施工とは?意味や工事との違い、施工管理についてまでわかりやすく解説【2024年最新版】
施工管理は施工現場で工事が計画どおりに進ように管理する業務・役割を指すものですが、「詳しくはよく知らない」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、施工・施工管理の概要とあわせて具体的な業務内容や、適切な施工管理を実現するための方法についても解説します。
施工とは
施工は、実用日本語表現辞典において「計画された工事を実施することである。設計図や仕様図をもとに、計画的に建築物や道路など造ることを指す。(※)」と定義されている言葉です。
「施す」には「実際に行う」という意味が含まれているため、「工事を実際に行うこと」に加えて設計図・仕様図などにもとづいた性能、仕様、意匠を作り上げることを示しています。
※ 出典:実用日本語表現辞典
https://www.weblio.jp/content/%E6%96%BD%E5%B7%A5
施工と工事との違い
施工は「あらかじめ計画された工事を実施する」という意味を持つため、工事とまったく異なるわけではありません。しかし「工事」は「土木や建築など実際の作業」を意味するため、計画的な工事を意味する施工と同義とは言えないのも事実です。なお、施工を実施する者は「施工者」「工事施工者」などと呼ばれます。
着工や竣工との意味合いの違い
施工に似通った言葉に「着工」「竣工」などがありますが、これらはどのような意味があるのでしょうか。
着工 | 工事を始めること |
竣工 | 当該工事が完了したこと |
落成 | 竣工とほぼ同じだが、ビルや社屋、公共の建築物などの完成時に用いられる |
いずれも施工に関連する言葉ではあるものの、意味合いや使われる場面が異なることがわかります。
施工管理とは
「施工管理」は、施工現場における工事が計画どおりに進行するように管理する業務・役割を指すものです。施工現場にはさまざまな業務・役割の人が関わるため、工事を滞りなく進めるための俯瞰的な役割を担っています。
施工管理には「工程管理」や「安全管理」「品質管理」「原価管理」など幅広い業務が含まれるため、複数の要素を総合的に判断しなければなりません。また、施工管理に携わる人材には現場に関する知識・経験が求められるだけでなく、効率的かつ正確に業務を進めるためにはマニュアルやツールといった周辺環境が整備されている必要があります。
施工管理に求められる資格
「施工管理」と混同されやすいものに「現場監督」がありますが、現場監督には特に必要な資格はありません。現場監督は現場での指示出しや工事の進捗管理など、あくまでも現場における司令塔的な役割を担う存在です。
一方で施工管理は、各工事現場に1人は「施工管理技士」という国家資格の保有者が必要となっており、この点が現場監督と大きく異なります。国家資格は法律にもとづいて各分野で特定の職業・業務に従事すると証明するものであることから、施工管理がいかに重要な業務であるかを示しているといえるでしょう。
施工管理と工事監理の違い
施工管理と混同されやすい役割に「工事監理」があります。工事監理は「その物の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計書のとおりに実施されているかいないかを確認すること(※)」で、建築物の規模や用途、構造などによって一級建築士と二級建築士、木造建築士のいずれかが担うと定められています。
施工管理との大きな違いは「工事監理は設計者の立場から工事そのものを監理する」ことにあります。施工管理では工程管理や安全管理、安全管理、原価管理など多角的なマネジメントが求められるため、両者は立場・役割が異なると言えます。
※ 出典:国土交通省 工事監理制度の概要
https://www.mlit.go.jp/common/001279403.pdf
施工管理における4つのメイン業務
施工管理の業務は「工程管理」「品質管理」「原価管理」「安全管理」の4つに分類されます。ここからは、それぞれの業務の概要を解説します。
工程管理
工程管理とは、建物や道路の完成までを計画どおりに進めるためにスケジュールを管理する業務です。単に日程を調整するだけでなく、予算や安全性も含めて適切な工法を計画し、作業員の配置や重機・車両の調達に関する予定も作成し、施工の開始後には工事の進行を管理する役割も担います。
工事の規模が大きくなるほど工程管理に必要なリソースも増加するため、専門的なスキルや経験が求められます。
品質管理
品質管理とは、構造物が設計図や仕様図どおりの品質に達するように管理する業務のことです。設計図や仕様図で定められた品質をクリアするための材料や寸法、工程に間違いがないかを確認するとともに、必要に応じて調整を行います。
なお、建築物の場合は行政の定めた建築基準を満たす必要があるので、安全性や要件にも配慮しながら品質を評価しなければなりません。工程ごとの品質を証明するための写真撮影や項目別の品質試験の実施も業務に含まれます。
原価管理
原価とは「製品・サービスの提供までにかかった費用」を意味するものです。工事においても完成までには人件費や材料費などが必要となりますが、原価管理業務にはこれらを予算内に収めるという役割があります。原価管理のポイントは以下のとおりです。
・目標利益をもとに適正な予算を算出する
・工事の進捗を見ながら予算とのギャップを確認する
・予算と実際のコストに乖離がある場合は利益を確保できるように調整する
安全管理
建設現場での作業は、さまざまな危険をともないます。施工管理の担当者には、工事に携わる作業員の安全に対しても以下のマネジメントが求められます。
・使用機材や資材の点検、整備
・作業員の健康状態の確認
・危険予知活動、ヒヤリハットの徹底などの安全教育
・安全パトロール
・落下防止用のネットや消火設備の設置
