務付けられている書類も多くあるため注意しておく必要があります。
以降の記事にて、保管が義務付けられている各種書類について解説していきますので、書類管理の適正化を考えている方は、どのような書類をどの程度の期間保管しておけばよいのかを確認しておきましょう。
保管期間が5年の書類
ここでは、義務付けられた保管期間が5年の書類について解説します。これらの書類は、以前は3年の保管期間が定められていましたが、民法改正により一般債権の消滅時効が5年に延長されたことで、保管期間が5年に変更された書類となります。ただし、当面の間は経過措置として3年の保管でも良いとされています。
以下に解説していますので、どのような書類が該当するのかを確認しておきましょう。
労働者名簿
労働者名簿とは、雇い入れした従業員に関する以下のような情報を記載した帳簿です。
・氏名
・性別
・生年月日
・履歴
・従事する業務
・雇入の日付
・退職の日付と事由
・脂肪の日付と原因
会社の規模や雇用した人数に関わらず作成が義務付けられている法定帳簿のひとつで、労働基準法にて5年間の保管が義務付けられています。
賃金台帳
賃金台帳とは、従業員の賃金に関する以下のような情報を記載した帳簿です。
・氏名
・性別
・労働日数
・労働時間数
・賃金計算期間
・基本給・手当・その他賃金ごとの支給金額
・時間外労働時間数
・休日労働時間数
・深夜労働時間数
・法令・労使協定に基づいて行われた控除額
こちらも法定帳簿の1つとなっており、労働基準法にて5年間の保管義務が定められています。
労働関係の関連書類
労働関係の関連書類とは、労働者の管理に必要となる以下のような書類のことです。
・出勤簿
・タイムカード
・労使協定書
・退職関係書類
・休職関係書類
・出向関係書類
・各種許認可書
従業員の勤怠を記録した出勤簿は、法定帳簿の1つとなります。これらの労働関係の書類も、労働基準法ひて5年間の保管義務が定められています。
雇い入れや解雇に関連した書類
雇い入れ・解雇に関する書類とは、従業員を雇用・解雇する際に必要となる以下のような書類のことです。
■雇い入れに関する書類
・雇入決定関係書類
・契約書
・労働条件通知書
・履歴書
・身元引受書
■解雇に関する書類
・解雇決定関係書類
・解雇予告除外認定関係書類
・予告手当または退職手当の領収書
これらの書類も、5年間の保管義務があります。
災害補償に関連した書類
災害補償に関する書類とは、労働災害保険の申請に用いられる以下のような書類のことです。
・各種給付請求書
・治療費請求時の領収書
・休業補償請求時の賃金台帳
・出勤簿の写しなど・障害補償給付時の後遺障害診断書など
・遺族補償給付時の死亡診断書・戸籍謄本など
これらの書類に関しても、労働基準法にて5年間の保管義務が生じます。
賃金関連書類
賃金決定関係書類や昇給・減給関係書類などの賃金に関する内容が記載された書類についても、労働基準法により5年間の保管が義務付けられています。保管義務が生じるのは賃金台帳だけではない点に注意しておきましょう。社内に存在する賃金関連の書類は1ヵ所にまとめて保管しておくのがおすすめです。
保管期間が7年の書類
続いて、義務付けられた保管期間が7年の書類について解説します。どのような書類が該当するのかを確認しておきましょう。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、年末調整の際に所得税の扶養控除等を受けるために、従業員が提出を行う書類のことです。給与収入がある従業員は、正社員だけでなくパート・アルバイトも含めて提出が必須の書類となっており、会社側は期日までに回収を行い税務署へ申告を行う必要があります。同申告書は、国税通則法により7年間の保管が義務付けられています。
給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書は、保険料控除や配偶者控除を受けるために、年末調整の際に従業員が提出する必要がある書類です。年間の源泉徴収された所得税額と実際に受け取った所得との過不足を算出することで、所得税を払いすぎている従業員に対しては還付を行い、不足している場合は追加徴収を行います。こちらの書類も、7年間の保管が義務付けられています。
源泉徴収簿
源泉徴収簿とは、給与・賞与・社会保険料控除額等を記入して、正確な所得税の算出と源泉徴収を行うための帳簿のことです。厳密には法的な記録義務はありませんが、所得税の算出と源泉徴収は企業が確実な納税を行うために必須の業務であるため、実質的に必須の帳簿となります。源泉徴収簿を作成する場合は、7年間の保管義務が生じます。
法定三帳簿の作成・管理を怠るとどうなる?
法定三帳簿は、労働基準法で作成・保管が義務付けられている特に重要度の高い書類。違反した場合には、以下のような相応のペナルティが課される場合があります。
是正勧告書の交付あるいは罰金
法定三帳簿は、すべての企業に対して作成・管理・保管が労働基準法で義務付けられている帳簿であるため、これらを怠った場合には30万円以下の罰金が科されることが労働基準法第120条により定められています。作成・管理・保管を行っていたとしても、労働基準監督署に求められた提出を拒否したり虚偽の記載をしたりした場合にも、処罰の対象となる可能性があります。
実際には、よほど悪質でない限り即座に罰金が科されるケースは稀であり、労働基準監督署から是正勧告書が交付され、自主的な是正を求められるのが一般的です。
帳簿の起算日に要注意
法定三帳簿は上述の通り、5年間の保存期間が定められていますが、保存期間の起算日に関しても規定により定められているため注意が必要です。
各帳簿の保存期間起算日は以下の通りです。
・労働者名簿
労働者の退職・解雇・死亡の日が起算日
・賃金台帳
最後に記入した日
・出勤簿
最後の出勤日
帳簿の種類により起算日が全く異なるため、保存期間を誤らないように正確に把握しておく必要があります。
法定三帳簿をチェックされるときはある?
法定三帳簿は、以下のようなシーンでチェックされる可能性があります。
■賃金台帳
・労働基準監督署による指導が入ったとき
・労働基準監督署の是正勧告に対応するとき
・助成金・雇用保険の手続きを行うとき
■労働者名簿・出勤簿
・労使間トラブルが生じたとき
基本的にトラブルやイレギュラーが発生した際にしかチェックは行われませんが、いつどのようなシーンでチェックが入るかは分からないため、普段から管理・保管は厳密に行っておくことが重要です。
給与関連書類の作成はシステム化が安心
これまで解説したように、給与関連の書類は種類も多く、作成・管理・保管についてもルールが決められているため、業務は煩雑で負荷も大きなものとなります。そこでおすすめとなるのが、給与計算システムを導入して業務効率化と適正化を図るという方法です。
主な導入メリットは以下の通り。
・煩雑な給与処理・賞与処理・社会保険処理・年末処理などを効率化
・法改正へのスムーズな適応が可能
・給料明細・各種届出を簡単に作成・印刷することが可能
・Web給料明細機能が搭載されていれば、給料明細の電子化が可能
・従業員数・事業規模の拡大にもスムーズに対応可能
システムを導入して給料明細関連業務をデジタル化することで、各種書類も正確かつスムーズに作成・管理・保管することが可能となります。
まとめ
給料明細の保管義務の有無・保管方法、保管義務のある給与関連書類について解説してきました。保管しておくことが望ましい給料明細だけでなく、企業には適正な管理・保管が義務付けられた書類が数多くあります。提出の必要に迫られたりチェックが行われたりしても困らないように、各種書類は厳密に管理・保管しておくことが重要です。
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