連携して運用を効率化!勤怠管理・給与計算と一体化運用できる人事労務管理システム
人事労務領域のシステムは、勤怠管理、給与計算、労務管理、年末調整、タレントマネジメントなど、必要に応じて段階的に導入されていくケースがほとんどです。その結果、気づけば複数のSaaSが並行稼働し、従業員マスタが各システムに分散していることがあります。データの転記や二重入力が常態化している企業も少なくありません。
本記事では、勤怠管理と給与計算を人事労務管理システムと連携させる際の運用設計について、情シス・DX推進視点で解説します。「個別SaaS連携運用」と「人事労務管理SaaSでの一体化運用」という2つのパターンを比較しながら、勤怠管理・給与計算が一体化運用できるおすすめの労務管理システムも紹介します。
- なぜ「人事労務管理システムを起点にした連携」が必要なのか
- 勤怠管理・給与計算を人事労務管理システムと運用する2つのパターン
- 一体化運用が可能な人事労務管理SaaSの選定基準
- 一体化運用できるおすすめの人事労務管理システム5選
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
なぜ「人事労務管理システムを起点にした連携」が必要なのか
そもそも、なぜ人事労務管理システムを連携の起点に据える必要があるのでしょうか。
まずは、人事労務領域で起こりがちな「システム乱立」の実態と、それが情シス・DX推進担当にもたらす負荷を整理します。そのうえで、解決策となる設計思想を見ていきましょう。
人事労務領域では「システム乱立」が起こりやすい
人事労務領域のシステム導入には、特有のパターンがあります。まず最初に勤怠管理が導入され、その後、給与計算、年末調整、入退社手続き、タレントマネジメントといった順に必要性が顕在化していくことがほとんどです。その都度、別ベンダーの製品が追加されていくケースも多いでしょう。
問題は、これらのシステムが「一連の業務」として設計されないまま追加されていく点です。各システムが個別に優秀でも、従業員マスタが各システムに分散すれば、入社・異動・退職のたびに複数システムへの登録・変更作業が発生します。
社会保険労務士の現場から「全体像を描かないまま導入が進み、優秀なシステムを入れても二重入力や三重チェックといった非効率な業務が残ってしまう」という指摘がされることも少なくありません。
連携不備は情シス・DX推進担当のコストを膨らませる
システム連携が不十分なまま運用が続くと、情シス・DX推進担当には次のような負荷が継続的に発生します。これらは一見すると「業務効率化」の話に見えますが、本質的には情シスのリソースを枯渇させる問題です。
| 発生する負荷 | 内容 |
|---|---|
| データ転記・二重入力の運用支援 | 人事労務担当者から「勤怠と給与のデータがズレている」「マスタが古い」といった相談が定常的に上がる |
| 法改正対応の負荷増大 | 税率、社会保険料率、最低賃金などの改正のたびに、複数システムで設定変更が必要になり、整合性確認に工数がかかる |
| IDライフサイクル管理の煩雑化 | 退職者アカウントの削除漏れ、権限変更の伝播漏れがセキュリティ・内部統制上のリスクとなる |
| データ活用の前段で詰まる | 人的資本経営や労務分析を進めようとしても、マスタが揃っておらず、分析前にデータクレンジングが必要になる |
解決のカギは「人事労務管理システムを中心に据える」設計思想
こうした課題への構造的な解決策が、人事労務管理システムを連携の中心据えるという設計思想です。従業員マスタを人事労務管理SaaSで一元化し、勤怠管理や給与計算はそのマスタ上で派生処理として動かします。入退社・異動はマスタの更新で一元的に行い、変更内容はすべての関連機能に自動で反映していきます。
この設計を採用すると、情シスが管理すべき「マスタの所在」が明確になり、連携保守のコストを構造的に下げられます。ガバナンスとセキュリティの観点からも、IDライフサイクル管理を一気通貫にできるメリットは大きいといえるでしょう。
