フレックスタイム制とは?導入目的やメリット・デメリットを解説

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フレックスタイム制度は、働く時間をライフスタイルに合わせて柔軟に変えられる制度です。そのため、家庭と仕事を両立したい人によっては多くのメリットがあります。しかし、労働基準法上のルールがあるため、運用には注意が必要です。

本記事では、フレックスタイム制度の基本的な仕組みをはじめ、導入の目的や実際の運用方法、メリット・デメリット、そして導入を検討する際の注意点について解説します。とくに、労働時間の管理やチームへの影響など、経営者が考慮すべきポイントについても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、変形労働制の一種で所定の期間内で総労働時間を決定し、始業時間と就業時間については労働者が決定できる制度です。始業時間・就業時間の決定権があるとはいえ、勝手気ままに会社に行って、好きなときに帰れる、ということではありません。

フレックスタイム制を導入する際は、対象となる労働者、期間、総労働時間の詳細を労使間で決めて、内容を協定書に明記しなければなりません。また、コアタイム、フレキシブルタイムなどがある場合は、1日の働く時間を完全に自由に決められるわけではなく、自由になるのはあくまでも部分的。こうした取り決めは任意ですが、一般的に完全自由になるケースの方が少ないでしょう。

よってフレックスタイム制は、労働者が任意に出退勤時間を決めることができますが、その運用には細かい規則があり、好き勝手にできる制度ということではないのです。しかし、就業時間を一律にせずに変則的に働くことができるのは、労働者にとってメリットが多く、働き方改革が進められる昨今、改めて注目を集めています。

フレックスタイム制誕生の経緯

日本で正式に導入されたのは1988年、今からおよそ30年前から始まっており、決して新しい制度ではありません。フレックスタイム制が導入されたのは、丁度その頃から自由に働いた方が成果がでるクリエイティブな職種が増えたこと、1986年に施行された男女雇用機会均等法により、女性の社会進出が進み、育児、介護と仕事を両立できる労働環境の整備が急務となったことなどがあげられます。自由で柔軟な働き方へは現在も依然ニーズが高く、すでに多くの企業で導入が進められているようです。

フレックスタイム制の導入目的

フレックスタイム制の導入の目的は、ワークライフバランスの実現、都市の通勤ラッシュ・交通渋滞の緩和など。厚生労働省は、長時間労働者が仕事と家庭・地域生活と両立できるよう、フレックスタイム導入を積極的に推進しています。また、通勤時間帯が分散されれば、通勤ラッシュ・交通渋滞は自然と緩和されます。それだけ労働者も楽に移動ができるので、健康管理にも一役買っています。

フレックスタイム制の仕組み

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フレックスタイム制度の概要を掴んだところで、次はその仕組みについて明らかにします。先ほども少し触れましたが、フレックスタイム制度にはコアタイムとフレキシブルタイムがあり、この2つを上手く組み合わせることで、様々な不都合が解消されます。

コアタイム

コアタイムとは、必ず出勤しなければならない時間帯のことです。フレックスタイム制度でもコアタイムが定められている場合は、その時間内に自由に出退勤することはできません。いわゆる「定時」に相当するもので、コアタイムの時間に間に合わなければ遅刻扱いになり、コアタイムが終わる前に帰宅すれば早退扱いになります。

コアタイムは任意に定めることが可能で、必ずなくてはならないということはありません。導入する際は労使協定を行い、合意をすれば時間設定も自由です。コアタイムを一切導入せず全部をフレキシブルタイムにすることもできます。

会議を行う必要がある会社、外部業者との打ち合わせが多い職種では社員が全員バラバラに働くと会社が機能しなくなるのでコアタイムが必要です。一般的にはフレックスタイム制度を導入してもコアタイムを定めることが多いでしょう。

フレキシブルタイム

フレキシブルタイムとは、労働者が働くかどうか選択できる時間帯です。この間はいつでも出退勤することができます。フレキシブルタイムはコアタイムの前後に設けなければならず、前後どちらか一方にまとめることはできません。例えばコアタイムが午前9時~14時、フレキシブルタイムが14時~17時というのはNGです。コアタイムは日中の真ん中の時間帯10時~15時に置き、フレキシブルタイムは8時~10時、15時~17時といった具合に定められます。

というのも、コアタイムは定時なので、前後にフレキシブルタイムを設置しないと、出退勤時間のいずれかが固定になってしまい、フレックスではなくなってしまうからです。コアタイム同様、フレキシブルタイムについても労使間の取り決めが必要で、開始時間、終了時間を事前に定めなければなりません。

労基法に基づいたフレックスタイム制の適切な導入方法

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フレックスタイム制度は労使間の話し合いで時間を決定することができますが、その内容は労働基準法に基づいてなければなりません。次は法律に則った適切な導入方法について解説します。

労使協定を結ぶ

フレックスタイム制度を導入するにあたり、最初にすることは労使協定を結ぶことです。フレックスタイムは、経営者が勝手に内容を決めることも、労働者が勝手に始めることもできません。仮に労使間で合意ができていたとしても、協定を結ばずに制度を導入した場合は労基法違反になるので注意が必要です。

