受発注システムとは?機能やメリット・デメリットを解説
電話やFAXでの受発注は処理や管理が煩雑で、手間と時間がかかるという課題があります。「受注方法がバラバラで一元化されておらず、処理が大変」「Excelによる受注データの管理が煩雑化している」という企業も多いでしょう。そこでおすすめなのが、受発注システムです。受発注システムは、受発注業務の一元管理が可能。受注・出荷・請求業務までの一連の処理を効率化でき、生産性の向上を実現します。
そこで本記事では、受発注システムの基礎知識から、メリット・デメリット、システムの選び方まで網羅的に解説。受発注業務をシステム化し、企業の生産性を向上したい営業担当者はぜひご覧ください。
- 受発注システムとは
- 受発注システムの主な機能
- 受発注システムを導入するメリット
- 受発注システムを導入するデメリット
- 受発注システムを選ぶポイント
- 受発注システムの導入がおすすめの企業
- まとめ:取引先が発注しやすいシステムで受注拡大へ
- よくある質問
受発注システムとは
受発注システム(Web受発注システム)とは、受注と発注に関する一連の業務をWeb上で完結できるシステムです。従来の電話やFAX、メールによる受発注をシステム上で一元化し、受注側と発注側の双方が業務の効率化・自動化を実現できます。
受発注システムを導入することで、「受注側」は注文受付や在庫管理、請求書作成などの業務を簡略化でき、「発注側」は専用画面から簡単に発注業務を完了できます。受発注にかかっていた時間や手間を大幅に削減できるため、多くの企業が導入を進めています。
2024年現在、中小企業や小規模事業者は、インボイス制度に対応した受発注システムを導入する際に、IT導入補助金を活用できます。補助率は2/3、最大350万円の補助を受けられますので、受発注システムの導入時にぜひ補助金も活用ください。
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受発注システムと販売管理システムの違い
受発注システムの中には、販売管理機能を搭載した製品もありますが、一般的には2つのシステムは、導入目的・カバーする業務範囲が異なります。ここでは、それぞれの違いを解説します。
システムの種類 | 導入目的 | 業務範囲 |
---|---|---|
受発注システム | 受注側と発注側の業務効率化 | 受発注管理、注文受付、在庫管理、請求書作成など |
販売管理システム | 販売業務全般の管理 | 顧客管理、商品管理、売上分析など |
受発注システムは、受発注業務を効率化することに焦点を当てています。一方、販売管理システムは、販売に関わる業務全般を包括し、企業の「お金」と「商品」の流れを管理するシステムです。顧客管理、製品管理、売上分析、営業活動などの業務が含まれます。そのため、売上データを分析し、売上の最大化につなげる施策にも利用します。
受発注システムと販売管理システムは連携して運用するケースが多く、受発注システムの受注データを販売システムに反映して活用します。
受発注システムが必要とされる背景
新型コロナウイルス感染拡大以降、企業間取引でも非接触・非対面への対応が求められ、その結果、電子受発注(受発注システム)への対応が一挙に進んでいます。
2021年に実施した中小企業庁の調査によると、電子受発注に対応している企業は、「受注側 48.5%」「発注側 40.9%」、業界別では、特に「製造業」「卸売業」が50%以上と高い割合でした。
出典:『受発注のデジタル化に関する推進方策 報告書』中小企業庁
上記の調査結果から、コロナ禍を機に受発注システムの導入が進んでいる状況であることが分かります。受発注システムは非接触・非対面に対応できるだけでなく、受発注を1つのシステムに集約できるため業務にかかる負担やコストを大幅に削減できます。今後、業務効率化やコスト削減を図りたい企業は、受発注をシステム化していくことが求められるでしょう。
受発注システムの主な機能
ここでは、受発注システムの主な機能を解説します。
- 受発注管理・取引先管理
- ステータス表示
- 商品管理・販売管理
- 在庫管理
- 請求管理・帳票作成
- メール管理
- 支払い・決済管理
- 外部連携
受発注管理・取引先管理
受発注内容と取引先を一覧化する機能です。受注側は、受注内容を取引先情報と併せて一元管理できます。注文をシステム上で自動で受け付けるため、手間を削減できます。発注側は、専用画面から発注を簡単に行え、発注一覧や履歴の確認もできます。在庫数に応じた発注の自動化も可能です。
ステータス表示
