eラーニングシステムの選び方を徹底ガイド
さまざまな働き方が増えていく中、従業員に対する教育方法も見直しが図られています。そこで人気を集めているのが、いつでもどこでも学習・研修サービスを提供できるeラーニングシステムです。
しかし、eラーニングシステムは導入すればいいというわけではありません。きちんと運用目的を定めてから導入しないと運用ストレスがかかってしまいます。それだけではなく、自社にマッチしたものが選べなかった場合思うように効果が出ないという結果になってしまうでしょう。
そのような事態を避けるため、この記事ではeラーニングシステムの選び方を詳しく解説します。eラーニングシステムの導入でお悩みの担当者は、ぜひ参考にしてください。
eラーニングシステムの選び方
eラーニングシステムとは、インターネットを通じて提供される学習システムのこと。クラウド型eラーニングシステムの普及により、パソコンをはじめスマートフォンやタブレットなどマルチデバイスで学習できるものが増えています。
ユーザーに学習を提供するための教材コンテンツ、さらにはユーザーの学習状況をチェックするための学習管理システムといった2つの要素から成り立っており、導入する際には双方の要件定義を行わなければなりません。
教材内容としては、WordやExcel、PowerPointなどといったパソコン事務関連、セキュリティ面や安全衛生面などといった分野が基本です。近年では、動画などを活用したより具体的な業務マニュアルの配信が可能なものも存在しています。
教材コンテンツ
eラーニングの教材コンテンツと一口に言っても内容はさまざま。基本的な社会人マナー/ビジネスマナーを習得することのできるコンテンツやもあれば、飲食店のバックヤードや工場などにおける作業工程を把握するための映像教材をコンテンツとして配信することもあります。そのほか、業界や業種に沿った資格取得コンテンツ、グローバルな展開を視野に入れた英会話教材など、ニーズにあわせて用意することができる点が魅力だと言えるでしょう。
すでに紙(テキスト)で用意されている教材をアップロードするという方法や、漫画やイラストによる配信、細かな動きまで分かりやすい動画教材による配信など、講義の配信方法をそれぞれの内容によって使い分けることができるのもポイントです。
業界を問わず幅広い教材が提供されているほかに、オリジナル教材の配信を行えるシステムがあるということも特筆すべきポイントです。
教材コンテンツの準備
先にも述べたように、eラーニングシステムで配信する教材コンテンツは既存のものも自社オリジナルのものも利用可能です。ビジネスマナー、Microsoft Officeなどといった基本的な講義内容に関しては、eラーニングシステム内で用意されているものや、既存の一般教材を活用するのがおすすめだと言えます。
自社独自の作業工程を説明するマニュアルを配信したいという場合などには、オリジナルのコンテンツをテキストや動画で作成しアップロードするという手法を取ることが一般的です。オリジナルコンテンツの作成は、自社で行うだけでなく制作会社に外注するという手段も。撮影機材やスタジオなどが揃っている環境で教材を作りたいという場合には外注がおすすめです。
学習管理システム
eラーニングシステムを利用する際には、教材コンテンツとあわせて学習管理システム(Learning Management System 通称LMS)も活用することとなります。学習管理システムには基本的に以下のような機能が搭載されています。
- 教材の配信
- ライブ授業の配信
- ユーザーの学習進捗状況
- ユーザーの成績確認
- 講師陣とのコミュニケーション
- 掲示板におけるユーザー/講師陣のコミュニケーション
導入する際には、以下のポイントを考慮して選定することをおすすめします。
- オンプレミス型で導入するのかクラウド型で導入するのか
- これまでの導入実績・搭載されている機能
- サポート体制の有無
- コストパフォーマンスの高さ
機能
eラーニングシステムを導入する際には、どのような機能が搭載されているのかももちろん確認しなければなりません。
その際、「機能が充実していればいるほどいいだろう」と多機能のeラーニングシステムを導入してしまうのは失敗のもと。機能が豊富にあるかどうかでなく、欲しい機能、実際に使うであろう機能があるのかどうかという軸で選定しないと、結局ほとんどの機能を活用しないままとなってしまうことも考えられるでしょう。それでは導入費用が無駄となってしまいます。
・最低限搭載されていてほしい機能は何か
・できれば搭載されていてほしい機能は何か
この2つに焦点を絞り選定するといいでしょう。
また、eラーニングに関する世界的な標準規格であるSCORM(Sharable Content Object Reference Model)に則ったものであれば、OSやコンテンツを選ばず利用できます。選定の基準に据えることもよいでしょう。
導入実績
eラーニングシステムを選定する際には、これまでの導入実績も非常に重要です。多くの導入実績があるということは、多くの会社に信頼されている証拠だと言えます。安心して導入することができるでしょう。
また、これまでに同じ業界の企業にも導入されてきた実績がある場合には、その業界ならではのコンテンツやサポートが充実している可能性があります。
それぞれの業界にマッチした教材コンテンツがどれほど揃っているのかなどもあわせてチェックしておくと安心でしょう。
関連記事:おすすめの医療向けeラーニングシステム