ただし、「中心に据える」という設計思想を実現する具体的な運用パターンは2つに分かれます。次章では、その2つのパターンを比較していきます。
勤怠管理・給与計算を人事労務管理システムと運用する2つのパターン
人事労務管理システムを連携の起点に据えるといっても、実装の仕方は大きく2つに分かれます。
ここでは、まず連携で扱うデータを整理します。そのうえで、「個別SaaSを連携運用するパターン」と「人事労務管理SaaSと一体化して運用するパターン」を比較し、最後にどちらを選ぶべきかを整理します。
人事労務管理システムとの連携で扱うデータ
具体的なパターンの話に入る前に、勤怠管理・給与計算・人事労務管理のあいだでやり取りされるデータを整理しておきましょう。
| データ種別 | 主な内容 | データの流れ |
|---|---|---|
| 従業員マスタ | 氏名、所属、雇用形態、給与体系、口座情報 | 人事労務管理 → 勤怠管理・給与計算 |
| 入退社・異動情報 | 入社日、退社日、異動先、昇給履歴 | 人事労務管理 → 勤怠管理・給与計算 |
| 勤怠実績データ | 労働時間、残業、休暇取得、深夜・休日勤務 | 勤怠管理 → 給与計算 |
| 給与計算データ | 基本給、手当、控除、社会保険料、税額 | 給与計算 → 人事労務管理(明細発行・履歴管理) |
ポイントは、従業員マスタが起点となり、勤怠実績が中間データとして集計され、給与計算に集約されていく流れです。この流れをどう実装するかが、運用パターンの分岐点になります。
パターンA|特化型SaaSを連携でつなぐ
1つ目の運用パターンは、勤怠管理SaaS、給与計算SaaS、人事労務管理SaaSをそれぞれ別ベンダーで導入し、APIまたはiPaaSでデータをつなぐ方法です。代表的な組み合わせ例としては、人事労務管理にSmartHR、勤怠管理にKING OF TIME、給与計算にマネーフォワード クラウド給与を利用するケースがあります。各領域で実績のある特化型SaaSを組み合わせるパターンです。
主な連携方式
主な連携方法として、API連携が活用されます。API連携とは、SaaS同士があらかじめ用意した接続仕様でデータをやり取りする方式です。
従業員情報の追加・変更がリアルタイムに反映されるほか、勤怠の締め処理後にワンクリックで給与計算へデータを流せるなど、自動化度が高い点が特徴です。一方で、すべてのSaaSがAPI連携されているわけではないので、API連携できるSaaSの組み合わせは限定的になってしまいます。また、API仕様の変更があった際の影響調査や修正対応は、情シス側に残ります。
メリット
- 各領域で機能の深さや業界特化性に優れた特化型SaaSを選定できる
- 既存システム資産を活かしながら段階的に統合できる
- 個別SaaSの置き換えがしやすく、ベンダー1社への依存度を抑えられる
デメリット
- 連携設計・保守責任が情シスに残る(API仕様変更時の追従、項目マッピングのメンテナンス、エラーハンドリングなど)
- 法改正対応時に、複数SaaSのバージョン整合性を都度確認する必要がある
- 認証・権限管理が分散しやすく、IDライフサイクル管理に運用ルールが必要になる
- サポート窓口がベンダーごとに分かれるため、障害時の切り分けに時間がかかる
向いているケース
- 給与計算ロジックが複雑で、特化型SaaSでなければ標準機能では対応できない場合(複数事業所、独自手当体系、業界特有の控除など)
- すでに深く根付いた特化型SaaSがあり、置き換えコストが大きい場合
- 大企業で、人事制度のカスタマイズ性を最優先したい場合
パターンB|人事労務管理SaaSにまとめて一体化させる
もう1つの運用パターンは、人事労務管理SaaSが提供する勤怠管理機能・給与計算機能を利用し、同一プラットフォーム内で運用を一体化する方法です。SmartHR、freee人事労務、マネーフォワード クラウド人事労務、ジンジャー、ジョブカンといったサービスがこのパターンに該当します。