受注や発注の進捗状況をリアルタイムで確認できる機能です。受注・発注から出荷・受取までの流れが一目で把握できるため、問題が発生した際の迅速な対応も可能となります。
商品管理・販売管理
販売したい商品を登録し、商品名やカテゴリ、価格などのデータを一元管理する機能です。商品や売上、請求書の情報をもとにデータ分析をすることも可能です。
在庫管理
商品の入庫と出庫データから在庫数を正確に把握できる機能です。「在庫が無いにも関わらず受注してしまう」というミスを回避できます。
請求管理・帳票作成
発注書や請求書の作成や管理ができる機能です。納品書のデータから締め日に合わせて請求書を自動で発行・送付します。月々の受注数、請求書の発行数が多い企業には特に役立つ機能です。
メール管理
注文内容確認メール、サンクスメール、おすすめ商品の案内メールなどを自動送信できる機能です。発注側は注文内容を確認できるため、発注ミスの早期発見に役立ちます。受注側は受注通知を受け取れるため、出荷にスムーズに対応できます。
支払い・決済管理
支払い金額や決済方法を管理する機能です。売上や未収金の把握ができ、経営判断に役立てられます。幅広い決済方法に対応できるシステム、決済システムと連携して管理できるシステムもあります。
外部連携
生産管理システムや在庫管理システム、販売管理システムといった外部システムと連携できる機能です。連携により、受注データの二重入力や手入力による修正作業がなくなります。
受発注システムを導入するメリット
受発注システムを導入するメリットを知ることで、システム導入後の活用イメージが明確になるでしょう。ここでは、主要なメリット5つを解説します。
- 電話やFAXによる受発注業務をWebで完結できる
- 受発注内容や取引先の管理を効率化できる
- 人為的なミスを軽減できる
- 受注内容や出荷状況をリアルタイムで把握できる
- 顧客満足度の向上につなげられる
電話やFAXによる受発注業務をWebで完結できる
電話・FAX・メールのように受注方法がバラバラで、受注処理に手間と時間がかかっていた企業も、受発注システムの導入により受注をシステムに集約できます。受発注業務をWeb上で完結できるため、大幅な業務効率化や人件費の削減が可能です。受発注が簡単に行える上、注文内容の確認も容易になります。
受発注内容や取引先の管理を効率化できる
受発注システムは、受発注内容や取引先情報を一元管理することができます。これにより、取引履歴の確認や取引先情報の更新が容易になり、情報管理が効率化できます。受注内容はシステムに一元管理されるため、FAXで受け取った発注書を紛失してしまう心配もなくなります。
人為的なミスを軽減できる
電話やFAXによる受発注業務では、聞き取りの間違いやFAX用紙の文字が見づらく転記ミスが発生しやすいという課題がありました。人為的なミスは、業務の効率低下や顧客満足度の低下に直結するため、軽減する必要があります。受発注システムを導入することで、受注データの手入力は不要になる上、請求書作成などの自動化が可能になり、人為的なミスを軽減できます。また、データの一元管理により、情報の把握や更新が容易になるためミスを発見しやすくなります。
リアルタイムで受注内容や金額を把握できる
受発注システムの導入により、品目・数量といった受注内容と金額をリアルタイムで把握できるようになります。棚卸表の作成も自動で行え、キャッシュフローの可視化もできます。また、リアルタイムで情報を共有できるため、経営層も最新の売上や受注状況をすぐに把握できます。
顧客満足度の向上につなげられる
受発注システムを導入することで、発注側である取引先企業の顧客満足度の向上につなげられます。システムの利用により、受注処理や出荷作業がスムーズに行われるため、顧客からの注文に迅速に対応できます。
また、受発注システムにより在庫管理の最適化が可能となり、過剰在庫だけでなく商品の欠品を防げるようになります。在庫数以上に発注が来ないように制御できるため、「発注してもらった後に、取引先にお断りする」といった事態を回避できます。さらに、請求処理の自動化により請求ミスが減少し、顧客とのトラブルが少なくなります。これらの要素が顧客満足度の向上につながっていきます。
受発注システムは、受注側だけでなく発注側にも多くのメリットがあるシステムです。電話やFAXでの受発注を行っている企業は導入の検討をおすすめします。PRONIアイミツでは、以下のボタンから希望要件に合った受発注システム(最大6社)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
