勤怠管理システムとは?導入事例やメリット・デメリットを解説
エクセルやタイムカードでの勤怠管理においての大きな課題となるのが、手間と時間がかかること。現在、勤怠をエクセルやタイムカードで管理して「勤怠管理業務をラクにしたい」と思っている人事労務担当者も多いでしょう。勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)を導入することで、勤怠データ収集を自動化するだけでなく、ヒューマンエラーも軽減することが可能です。
この記事では、BtoBの受発注を支援するPRONIアイミツが、勤怠管理システムの主な機能や勤怠管理システムを導入することのメリット・デメリット、実際の導入事例から導入方法まで幅広く解説します。勤怠管理システムの導入をお考えの人事労務担当者はぜひ参考にしてください。
- 勤怠管理システムとは
- 企業が勤怠管理システムを導入する目的
- 勤怠管理システムの主な機能一覧
- 勤怠管理システムのメリット
- 勤怠管理システムのデメリット
- 勤怠管理ソフトの導入事例
- 勤怠管理システムの選び方
- 勤怠管理システムの導入手順
- まとめ:勤怠管理ソフト選びに迷ったらPRONIアイミツへ
勤怠管理システムとは
勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)とは、従業員の出勤時間や労働時間、休暇取得日数といった従業員の労働状況を管理できるシステムです。労働状況の管理だけでなく、従業員の出退勤の打刻や記録、残業や休暇の申請、シフト作成、労働時間の集計なども一つのシステムで行えます。
株式会社モニタスが人事・労務関連業務の従事者1,000名に対して行った調査(2022年9月)によると、勤怠管理をデジタル化している企業は約6割にのぼり、勤怠管理ツールを利用し始めた担当者のうち39.2%が「管理しやすくなった」と感じています。
引用:PR TIMES「人事・労務担当者に聞いた、勤怠管理6割がデジタル化」(株式会社モニタスの調査)
勤怠管理システムには、自社サーバーを利用してシステムを構築する「オンプレミス型」とインターネット回線とPCやスマートフォンなどの端末があればどこからでも利用できる「クラウド型」の2種類に分かれます。クラウド型の勤怠管理システムは、従業員の自宅や外出先からでも操作できるため、リモートワーク中の従業員の勤怠管理に最適です。
企業が勤怠管理システムを導入する目的
多くの企業が勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)を導入しており、特にクラウド型が人気となっています。各企業は、どのような目的で勤怠管理システムを導入しているのでしょうか。
目的①勤怠管理業務の効率化
企業が勤怠管理システムを導入する最大の目的は、勤怠管理業務の効率化でしょう。タイムカードやエクセルでの勤怠管理は、データ収集や仕分けに多くの手間と時間がかかる点が問題です。中には、労働時間の集計と給与の計算で、人事労務担当者の1週間が潰れてしまうというケースも転記ミスの確認・修正作業で無駄な業務が発生している企業もあるでしょう。
勤怠管理システムを導入すれば、労働時間の集計業務や給与の計算を自動化でき、タイムカードから勤怠管理表に転記する必要がなくなります。そのため、人事労務担当者はコア業務に専念できるようになるでしょう。
目的②法律に則った勤怠管理を行うため
また、2019年に「働き方改革関連法」が施行されたことにより、企業はより厳密かつ客観的に従業員の勤怠管理を行わなければならなくなりました。従来の自己申告による勤怠管理ではサービス残業の実態がつかみにくく、残業代の未払いが発生するリスクが残ります。法律に則った、より厳密で客観的な勤怠管理を行う目的で、勤怠管理システムを導入する企業が急速に増えているのです。
勤怠管理システムの主な機能一覧
以下は、勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)に搭載されている主な機能一覧です。管理者向けの機能と従業員向けの機能に分けて、各機能を解説します。
管理者向け機能 | 従業員向け機能 |
---|---|
・自動集計機能 ・シフト作成機能 |
・打刻機能 ・ワークフロー機能 ・通知機能 |
【管理者向け機能】従業員の労働時間などの自動集計機能
勤怠管理システムには、従業員の労働時間などを自動集計する機能が搭載されています。この機能により、従業員の勤務時間や残業時間、休日労働時間などを自動で集計でき、給与計算の業務まで効率化できます。