:教育業界におすすめのeラーニングシステム
サポート内容
eラーニングシステムに限った話ではありませんが、システムを導入する際にはサポート体制がどれほど充実しているのかも非常に重要なポイントです。
システムを導入する際には導入サポートを提供しているのか、定期的なメンテナンスは請け負ってもらえるのか、どこまでが無償対応でどこからが有料サポートとなるのかなどをきちんとチェックしておきましょう。
短期導入ではなく長期にわたって運用していく場合には非常に重要なポイントとなるため、サポート体制の充実度は慎重に確認しておくことをおすすめします。
価格
eラーニングシステムを導入する際に、もっとも気になるポイントと言っても過言ではないのがコストパフォーマンスです。
eラーニングシステムと一口に言っても料金体系はさまざま。クラウド型で利用できるものであれば、初期費用はかからない場合もあります。一方オンプレミス型の場合はまとまって構築費用が必要となるでしょう。もちろん、搭載されている機能や利用するプランによっても料金は左右されます。
関連記事:eラーニングシステムの費用相場・価格が安いおすすめサービス
eラーニングシステム選定のポイント
eラーニングシステムを選ぶとき、特にどのようなポイントに注意しておくべきなのでしょうか。最低限押さえておきたい点は何なのか、1つずつ確認していきましょう。
目的と規模を明確にする
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとしてはじめにあげられるのが、導入目的と導入規模を明確にしておくということです。
従業員みんなが利用するのか、それとも新入社員たちのみが最初の数ヵ月間のみ利用するのかなど、企業によってeラーニングシステムの利用シーンや目的はさまざま。ユーザー数もバラバラでしょう。
推定しているユーザー数に見合ったシステムなのか、さらには将来的な拡張も視野に入れている場合にはそれに対応できるのかどうかなども確認しておくべきです。
たとえば、TOEIC対策のために数ヵ月だけ利用してもらうのみという場合には、費用の無駄を発生させないためにも、利用していないシーズンは月額料金が発生しないものを選ぶのも1つの手段かもしれません。
ベンダーのタイプを把握しておく
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして2つ目にあげられるのが、ベンダーのタイプを把握しておくということです。
eラーニングシステムやサービスを提供している会社と言っても、大きく2つに分けることができます。まず1つ目は、eラーニング教材とサービスをどちらも提供する会社です。自社で製作した教材コンテンツを豊富に揃えているだけでなく、学習を管理できるLMSもあわせて提供しているため、よりスピーディに導入したい場合にはおすすめでしょう。
一方、2つ目のタイプとしてeラーニングサービスだけを提供している会社が挙げられます。eラーニング環境となるプラットフォームだけを提供しているため、すでにオリジナルの教材コンテンツを揃えているという場合にはうってつけです。会社によっては、教材制作会社を別途紹介してもらえる場合もあります。
導入形態の違い
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして3つ目にあげられるのが、導入形態の違いを理解し、どの形態で導入するべきなのかをきちんと整理しておくということです。
オンプレミス型の場合、自社ならではのカスタマイズをしやすい、セキュリティ面をより強固に構築できるというメリットが挙げられます。一方、クラウド型の場合には導入までが非常にスピーディで、場合によっては初期費用もかからずに利用できるなどといった気軽さが魅力です。
どのような点を重視するかによってどちらの形態で導入するかが別れるため、選定前には社内できちんと話し合う必要があるでしょう。
教材コンテンツの制作ハードル
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして4つ目にあげられるのが、教材コンテンツの制作ハードルがどのくらいのものなのかを把握しておくということです。
eラーニングシステムによっては、気軽に教材コンテンツを制作できるツールが備わっているものもあります。あまりコンテンツの制作ノウハウがないという場合や、外注は費用面を考えると難しいという場合には、分かりやすいコンテンツ制作機能が搭載されたものを導入するべきでしょう。
一方、既製のeラーニングシステムを導入するという場合には、翌年以降の内容のアップデートはどうなっているのかなども確認しておくべきです。
受講管理機能は充実しているか
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして5つ目にあげられるのが、教材コンテンツのみならず受講管理機能は充実しているかというポイントです。
従業員1人ひとりの学習状況や成績を確認できるのかは非常に重要なポイント。受講させるだけで放りっぱなしにならないためにも、学習状況を確認しアフターフォローにも力を入れられるのかどうか確認しましょう。
また、eラーニングとあわせて対面での集合研修なども行うという場合には、研修への出席状況なども管理できる機能の有無も確認しておくことをおすすめします。
学習のモチベーション維持が可能か
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして6つ目にあげられるのが、ユーザーが学習に対するモチベーションを維持できるような機能が備わっているかどうかです。