受発注システムを導入するデメリット
多くのメリットがある受発注システムですが、一方で以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- 取引先への確認・同意が必要になる
- システムの定着に時間がかかる
- 導入コストがかかる
取引先への確認・同意が必要になる
受発注システムを導入するデメリットとして、取引先への確認・同意が必要になることが挙げられます。システム導入に伴い、取引先によっては業務フローを変更する必要があったり、インターネット回線やデバイスといった発注環境を整える必要があったりするため、事前の確認と同意は欠かせません。
取引先に受発注システムを導入してもらうためには、システム導入による発注の効率化や自動化といった取引先のメリットを伝えましょう。取引先の利用料が無料のシステムを選ぶことも大切です。また、システムからの発注方法や操作フローをテキストや動画で伝えるなど、取引先がスムーズに導入するための配慮も必要になります。
システムの定着に時間がかかる
受発注システムの導入には、システムの定着に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。システムの導入当初は、従業員の研修や業務フローの見直しが必要となり、一定の時間を要します。また、システムに不慣れなスタッフが多い場合には操作に慣れるまでに時間がかかることもあり、一時的に業務効率が低下するケースがあります。
対処法としては、画面の設計がシンプルで、直感的に操作ができるシステムを選ぶことです。教育コストを減らせるだけでなく、業務効率化も進みます。
導入コストがかかる
システム導入には、初期費用や月額費用といった導入コストがかかります。初期費用無料で、導入費用を抑えられるサービスや、月額料金が安いサービスもあるため、複数のサービスの費用をトータルコストで比較することをおすすめします。
受発注システムを選ぶポイント
ここでは、受発注システムを選ぶポイントを解説します。以下のポイントを、受発注システム導入時の参考にしてください。
- 業界・業種への対応実績はあるか
- 自社に必要な機能はあるか
- 取引先が使いやすいシステムか
- スマホ・タブレットには対応しているか
- 自社で利用中のシステムと連携できるか
- 導入後もサポートしてくれるか
業界・業種への対応実績はあるか
受発注システムによっては、「製造業向け」「飲食店向け」のように特定の業界・業種に特化したサービスもあるため、選定時には業界・業種への対応実績があるかを確認しましょう。業界・業種によって受発注のプロセスや取引形態が複雑なケースがあり、自社の受発注業務に適したシステムを選ぶことで導入効果を高められます。
自社に必要な機能はあるか
システムによって搭載する機能が異なるため、自社に必要な機能はあるかを導入前に確認してください。カスタマイズ性も各社によって違うため、カスタマイズに対応できる範囲をチェックしておきましょう。
自社の受発注業務における課題を明確にした上で、システムを選定するのがおすすめです。自社の業務フローやニーズに応じた機能があるシステムを選ぶことで、業務効率の向上やミスの削減が期待できます。
取引先が使いやすいシステムか
受発注システムは発注側も利用するシステムのため、取引先が使いやすいかどうかも考慮しましょう。取引先が使いやすいシステムであれば、システムの導入や定着がスムーズで、負担も最小限にとどめることができます。加えて、操作しやすいシステムなら、発注時の手間と時間を削減できます。
「取引先がWeb上で簡単に注文や問い合わせができるか」「FAXや電話での発注にも対応可能か」「進捗状況がリアルタイムで確認できるか」といった点も確認し、取引先と円滑な取引ができるシステムを選びましょう。
スマホ・タブレットには対応しているか
スマホやタブレットに対応しているシステムであれば、取引先が発注しやすくなるだけでなく、自社も場所を問わずに受注対応ができるようになります。スマホ・タブレット対応の受発注システムを選ぶ際には、「モバイルアプリがあるか」「タッチ操作に適したUI設計になっているか」も確認しましょう。
自社で利用中のシステムと連携できるか
受発注システムは、在庫管理システムや物流システム、会計ソフトといった他システムと連携することで、受注データを共有・反映できるため二重入力や入力ミスがなくなります。入力の修正作業が不要になり、企業全体の効率化を実現できます。受発注システムによって連携できるシステムは異なるため、自社で利用中のシステムと連携できるかを確認してください。
