電子帳票システムの選び方を解説!法改正に対応したシステムも紹介
請求書や見積書のやりとりが増えるにつれて、帳票管理は煩雑になります。「業務効率化やペーパーレス化を進めるため、電子帳票システムを導入したい」と考える企業も多いでしょう。
しかし、いざ電子帳票システムを選定しようとしても、「電子帳簿保存法に対応しているシステムの見分け方」や「各システムの機能・料金の違い」がわからず、なかなか導入に踏み切れないこともあります。
そこで本記事では、電子帳票システムの選び方、導入するメリットを解説します。電子帳簿保存法の改正・インボイス制度に対応したおすすめの電子帳票システムも紹介していますので、請求書をはじめとした帳票発行・管理を効率化したい経理・財務担当者の方はぜひ参考にしてください。
電子帳票システムが選ばれる理由
電子帳票システムとは、電子化した帳票を一元管理するシステムです。システム上で作成された請求書や見積書など各種帳票を電子データで管理できます。また、近年改正された電子帳簿保存法、インボイス制度にも対応。企業のコンプライアンス維持に貢献します。
紙の帳票を管理するのは大きな負担となりますが、電子帳票システムがあれば帳票の作成・送信・管理業務を効率化できます。特に、取引先が多かったり、取り扱う帳票が多かったりすると、帳票管理は煩雑になりがち。今まで紙で管理していた帳票を電子化することで、業務の効率化だけでなく、ペーパーレス化の推進や、情報流出をはじめとするリスク回避も期待できます。
電子帳票システムが多くの企業に選ばれている理由は、電子帳簿保存法とインボイス制度に対応できる点にあります。
2023年10月1日「インボイス制度」施行により、消費税を納付する際に仕入れ先からのインボイス発行がないと、仕入れ税額控除を受けられなくなりました。また、2024年1月1日には「電子帳簿保存法」が改正され、電子取引における電子データの保存が義務化されます。そのため、電子取引におけるインボイスは発行するだけでなく、電子帳簿保存法に準じて電子データで保存する必要があります。
加えて、電子データの保存要件として「真実性の確保」「可視性の確保」が規定されており、Excel(エクセル)などでの管理では作業が煩雑化することもあり、これらの要件を十分に満たすことは非常に困難です。
そこで多くの企業に選ばれているのが、インボイス制度、電子帳簿保存法に対応した電子帳票システムです。
電子帳簿保存法に対応している電子帳票システムの認証機関「JIIMA」が企業に対して行った調査では、「電子帳簿保存法に対応したサービスを導入する予定はありますか?」という質問に対し、27.5%の企業が「すでに導入している」、52.2%が「導入を検討している」という回答がありました。
出典:改正電子帳簿保存法に関するアンケート 集計結果(JIIMA調べ)
また、同調査の中で、「電子帳簿保存法に対応したサービスの導入を検討している、または導入している企業」のうち約半数がクラウドサービスを選ぶという結果となっています。クラウドを選ぶ理由としては「運用負荷が抑えられるから」が42.7%と最も多く、次いで「運用が容易だから」(36.5%)、「テレワークの需要があったから」(36.5%)という理由が多いです。
出典:改正電子帳簿保存法に関するアンケート 集計結果(JIIMA調べ)
これらの調査からもわかる通り、電子帳簿保存法に対応した電子帳票システムが多くの企業から必要とされており、特に、運用負荷の軽減やテレワークを導入したい企業には、クラウド型の電子帳票システムがおすすめと言えます。
電子帳票システムの選び方
電子帳票システムの導入を成功させるには、法改正や運用を踏まえた選び方がポイントです。
- 電子帳簿保存法に対応したシステムを選ぶ
- インボイス制度に対応したシステムを選ぶ
- 紙やExcel管理から移行しやすいシステムを選ぶ
- 業務効率化を図れるシステムを選ぶ
- 予算に合ったシステムを選ぶ
電子帳簿保存法に対応したシステムを選ぶ
システムを選定する上で重要と言えるのが、電子帳簿保存法への対応です。