勤怠管理システムと給与計算システムを連携することで、労働時間の集計から給与計算までのすべての業務を自動化することも可能です。これにより、集計や計算にかかる手間を削減できる上、計算ミスや転記ミスといった人為的ミスも削減できます。
【管理者向け機能】さまざまな勤務形態に対応したシフト作成機能
勤怠管理システムには、あらゆる勤務体系に対応したスケジュール機能が搭載されています。フレックスタイムなど多様な働き方を認めている企業では、従業員一人ひとりの勤務状況を正確に把握するために、スケジュール機能は欠かせない機能です。
さらに、勤怠管理システムには自動で勤務シフトを作成するシフト作成機能も搭載されています。作成したシフトは、スマートフォンからも閲覧できます。煩雑なシフト管理を自動で行ってくれる勤怠管理システムは、労務担当者の業務効率化に役立つでしょう。
【従業員向け機能】多様な打刻機能
勤怠管理システムには、PCでの打刻はもちろん、スマートフォンでの打刻、ICカードでの打刻(SuicaなどのICカードをシステムにかざすだけで打刻が可能)、生体認証による打刻など、多様な打刻機能が備わっています。
スマートフォンからはクラウド型の勤怠管理システムにアクセスして打刻が可能で、直行直帰時でも正確に労働時間を管理できます。また、生体認証による打刻ではなりすましを防止できます。
【従業員向け機能】ワークフロー機能
勤怠管理システムには、ワークフロー機能が標準搭載されています。ワークフロー機能とは、社内の各種申請や承認、稟議といった一連の業務をシステム内で完結できる機能です。
従業員は勤怠管理システム上でワンクリックで残業や休暇の申請ができ、管理者もワンクリックで承認できます。クラウド型であれば自宅など会社外からも申請ができるため、「リモートワーク中に休暇の申請のためだけに出社する」といったことも不要になります。
【従業員向け機能】残業時間を超過した場合などの通知機能
勤怠管理システムでは、残業時間を超過した場合にシステムが自動的に従業員に知らせてくれる機能があります。そのほか、打刻し忘れた場合や、未消化の有給休暇が溜まっている場合などに、自動通知されます。通知機能により、従業員は自ら働きすぎを防止できます。
通知方法は勤怠管理システムによってさまざまですが、一般的なのはメールでの通知やプッシュ通知です。なお、自動通知は従業員向けの機能ですが、管理者に通知することも可能です。管理者に通知することで、従業員が働きすぎていないかを管理者の側でも把握できます。
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)を導入するには、少なからず費用が発生します。そんな中、多くの企業が勤怠管理システムを導入しているのは、支払う費用より得られるメリットの方が大きいからです。ここでは、勤怠管理システムの代表的なメリットを見ていきましょう。
- 勤怠管理業務を効率化できる
- 従業員の過重労働を防止できる
- 労働基準法などの法律違反のリスクを減らせる
- 従業員の不正を減らせる
勤怠管理業務を効率化できる
勤怠管理システムを導入する一番のメリットは、勤怠管理業務を効率化できる点です。たとえば、タイムカードによる勤怠管理の場合、人事労務担当者は月末に各従業員から提出されるタイムカードに抜け漏れがないかをチェックし、労働時間を集計し、給与を計算する作業が必要になります。
従業員数が多い企業や事業所ではこれらの作業時間は膨大なものになるでしょう。勤怠管理システムがあれば、システム上で勤怠データが自動集計され、担当者が集計作業を行う必要がなくなります。
従業員の過重労働を防止できる
タイムカードによる勤怠管理の場合、月の途中で従業員の労働時間を把握することは困難で、「気が付いたら残業時間の上限を超えてしまっていた」ということにもなりかねません。
勤怠管理システムでは、従業員の労働時間を管理者がリアルタイムで把握できるため、従業員の過重労働を防止できます。管理者が従業員に対して「最近働きすぎだから今週は必ず定時で帰るように」といった指示を出すことも可能です。
労働基準法などの法律違反のリスクを減らせる
いわゆる「働き方改革」によってで、残業時間の上限規制が設けられ、従業員に有給休暇を取得させることは企業の義務となりました。しかし、従来のタイムカードによる勤怠管理では、残業時間の総数や有給休暇の取得率を一目で把握することは難しいでしょう。
勤怠管理システムでは、残業時間の総数や有給休暇の取得状況をリアルタイムで把握できます。そのため、「有給消化できていない状態に気づかず、法律違反となっていた」という事態を防止できます。このように、勤怠管理システムは、労働基準法などの法律違反のリスクを減らせる点もメリットです。
従業員の不正を減らせる
