【2024年最新】人事ポリシーとは?内容の基礎から作り方、参考事例まで紹介
人事評価制度の構築で必要不可欠な人事ポリシー。しかし、人事ポリシーをどのように策定すれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。この記事では人事ポリシーの必要性を感じている方に向けて、人事ポリシーの作り方を解説するとともに、実際の事例についても紹介していきます。
人事ポリシーとは
人事ポリシーとは、会社や経営者の「人材」に対する考え方を表したものです。人事ポリシーは企業のホームページに掲載されていることが多く、誰でも見られます。具体的には企業が目標達成のために社員に何を求めるか、何が評価や昇給につながるかを明らかにしたものです。人事制度の核となるルールに当たり、人事制度設計の土台となります。
人事ポリシーを策定する目的
人事ポリシー策定の目的は以下の3つです。
・求職者へのアピール
人事ポリシーを策定することで、どのような人材を求めているか求職者に対して明らかにできます。求職者は人事ポリシーを見て自身の価値観と照らし合わせて応募を決めるでしょう。求職のミスマッチを防ぐのに役立ちます。
・世間やステークホルダーへのアピール
人事ポリシーを明示することで、その会社がどんな理念を持つかアピールできます。会社のイメージに関わる部分で、顧客の意思決定に影響を与えます。
・人事制度の指針
人事制度を決めるうえでの指針となります。人事制度と人事ポリシーを照らし合わせることで、一貫性のある制度設計が実現します。
人事ポリシーの内容
人事ポリシーの主な内容は次の4つです。
人材に対する考え方
人材育成の方向性
評価基準
報酬に対する考え方
以上の要件を柱として人事ポリシーを策定し、それを土台として人事制度設計を行います。人事制度が法律とすれば、人事ポリシーは憲法に当たります。全体整合性という観点からも、人事ポリシーは人事制度の根幹となるため時間をかけて策定することが大切です。
人事ポリシーを策定するメリット
ここで、人事ポリシーを策定するメリットをまとめます。具体的にどの様なことに役立つのでしょうか?
1.人事制度や社内教育の指針が明確になる
人事ポリシーを策定することで、人事制度や社内教育の指針が明確になります。人事ポリシーがないと、一貫性のある評価基準が確立できず、適正な人事評価制度の構築が困難になります。また、社員にどのような行動や能力を求めるかはっきりするため、社員教育や採用の方向性を打ち出すことが可能です。社員にとっては、会社が求める能力・行動が明確になることで、評価を得るための努力をしやすくなります。その取り組みがキャリアアップや昇給につながり、更なるモチベーションの向上、生産性向上が期待できるでしょう。
2.ステークホルダーに対し会社の指針を示せる
人事ポリシーを策定することで、ステークホルダーに対し会社の指針を示すことが可能になります。ステークホルダーとは企業のあらゆる利害関係者のことで、経営者、株主、金融機関含む取引先、競合企業、行政、地域社会などあらゆる関係が含まれます。利害関係のあるステークホルダーに会社の指針を明確に示すことで、会社のイメージを形成されます。例えば、グローバルな人材を受け入れる方針を打ち出せば、国際的な視野を持った会社という評価を得られます。企業が持つ理念は従業員の仕事への取組みの柱となるため、顧客の意思決定に大きな影響を与える要素です。
3.求める人材を確保できる
人事ポリシーを策定することで、採用担当者や求職者に対してどの様な人材を求めているか明らかにできます。採用担当者は会社がどの様な人材を求めているか明確になることで求める人材を確保できます。求職者は応募先企業が従業員をどのように扱うか、またどのような理念を基に人事評価をするのかは気にするポイントです。採用担当者も求職者も人事ポリシーである程度は適正を判断できるため、採用のミスマッチを防げます。HPに掲載しておけば採用担当者も求職者も閲覧できるため、採用に力を入れる場合は掲載しておくことをおすすめします。
人事ポリシーの作り方
人事ポリシーは会社の「人」に関する指針をステークホルダーに示すものです。採用から取引に至るまで重要なポイントとなるため、内容は十分練る必要があります。また、人事ポリシーの作成には一定の手順があります。ここでは人事ポリシーの作成の流れと作成のポイント・注意点について詳しく解説します。
人事ポリシーを作成する流れ
人事ポリシーは会社の理念、求める人物像、評価基準の順で作成していきます。
①企業理念や組織のあり方を定める
人事ポリシーは人に関する会社の考え方であり、その前提には会社の理念や組織のあり方があります。会社は何を目指しているのかを明らかにすることは、人事ポリシー策定の最初の一歩です。
②会社が求める人物像を明確にする
企業理念が明確になったら、会社が求める人物像を明らかにします。会社が求める人物として欠かせない要素をピックアップするのがポイントです。
③社員を評価する際の基準を決める
会社が従業員に対してどの様な行動・能力を期待するか明確にします。やるべきことが明確になることで従業員の行動に主体性が生まれます。
人事ポリシーを作成するポイント・注意点
人事ポリシーを作成するポイント・注意点
①簡潔に分かりやすく記載する
人事ポリシーはホームページに掲載するものなので、最後まで読んでもらえるよう、できるだけ簡潔に分かりやすく記載しましょう。
②将来を見据えたポリシーを策定する
従業員数の規模に見合わない人事ポリシーを策定すると、ミスマッチが生じやすくなります。将来的にどのくらいの社員数になるか、将来を見越したうえで人事ポリシーを策定しましょう。
③多言語にする
グローバル人材を雇用する場合は、多言語対応にすることも大切です。ステークホルダーに対しても、標準的にグローバル対応していることを示すことは大切なことです。
④評価・報酬についても記載する
社員に求めるだけでなく、評価・報酬についても記載しましょう。求職者が注目をするポイントとなります。
【事例紹介】人気企業の人事ポリシー