仕組みの本質は、従業員マスタを単一のデータベースで保持し、勤怠データをそのマスタ上で集計し、そのまま給与計算機能に流していく点です。SaaS間の「連携」という概念そのものを最小化できることが、他のパターンとの大きな違いです。
メリット
- 連携保守という「終わらない仕事」から解放され、API仕様の変更追従、項目マッピングのメンテナンス、エラーハンドリングといった負荷を抑えられる
- 法改正対応がプラットフォーム単位で完結し、複数SaaSのバージョン整合性を確認する作業が不要になる
- UI・操作感が統一され、従業員・人事労務担当者の習熟コストや、情シスへの問い合わせ対応工数を減らせる
- 認証・権限管理を一元化でき、退職や異動に伴う権限変更を全機能に自動伝播しやすくなる
- 退職者アカウントの残存リスクを抑え、内部統制・セキュリティ監査への対応もしやすくなる
- 特化型SaaSと比較すると、勤怠機能・給与計算機能の深さが劣る場合がある(特殊な勤務形態、複雑な手当体系への対応に限界があることも)
- ベンダーロックインの懸念がある(ただし、後述するように外部SaaS連携が豊富なサービスを選べばリスクは抑えられる)
- 大企業の高度にカスタマイズされた人事制度には合わせ込めない場合がある
- 中小〜中堅規模で、勤怠ルールや給与体系が標準的な範囲に収まる
- バックオフィス全体を一元化し、情シス・DX推進リソースを他の戦略課題に振りたい
- 連携保守のコストを削減し、ガバナンスとセキュリティを優先したい
- 人的資本経営やデータドリブンな人事施策を進めたい
結論|自社の運用要件に応じて最適なパターンを選ぶ
勤怠管理・給与計算を人事労務管理システムと連携させる場合、どちらか一方が常に正解というわけではありません。重要なのは、自社の人事労務運用の複雑さ、既存システムの定着度、情シス・DX推進担当がどこまで連携保守を担えるかを踏まえて選ぶことです。
パターンAが向いている企業
パターンAの「特化型SaaSを連携でつなぐ」構成は、次のような企業に向いています。
- 給与計算ロジックや勤怠ルールが複雑で、標準的な人事労務管理SaaSだけでは対応しきれない企業
- 複数事業所、独自手当体系、業界特有の控除など、個別要件が多い企業
- すでに勤怠管理SaaSや給与計算SaaSが深く定着しており、置き換えコストが大きい企業
- 大企業など、人事制度のカスタマイズ性を優先したい企業
このパターンでは、各領域に強い特化型SaaSを選べるため、業務要件への適合度を高めやすい点がメリットです。一方で、API仕様変更への追従、項目マッピングのメンテナンス、エラー発生時の切り分けなど、連携保守の負荷は情シス側に残ります。そのため、連携設計や運用ルールを継続的に管理できる体制がある企業に適しています。
パターンBが向いている企業
パターンBの「人事労務管理SaaSにまとめて一体化させる」構成は、次のような企業に向いています。
- 勤怠ルールや給与体系が標準的な範囲に収まる中小〜中堅企業
- 複数SaaSの連携保守や二重入力の負荷を減らしたい企業
- 情シス・DX推進担当のリソースを、連携保守ではなく本来のDX推進業務に振り向けたい企業
- 認証・権限管理やデータガバナンスを一元化したい企業
- 人的資本経営や労務分析に向けて、人事データを整備したい企業
このパターンでは、従業員マスタを中心に、勤怠管理・給与計算・労務管理を同一基盤で運用できます。そのため、連携保守の負荷を抑えやすく、法改正対応、IDライフサイクル管理、データガバナンスも構造的に整えやすくなります。標準的な人事労務運用が成立する企業であれば、情シス・DX推進視点では一体化運用のほうが合理的です。
一体化運用が可能な人事労務管理SaaSの選定基準
一体化運用を選ぶと決めたあと、次に直面するのが「どのSaaSを選ぶか」の問題です。ここでは、情シス・DX推進担当が押さえておきたい4つの評価軸と、選定の進め方で陥りがちな失敗パターンを整理します。
押さえておきたい4つの評価軸