勤怠管理における従業員のよくある不正として、残業時間を変更して記載したり、タイムカードを別の人に押してもらったりという不正があります。また、遅刻した際にわざと打刻をせずに遅刻した事実を隠そうとする不正も少なくありません。
勤怠管理システムでは従業員の労働時間は自動的に記録され、本人以外が打刻できない打刻方法も用意されています。そのため、勤怠管理システムの導入により、勤怠関係の従業員の不正を減らせます。
勤怠管理システムのデメリット
メリットばかりのように思える勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)にもいくつかのデメリットがあります。メリットだけではなく、必ずデメリットも把握したうえで勤怠管理システムの導入を検討しましょう。
- システム導入から運用まで作業工数がかかる
- 勤怠管理システムの利用にコストがかかる
- 費用対効果が見えづらい
システム導入から運用まで作業工数がかかる
システム導入から運用まで作業工数がかかる点がデメリットとして挙げられます。勤怠管理システムを導入したからといって、すぐに運用できるわけではありません。導入したばかりの勤怠管理システムは、全く設定がされていない状態です。そこから自社の就業規則や勤務体系に合わせて一つひとつ設定していかなければなりません。
また、設定だけではなく、従業員に使い方を周知し、正しく理解してもらう必要もあります。勤怠管理システム導入から運用まで作業工数がかかり、時間もある程度必要であるという点はあらかじめ認識しておきましょう。
勤怠管理システムの利用にコストがかかる
勤怠管理システムの利用に費用がかかる点もデメリットとして挙げられます。勤怠管理システムの費用は製品によって異なりますが、中には導入に数百万円かかるものもあります。
とはいえ、タイムカードでの勤怠管理やエクセルによる勤怠管理でも、業務を行う担当者の人件費が発生しており、勤怠管理システムで業務効率化が実現することにより会社全体での管理工数は削減できます。なお、クラウド型の勤怠管理システムであれば月額料金が数百円からと安い製品もあり、費用を抑えたい場合にはクラウド型がおすすめです。
別記事「勤怠管理システムの費用相場」では、初期費用や月額料金の相場、そして価格が安いおすすめシステムを紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
費用対効果が見えづらい
費用対効果が見えづらい点も、勤怠管理システムのデメリットといえます。勤怠管理システムは売り上げに直接影響を及ぼすものではないため、経営陣から勤怠管理システム導入の必要性をすぐには理解してもらえないことも。そのため、導入前と導入後でどれくらい作業時間が削減できるか、その結果、どれくらい業務効率が向上するかなどを中心に費用対効果を説明することが重要です。
勤怠管理ソフトの導入事例
勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)の導入事例を知ると、自社に導入した際の効果をイメージしやすくなります。勤怠管理システムを導入したことによって、実際にどのような成果が上がったのか、他社の導入事例を見ていきましょう。
勤怠管理ソフト「AKASHI」の導入事例
大企業から中小企業、パートやアルバイトを雇用する個人店舗まで幅広い企業に導入実績がある勤怠管理ソフト「AKASHI」。「AKASHI」を導入したA社では、全従業員の勤怠管理をExcelで管理していました。5社の勤怠管理システムを比較検討した結果、使いやすさ、操作性の良さ、レポート出力できる項目数、さらに費用も決め手となって「AKASHI」を導入。
Excelで管理していた頃は、集計作業だけで4~5営業日かかっていたものが、勤怠管理システム導入後は2日ほどに短縮。その結果、担当部署は勤怠管理や給与計算業務以外のコア業務にあてられる時間が格段に増えたそうです。
勤怠管理ソフト「KING OF TIME」の導入事例
導入企業数4万7,000社と、業界トップクラスのシェアを誇る勤怠管理ソフト「KING OF TIME」の導入事例を紹介します。「KING OF TIME」を導入したB社ではタイムカードによる勤怠管理を行っており、毎月手作業で従業員の労働時間を計算していました。
勤怠の締め作業には毎月2日営業日ほどかかっていたそうですが、「KING OF TIME」の導入以降は1時間で終わるように。また、タイムカードによる勤怠管理でつきものだった打刻ミスをはじめとする人為的ミスも削減できました。
勤怠管理ソフト「ハーモス勤怠 by IEYASU」の導入事例
