電子帳票システムとは?メリット・デメリットや導入事例を紹介
「帳票を電子化したい」「電子帳簿保存法、インボイス制度への対応を進めたい」とお考えの経理・財務担当者には、電子帳票システムの導入がおすすめです。電子帳票システムでは、帳票をシステム上で一元管理することで業務を効率化できます。加えて、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応した帳票管理・発行が可能です。
本記事では、BtoBの受発注を支援するPRONIアイミツが、電子帳票システムの主な機能や電子帳票システムを導入することのメリット・デメリット、導入フローと実際の導入事例まで幅広く解説します。電子帳票システムの導入をお考えの経理・財務担当者はぜひ参考にしてください。
- 電子帳票システムとは
- 電子帳票システムの機能一覧
- 電子帳票システムのメリット
- 電子帳票システムのデメリット
- 電子帳票システムの導入フロー
- 電子帳票システムの活用事例
- まとめ:メリットが豊富な電子帳票システムを導入しよう
電子帳票システムとは
電子帳票システムとは、電子化した帳票を一元管理するシステムです。システム上で作成された請求書や見積書など各種帳票を電子データで管理できます。また、近年改正された電子帳簿保存法、インボイス制度にも対応。企業のコンプライアンス維持に貢献します。
紙の帳票を管理するのは大きな負担となりますが、電子帳票システムがあれば帳票の作成・送信・管理業務を効率化できます。特に、取引先が多かったり、取り扱う帳票が多かったりすると、帳票管理は煩雑になりがち。今まで紙で管理していた帳票を電子化することで、業務の効率化だけでなく、ペーパーレス化の推進や、情報流出をはじめとするリスク回避も期待できます。
電子帳票システムが必要な理由
2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正され、電子取引における電子データの保存が義務化されました。2023年12月31日までは宥恕(ゆうじょ)措置がありますが、2024年1月1日からは、宥恕措置はなくなり電子取引における帳票の電子化が義務付けられます。
また、2023年10月1日から始まった「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」では、消費税を納付する際に、仕入れ先からのインボイスの発行がないと仕入れ税額控除を受けられなくなりました。(経過措置あり)
こうした国の動きに対応するため、企業の電子帳票システムに対するニーズが高まっています。
実際に、電子帳簿保存法に対応している電子帳票システムの認証機関「JIIMA」が企業に対して行った調査では、「電子帳簿保存法に対応したサービスを導入する予定はありますか?」という質問に対し、27.5%の企業が「すでに導入している」、52.2%が「導入を検討している」という回答がありました。
出典:改正電子帳簿保存法に関するアンケート 集計結果(JIIMA調べ)
また、同調査の中で、「電子帳簿保存法に対応したサービスの導入を検討している、または導入している企業」のうち約半数がクラウドサービスを選ぶという結果となっています。クラウドを選ぶ理由としては「運用負荷が抑えられるから」が42.7%と最も多く、次いで「運用が容易だから」(36.5%)、「テレワークの需要があったから」(36.5%)という理由が多いです。
出典:改正電子帳簿保存法に関するアンケート 集計結果(JIIMA調べ)
これらの調査からもわかる通り、電子帳簿保存法に対応した電子帳票システムが多くの企業から必要とされており、特に、運用負荷の軽減やテレワークを導入したい企業には、クラウド型の電子帳票システムがおすすめと言えます。
電子帳票システムの機能一覧
電子帳票システムで利用できる主な機能について解説します。
項目 | 機能 |
---|---|
電子帳票の作成機能 | ・帳票レイアウトを自由に作成 ・インボイス(適格請求書)発行 |
電子帳票の送信機能 | ・メール添付機能 ・ダウンロードURL送信機能 ・FAX送信機能 ・郵送代行サービス |
電子帳票の管理機能 | ・電子帳簿保存法に対応した保存方法 ・基幹システムとの連携 |
電子帳票の作成機能
帳票には請求書や見積書などさまざまな種類があり、そのフォーマットも企業によって異なります。電子帳票システムでは、今までの帳票をアップロードすることで、既存のレイアウトを反映した帳票作成ができます。加えて、インボイス制度の要件を満たした適格請求書(インボイス)も発行可能です。
電子帳票の送信機能
電子帳票システムの送信機能を使えば、帳票のメール送信やダウンロード式による送信が可能です。紙の帳票は1枚ずつ郵送やFAXで送付する必要がありますが、電子帳票システムを導入すればそれらにかかる手間を削減できます。
