職業安定法とは?記載内容と過去の違反事例を紹介
職業安定法とは、求人・職業紹介といった労働市場に関する基本ルールを定めた法律。人事担当者は法令を遵守するためにも、その内容について理解しておく必要があります。
そこでこの記事では、職業安定法に則った採用活動を行うためのおすすめの採用管理システムを厳選してご紹介。職業安定法の概要・違反した場合の罰則・違反事例についても詳しく解説していきます。
- 職業安定法とは
- 職業安定法の主な内容
- 職業安定法に違反するとどうなる?
- 過去にあった職業安定法違反の事例
- 法律に則った採用活動には「採用管理システム(ATS)」の利用がおすすめ
- 採用管理システムの機能
- まとめ
職業安定法とは
職業安定法とは、職業紹介・労働者募集・労働者供給という3つの分野において、労働市場の基本的なルールを定めた法律です。適切なルールに基づき、企業の労働力の確保ならびに求職者への就業の機会の提供を行うことで、社会経済の発展に繋げることを主な目的としています。職業安定法第一章総則の第一条には、法律の目的について以下のように記載されています。
この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑みその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
職業安定法の主な内容
これから職業安定法について理解を深めようと考えている人事担当者の方は、まずは全体の大枠として主要な内容を把握しておくことがおすすめです。ここでは、職業安定法の主な内容についてそれぞれ解説します。
職業紹介
職業紹介とは、求人者と求職者の間に立ち、雇用関係の成立を斡旋することを言います。職業安定法の職業紹介においては、職業紹介事業者が遵守すべき以下のような項目を定めています。
- 無料・有料の職業紹介は厚生労働大臣の許可または届出が必要
- 求職者の個人情報の取り扱い・管理に関するルール
- 有料の職業紹介事業者が職業紹介の際に受け取る報酬・手数料に関するルール
- 原則として求人の申し込みに対して事業者は全て受理する
- 職業紹介事業者は運営するサイトにて指定された情報を提供
労働者募集
職業安定法における労働者募集とは、企業が自身で求人を行う場合もしくは他社・他人に委託して求職者を勧誘する場合に、最低限明示しなければならない労働条件を定めたものです。明示すべき労働条件は以下の通りです。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 就業時間
- 休憩時間
- 休日
- 時間外労働
- 賃金
- 加入保険
- 募集者の氏名または名称
- 受動喫煙防止措置の状況
労働条件は書面にて明示する必要がありますが、求職者が希望する場合はメールでも構わないとされています。なお、上記項目に変更が生じた際には速やかに変更後の内容を明示する必要があります。
労働者供給
労働者供給とは、労働者を他社・他人の指揮命令下にて労働に従事させることを言います。職業安定法では、労働者供給を行う事業者が業務を改善するため、また供給される労働者を保護するため、以下のような措置を講じることが定められています。
- 厚生労働省の許可を得て、かつ労働組合等が無料で労働者供給事業を行う場合のみ認める
- 労働組合の規約の設定・遵守・運営
- 高額な組合費の徴収は禁止
- 社会保険・労働保険の適用手続きをスムーズに行えるように管理
- 供給される労働者でなくなる自由を保証
- 供給される労働者からの苦情に対して適切に対応
職業安定法に違反するとどうなる?