ここまで、人事ポリシーの作成の仕方をご紹介しましたが、具体的にどの様に作成すれば良いのか分からない方も多いと思います。その場合、実際の企業の事例を参考にするのが成功への早道です。ここからは担当者の方に向けて、人気企業の人事ポリシーを紹介します。作成の際の参考にしてください。
リクルート
リクルートが個人に求めるのは自律的に動き、個人もチームも進化を遂げることです。会社としては多様性のある人々にいかんなく能力を発揮してもらうべく、次の3つの人事ポリシーを掲げています。
「1 能力開発・チャレンジできる機会拡充
個人の強みを活かすため、より多く出来ることを増やす能力開発や、日々の職務を超え、自律的に新しい仕事にチャレンジするための機会を拡充します。
2 安心安全を前提により柔軟に、よりクリエイティビティ高く個々人の働き方を選択しやすい環境へ
どんな多様性も受け入れていくために、より柔軟に自律的に選択しやすい、新しい働き方の推進を目指します。
3 Pay For Performance
期待する役割や成果に対してきちんと報酬で報いることができる仕組みを推進します。」
※出典:株式会社リクルート https://recruit-saiyo.jp/human-resources/
楽天
楽天は、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことを目指し、社員にさまざまな研修機会を提供しています。人事ポリシーに当たるキャリア開発は以下の3つで構成されます。
・TRAINING PROGRAMS
階層別研修やグローバルリーダーシップ開発研修など
・PROFESSIONAL GROWTH
1on1ミーティングによるフィードバック
社内オープンポジション制度(楽天のキャリアパスプログラム)
・PERFORMANCE CYCLE
「コンピテンシー評価」と「パフォーマンス評価」の2つの人事評価制度
※出典:楽天グループ株式会社https://corp.rakuten.co.jp/careers/career-development/
ソフトバンク
ソフトバンクはベンチャーマインドを持ち続け、一人ひとりが変化を楽しみ、勝ち続ける組織を目指しています。そのため、挑戦する人にチャンスを与え、成果に正しく報いる人事ポリシーを策定しているのが特徴。「300年成長し続ける企業」になるために、「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」という5つのソフトバンクバリューを掲げています。
※出典:ソフトバンク株式会社
https://www.softbank.jp/corp/philosophy/human-resource/policy/
https://group.softbank/philosophy/value
みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループはみずほの企業理念を踏まえた以下の人事ビジョンを掲げています。
「〈みずほ〉は、社員の強みを活かし、能力を引き出す機会を提供します。
〈みずほ〉は、国籍・人種・性別・価値観の異なる社員が、互いに認め合い、
高め合うことを重視します。
〈みずほ〉は、一人ひとりが仕事を通じてやりがいと誇りを感じられる
共通の住処を、社員と共に築いていきます。」
※出典:株式会社みずほフィナンシャルグループhttps://www.mizuho-fg.co.jp/csr/employee/pdf/policy.pdf
伊藤忠商事
伊藤忠商事は企業理念の「三方よし」を継承し、企業行動基準である「ひとりの商人、無数の使命」を体現できる人材を求めています。「業務から得るOJT」「評価・フィードバックによる成長意欲の醸成」「知識・スキルの業務への活用」の3つを通じたグローバルマネジメント人材の育成を掲げています。リーダーが備える行動要件を整備し、タレントマネジメントプロセスの仕組みを構築すると共に、創業以来掲げる自社の価値観に合う人材育成を目指しています。
※出典:伊藤忠商事株式会社https://www.itochu.co.jp/ja/csr/society/development/index.html
ニトリホールディングス
ニトリホールディングスは、人材育成・処遇の方針として「教育こそ、最大の福利厚生」を掲げ、ニトリグループの教育体系「ニトリ大学」を運営しています。教育の機会は全社員を対象としており、配転教育、知識教育、自己育成の3つの制度を完備。また、キャリアアップを支援する階層別研修、アメリカセミナー、グローバル人材育成プログラム、自己育成支援制度、社内資格制度など様々な機会を通じて社員の成長を支援。教育への投資は上場企業平均の5倍の金額で、人材育成には特に力を入れています。また、賃金のベースアップも毎年行い従業員のモチベーション向上に寄与しています。
※出典:株式会社ニトリホールディングスhttps://www.nitorihd.co.jp/csr/employee/
サイボウズ
サイボウズは離職率の高さを改善すべく、2005年以降、人事ポリシーに相当するワークスタイルの変革に着手。「多様な個性を重視する、公明正大である、議論を大事にする、そんな風土があってこそ、多様な働き方が実現できる」とし、多様な働き方を構築するために、育児・介護休暇や働き方宣言制度、在宅勤務制度、育自分休暇制度など多様な制度を導入。また、社員が議論を重ねる人事制度策定プロセスや、個人の意思や能力を適正に反映した給与評価を導入しています。
※出典:サイボウズ株式会社https://cybozu.co.jp/company/work-style/
まとめ
人事ポリシーは求める人材を確保し、人事評価制度に一貫性を持たせるために必要不可欠です。しかし、人事ポリシーや人事評価制度の構築には専門的な知見が必要です。もし、人事管理に困ったら、システムやツールを利用するのも得策です。最近では労務管理システムや人事管理システムを活用するのもおすすめです。客観的な人事評価を自動的にできると好評です。人事ポリシーの策定でお困りの場合や、労務管理・人事管理システムの導入で迷ったらアイミツへお問い合わせください。
プロが条件に合ったサービスを選定します!