電子帳簿保存法では、帳簿書類を電子保存する際の要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」が必要とされています。たとえばタイムスタンプの付与、又は訂正・削除の履歴を残せることや、一定の条件で検索・出力できる仕組みが必要です。
電子帳簿保存法に対応している電子帳票システムの判断基準として有効なのが「JIIMA認証」です。JIIMA認証を取得した電子帳票システムは、電子帳簿保存法の法的要件を満たした運用ができます。システム選定の際は、JIIMAの認証ロゴが使用されていることを確認するのがおすすめです。
インボイス制度に対応したシステムを選ぶ
取引上で発生した帳票類は会計処理と深く関わるため、インボイス制度への対応も重要なポイントです。
課税事業者がインボイス制度に対応するには、請求書の書面に「登録番号」と「税区分ごとの金額」の記載が必要です。もしこれらの記載が漏れると、取引先は国に余計な税金を納めることになるため、請求書として受領してもらえない可能性があります。再発行を求められたとしても、システムで対応できなければ従来の紙やExcelで発行作業を行わなければいけません。さらに、取引先に正確なデータが提供されないことで、後々の信頼関係に影響を及ぼすことも考えられます。
帳票発行の効率化、及び信頼性の確保の面から見て、インボイス制度に対応したシステムを選択することが重要です。
紙やExcel管理から移行しやすいシステムを選ぶ
電子帳票システムを導入する際に、課題となるのが紙やExcelで管理していた書類の扱いです。過去の帳票類は紙で保管し新たな帳票だけデータで扱うとなると、二重管理の手間が発生してしまいます。とくに法人の場合は、帳簿書類に7年間の保存義務が設けられているため、その間は完全なペーパーレス化を実現できません。
その問題を解決するには、紙書類をデジタル変換できる電子帳票システムがおすすめです。単に画像データとしてスキャンできるだけでなく、AI-OCR機能によって文字データとして読み取ることができます。タブレット対応の電子帳票システムであれば、タブレット端末付属のカメラで撮影した帳票の画像データと文字データをまとめて管理できます。一部の製品では大量の処理ができるものやスキャン作業を代行してくれるサービスもあるため、システム選定時の参考にすると良いでしょう。
業務効率化を図れるシステムを選ぶ
どんなに高性能なシステムを使ったとしても、業務効率化を図れなければ意味がありません。電子帳票システムは主に以下の3つのタイプに分けられるため、目的に合ったシステムを選ぶ必要があります。
システムの特徴 | できること |
---|---|
帳票作成に特化 | 請求書や見積書のほか、納品書、領収書、合計請求書、入金伝票などのあらゆる帳票の自動作成が可能。柔軟性に優れたカスタマイズ機能で、独自の帳票にも対応。 |
配信機能が充実 | 取引先に応じて、PDF送付や郵送、FAX送信、郵送代行の使い分けが行え、受領側の開封状況もリアルタイムで一覧表示。数千のFAX回線を保有する製品もあり、大量の帳票でも短時間で送信が可能。 |
帳票の管理・保管に強味 | AI-OCRによる帳票の読み取りや、受領したデータの自動保存、自動振り分けなどに対応。部門やユーザ毎に閲覧権限及びアクセス権限などの設定も可能。 |
導入を成功させるには、まず自社の抱える課題を明確にすることです。効率化したい範囲がわかれば、上に示した3つのタイプの中から選択する選択するべきシステムが見えてくるでしょう。
予算に合ったシステムを選ぶ
電子帳票システムは大量の過去データも一括管理することになるため、一度導入すると他の製品に変えるのが難しくなります。長く使い続けるには、予算に合ったシステムを選ぶことが重要です。
一般的なシステムでは、初期費用は0〜30万円、月額料金は2〜3万円程度がおおよその相場になります。これに加えて、利用する範囲や会社の規模によってはオプション料金が別途発生するため注意が必要です。
最適なシステムを選択するには、まずどれ程のコスト削減効果が期待できるのか算出してみることです。コストカットできる資材費や人件費の範囲内でシステムが導入できれば、十分な費用対効果が得られます。