導入後もサポートしてくれるか
システム導入時だけでなく、導入後もサポートしてくれるかも重要なポイントです。システムの運用中には、予期せぬトラブルが発生することがあります。適切なサポートが受けられると、問題を早期に発見して対処でき、取引先への影響も抑えられます。サポート体制が整っているかを確認し、安心して長期的に利用できるシステムを選びましょう。
PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、受発注システム選びの相談を承っています。以下のボタンから、いくつかの質問に答えるだけで自社におすすめのツールがわかる無料診断が可能ですのでぜひご活用ください。
受発注システムの導入がおすすめの企業
受発注システムの導入がおすすめの企業は、「取引先が多い企業」「店舗数が多い企業」です。以下で詳しく解説します。
取引先が多い企業
卸売業やメーカー、製造業といった取引先が多い企業においては、受発注処理だけでなく、納品書・請求書といった帳票作成と発行の業務量も多くなります。煩雑な業務を改善するために、受発注システムの導入が有効です。納品書・請求書の発行のような業務は自動化も可能で、手作業によるミスを減らせます。
また、多くの企業が電話やFAXで受発注を行っていることから、システム導入により受注業務にかかる営業担当者の負担軽減やコスト削減が期待できます。
店舗数が多い企業
フランチャイズの飲食店のように店舗数が多い企業では、商品の受発注が複数の拠点で行われるため、受発注データの一元管理が求められます。受発注システムを導入することで、食材ロスを回避し、受発注管理の効率化が図れます。また、システムにより、各店舗との情報共有が容易になります。
さらに、効果的なマーケティングや営業戦略を立てるため、適切なデータ分析が必須です。受発注システムにより、リアルタイムでのデータ把握が可能になり、最適な戦略が立てられるようになります。
まとめ:取引先が発注しやすいシステムで受注拡大へ
受発注システムを導入する際には、取引先が発注しやすいシステムを選ぶことで、顧客は注文をスムーズに行えます。リピートの定着を促すだけでなく、新規顧客も導入しやすく、受注拡大につながるでしょう。導入時は、受注側と発注側の双方に利用しやすいシステムを選び、売上アップや販路拡大につなげましょう。
最適な受発注システムを見つけるためのランキングは、以下のリンクからご覧いただけます。ぜひ参考にして、自社に適したシステム選びを行ってください。
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よくある質問
受発注システムについて、よくある質問に答えます。
卸売業・商社向けの受発注システムは?
卸売業・商社向けの受発注システムには、BtoB取引に特化した機能が含まれています。在庫管理や請求管理など、卸売や商社の業務に適したシステムを選択することが重要です。例えば、「CO-NECT(コネクト)」や「BtoBプラットフォーム 受発注」が挙げられます。
製造業向けの受発注システムは?
製造業向けの受発注システムでは、生産管理や購買管理の機能が必要です。また、製品の品質管理や在庫管理も重要な要素となりますので、適切なシステムの選択が求められます。例えば、「BtoBプラットフォーム 受発注 for 製造業」が挙げられます。
無料で使える受発注システムは?
無料で利用できる受発注システムには、「CO-NECT(コネクト)」があります。ただし、無料サービスは機能やサポートが限定的なことが多いため、事前に確認しましょう。
受発注システムの作り方は?
受発注システムを導入する際には、まず業務の流れを整理し、システム化すべきポイントを把握しましょう。次に、自社内で開発するか、外部のIT企業に依頼するか決定します。外部に依頼する場合は予算やサポート体制を確認した上で信頼できる企業を選ぶことが重要です。また、既存のパッケージ製品をカスタマイズして利用する方法もあります。
受発注システムとEDIの違いは?
受発注システムは受発注業務を効率化するためのシステムで、受発注業務を電子化し、取引先間でのデータのやり取りをサポートします。対してEDIは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、標準化された形式で電子データを交換する手法です。受発注システムはEDIを利用して、さらに効率的な業務運用が可能です。
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