労使協定で取り決める内容は次の通りです。

①対象者

フレックスタイム制度を適用する個人、グループ、課、部署を定めます。対象は全従業員でもOKです。

②清算期間および起算日

フレックスタイム制度における清算期間とは、従業員が仕事に従事すべき期間のことで、大抵は給料計算に合わせて1ヶ月に設定されます。また起算日=清算期間のカウントを始める日も決めなければなりません。例えば毎月1日、毎月15日など起算日を設定することで、清算期間が明確になります。

③清算期間内の総労働時間

フレックスタイム制度における所定労働時間のことです。総労働時間は、清算期間が1ヶ月なら、ひと月の労働時間を平均したときに、原則1週間40時間以内となるようにする必要があります。

④1日当たりの労働時間

1日当たりの労働時間を決めるのは、有給をとったときに1日あたりいくら払うのか計算できるようにするためです。

⑤コアタイム

コアタイムを定めるときは開始時間、終了時間を定めなければなりませんが、時間は労使間の合意があれば自由に設定することが可能です。ただし、コアタイム開始 or 終了が一般的な会社の始業、終業時刻とほぼ同じという場合は、フレックスタイムの趣旨に反することになるので注意が必要です。コアタイムの時間は必ずしも毎日同じでなくても良く、曜日によって変わってもOKです。

⑤フレキシブルタイム

フレキシブルタイムについても、開始時間・終了時間を決める必要があります。フレキシブルタイムはある程度まとまった時間が必要で、コアタイムの前後2~3時間に設定されることが多いでしょう。フレキシブルタイムの時間も労使間で任意に決定することができますが、フレキシブルタイムが30分など、極端に短い場合はフレックスにはならないので、こうしたケースも注意が必要です。

協定書&就業規則を作る

フレックスタイム制度の内容について労使間で合意ができたら、その内容を協定書としてまとめる必要があります。書面には経営者と労働者の代表が署名捺印します。また、就業規則にもその旨を記載します。記載ポイントは「始業時間、終業時間は労使協定で定めた範囲に於いて労働者が自由に決定できる」という主旨の条文を加えればOKです。

労働者に周知する

フレックスタイム制度を導入したら、いよいよ運用です。会社は象の従業員にフレックス制度の内容をよく説明する必要があります。また、フレックスタイムにすると残業時間や割増賃金の算出方法が変わるので、その点も誤解のないように十分理解をさせてください。周知の程度については、基本的に労働者が就業規則等を見たいときにいつでもアクセスできるような状態にしておけばよく、理解を徹底させるといった義務はありません。しかし、従業員が就業規則の存在すらしらない、閲覧方法が分からないといった場合は会社の努力不足とみなされるので、経営者、管理者の方はその点も注意が必要です。

フレックスタイム制のメリット

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では、フレックスタイム制度は働く人にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは、柔軟な働き方がもたらす具体的な効果について解説します。

育児・介護と仕事の両立ができる

フレックスタイム制度は、育児や介護と仕事を両立させたい人にとっておすすめの働き方です。たとえば、子どもの体調不良や保育園の送り迎えなどで朝の出勤が遅れる場合でも、柔軟に対応できます。介護においても、突発的な対応が求められる場面では、自宅にとどまれる柔軟性が大きな支えとなります。

定時勤務では私的な事情に即対応することが難しい一方で、フレックスタイム制度であれば、生活のリズムや家族の状況に合わせて働き方を調整できます。とくに家庭との両立を求める方々にとって、働きやすさと安心感を両立できる制度といえるでしょう。

時間を有効に使える

フレックスタイム制は、時間を有効に活用したい人にとって理想的な働き方です。コアタイム以外の出勤・退勤時刻を自由に調整できるため、たとえば朝早く出勤して夕方はスクールや資格取得に充てるなど、自己成長の時間を確保しやすくなります。

また、特定の日に業務を集中して進めることで、別の日をまるごと休暇にすることも可能です。こうした柔軟な時間設計は、従来の定時勤務よりも多くの余暇を生み出しやすく、目的意識を持って働けば業務効率の向上にもつながります。

通勤ラッシュを避けられる

フレックスタイム制度は、混雑した時間帯を避けて通勤したい人にとっておすすめの選択肢です。出勤時間を自分で調整できるため、無理に混雑する時間に合わせて移動する必要がなく、移動中のストレスを軽減できます。時間に追われず落ち着いて出社できることで、仕事に向けた集中力やモチベーションも高まりやすくなります。快適なスタートを切ることは、その日のパフォーマンスにも良い影響を与えるでしょう。

フレックスタイム制のデメリット

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フレックスタイム制度は、自由に働けるなど比較的良いイメージがありますが、課題・デメリットもある制度です。フレックスタイム制度を導入すると、どんな問題があるのでしょうか?