なお、おすすめの電子帳票システムは「2024年最新!おすすめの電子帳票を徹底比較」でまとめています。電子帳票システムの比較選定をしたい方はぜひご覧ください。
電子帳票システムおすすめ5選(電子帳簿保存法・インボイス制度対応)
ここではおすすめの電子帳票システムを5つ紹介します。各サービスの特徴とおすすめポイントをまとめているので、ぜひシステム選定時の参考にしてください。
- 楽楽明細
- Bill One
- SATSAVE
- 活文 Report Manager
- BtoBプラットフォーム 請求書
楽楽明細は、導入実績10,000社以上(2024年4月時点)を誇る電子帳票システムです。帳票作成及び配信に関わる機能が充実しているため、発行業務の効率化・自動化を実現することができます。
発行できる帳票は請求書や領収書、納品書のほか、検収書や見積書、お知らせ、チラシなどにも対応可能です。CSV/PDFファイルを用いた連携機能もあり、自社システムや販売管理システムから取り込んだデータで請求書を自動発行することができます。送付の際も、取引先に応じて「帳票のPDFファイルをwebからダウンロード」「メール添付」「郵送」「FAX送信」を使い分けて配信できます。経理担当者の負担軽減を図りたい企業におすすめの電子帳票システムです。
- JIIMA認証
- 電子帳簿保存法対応
- 検索機能
- 帳票の取り込み
- PDFファイルの取り込み
- 検索要件に関する必要項目の入力
- レコード表示での閲覧
- 権限管理設定
- マルチテナント機能
- ワークフローの設定
Bill Oneは、あらゆる請求書をオンラインで受け取り保管まで行える電子帳票システムです。受領・管理機能が充実しており、企業全体の請求書業務を効率化することができます。
他社と比較したおすすめポイントが、書類の送付方法やフォーマットを問わずさまざまな帳票を簡単にデータ化できる点です。AI-OCRと入力オペレーターによって99.9%という高い精度が実現されているため、確認作業もほとんど必要ありません。さらに、郵送されてきた帳票でも受け取りやデータ化、管理まで全て代行してもらえるため、経理担当者の大幅な工数削減につながります。
SATSAVEは、低コストで電子帳簿保存法への対応と業務効率化ができる電子帳票システムです。申込手続きと同時にすぐに利用できるため、スムーズな導入を実現することができます。
料金体系には無料プラン、ライトプラン、スタンダードプラン、まとめてプランの4つが用意されており、事業規模に合わせた選択が可能です。無料プランでも、500MBまでならユーザー数は無制限で利用できるため、中小企業やスモールスタートしたい企業には使いやすいシステムと言えます。
また、取引先にはSATSAVEが無償で提供され、文書の受け渡しや手続き、保管まで全てシステム上で対応可能です。書類ごとの参照権限やユーザー制限機能も搭載されているため、高いセキュリティ環境で運用することができます。
- 受領帳票の保存
- 電子帳簿保存法対応
- 検索機能
- 帳票の取り込み
- 検索要件に関する必要項目の入力
- ワークフローの設定
- 訂正・削除ができないシステム要件
- 送付帳票の保存
- 帳票の配信
- 見積書のアップロード
活文 Report Manager
活文 Report Manager は、日立ソリューションズが提供する帳票管理・保存に強みを持つ電子帳票システムです。帳票管理をスムーズにするためのさまざまな機能が搭載されており、効率的なデータ活用が行えます。
特徴とも言えるのが、別の基幹システムから帳票データの登録ができる点です。自動転送機能によって大量データにも対応でき、全ての帳票を活文 Report Managerに集約することができます。帳票の種類と配布先を判別して自動分類・保管する機能もあるため、人の手による作業が減ることでヒューマンエラーの削減にも効果的です。
- 受領帳票の保存
- JIIMA認証
- 電子帳簿保存法対応
- 検索機能
- レコード表示での閲覧
- カテゴリ管理設定
- マルチテナント機能
- 収集データのAI分析
- PDFで出力
- CSVで出力