なお、紙での出力やFAX送信機能、郵送代行サービスがあるシステムもあります。取引先で電子帳票に対応していない会社がある場合には、従来通りに対応できます。
電子帳票の管理機能
電子帳票システムの管理機能は、電子帳簿保存法の要件を満たした管理が可能です。法改正への対応だけでなく、実務上の管理効率にも優れており、検索機能を使えば顧客名や日時から過去の帳票をすぐに探し出せます。紙の帳票のように時間をかけて探す必要もありません。また、基幹システムから、CSVデータまたはPDFデータで請求先や顧客データ・帳票データの取り込みなど、シームレスな連携も可能です。
電子帳票システムのメリット
ここからは、電子帳票システムの下記の導入メリットを解説します。
- 帳票の一元管理で業務を効率化できる
- 電子帳簿保存法・インボイス制度に対応できる
- 管理権限設定で内部統制強化できる
- ペーパーレス化でコストカットできる
- バックアップ機能でリスク回避できる
帳票の一元管理で業務を効率化できる
従来の紙ベースでの帳票管理から電子帳票システムによるシステム管理に移行することで、帳票の一元管理が実現します。これにより、帳票の追跡や検索が容易になり、業務の効率が向上します。また、電子帳票システムでは、今まで使っていた帳票のレイアウトを再現して管理可能。帳票を一から作り直す必要がないため、迅速な電子化が可能です。
電子帳簿保存法・インボイス制度に対応できる
電子帳簿保存法やインボイス制度に対応しているシステムでは、コンプライアンスを維持するのに役立ちます。JIIMA認証が与えられた電子帳票システムは、電子帳簿保存法の要件を満たしている証明です。電子取引における保存要件の「真実性の確保」「可視性の確保」が可能です。
また、既存の請求書データをシステムに取り込むだけで、既存のレイアウトを再現してインボイス(適格請求書)を発行することも可能です。これらの機能により、各種法制度にも迅速に対応できます。
JIIMA認証とは
『JIIMAでは、市販されているソフトウェアやソフトウェアサービスが電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証しています。JIIMA認証を取得したソフトウェア、ソフトウェアサービスを適切に使用することで、電帳法を深く把握していなくても法令に準拠して税務処理業務を行うことができます。
なお、認証を受けた製品は、パッケージや紹介ページに認証ロゴを使用することができるので、簡単に見分けることができます。※』
※出典:公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会「JIIMA認証制度」
管理権限設定で内部統制強化できる
電子帳票システムはセキュリティ機能が充実しており、紙管理に比べてセキュアな環境での帳票管理が可能です。また、管理権限の設定もできるので従業員ごとにアクセス範囲をコントロールできます。加えて、操作ログも記録されるため不正利用の抑止力になるのはもちろん、万一のトラブル時の原因追求としても役立ちます。電子帳票システムは電子帳票の管理を健全なものにし、内部統制強化に貢献します。
ペーパーレス化でコストカットできる
帳票の電子化によってペーパーレス化が実現すれば、用紙やインク、印刷代、FAX送信や郵送にかかる費用を削減できます。紙の帳票の保管には相応のスペースも必要なため、専用倉庫を借りている場合もありますが、電子帳票システムで管理すれば、帳票管理のコストカットができます。システム導入への投資は必要ですが、扱っている帳票が多いほど高い費用対効果が期待できます。
バックアップ機能でリスク回避できる
紙での帳票管理は誤廃棄や災害などで焼失・紛失してしまうおそれがあります。しかし、電子帳票システムにはバックアップ機能があるので、万一の事態であってもデータの復旧が可能です。また、セキュリティ機能も充実しており、情報流出のリスクを回避できます。
電子帳票システムのデメリット
電子帳票システムの導入にはさまざまなメリットがありますが、いくつかのデメリットが存在します。続いては、電子帳票システムを導入する下記のデメリットについて解説します。
- 導入・運用コストがかかる
- 慣れるまでに時間がかかる可能性がある
- システム障害時に電子帳票が見られなくなる可能性がある
導入・運用コストがかかる
電子帳票システムの導入・運用には、コストがかかります。月額課金制のシステムを利用すると毎月支払いが発生するので、扱う帳票が少ない場合は「費用対効果が見合わない」と感じるかもしれません。
一方で、扱う帳票の多い会社はメリットを感じやすいと考えられます。運用にかかる費用については企業の状況や予算によって捉え方が異なります。電子帳票システム導入の際は自社で扱う帳票の枚数や予算とのバランスを踏まえて検討しましょう。
なお、電子帳票システムの詳しい費用相場や料金プランについては「電子帳票システムの料金を徹底比較」でまとめています。電子帳票システムの費用対効果を検討する際の参考にしてみてください。