チームワークに問題を抱えやすい

フレックスタイム制度は柔軟な働き方を可能にする一方で、チームワークの維持には課題もあります。勤務時間がバラバラになることで直接の会話が減り、特にプロジェクト進行時にはコミュニケーション不足に陥る可能性があります。チャットやメールで補える面もありますが、やはり対面の方が認識のズレが少なく、連携もしやすいのが実情です。また、時間管理が苦手な人はつい怠けがちになり、周囲の士気にも悪影響を及ぼすことがあります。

勤怠管理が煩雑化する

フレックスタイム制度は働く時間に柔軟性があり、自由度の高い働き方を実現できますが、その一方で勤怠管理が非常に煩雑化するデメリットもあります。具体的には以下のような問題が生じます。

課題・デメリット 内容
出退勤時間のバラつき  各社員の出退勤時間が異なるため、打刻データの管理が煩雑になる。
残業・割増賃金の把握  労働時間や割増賃金の管理が難しく、個別対応が求められることもある。
労働時間不足時の対応  月間の所定労働時間に満たない場合の処理(賃金カットや繰越)が必要。
勤務状況の可視化が困難  働く時間帯がバラバラなため、社員の実際の働きぶりをリアルタイムで把握しにくい。

これらの課題を人力で管理し続けるのは非常に非効率であり、ミスや確認漏れのリスクも高まります。こうした煩雑な勤怠管理を効率化するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。フレックスタイム制度に対応したルール設定や、自動集計、給与システムとの連携機能などにより、法律に準拠した正確な勤怠管理が実現できます。

以下の記事では「フレックスタイムに対応したおすすめの勤怠管理システム」を紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。

フレックスタイム制が合わない人の特徴

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フレックスタイム制度は合う人もいれば、そうでない人もいます。有効活用できれば非常に便利な制度なのですが、フレックスが合わないのはどのような特徴を持った人なのでしょうか?

自己管理ができない人

フレックスタイム制度の場合、働き方については個人の裁量に任されるので、自己管理能力が問われます。総労働時間の中で、いつ何をどのように行うか、計画を自主的に立てて実行に移していかなければなりません。また、コアタイムの中に会議や打ち合わせなどが含まれるので、複数のことを段取り良く進めていくマルチタスク能力、要領の良さ、調整力も必要となるでしょう。

フレックスタイム制においては、これらを全て自分の責任で行う必要があるので、自己管理が苦手なタイプにとっては辛いかもしれません。また、もともとルーズなタイプの人は、フレックス制度で余計に怠けてしまう可能性もあり、一生懸命働いている人から見ると不公平に感じてしまうこともあるでしょう。フレックスタイムで能率が上がるのは、自分を律して計画的に働ける人であり、そうしたことが苦手な人の場合は定時で働く方が合っているでしょう。

同僚、取引先とのコミュニケーションを重視する人

フレックスタイム制度を導入すると、確実に同僚と顔を合わせられるのはコアタイムだけです。コミュニケーションがとれるのは基本的にこの時間帯だけなので、どうしてもコミュニケーションが希薄になってしまいます。チャットをはじめとする社内ツールでコミュニケーションをとることはできますが、相手と直に話をしたい場合には不便さを感じることになるでしょう。また、取引先とのやり取りが多い方も、フレックスタイムは不向きです。相手に合わせて働いていたら、結局定時と働き方が変わらないということも多々あるでしょう。他の担当者が不在なら代理対応もしなければならないので、必ずしもフレックスで業務効率化するとは言えません。

オン・オフをはっきりと分けたい人

フレックスタイム制度を導入すると、定時で働いているときよりも時間に対してのシビアさがなくなりがちです。会社はいつ行っても良い、ということであれば、朝も遅れがちになるものです。そうすると、結局遅くまで残って働かなければなりません。フレックスは一見自由そうに見えますが、時間の使い方によってはずっと働いているような状況になりやすく、気が付いたらオフがなくなっていたということもあります。オン・オフをはっきり分けて、メリハリをつけて働きたい人は定時の方が適しています。

まとめ

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フレックスタイム制度はワークライフバランスを実現し、交通渋滞、通勤ラッシュを緩和するために誕生した制度で、導入後は家事育児と仕事の両立、満員電車回避など一定の効果を上げています。

フレックスタイム制度にはコアタイムとフレキシブルタイムがあり、通勤時間はフレキシブルタイムのなかで任意に設定することができます。制度導入にあたっては労使協定を結ぶ必要があり、その内容は協定書にまとめて就業規則にも記さなければなりません。

自己管理ができるタイプの人にとっては非常に都合の良い働き方ですが、時間管理が苦手な人には適さないなど、向き不向きが分かれます。家事育児と仕事を両立したい、自分磨きの時間を作りたい、通勤ラッシュから解放されたい、そうした希望があり、かつ時間管理が上手な人はフレックスタイムはまたとない制度です。フレックスタイム制度を取り入れる際は、制度の特徴をよく理解し、メリット、デメリットについて十分に検討してから導入することをおすすめします。

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