事業再構築補助金とは?対象事業者や金額をわかりやすく解説
「思い切った事業転換・新規事業を行おう」と考えている中小企業におすすめなのが、事業再構築補助金です。この補助金制度では、中小企業が新たな事業に挑戦し、思い切った資本投資を行うことをサポートします。またコロナの影響を受けた事業者に対する補助金サポートもあります。
本記事では、事業再構築補助金とは何か、対象事業者や金額をわかりやすくお伝えします。売上回復に取り組みたい中小企業はぜひ補助金活用を検討ください。
- 事業再構築補助金とは
- 事業再構築補助金の対象事業者
- 事業再構築補助金の5つの枠
- 補助対象となる経費
- 事業再構築補助金の申請の準備
- 事業再構築補助金の注意点
- まとめ:中小企業を支援する補助金・助成金を活用しよう
事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、中小企業庁が主体の制度で、中小企業・中堅企業が事業転換や再編に挑戦することを支援する制度です。新型コロナウイルス感染症の長期的な影響によって売上が回復しづらい事業者は多く、社会のニーズに沿った事業への転換・再編が必要です。しかし、事業転換はリスクがあり、まとまった資金も必要なことから、経営の方向転換に乗り出せない事業者も多いと考えられます。事業再構築補助金により、事業転換のハードルが下がることが期待でき、売上回復に取り組みたい中小企業・中堅企業におすすめの制度です。
なお、事業再構築補助金の「事業再構築」とは、次の6つに該当する事業計画を指しています。
事業再構築に該当する事業計画 | 詳細 |
---|---|
新市場進出 | 新たな製品等で新たな市場に進出する。 |
事業転換 | 主な事業を転換する。 |
業種転換 | 主な業種を転換する。 |
事業再編 | 事業再編を通じて新市場進出(新分野展開、業態転換)、 事業転換、業種転換を行う。 |
国内回帰 | 海外で製造・調達している製品を、国内で生産できるよう拠点を整備する。 |
地域サプライチェーン維持・強靭化 | 地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品を、国内で生産できるよう拠点を整備する。 |
事業再構築補助金の対象事業者
事業再構築補助金の各メニューによって細かい条件は違ってきますが、全メニュー共通の条件としては次の3つがあります。自社が対象事業者となるか確認しましょう。
- 事業再構築の定義(新市場進出・事業転換・業種転換・国内回帰・地域サプライチェーン強靭化)に該当するか
- 金融機関などから資金提供を受けて事業を実施する場合は、事業計画を資金提供元と策定し、確認を受ける
- 補助事業終了後3~5年で、付加価値額を3~5%(各メニューにより割合が異なる)以上増加させる
以上、事業再構築補助金の概要をざっくりとお伝えしました。ここから先では、各メニューの内容を詳しく解説しますので、自社に適したメニューを確認ください。
事業再構築補助金の5つの枠
事業再構築補助金は、支援目的ごとに5つの枠に分かれています。自社の経営状況や今後の取り組み方針にあったメニューがあるかを確認ください。
事業再構築補助金の枠 | 概要 |
---|---|
成長分野進出枠(通常類型) | ポストコロナ時代の社会ニーズに対応した、成長分野への事業再構築に取り組む企業を支援する。国内市場縮小などの課題に直面する企業向け。 |
成長分野進出枠(GX進出類型) | グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に取り組む企業を支援する。 |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | コロナの影響を受け、今なお債務の借り換えを行っている企業が、事業再生に取り組むことを支援する。 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 最低賃金引上げの影響を大きく受ける企業を支援する。 |
サプライチェーン強靱化枠 | ポストコロナ時代の社会ニーズに対応した、国内サプライチェーンの強靭化に取り組む企業を支援する。 |
成長分野進出枠(通常類型)
事業再構築補助金の成長分野進出枠(通常類型)では、ポストコロナ時代の社会ニーズに対応した、成長分野への事業再構築に取り組む企業を支援します。国内市場縮小などの課題に直面する企業向けのメニューです。
新規で挑戦する事業については、直近10年間で市場規模を10%以上拡大してきた、あるいは拡大する見込みがある業種・業態に属していることが条件です。補助金事業終了後に付加価値を年平均4%以上成長させることが必要です。
もしくは現状、成長率が10%以上縮小する業種・業態に属していて、経営回復のために別の業種・業態の新規事業を開始する場合も、本メニューを適用できます。
補助上限額・補助率
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 1,500万円 | 1/2 |
21人~50人 | 3,000万円 | 1/2 |
51人~100人 | 4,000万円 | 1/2 |
100人以上 | 6,000万円 | 中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
成長分野進出枠(GX進出類型)
事業再構築補助金の成長分野進出枠(GX進出類型)では、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に取り組む企業を支援します。グリーン成長戦略とは、CO2排出削減・カーボンニュートラル実現を目指して国が主導する政策。その中で14個の重要分野が挙げられています。

グリーン成長戦略を推進するためには民間企業の取り組みが必要不可欠です。本補助金の成長分野進出枠(GX進出類型)は、企業経営者が積極的にグリーン成長戦略にコミットできる環境をつくるための取り組みです。
本メニューに申請する事業者は、補助金事業終了後に付加価値を年平均4%以上成長させること、また給与支給額を年平均2%以上増やすことが求められます。
補助上限額・補助率
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 3,000万円 | 1/2 |
21人~50人 | 5,000万円 | 1/2 |
51人~100人 | 7,000万円 | 1/2 |
101人以上 | 8,000万円 ※中堅企業の場合は1億円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
コロナ回復加速化枠(通常類型)
事業再構築補助金のコロナ回復加速化枠(通常類型)では、コロナ渦で抱えた債務の借り換えを行った事業者や、事業再生に取り組む事象者を支援します。たとえば、下記のコロナ借換保証等で借り換えをしている事業者が当てはまります。
- 伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)
- コロナ経営改善サポート保証
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 新型コロナ対策資本性劣後ローン