慣れるまでに時間がかかる可能性がある
電子帳票システムは業務効率化に役立つシステムですが、担当者が操作に慣れるまでに一定の時間を要することもあります。紙の帳票作成・管理に慣れていれば、電子化に抵抗感を抱かれる可能性も十分に考えられます。導入時には操作方法に関するマニュアル作成や研修の実施が必要です。
よりスムーズに社内に定着させるためには、初心者であっても操作しやすく、サポート体制のあるシステムを選ぶことが大切です。無料トライアルで試せる電子帳票システムもあるので、導入前に操作性やサポート体制を事前に確かめておきましょう。
システム障害時に電子帳票が見られなくなる可能性がある
電子帳票システムに何らかの障害・トラブルが発生した際は復旧まで帳票の作成や確認ができなくなる可能性があります。これは紙の帳票にはないデメリットです。 電子帳票システムを導入する際は、こうしたトラブル発生時のサポート体制についても確認しておきましょう。
電子帳票システムの導入フロー
電子帳票システムの導入フローは下記の通りです。
- 課題の整理
- 帳票の整理
- 電子帳票システムの選定
- 無料トライアルの利用
- システム導入・運用
1.課題の整理
まず、現在の帳票管理に関する課題や電子帳票システムの導入目的を明確にしましょう。必要な機能はどれか、必要なサポートは何か、導入後をイメージして要件を洗い出します。
2.帳票の整理
帳票を紙で管理している場合は保管庫の整理をします。基幹システムや販売管理システムと連携する場合は、CSVやPDFで出力する帳票データを整理します。
3.電子帳票システムの選定
自社の状況に合った電子帳票システムを選定します。必要な機能、セキュリティ対策、コストなどを考慮し、ベンダーやプランを比較検討します。
PRONIアイミツでも、下記ボタンから電子帳票システムの相談を無料で承っています。電子帳票システムが気になる方はご相談だけでもぜひお問い合わせください。
4.無料トライアルの利用
電子帳票システムの中には、無料トライアルで試せるシステムもあります。システムの評価を目的として、操作性だけでなく、サポート体制についても確認します。実際の業務に適したシステムかどうかを確かめる重要なステップです。
5.システム導入・運用
選定したシステムを導入し、紙の帳票を電子化する際には紛失やコンプライアンスに注意しましょう。従業員に必要な操作方法マニュアルの作成や研修を実施することで、導入後の安定した運用を実現します。
なお、おすすめの電子帳票システムは「2024年最新!おすすめの電子帳票を徹底比較」でまとめています。電子帳票システムの比較選定をしたい方はぜひご覧ください。
電子帳票システムの活用事例
電子帳票システムを実際に導入した企業の導入事例を紹介します。
導入事例1:卸売・小売業
ある卸売・小売業の会社では、見積書や請求書、納品書などの帳票を紙で月あたり約1万枚発行していました。業務を担当する従業員はたった2名で、請求書の発行・郵送に1日6時間もの時間を要していたことから、業務効率化を図るために電子帳票システムの導入を検討し始めました。
請求書の発行に特化した電子帳票システムの導入後は、顧客へのスピーディーな請求書送付が可能に。2名で1日6時間かけて行っていた業務も、1名で1日4時間にまで短縮できるようになりました。
導入事例2:運輸業
ある運輸業の会社では、リモートワークの促進や生産性向上、コストマネジメントを目的とした取り組みの一環として請求書の電子化プロジェクトをスタート。「ランニングコスト」と「英文対応」「サポート体制」を重視して選定を進めました。
電子帳票システムの導入後は請求書の郵送作業が撤廃となったことで、リモートワークがしやすい環境の構築につながりました。取引先への案内文や操作マニュアルを作成して理解を促進したことで、稼働からわずか3ヵ月で90%以上の請求書の電子化ができました。
まとめ:メリットが豊富な電子帳票システムを導入しよう
本記事では、電子帳票システムの主な機能や導入のメリット・デメリット、導入フローと実際の導入事例まで幅広く解説しました。請求書や見積書などの帳票をシステム上で作成・送信・管理できる電子帳票システムを導入すれば、経理業務の負担を大幅に軽減できます。しかし、より確実に業務効率化を実現するためには、自社の状況に合った電子帳票システムを導入することが重要です。
「PRONIアイミツ」では、電子帳票システムの比較検討に関する相談をすべて無料で承っております。下記ボタンから、電子帳簿保存法やインボイス制度などの「要件に対応できる」システムか、「初心者でも使いやすい」システムか選択できます。まずは貴社が求めるシステムの要件整理から始めましょう。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!