採用管理システムの情報漏洩、責任は誰に?採用企業が確認すべき5つのこと
採用管理システム(ATS)を提供するサービスへの不正アクセスで、利用していた企業や自治体が、応募者に対して自社の名前でお詫びを公表する事案が起きています。
本記事では、採用管理システム経由で応募者情報が漏えいしたときに採用企業が負う責任と、今すぐ自社で確認したい5つのことを解説します。採用管理システムを使っている企業の経営者・人事責任者の方はぜひご覧ください。
- 採用管理システム経由の情報漏えいが起きている
- ベンダー側の事故でも、責任を負うのは採用企業
- 応募者情報の漏えいは「採用」にも響く
- 今すぐ確認したい5つのこと
- 採用管理システムを見直すタイミング
- まとめ:応募者情報の管理体制を見直そう
採用管理システム経由の情報漏えいが起きている
2026年9月、採用管理サービスへの不正アクセスが公表され、大手外食チェーンや全国の自治体など、そのサービスを利用していた多くの企業・団体が、応募者情報が漏えいした、またはそのおそれがあると相次いで公表しました。
注目すべきは、侵入口が利用企業ではなく、サービス提供会社が使っていた外部の分析ツールの脆弱性だった点です。利用企業から見ると2つ先の仕組みで起きた事故であり、自社の設定や運用だけでは防ぎようがありませんでした。
採用管理システムは多くの外部サービスとつながっている
採用管理システムは、求人媒体、Web面接ツール、適性検査、チャットツール、データ分析ツールなど、多くの外部サービスと連携して使われるのが一般的です。連携が増えるほど便利になる一方、どこか1か所に穴があれば、そこから応募者情報に到達されてしまう可能性があります。
| 連携先の例 | やり取りされる情報 |
|---|---|
| 求人媒体・求人サイト | 応募者の氏名・連絡先・経歴を取り込む |
| Web面接・日程調整ツール | 面接日時や連絡先を共有する |
| 適性検査・評価ツール | 検査結果や評価を取り込む |
| チャット・メール配信 | 応募者への連絡に使う |
| データ分析ツール | 応募数や選考状況を集計する |
ベンダー側の事故でも、責任を負うのは採用企業
採用管理システムの提供会社で事故が起きた場合でも、応募者に対して責任を負うのは、その情報を集めた採用企業です。採用企業は個人情報の取り扱いを外部に委託している立場にあたり、委託先を監督する義務があるためです。
漏えいが起きたときに採用企業がすること
| 対応 | 目安 |
|---|---|
| 個人情報保護委員会への速報 | 発覚後、速やかに(概ね3〜5日以内) |
| 応募者本人への通知 | 状況に応じて速やかに |
| 問い合わせ窓口の設置・対応 | 公表と同時に |
| 個人情報保護委員会への確報 | 原則30日以内(不正アクセス等は60日以内) |
サービス提供会社から連絡が来た時点で、こうした対応が一斉に始まります。「ベンダーの事故だから自社は関係ない」とはならない点を、経営者・人事責任者は押さえておく必要があります。
職業安定法でも求職者情報の適切な管理が求められている
職業安定法では、求職者の個人情報は業務の目的に必要な範囲で収集・保管・使用することが求められています。不要になった応募者情報を持ち続けることは、漏えい時の被害を大きくするだけでなく、法令の考え方とも合いません。
応募者情報の漏えいは「採用」にも響く
応募者情報には、氏名や連絡先だけでなく、学歴・職歴、志望動機、面接の評価など、履歴書レベルの情報が含まれます。漏えいが起きると、お詫びの相手は顧客ではなく応募者になります。
- 「応募したら情報が漏れた会社」という印象が残り、採用ブランドが傷つく
- 口コミやSNSで広まり、次の募集で応募が減るおそれがある
- アルバイトなど応募数が多い企業ほど、対象者も問い合わせも多くなる
人手不足のなかで採用を続ける企業にとって、応募者情報の管理は「情報システムの問題」ではなく、採用力そのものに関わる経営課題といえます。
今すぐ確認したい5つのこと
ベンダー側の事故を利用企業が完全に防ぐことはできません。ただし、「漏れても被害を小さくする」「自社が入口にならない」ための確認は、どの採用管理システムを使っていても今日からできます。
応募者情報の管理チェックリスト
1. 不採用者・過去の応募者のデータを消しているか
採用が終わった応募者の情報を何年も残していると、漏えい時の対象者が膨らみます。保管期間のルールを決め、期限が来たデータを削除する運用になっているか確認しましょう。自動削除の機能があるかどうかも確認ポイントです。
前述の事案では、契約を終了した後も応募者データがサービス提供会社側に残っていたと公表した企業・自治体が複数ありました。解約時にデータが確実に削除されるか、削除証明をもらえるかも確認しておきましょう。
2. 2要素認証やIP制限、SSOを使っているか
IDとパスワードだけでログインできる状態だと、パスワードが盗まれた時点で応募者情報を見られてしまいます。2要素認証やIP制限、社内アカウントでのシングルサインオン(SSO)が使える場合は、有効にしておきましょう。
3. 閲覧できる人の権限を絞っているか
店長や面接官、外部の採用代行会社など、採用管理システムにログインする人は多くなりがちです。担当する店舗や職種の応募者だけを見られるように権限を分け、異動・退職した人のアカウントはすぐに止めることが大切です。
4. 外部ツールとの連携を棚卸ししているか
過去に試しに連携したまま使っていないツールや、担当者が個別につないだツールが残っていないか確認しましょう。使っていない連携は解除し、今つながっているサービスの一覧を把握しておくと、事故が起きたときの影響範囲もすぐに確認できます。
5. 契約で事故時の通知や委託先管理を確認しているか
サービス提供会社で事故が起きたとき、いつ、どのように連絡が来るのか、提供会社がさらに別の会社にデータの処理を任せていないかを、契約書や利用規約で確認しておきましょう。再委託先まで含めて管理されているかが、事故時の初動の速さを左右します。
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採用管理システムを見直すタイミング
次のような状況にあてはまる場合は、採用管理システムの導入や乗り換えを検討してみましょう。
| 状況 | 起きやすい問題 |
|---|---|
| 応募者情報をExcelやメール、紙で管理している | ファイルの持ち出しや誤送信が起きやすく、削除や権限管理も難しい |
| 今のシステムで権限設定やデータ削除ができない | 店舗数や面接官が増えるほど、見られる人が広がる |
| 応募経路ごとに管理がバラバラになっている | どこに誰の情報があるか把握できず、事故時の確認に時間がかかる |
| 機能や料金にも不満がある | 契約更新のタイミングで、管理体制とあわせて見直しやすい |
まとめ:応募者情報の管理体制を見直そう
採用管理システムの提供会社で事故が起きた場合でも、応募者への報告やお詫びの責任を負うのは採用企業です。ベンダー側の事故を完全に防ぐことはできませんが、不要なデータを消す、ログインを強化する、権限と連携を絞るといった確認で、被害を小さくすることはできます。
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