従業員30人以下なら料金無料で使えるクラウド型勤怠管理ソフト「ハーモス勤怠 by IEYASU」を導入した企業の事例です。「ハーモス勤怠 by IEYASU」を導入したC社は、以前、従業員が打刻したタイムカードの情報を労務担当者が勤怠管理システムに手入力する方法で勤怠管理をしていました。
この労働時間の入力から確認まで毎月2~3日を要していましたが、「ハーモス勤怠 by IEYASU」の導入により、9割ほどの工数を削減。また、残業時間をリアルタイムで把握できることで、従業員の残業に対する意識も変化し、会社全体の残業時間も大幅に減ったそうです。
勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)は、数多くの会社から提供されています。そのため、各社を比較して自社に合ったシステムを一つ選ぶのが難しいもの。そこで、勤怠管理システムの選び方や比較方法を詳しく解説します。
- クラウド型とオンプレミス型を比較して選ぶ
- 自社の就業規則に合った勤怠管理システムか
- 他のシステム・ツールと連携可能か
クラウド型とオンプレミス型を比較して選ぶ
勤怠管理システムは、クラウド型とオンプレミス型の2種類に分かれます。クラウド型の勤怠管理システムは、インターネット環境とパソコンやスマートフォンなどの端末があればどこからでも利用できる点がメリットです。
一方、オンプレミス型の勤怠管理システムは、複雑な就業形態に対応できるカスタマイズ性の高さがメリット。勤怠管理システムの導入目的や利用方法に合わせて、クラウド型かオンプレミス型を選びましょう。
自社の就業規則に合った勤怠管理システムか
自社の就業規則に合わない勤怠管理システムを選んでしまうと、システムで対応しきれない一部業務を手作業で行う・就業規則を変更するといった対応が発生してしまいます。そのため、事前に就業規則(就業形態、雇用形態、社内の独自制度など)を理解し、必要な機能をを確認することが重要です。
他のシステム・ツールと連携可能か
勤怠管理システムは、他の社内システム・ツールと連携することで、バックオフィス業務全体を効率化することが可能。たとえば、勤怠管理システムの勤怠データを給与計算システムに連携することで、自動で給与計算を行う仕組みをつくることができます。
そのため、「既存の業務システムと連携可能か」「バックオフィス系のクラウドツールと連携しやすい勤怠管理システムか」という観点で比較し、選ぶものおすすめです。
→勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)の比較方法やおすすめサービス紹介
勤怠管理システムの導入手順
はじめて勤怠管理システム(勤怠管理ソフト)の導入を担当する人に向け、勤怠管理システムの導入手順を解説します。
- 勤怠管理システムを導入する目的を明確にする
- 選んだ勤怠管理システムでトライアルを行う
- 勤怠管理システムの使い方を従業員に周知する
1.勤怠管理システムを導入する目的を明確にする
まずは勤怠管理システムを導入する目的を明確にします。それは、目的によって選ぶべき勤怠管理システムが異なるからです。たとえば、労働時間の集計から給与計算までの作業を自動化したいのであれば、給与計算システムと連携可能な勤怠管理システムを選ぶ必要があります。勤怠管理システムに必要な機能を洗い出し、その機能を搭載しているシステムを比較検討しましょう。
2.選んだ勤怠管理システムでトライアルを行う
勤怠管理システムを導入する際は、まずトライアルを行いましょう。いきなり全社に導入してしまうと、初期設定が上手くいかないなど思いもよらないトラブルが発生する可能性があるからです。そのため、まずは業務システムの扱いになれた部署でトライアル利用し、問題なければ全社での本格運用に移行します。
3.勤怠管理システムの使い方を従業員に周知する
勤怠管理システムを導入したら、システムの使い方を従業員に周知しましょう。勤怠管理システムを導入しても、従業員に使ってもらわなければ意味がありません。中には、パソコンやシステムの操作に不慣れな従業員もいるでしょう。その場合は、周知だけではなく使い方の勉強会や研修会を行う必要があります。
まとめ:勤怠管理ソフト選びに迷ったらPRONIアイミツへ
勤怠管理システムとは、従業員の労働時間を自動集計してくれるなど、勤怠管理業務を効率化できるシステムです。計算ミスや転記ミスなどのヒューマンエラーを削減できる点もメリットです。勤怠管理システムの導入は直接売り上げに直結しませんが、業務効率化、最新の法律に即した働き方が実現できるなど多くのメリットを企業にもたらします。
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