企業が職業安定法を遵守しなければならない理由は、違反してしまうとさまざまなペナルティを受ける恐れがあるためです。ここでは、職業安定法に違反した場合に受ける可能性があるペナルティについて解説します。
業務改善命令
業務改善命令とは、職業安定法法第48条の3に定められた規定で、職業紹介事業者等が適切な業務運営を行うにあたって必要性が認められた場合は、違反を防止す措置・違反を是正する措置を勧告できるとするものです。業務改善命令を受けた事業者は、指示された改善の実施・改善措置計画書・事業報告書等の提出を行う必要があります。
事業停止命令
事業停止命令は、職業安定法・労働者派遣法の規定に違反した場合、これらの規定に基づく命令・処分に違反した場合、事業許可の条件に違反した場合において、事業者の有料職業紹介事業の全部または一部を取り消すことができるという定めです。上記の業務改善命令に従わない場合や、違反の程度が著しい場合は、一定期間の事業停止命令を受ける可能性があります。
事業廃止命令
職業安定法ならびに労働者派遣法では、事業者が有料職業紹介事業の欠格事由に該当する場合には、事業の廃止や許可の取り消しを求めることができると定められています。事業停止命令を繰り返し受けた場合や、著しい違反を行った場合には、事業廃止命令が下され有料職業紹介事業自体を行うことができなくなる場合もあります。
許可の取り消し
職業安定法では、上述の通り有料職業紹介事業の欠格事由に該当するときは、事業の廃止・許可の取り消しを命じることができると定められています。著しい違反を行った事業者や悪質な事業者は、最も重い罰則である許可の取り消しを受け、以後有料職業紹介事業を展開することができなくなるケースもあります。
過去にあった職業安定法違反の事例
職業安定法に違反しないためには、過去にどのような違反事例があったのかを参考にしておくことも重要です。以下に、実際の違反事例についてご紹介します。
- 職業安定法第32条の9第2項に違反して、有料職業紹介事業の事業停止命令期間中に有料職業事業を実施。再度2ヶ月の事業停止命令。
- 職業安定法第44条により禁止されている労働者供給事業を実施。労働者派遣事業改善命令ならびに懲役1年以下又は罰金百万円以下の罰則。
- 職業安定法第44条により禁止されている労働者供給業を実施した2社に対し、事業停止命令及び事業改善命令。
特に、労働者派遣事業と混同されやすい労働者供給事業での違反が目立ちます。労働者供給は労働者派遣よりもより厳格なルールが定められているため、注意しておく必要があります。
法律に則った採用活動には「採用管理システム(ATS)」の利用がおすすめ
採用活動を行う際には、当記事のテーマである職業安定法をはじめ、雇用対策法・男女雇用機会均等法などさまざまな法律を遵守する必要があるため、多大な手間と時間がかかってしまいます。煩雑で負担の大きい採用活動を効率化するのにおすすめの方法が、採用管理システムを活用することです。
採用管理システムを活用すれば、採用に関するさまざまな業務を効率化するだけでなく、法令・法改正へ対応した採用業務をサポートすることも可能。法令を遵守しつつ、効率的で精度の高い採用活動を行うことができます。
採用管理システムの機能
採用管理システムには、以下のような機能が搭載されています。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 求人情報管理 | 求人情報・求人票・出稿媒体等の求人に関する情報を一元管理。 |
| 応募情報の取り込み | 各媒体からの応募を自動でシステムへ取り込むことが可能。 |
| コミュニケーション機能 | 応募者との連絡を一元的にシステム上で管理。 |
| 業務支援機能 | メール自動送信・テンプレート・情報分析など業務自動化・効率化機能を搭載。 |
| 法改正への対応 | 法令・法改正へ自動的に対応して法令順守の採用活動が可能。 |
| 採用選考プロセスの管理 | 選考プロセス・選考状況・評価を応募者毎に管理可能。 |
まとめ
職業安定法は、自社の社員を募集する企業や求人・職業紹介といった人材サービスの展開を展開する企業が遵守しなければならない非常に重要な法律です。違反してしまうと重い罰則が科される恐れもあり、企業としての社会的信用も大きく損なうため、人事担当者は必ず内容を理解しておく必要があります。
法律に則った採用活動を的確かつスムーズに行うには、採用管理システムを導入して業務プロセスをデジタル化するのがおすすめ。しかし、採用管理システムは多数あり、どれを導入すべきか迷ってしまうでしょう。
PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、採用管理システム選びについての相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合った採用管理システムが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
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