一体化運用を選ぶ場合、どの人事労務管理SaaSが自社に合うかを見極める必要があります。情シス・DX推進担当が押さえるべき評価軸は、次の4つです。
1. カバーする機能の幅と深さ
「人事労務管理SaaS」と一括りにされていても、実際のカバー範囲には差があります。自社が現在抱えている業務範囲と、将来的にカバーしたい範囲を明確にしたうえで、各SaaSの対応領域を確認しましょう。
たとえば、勤怠・給与計算が標準機能なのか有料オプションなのか。また、年末調整、社会保険手続き、マイナンバー管理、タレントマネジメントまでカバーするのかも、サービスによって違います。
2. 外部SaaS連携の豊富さ
一体化運用を選んだとしても、すべてを単一ベンダーで完結させるとは限りません。会計、経費、タレントマネジメント、ID管理(SSO)など、周辺領域のSaaS連携が豊富かどうかは、長期的な拡張性と脱ベンダーロックインの観点で重要です。
「一体化運用を基本としつつ、必要に応じて外部SaaSも組み合わせられる柔軟性」を考慮しましょう。例えば、SmartHRは、自社内に勤怠・給与計算機能を持ちながら、KING OF TIME、freee勤怠管理Plus、マネーフォワード クラウド給与、PCA給与など、外部SaaSとのAPI連携も豊富です。
3. 対象企業規模・特化領域
サービスごとに、想定する企業規模や得意領域は異なります。自社の規模や業種特性に合ったサービスを選ぶ必要があります。中小企業に強いのか、中堅〜大企業にも対応できるのか、多店舗運営や製造業などび特定の業種への対応が強いのかなどさまざまです。
4. 料金体系
料金体系も重要な評価軸です。情シスが運用コストを試算する際には、以下のような項目を確認しておく必要があります。特に従業員数の増減が見込まれる企業では、ID課金の柔軟性が運用負荷に直結します。
- 機能別オプション課金なのか、プラン一括なのか
- ID課金単価はいくらか
- 最低契約期間や初期費用はあるのか
情シスが避けたい、ありがちな選定の進め方
一方で、情シス・DX推進担当として避けたい選定の進め方もあります。
現場部門主導で、連携要件を確認せずに導入する
人事労務担当者が単独で導入を進めると、機能面のみで評価され、連携保守やマスタ設計の論点が抜け落ちてしまうことがあります。その結果、後から情シスが連携保守を引き受けることになり、本来不要だったコストが発生します。
「連携可能」表記だけで実態を確認しない
ベンダーの資料に「○○と連携可能」と書かれていても、実態はさまざまです。API連携なのか、データの反映が双方向か片方向か、リアルタイムか日次バッチかなど確認することが多いです。これらによって、運用負荷は大きく変わるので、導入前のPoCで、実際のデータの流れを確認することが欠かせません。
既存システムの移行計画なしに進める
既存の勤怠・給与SaaSがある場合は、移行計画が必要です。移行期間中の並行運用、過去データの取り込み範囲、締め日の整合などを設計しないまま進めると、移行プロジェクトが頓挫してしまう可能性があります。
一体化運用できるおすすめの人事労務管理システム5選
ここからは、前章で整理した評価軸をもとに、一体化運用が可能な代表的な人事労務管理システムを紹介します。シェアや機能カバー範囲、外部連携の柔軟性などで実績のあるサービスを取り上げ、最後に比較表でまとめます。
SmartHRは、人事労務クラウドのシェアNo.1サービスです。労務手続き、年末調整、マイナンバー管理、タレントマネジメントを軸にしながら、勤怠管理機能と給与計算機能を有料オプションで追加できます。
情シス視点での特徴は、外部SaaS連携の豊富さです。有料オプションでの機能追加だけでなく、KING OF TIME、freee勤怠管理Plus、マネーフォワード クラウド給与、PCA給与、freee会計、勘定奉行クラウドなど、多数の外部SaaSとAPI連携する選択もできます。
一体化運用と個別SaaS連携運用のハイブリッドを柔軟に設計できる点が、他の人事労務SaaSにはない特徴といえます。API連携によるアカウント作成・削除の一元管理機能も搭載しており、IDライフサイクル管理を構造的に担保しやすいサービスです。