安全管理においては、安全確保のための環境整備や巡回にとどまらず、作業員1人ひとりに安全教育を実施して安全への意識を向上させることも重要です。
施工・施工管理における課題
施工・施工管理には長年にわたる課題がいくつか存在しています。施工管理にあたってはこれらの課題の把握が業務の遂行にも役立つと考えられるので、以下で詳しく解説していきます。
情報管理・共有がうまくできていない
デジタル化・ペーパーレス化の加速する現代でも、建設業界では記録・共有を紙ベースで行うことも珍しくありません。しかし、紙の資料はリアルタイムでの共有が難しく、適切な施工管理の障壁となっているのも事実です。
また、建設業では実際の作業がオフィス外の現場で行われている点も、情報共有の難易度を上げる要因となっています。オフィスと現場で共有が必要であっても、アナログな環境ではスムーズな情報共有が難しいため、システム化による環境整備が求められます。
利益率が下がっている
バブル崩壊によって需要が大きく低下したことで、建設業界は大きなダメージを受けました。その後は東日本大震災の復興や東京五輪の開催などで需要が改善されたものの、値下げ競争による利益率低下の流れは根強いままです。
とはいえ、この状況を1つの企業の力では変えられないため、企業努力によって利益率を改善していくしか方法はありません。施工管理のメイン業務の1つである原価管理を徹底すれば利益率を向上しやすくなります。そうした面でも、施工管理は重要な役割を担っていると言えます。
高齢化が進行している
建設業界では就業人口の約34%が55歳である一方で、29歳以下は約11%と若年層の割合が減少しています。高齢層と若年層には3倍以上の開きがあり、高齢化と若年層減少が同時に進んでいる状態です。
建設業界に若年層が少ないのは「3K(きつい・汚い・危険)」や賃金のイメージが大きな要因とされています。このように、若手人材が不足している点も施工管理の人手不足につながっている理由だと考えられます。
※ 出典:国土交通省 建設産業の現状と課題 https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf
長時間労働が改善されない
建設業では長年にわたって長時間労働が問題視されています。最近の国土交通町の調査では、ほかの業種と比べて労働時間が長いだけでなく約65%が4週4休以下・4週8休は6%以下(※)であることが判りました。
この問題が改善されない大きな理由は、建設業が時間外労働・休日労働に関して規制する36協定(サブロク協定)の適用除外業種である点です。行政は改革を進めているものの現状では長時間労働が是正されているとはいえず、施工管理の障壁にもなっています。
※出典:国土交通省 建設業における働き方改革
https://www.mlit.go.jp/common/001189945.pdf
施工・施工管理における課題を解決するには
建設業界は施工・施工管理に関するさまざまな課題を抱えており、適切な施工管理を実現するのは簡単な状況ではありません。しかし、施工管理システム・アプリを導入すれば、課題をクリアした上で適切な施工管理が実現する可能性が高まります。
施工管理システム・アプリは、文字どおり施工管理業務に特化したシステム・アプリの総称で、人員・日程調整や工程表の作成、図面・写真の管理・共有、日報作成機能などを備えています。導入すれば最小限の手間で最新情報を共有できるのはもちろん、施工管理の煩雑なタスクの一元管理が可能です。結果として「対応の抜け漏れが減る」「ペーパーレス化が進む」「長時間労働が是正される」などのメリットが期待できるでしょう。
おすすめの施工管理システム・アプリ3選
ひとことに施工管理システム・アプリといっても、特徴や機能構成などは製品によってさまざまです。導入にあたっては、自社に必要な機能を備えているものや、規模に合っているものを選ぶ必要があります。
ここからは、おすすめの施工管理システム・アプリを紹介します。
「ANDPAD」は、アンドパッドが提供する施工管理アプリです。これまでの利用社は20万社以上・ユーザー数約51万人と豊富な実績を誇ります。
施工管理に加えてチャットでのコミュニケーションや図面の共有・コメント、検査機能、社内タスク管理機能などを備えているのが大きな特徴です。また、スマートフォン/タブレット向けアプリとして提供されているため、工事の現場からでも操作ができるのも魅力でしょう。
SITE
「SITE(サイト)」は、CONITが提供している建設業向けの情報共有ツールです。機能を「チャット」「スケジュール」「案件管理」に絞ったシンプルな構成でありながらも、各機能の連携によるさまざまな効果が期待できます。
フォロー体制が充実しているのも特徴で、業界出身者による説明会や導入レクチャー、活用方法の提案にくわえて、3ヵ月間のサポートも利用可能。利用者からは「生産性アップにつながった」といった声が寄せられています。
「ダンドリワーク」は、ダンドリワークの提供する施工管理アプリです。これまでに約8万社に導入されており、利用ユーザー数は約14万人にものぼります。
施工現場に関する情報や図面などをクラウド上でまとめて管理できるため、場所を問わず最新情報や進捗状況を手軽に確認できるのが特徴です。細かな権限設定も可能なので、セキュリティ強化にもつながります。また、利用率は90%を超えるなど、利用者から支持を受けている製品であることがうかがえます。
まとめ
施工管理は工事を計画どおりに滞りなく完了させるために、予算・品質・工程・安全というあらゆる点をバランスよくマネジメントする役割を担っています。しかし建設業界はさまざまな課題を抱えているため、課題に対応しつつ適切に施工管理を実現するには施工管理システム・アプリの活用がおすすめです。
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