オンラインストレージの選定基準を法人向けに全て解説
自社にぴったりのオンラインストレージを導入するためには?6つの選定基準とあわせて、導入で起こり得るデメリットを法人向けにわかりやすく解説していきます。
オンラインストレージとは
オンラインストレージとは、インターネット上にデータを保管するサービスを指すものです。クラウドストレージと呼ばれることもあり、PCやスマートフォン・タブレットなどマルチデバイスでの共有・閲覧・編集、複数デバイスからの同時編集などに対応しています。場所を問わず常に最新のファイルを閲覧・編集できるだけでなく、メールへの添付が困難な大容量ファイルの共有も手軽に行えるため、複数拠点でのデータ共有やリモートワークを推進する企業でも活用されています。また、大切なファイルをクラウド上に保管することにより、万が一の災害発生時などのリスクヘッジにつながるのもオンラインストレージの大きな特徴です。
オンラインストレージの選定基準で代表的な6つ
現在は各社からオンラインストレージサービスが提供されており、導入する際には自社に合ったサービスを選ぶ必要があります。ここからは、オンラインストレージを選ぶ際の基準となる6つのポイントを解説していきます。
セキュリティ対策が十分か
オンラインストレージは個人情報や社外秘・関係社外秘など重要な情報を扱うことが想定される一方で、サービスによってセキュリティレベルが異なるのも事実です。過去には無料サービスでセキュリティ事故が発生した事例もあるので、オンラインストレージを導入する際はセキュリティ対策をしっかりと確認・比較する必要があるでしょう。注意したいポイントは「ハッキング対策」「災害対策」「履歴(ログ)管理」の有無や内容。これらの機能を備えているサービスであれば、外部からの攻撃から大切な情報が守れるだけでなく、万が一の災害時のリスク最小化、不正が発覚した際の追跡も行えるので安心ではないでしょうか。また、自社が独自のセキュリティポリシーを定めている場合は「それに則った運用が叶うか」も大切なポイント。「外部のサーバーに情報を格納したくない」という場合は、オンプレミスでの導入を検討してみてもいいかもしれません。
バックアップに適しているか
ファイル・データのバックアップを主な目的としてオンラインストレージを導入する場合は、セキュリティ対策にくわえて、自社での利用規模や扱うファイルの種別、使用できる容量を確認することが大切です。たとえば、比較的容量の少ない文書ファイルを中心にバックアップを行うのであれば、数GBほどの容量でも十分だと考えられます。しかし、高解像度の画像や動画などの大容量データのバックアップを希望する場合は、TBクラスの容量が必要です。オンラインストレージのなかには容量の追加に対応しているサービスや、容量が無制限のプランを用意しているサービスもあるので、そうしたサービスを選ぶのも1つの手段でしょう。また、サービスによっては最小利用人数が設けられているものもあるので、小規模での導入を検討している場合は注意が必要です。
データセンターの所在地
提供元が使用するデータセンターの所在地も、オンラインストレージを選定する際の大切な基準の1つです。国内の企業と利用契約を締結したとしても、オンラインストレージに使用しているサーバーの所在地が海外であれば、その国の法律が適用されます。特に注意が必要なのは「パトリオット法」のある米国で、テロをはじめとする有事の際にはFBIによってストレージが差し押さえられてしまうことも。法律の観点からも、オンラインストレージを導入する際は国内のデータセンターを使用しているサービスを選ぶことをおすすめします。また、大規模な運用・管理を想定している企業には、1つのエリアだけでなく複数の拠点にデータセンターを置くサービスが適している場合も。複数の拠点でデータのバックアップを行うことで、万が一の自然災害が発生した場合でも事業継続が叶うのではないでしょうか。
コストが適切か
現在はさまざまな企業からオンラインストレージが提供されており、なかには初期費用が無料となっているものもあるので、コストを抑えて導入することができます。しかし、ただ「ユーザー1人あたりの月額料金が安いから」といった理由で導入サービスを決定するのはおすすめできません。オンラインストレージは使用対象となる従業員が幅広くなると考えられ、人員が増えるほどにランニングコストが膨らむため、現状だけでなく事業計画や採用計画なども踏まえた上で検討する必要があるでしょう。もちろん、利用人数だけでなく規模も忘れてはいけないポイントです。いくら容量が無制限であっても、大容量のデータを扱わないのであれば無駄な料金を支払い続けることもあるので、利用規模と容量、利用料金のバランスが適切なサービスを選ぶことが重要だといえます。