主な機能
freee人事労務は、クラウド会計のfreeeが提供する人事労務SaaSです。勤怠管理、給与計算、労務管理、年末調整までを1サービスで一気通貫に提供する、統合型の代表格といえます。スマートフォンでの打刻、シフト管理(AIシフト管理オプション)、Web給与明細、社会保険電子申請まで標準機能でカバーします。
freee会計との連携が強く、給与確定後の仕訳データを会計に自動連携できる点も特徴です。会計を含むバックオフィス全体をfreeeシリーズで揃えたい企業に向いています。プランは4種類用意されており、利用したい機能範囲に合わせてプランが選べます。
利用者のレビュー(口コミ、評価)
主な機能
マネーフォワード クラウド人事管理
マネーフォワード クラウド人事管理は、マネーフォワード クラウドシリーズの人事労務領域を構成するサービスの1つです。クラウド人事管理に加え、クラウド勤怠、クラウド給与、クラウド社会保険、クラウド年末調整がシリーズで提供されており、組み合わせて利用することで人事労務業務を一元化できます。
クラウド人事管理が従業員情報の収集・変更のハブとなり、給与計算ソフト、勤怠管理システム、社会保険申請ソフトに自動反映する設計です。マネーフォワード クラウド会計との連携を含めると、給与から会計仕訳までを一気通貫で処理できます。外部SaaSとの連携も豊富で、ジョブカン勤怠管理、セコムあんしん勤怠管理サービス KING OF TIME Edition、HRMOS勤怠などとAPI連携しています。
ジンジャー人事労務(社保手続き)
ジンジャーは、jinjer株式会社が提供する統合型人事システムです。人事労務、勤怠管理、給与計算、人事評価、サーベイ、データ分析を1つのデータベースで管理する設計が特徴です。勤怠・給与計算機能は、それぞれ製品として用意されています。
人事マスタの変更が、勤怠・給与・ワークフローすべてに自動連携されるため、人事異動時のワークフロー組み直しが不要になります。タレントマネジメントまで含めた人事戦略全体をジンジャーで完結させたい企業に向いています。
主な機能
ジョブカン労務HR
ジョブカンは、DONUTS社が提供するシリーズ製品です。ジョブカン労務HRをはじめ、ジョブカン勤怠管理、ジョブカン給与計算、ジョブカン経費精算、ジョブカン会計などがシリーズで提供されています。各製品は単体でも導入でき、シリーズ間で従業員データを共有する設計です。
勤怠管理機能の業界実績が長く、変形労働・フレックス・裁量労働など、多様な勤務形態への対応力が強みです。給与計算機能との連携により、所得税・社会保険料の控除も自動計算できます。無料プランから始められる料金体系で、中小企業の導入実績が豊富です。必要な機能だけを組み合わせ、段階的に導入できる柔軟性があります。
主な機能
5サービスの違いがひと目でわかる比較表
| 勤怠管理機能 | 給与計算機能 | 外部SaaS連携 | 主な対象規模 | 特徴 | |
| SmartHR | 有料オプション | 有料オプション | ◎ | 中小〜大企業 | 人事労務シェアNo.1。外部SaaS連携の柔軟性が高い |
| freee人事労務 | プランに含む/オプション | プランに含む | ◯ | 小規模〜中堅 | 1サービスで人事労務を一気通貫 |
| マネーフォワード クラウド人事労務 | シリーズ製品 | シリーズ製品 | ◯ | 中小〜中堅 | 会計を含むバックオフィス全体の統合 |
| ジンジャー人事労務 | シリーズ製品 | シリーズ製品 | ◯ | 中堅〜大企業 | 1データベース設計の徹底 |
| ジョブカン労務HR | シリーズ製品 | シリーズ製品 | ◯ | 中小中心 | 必要な機能から段階導入が可能 |
よくある質問(FAQ)
最後に、情シス・DX推進担当が人事労務管理SaaSの連携を検討する際に、特に質問の多い4つのポイントをまとめます。
Q1. 一体化運用と個別連携運用、どちらが主流ですか?