BtoBプラットフォーム 請求書は、利用企業96万社以上を誇る電子帳票システムです。充実した帳票発行・受領機能により幅広い業務の効率化を実現することができます。
最大の特徴とも言えるのが、さまざまな外部サービスと連携できる点です。販売管理システムから請求データを取り込み一括処理が行えるほか、弥生会計やクラウド会計ソフトfreeeなどの会計ソフトと連携して仕訳の自動作成にも対応しています。さらに、銀行口座との紐づければ入金の消込も自動でできるため、経理担当者の負担を大幅に削減できるでしょう。
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電子帳票システム導入のメリット
電子帳票システムの導入は法改正に対応できるだけでなく、さまざまなメリットが得られます。
- 紛失のリスクを回避できる
- ペーパーレス化で費用削減できる
- 管理権限機能で内部統制強化できる
紛失のリスクを回避できる
請求書や領収書は国税に関わる重要書類ですが、紙やExcelを用いた管理では紛失のリスクを伴います。原因としてよくあるのが、外出先での置き忘れや誤った廃棄処分、他の書類に紛れ込むなどの人的ミスによるものです。郵送トラブルや火災・災害なども消失する可能性があるでしょう。
しかし、電子帳簿システムを導入すれば、文書の紛失リスクを最小限に抑えられるメリットがあります。常時バックアップが行われることで、データの破損が起きた場合でも復元が可能です。さらに、SSLによる暗号化や2段階認証への対応、不正アクセスの防止、アクセスログの管理などのセキュリティ対策によって情報漏洩も防ぐことができるため、紙管理よりも安全な環境で運用することができます。
ペーパーレス化で費用削減できる
ペーパーレス化を進めることで、資材費などのコストを削減できるのもメリットです。
紙を用いた帳票では、書類の原本や控えで多くの紙やインク、封筒が使われています。作成した帳票にミスが見つかれば、当然、修正して再度印刷が必要です。取引先に送付する際も送料がかかるため、取引の件数が多くなるほどコストは大きくなります。
しかし、電子帳票システムを導入すれば、あらゆる資材のコストカットが可能です。経理担当者による印刷や封入、発送業務も必要なくなるため、人件費の面からみてもメリットが大きいです。さらに、データが一元管理されることで、帳票の発行や受領に関わる全ての従業員の工数削減も実現できるでしょう。
管理権限機能で内部統制強化できる
電子帳票システムの利用は、内部統制強化の点からみてもメリットが大きいです。
多くの電子帳票システムでは管理権限機能が搭載されています。帳票データの閲覧や印刷、更新などを部門・ユーザー単位で細かく制限できるため、紙管理に比べてセキュリティの高い環境で利用可能です。ログインの際の認証機能はもちろん、データの改変履歴が残せるタイムスタンプ機能や操作ログを記録できる機能もあり、不正な持ち出しや改ざんの抑止力にもなります。
また、帳票類の保管期間も法律で定められた通りの運用が可能です。紙管理のようにタイミングを間違えて廃棄してしまうことがないため、経理担当者の負担軽減にも役立ちます。
まとめ:法改正に対応した電子帳票システムを選ぼう
電子帳票システムには帳票作成や帳票配信、受領した明細データの管理などのあらゆる業務を自動化できる機能が搭載されています。煩雑な紙やExcelを用いた管理業務に悩みを抱える企業には、電子帳票システムの検討がおすすめです。
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システム導入を成功させるには、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正に対応できるシステムを選ぶことがポイントです。しかし、数ある電子帳票システムを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合った電子帳票システムが分かる診断(無料)ができます。
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