本番利用を想定できるか
オンラインストレージは手軽に導入ができる一方で、あらかじめ仕様やインターフェース、操作性が決まっているため、利用者側で細かなカスタマイズを施すことができません。そのため、オンラインストレージを導入する際は「データ容量」や「操作性」「機能」「インターフェースのわかりやすさ」など、実際の運用を想定した上で選定を進めることが大切です。また、サービスによっては外部システムとの連携に対応しているものもあるので、既存システムとの相性に優れているものを選べばさらなる業務効率化が期待できます。くわえて、セキュリティの面では権限管理機能の有無も重要なポイント。フォルダやファイルへのアクセス権限を細かく設定できるオンラインストレージであれば、部署やチーム、プロジェクト単位で安全にファイル・データ共有が行えるのはもちろん、情報漏えいのリスク低減にもつながるのではないでしょうか。
誰でも扱えるか
オンラインストレージは社内の多くの従業員が使用対象となるため、選定時には「誰でも簡単に扱えるか」という点にも注目しましょう。システムの使用に関する知識や経験は従業員によって異なるもの。すべての従業員が簡単に使いこなせるとは限らないため、できるだけ操作性の高いものを選ぶのがおすすめです。マニュアル不要で直感的に操作ができるサービスを選べば、教育コストが削減できるだけでなく社内での定着もスムーズに進むと考えられます。また、スマートフォン・タブレットへの対応やモバイルアプリの有無、アップロード速度なども確認しておきたいポイント。可能であれば導入前にトライアルを活用し、操作性やアップロード速度などを実際に確かめてみてもよいでしょう。
オンラインストレージで起こり得るデメリットとは
オンラインストレージで起こり得るデメリットとしては、次のような点があります。
トラブルへ対処できない
オンラインストレージのデメリットとして最初にあげられるのは、トラブルが発生した際に自社での対処が難しいということです。クラウドサービスであるオンラインストレージは提供元が運営を行っているため、障害発生時などの対応も提供元が担当します。なかにはスピーディーな対応が難しいケースもあり、場合によっては大きな損害につながることも。オンラインストレージに大切なデータを保管する場合は、信頼性の高いサービスを選ぶ必要があるでしょう。
カスタマイズできず活用しきれない
独自のカスタマイズが困難なオンラインストレージは、ニーズによってはサービスを活用しきれない可能性があります。データ容量や対応デバイス、機能、操作性は提供元が開発したものをそのまま使用することになるため、「自社で利用しても問題ないか」をしっかりとシミュレーションした上で検討を進めましょう。オンラインストレージに限らず、1度システムを導入した後で別のサービスに移行するのは面倒な作業です。「思っていたのと違った」を気づいてからでは遅いので、十分に注意してください。
情報漏洩のリスク管理ができていない
オンラインストレージは、サービスによってセキュリティレベルが異なるもの。しかし、場合によっては機密情報が含まれるファイルも保管することとなるため、権限管理や運用に関するマニュアルに不足のあるサービスには注意が必要です。外部脅威に対して堅牢なシステムを構築しているサービスを選ぶようにしましょう。また、保管されたファイルを管理するデータセンターの設備も確認しておくのも大切なポイント。施設内に監視カメラや入退室システムを完備したデータセンターを使用しているオンラインストレージであれば、より安心して利用できるのではないでしょうか。
自社に合うオンラインストレージを見つけよう
本記事では、オンラインストレージの選定基準とあわせて、導入で起こり得るデメリットについて解説してきました。オンラインストレージはファイル・データの保管や共有に便利なツールですが、自社に合ったサービスを選ばなければデメリットも生じるものです。導入の目的を達成するためにも、選定基準を踏まえて検討を進めてみてはいかがでしょうか。
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