中小〜中堅企業では、一体化運用が主流になりつつあります。SmartHRやfreee人事労務、マネーフォワード クラウド人事労務、ジンジャー、ジョブカンといった人事労務SaaSが、勤怠・給与機能まで提供範囲を広げています。そのため、新規導入では一体化運用を選択するケースが増えています。
一方で、複雑な人事制度を持つ大企業や、すでに特化型SaaSが深く根付いている企業では、引き続き個別連携運用が選ばれる傾向にあります。
Q2. 個別SaaSから一体化運用に移行できますか?
移行は可能ですが、計画的な設計が欠かせません。具体的には、次のような項目を事前に整理する必要があります。
- 過去データの取り込み範囲(何年分のマスタ・勤怠・給与履歴を移行するか)
- 移行期間中の並行運用
- 締め日の整合性
- 従業員への周知・トレーニング
一般的には、新年度や下半期の開始タイミング、あるいは年末調整完了後の1月など、業務サイクルの区切りに合わせた移行が推奨されます。PoC期間を確保し、給与計算1〜2サイクル分の並行運用を経てから本切替する進め方が安全です。
Q3. 中小企業でも連携設計まで考える必要はありますか?
あります。むしろ中小企業こそ、初期段階で連携設計を整えておきたいところです。人員規模が小さいうちは、マスタの分散も大きな負荷には見えないかもしれません。しかし、組織が拡大したタイミングで「マスタが揃っていない」「連携保守の担当が不在」といった問題が顕在化します。
中小企業の場合は情シスのリソースが限られるため、一体化運用を選択し、連携設計の負荷そのものを最小化するアプローチが現実的です。
Q4. 人事労務管理SaaSは勤怠・給与計算機能をどこまで持っていますか?
サービスによって異なります。freee人事労務、マネーフォワード クラウド人事労務、ジンジャー、ジョブカンは、勤怠管理機能・給与計算機能を自社シリーズ内に持ち、一体化運用が可能です。SmartHRも、有料オプションとして勤怠管理機能と給与計算機能を提供しています。
機能の深さは、標準的な勤務形態・給与体系であれば十分に対応できるレベルです。ただし、特殊な勤務シフトや複雑な手当体系については、特化型SaaSのほうが対応力が高いケースもあります。導入前に、自社の業務要件と機能カバー範囲を突き合わせることが大切です。
まとめ
人事労務管理システムを起点に、勤怠管理・給与計算まで一体化する運用は、情シス・DX推進担当にとって合理的な選択肢です。連携保守という終わらない仕事から解放され、法改正対応・認証管理・データガバナンスを構造的に担保できるからです。
ただし、自社の人事制度や既存システム資産によっては、個別SaaS連携運用が妥当なケースもあります。重要なのは、現場部門主導で機能面だけを見て選定しないことです。情シス・DX推進視点で、連携設計・マスタ管理・運用コストを評価軸に据える必要があります。
主要な人事労務管理SaaSは、それぞれカバー範囲や得意領域、外部SaaS連携の豊富さに違いがあります。自社の規模、業種、運用方針に合うサービスを比較検討してみてください。
労務管理システムのおすすめ記事
労務管理システムの新着記事
労務管理システムのランキング
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!