- 生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
- [新型コロナ関連]マル経融資
- [新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
- [新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金
本メニューに申請する事業者は、補助金事業終了後に付加価値を年平均3%以上成長させることが求められます。新型コロナウイルス感染症の影響を長期的に受け、売上が回復しづらい事業者はぜひ本メニューを活用ください。
補助上限額・補助率
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 1,000万円 | 2/3 |
6人~20人 | 1,500万円 | 2/3 |
21人~50人 | 2,000万円 | 2/3 |
51人以上 | 3,000万円 | 中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
事業再構築補助金のコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)では、コロナの影響によって今なお低賃金で働く従業員の待遇改善を支援します。具体的には、2022年10月~2023年9月の間で、3ヶ月以上「最低賃金+50円以内」で雇用する従業員が10%以上いる事業者が対象です。
補助上限額・補助率
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 500万円 | 2/3 |
6人~20人 | 1,000万円 | 1/2 |
21人以上 | 1,500万円 | 中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
※コロナ借換保証等で債務の借り換えを行っている場合、中小企業の補助率は3/4、中堅企業の補助率は2/3まで引き上げ。
サプライチェーン強靱化枠
事業再構築補助金のサプライチェーン強靱化枠では、ポストコロナ時代の社会ニーズに対応した、国内サプライチェーンの強靭化に取り組む企業を支援します。本メニューの補助上限額は3億円と、他のメニューと比較して補助金の規模が大きいです。一方で、満たさなければいけない条件は下記の通り複雑・多様なため、本腰を入れて取り組む必要があります。
- 取引先から国内生産の要請がある
- 直近10年間で市場規模を10%以上拡大してきた、あるいは拡大する見込みがある業種・業態である
- 経済産業省のDX推進指標を用いて自己診断をし、IPAに提出している
- IPAの「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っている
- 最低賃金がその地域の最低賃金より30円以上高い
- 給与支給額を年平均2%以上増加させる取り組みである
補助上限額・補助率
補助上限額 | 補助率 |
---|---|
3億円 ※建物費を含む場合は5億円 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
補助対象となる経費
事業再構築補助金の補助対象となる経費は、たとえば次のようなものがあります。
補助対象の経費 | 詳細 |
---|---|
建物費 | 建物の建設・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場・貸店舗等の一時移転 |
設備購入費 | 設備の購入やリース、クラウドサービス利用費、運搬費 |
技術導入費 | 知的財産権導入に要する経費 |
外注費 | 製品開発に要する加工・設計、専門家経費 |
広告宣伝・販売促進費 | 広告作成、媒体掲載、展示会出展 |
研修費 | 教育訓練費、講座受講 |
このように、事業拡大につながるさまざまな投資費用を補助金で賄うことができます。クラウドサービスについては、各業界に特化したツールも多数あり、たとえば在庫管理システムや受発注システムを導入することで、スムーズに新事業を開始できるでしょう。
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事業再構築補助金の申請の準備
事業再構築補助金の申請手順は、次の通りです。
- 公募要領を確認し、自社の事業計画が補助金の対象となるかを確認する。
- 事業計画書を作成する。事業の目的や計画の詳細、予想される成果などを明確に記述する。
- GビズIDプライムアカウントを発行する。
- 必要に応じて認定経営革新等支援機関に相談する。
- 必要書類を準備し、電子申請システムを通じて申請する。
事業再構築補助金の申請は、単に書類を提出するだけでなく、補助金を効果的に活用する計画を立てる必要があります。時間と労力が必要ですが、事業の新たな展開を実現するための貴重な支援を受けることが可能です。
事業再構築補助金の注意点
最後に、事業再構築補助金を利用する際の注意点をお伝えします。
採択率、採択されやすさを考慮する
事業再構築補助金の採択率、採択されやすさはメニューによって違います。「成長分野進出枠(通常類型)」では採択率が40%以下で推移しているのに対し、「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」では採択率74〜79%と非常に高いです。自社の経営方針とマッチしたメニューはもちろんのこと、採択率も考慮して申請枠を選ぶのがおすすめです。
最新の公募要領を確認する
公募要領は更新され、細かな要件が変更される場合があります。最新の公募要領を必ずチェックして事業計画書を作成しましょう。
提出書類の不備に注意する
提出書類の不備は、申請が却下される主な原因の一つです。申請書類は、指定されたフォーマットに従って正確に記入し、必要な添付資料を完備することが求められます。書類の不備があっても修正を行えるよう、書類の期限ギリギリではなく余裕を持って準備するのがおすすめです。
まとめ:中小企業を支援する補助金・助成金を活用しよう
事業再構築補助金は、中小企業が新たな事業に挑戦し、思い切った資本投資を実施することをサポートします。新たな事業に踏み出す際には、設備導入・システム導入・外注などが必要となりますが、補助金制度を活用することでコストやリスクを最小限まで抑えることが可能です。
新規事業を推進するためにITツールの導入をお考えの方もいるでしょう。ITツール導入時に使える補助金としては「IT導入補助金」があり、会計ソフト・受発注システムなどさまざまなシステムの導入費用を安く抑えられます。
なお、PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして企業からの相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったITツールが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
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