業務委託先への源泉徴収票は発行義務がある?【2024年最新版】
個人事業主と協力し、業務委託を行いながら活動する会社が増えてきています。このとき、個人事業主と契約しているけど、源泉徴収への対応や源泉徴収票の発行の必要性について、よく分からずに困っている担当者も多いはずです。
そこでこの記事では、営業・バックオフィス・情報システムなど、さまざまな分野の法人向けSaaSサービスを比較検討できる「PRONIアイミツ」が、業務委託時の源泉徴収の基礎知識を詳しくご紹介!定められている義務や、支払調書との違いについても解説していきます。
まずは業務委託についておさらいしよう
まずは、業務委託の基礎知識として「業務委託」「請負契約」「委任・準委任契約」の3項目についてご紹介します。個人事業主と仕事を行う際に重要となるポイントです。今後、業務委託を契約する参考にしてみてください。
業務委託とは
業務委託とは、会社で実施している業務の一部を外部の業者・個人事業主にお願いすることです。主に次のような流れで業務委託が進行していきます。
・業務委託先の選定
・業務委託契約(請負契約・委任契約)の締結
・業務の遂行
・業務成果の受領
・請求書の受領・支払い
業務委託は、会社と対等な立場で仕事を実施するのが特徴です。会社に勤める正社員・アルバイトといった労働者とは異なり、会社の指揮命令(勤怠や手順の指示出し)を受けません。業務委託を行ったからといって、部下のように扱えるわけではなく、あくまで対等な立場で協力して仕事をお願いするものだと理解しておきましょう。
請負契約とは
請負契約とは、業務委託前に締結する契約のことです。主に仕事を完成させることを目的として契約。例えば、次のような業務委託内容が、請負契約に該当します。
・会社HPの作成
・HPに掲載する記事制作
・運送業務
請負契約は、仕事を完成させることが目的であることから、もし未完成で終わってしまえば報酬を受け取れません。また、成果に不備やミスが発覚すれば、減額・修繕に対応する場合もあります。
請負契約は前述した業務委託契約のとおり、会社の指揮命令を受けません。納期を基準とし、個人事業主の裁量により、業務が進行されると理解しておきましょう。
委任・準委任契約とは
委任・準委任契約とは、請負契約と同様に、業務委託前に締結する契約のことです。主に仕事遂行を目的として契約。例えば、次のような業務委託内容が、委任・準委任契約に該当します。
【委任契約】
・弁護士への相談
・税理士への顧問相談
【準委任契約】
・コンサルティングサービスを受ける
・商品宣伝業務
委任契約と準委任契約の違いは「法律が関係する業務か」ということです。上記のとおり、責任の重要度によって契約内容が変化。契約書を準備する際には、どちらの項目に該当するか事前に確認を行っておきましょう。
源泉徴収とは
続いて、源泉徴収について知識を深めていきましょう。まず源泉徴収とは、給料や報酬の支払いを行う事業者が、支払額から所得税などの金額を差し引き、従業員や個人事業主の代わりに納税することです。このとき、従業員の場合は年末調整として差し引きますが、個人事業主の場合は、請求書に記載された源泉徴収額を元に確定申告で対応します。
2024年現在では、個人事業主の報酬に対して「10.21%」を所得税として源泉徴収するのが一般的です。また、源泉徴収票の概要や、対象となる報酬内容、源泉徴収の義務を続けてご紹介します。法律が関わるポイントなので、内容を確認した上で源泉徴収の処理を検討してみてください。
源泉徴収票とは
源泉徴収票とは、事業者が従業員の1年間の収入や控除額、源泉徴収額を記載する書類のことです。例えば、次のような項目を細かく整理します。
・給与
・賞与
・手当
・所得税額
・控除額
・保険料
源泉徴収票は、会社の年末調整のタイミングや退職者や従業員が確定申告を行うタイミング、従業員が収入証明を求めるタイミングで作成します。基本的には、会社に従事する従業員に対して発行する書類なので、個人事業主に発行されることはありません。従業員や外部との契約が複雑化している会社は、従業員のみ源泉徴収票を作成するように注意してください。
源泉徴収の対象となる報酬
源泉徴収票を作成しなくてもよい個人事業主ですが、源泉徴収自体は必ず実施しなければなりません。また、一般的には給与所得が源泉徴収に該当。ただし、次の項目においても源泉徴収が必要であると、国税庁により定められています。
・原稿料、講演料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の資格を有する人への報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払いを行う診療報酬
・プロスポーツ選手やモデル、外交員などに支払う報酬
・芸能人やTV出演の報酬や芸能プロダクションを運営する個人への報酬
・ホテルや旅館の宴会において接待を行うホステスに支払う報酬
・プロ野球選手の契約など一時的に支払う契約金
・宣伝広告のための賞金など
源泉徴収の義務は誰にある?
源泉徴収は、個人事業主へ業務を委託する会社(雇い主)の義務です。1月1日~12月31日までの1年間の報酬および源泉徴収の内容を管理し、翌年の3月15日までに確定申告を行って納税しなければなりません。
また、個人事業主が雇い主となった場合にも、源泉徴収の義務が発生します。これを「源泉徴収義務者」といい、官公庁や社団法人・財団法人なども同様に源泉徴収義務者に該当。ただし、従業員がいない個人事業主や法人の場合には、その報酬から源泉徴収を行う必要がありません。
源泉徴収義務者になるためには、あらかじめ届け出が必要です。税務署で手続きを行っておきましょう。
業務委託先には源泉徴収票を発行すべき?
源泉徴収に対応しようと考える会社によっては、業務委託先に源泉徴収票を発行すべきか分からず、困っている担当者もいるはずです。最後に、源泉徴収票の必要性と、支払調書との違いについてご紹介します。
源泉徴収票の発行義務はない
結論として、会社は個人事業主といった業務委託先に、源泉徴収票を発行する義務はありません。なぜなら、請求書の内容を管理すれば、源泉徴収額が把握できるから。個人事業主は、請求書をベースに源泉徴収額を計算するため、内容が間違っていなければ発行する必要がないのです。
一方で、源泉徴収義務者は、支払調書の発行・提出の義務があります。ただし、支払調書は税務署に提出する書類。業務委託先に提出する必要はありません。ですが、確定申告の間違いを防止するため、義務を問わず業務委託先に送付する会社も多いと理解しておきましょう。
源泉徴収票と支払調書の違い
源泉徴収票と支払調書の違いは、提出する対象者が誰なのかということです。一般的に各書類は次の該当者に対して発行します。
・源泉徴収票:従業員(正社員、契約社員、アルバイト、パート)
・支払調書:税務署(場合によっては業務委託先も)
また、それぞれの書類は記載する内容も異なります。源泉徴収票は、1年間における支払い額や控除額(税金・保険)、源泉徴収額を整理しますが、支払調書では、支払い内容や支払い額、源泉徴収額を記載。年末調整や確定申告で提出が求められる重要書類なので、事前に対象者を把握した上で発行に取り掛かりましょう。
まとめ
給料計算を行う担当者は、業務委託先への源泉徴収のほかにも、従業員に対する源泉徴収票の作成、税務署への支払調書の提出など複数の作業を実施しなければなりません。
ただし、従業員数や委託先が増えた分だけ、担当者の手間が増加。なかには、管理しきれずに困ってしまうのではないか、と不安を抱えている方もいるでしょう。もし、源泉徴収の管理や書類発行・提出にお悩みなら、給料や報酬、税金などの計算・管理を効率化してくれる「Web給料明細」の導入がおすすめです。
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