eラーニングシステムは1人でサクサクと学習を進められるのがメリットではありますが、モチベーションが保てない場合は一向に学習が進まないということもないとは言い切れません。
そのような事態を防ぐためにも、社内SNSと連携して進捗具合をシェアできる、モチベーションを可視化できる機能があるなど、従業員の学習意欲をサポートする機能がどれだけ充実しているのかもチェックしておきましょう。
操作感を確認しておく
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして7つ目にあげられるのが、導入した際に誰にとっても使いやすいのかどうか、操作感を確認しておくということです。
誰でも直感的に使いやすい画面設計なのかというポイントはもちろんのこと、パソコンのみならずスマートフォンやタブレットなども用いて場所を選ばずに使えるのかどうかもチェックしておきましょう。
また、配信したテキスト教材や動画コンテンツなどが見やすいのかどうかも注意すべきポイント。より分かりやすいように画質にも配慮しておくべきです。
eラーニングシステムには、無料トライアルで事前に試せるものもあります。本格導入前に操作感を確認したい方は、無料トライアルのあるeラーニングシステムもおすすめです。
関連記事:無料で使えるおすすめのeラーニングシステム(LMS)
セキュリティを確認する
eラーニングシステムを選定する際に注意したいポイントとして8つ目にあげられるのが、情報漏えいなど万が一のトラブルに繋がらぬよう、セキュリティ面に問題がないか確認するということです。
自社オリジナルのマニュアルなどに沿った教材の場合、機密情報が含まれている場合も。情報漏えいがあってからでは遅いため、ログイン制限や操作ログ管理機能などが充実しているシステムを選びましょう。
eラーニングシステムの提供元が信頼できそうかどうかも慎重に判断しておくべきです。
eラーニングシステムの導入事例
ここからはeラーニングシステムを導入した事例を紹介していきます。eラーニングシステムを導入した結果、どのような効果がもたらされているのでしょうか。1つずつ確認していきましょう。
オルビス株式会社
美容業界の大手の1つとして、化粧品や栄養補助食品、さらにはボディウェアなどの企画・販売を行っているオルビス。お客様からのお問い合わせを受けるコールセンターを設置しており、オペレーターの教育・研修にeラーニングシステムのLearnO(ラーノ)を活用しています。
LearnOを導入するに至った理由は、インターネットに慣れていない人でも使いやすいほど分かりやすかったから。パソコンの操作が苦手という人であっても、使ううちにすんなり馴染んでしまうと言います。
導入してからは隙間時間を活用して学習できるようになっただけではなく、アンケート機能もあわせて活用してお客様からの声なども集めやすくなったとのことです。
株式会社CKサンエツ
金属製の配管機器をはじめ、黄銅製品などを製造しているCKサンエツ。現場で培われてきた技術を次の世代へと継承していくために、eラーニングシステムであるviaPlatz(ビアプラッツ)の導入を決断しました。viaPlatzを選んだ理由として、どこでも予習・復習ができる便利さがありながらもセキュリティ面が優れているという点をあげています。
導入してからは、製造現場の職人と事務職員がお互いの業務を知るだけでなく、他のグループ会社の業務も知ることによって、企業全体のモチベーションの底上げに成功。製品の品質向上にも役立っており、若手社員からは新たな製品のアイディアも提案されるようになったと言います。
株式会社日経BP
日本経済新聞グループの1社として、雑誌や書籍の販売などを行っている日経BP。社長の右腕ともなる幹部の育成に悩んでおり、課題を解決するべくeラーニングシステムのetudes(エチュード)を導入しました。
etudesを選んだ理由は、教育インフラを整えたいという思いに深く共感してもらえた誠実さを感じたからだそう。導入してからは毎月5本ほど新たなコンテンツを追加しており、飽きずに学び続けられる環境を整備できていると言います。
あえて経営幹部向けのeラーニング教材構築にこだわった日経BP。利用企業からの評判も良いそうです。経営者としての視点を持った社員の育成のため、eラーニングシステムを活用している事例だと言えるでしょう。
eラーニングシステムのおすすめを比較しよう
eラーニングシステムにはさまざまな種類が存在しています。教材コンテンツの種類や導入形態、搭載されている機能の種類、操作性の良さ、利用料金など…比較するべきポイントは多くあると言えるでしょう。また、導入にあたって重視するポイントも企業によって異なります。どのeラーニングシステムが合うかは企業によって変わるでしょう。
より詳しい選び方については、別記事「eラーニングシステムを徹底比較」で解説しています。2025年最新のおすすめeラーニングシステムも紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
とはいえ、数あるeラーニングシステムを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったeラーニングシステムが分かる診断(無料)ができます。
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